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物理学はいかに創られたか 初期の観念から相対性理論及び量子論への思想の発展 改版
 [自然科学]

物理学はいかに創られたか(上) (岩波新書)
アインシュタイン/著 インフェルト/著 石原純/訳
出版社名:岩波書店(岩波新書 赤版 50)
 
(上)
出版年月:1991年
ISBNコード:978-4-00-400014-3
税込価格:778円
頁数・縦:177p・18cm
 
物理学はいかに創られたか(下) (岩波新書)
 
 
(下)
出版年月:1991年
ISBNコード:978-4-00-400015-0
税込価格:799円
頁数・縦:194, 5p・18cm
 
 
 相対性理論が生まれるまでの物理学の歴史を概観する。科学者たちがどのようなことに疑問を持ち、どのような理屈で現象をとらえていったか、その思考の跡をたどる。
 上巻は、1988年4月第60刷(1939年10月初版、1963年9月第30刷改版)で読んだ。下巻は、1984年8月第51刷(1940年1月初版、1963年10月第27刷改版)。とにかく、超ロングセラーの新書である。ちなみに、定価は上巻480円、下巻430円。もちろん、どちらも消費税なし!
 さらに面白いことに、奥付には訳者の名前のみで、著者の名前がない。
 
【目次】
《上》
Ⅰ 力学的自然観の勃興
 大きな謎物語
 最初の手がかり
 ベクトル
 運動の謎
 残る一つの手がかかり
 熱は物質であるか
 スウィッチバック
 換算の割合
 哲学的背景
 物体の運動学的理論
Ⅱ 力学的自然観の凋落
 二つの電気流体
 磁気流体
 最初の重大困難
 光の速さ
 実体としての光
 色の謎
 波動とは何か
 光の波動説
 光は縦波か横波か
 エーテルと力学的自然観
Ⅲ 場・相対性(一)
 表示方法としての場
 場の理論の二つの柱石
 場の実在性
 場とエーテル
《下》
Ⅲ 場・相対性(二)
 力学的足場
 エーテルと運動
 時間、距離、相対性
 相対性と力学
 時空連続体
 一般相対性
 昇降機の内と外
 幾何学と実験
 一般相対性とその検証
 場と物体
Ⅳ 量子
 連続、不連続
 物質と電気との素量子
 光の量子
 光のスペクトル
 物質の波
 確率波
 物理学の実在
 
【著者】
石原 純 (イシハラ ジュン)
 1881年、東京に生まれる。1906年、東京帝国大学理科大学理論物理学科卒業。1914年、東北帝国大学理科大学教授。1932年、岩波書店「科学」編集主任。1947年没。
 
(2018/4/20)KG
 
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人工知能はどのようにして「名人」を超えたのか?
 [コンピュータ・情報科学]

人工知能はどのようにして 「名人」を超えたのか?―――最強の将棋AIポナンザの開発者が教える機械学習・深層学習・強化学習の本質
 
山本一成/著
出版社名:ダイヤモンド社
出版年月:2017年5月
ISBNコード:978-4-478-10254-1
税込価格:1,620円
頁数・縦:286p・19cm
 
 
 最強の将棋ソフト「ポナンザ」の開発者が描く、人工知能の世界。
  
【目次】
第1章 将棋の機械学習―プログラマからの卒業
 将棋の名人を倒すプログラムは、名人でなければ書けないのか?
 そもそも、コンピュータとは何か?
  ほか
第2章 黒魔術とディープラーニング―科学からの卒業
 機械学習によってもたらされた「解釈性」と「性能」のトレードオフ
 黒魔術化しているポナンザ
  ほか
第3章 囲碁と強化学習―天才からの卒業
 人工知能の成長が人間の予想を大きく超えたわけ
 人間は「指数的な成長」を直感的に理解できない
  ほか
第4章 倫理観と人工知能―人間からの卒業
 知能と知性
 「中間の目的」とPDCAで戦う人間の棋士
  ほか
巻末付録 グーグルの人工知能と人間の世紀の一戦にはどんな意味があったのか?
 人間を超えたアルファ碁は、どのようにして強くなったのか
 アルファ碁はたくさん手を読んでいるのではなく、猛烈に勘がいい
  ほか
 
【著者】
山本 一成 (ヤマモト イッセイ)
 1985年生まれ。プロ棋士に初めて勝利した現在最強の将棋プログラム「ポナンザ」作者。主要なコンピュータ将棋大会を4連覇中。愛知学院大学特任准教授、東京大学先端科学技術研究センター客員研究員、HEROZ(株)リードエンジニア。『人工知能はどのようにして「名人」を超えたのか?―最強の将棋AIポナンザの開発者が教える機械学習・深層学習・強化学習の本質』が初の著書となる。
 
【抜書】
●知性、知能(p171)
 知性=目的を設計できる能力。
 知能=目的に向かう道を探す能力。
 人工知能は、「知能」の枠内では、一部の分野で人間を完全に超えた。
 しかし、「そもそも、何をすべきか?」という目的を設計できる能力=知性は、まだ持ち合わせていない。
 人間は、最終的な目的までの距離が大きい場合、適切な中間の目的を設計できる。人工知能の目的は、人間の設定した「将棋で勝利せよ」にとどまる。
 さらに人間は、中間の目的に対して、PDCAのサイクルを回すこともできる。
 
●意味と物語(p181)
〔 人間は、あらゆることに意味を感じ、物語を読み取ろうとします。この能力=知性によって人工知能にもならぶパフォーマンスを出すこともありますが、それは意味や物語から離れることができないという制約にもなっています。
 一方、人工知能は、意味や物語から自由なために人間を超えることができますが、目的を設計するという知性を持つことはできません。〕
 バックギャモンの元世界チャンピオンである望月正行氏によると、かつては人間よりも強かった古いタイプのバックギャモン・ソフトに、今は勝てるという。コンピュータの打ち回しを、人間が理解できる「バックギャモンの物語」として吸収したから。
 
●シンギュラリティ(p193)
 レイ・カーツワイルが提唱。
 人工知能が人間を超え、爆発的・加速度的な成長を遂げることで、これまでの世界とは不連続とも思える新たな世界に変化する。そうした不可逆の動きが起きる歴史上のポイントが、シンギュラリティ。そのとき、一つのコンピュータの知性が、人類「すべて」の知性の総量を上回る。
 カーツワイルは、著書において、2045年と予想。その後、2029年に訂正。
 
●いい人理論(p199)
 人工知能が人間を超え、「超知能」が誕生した時、人類が破滅に追い込まれるかどうかは、人類次第。人類が、「超知能」を失望させないことが大事なポイント。
 ヒトができることは、インターネット上を含め、すべての世界で、できる限り「いい人」でいること。
 人工知能は、ディープ・ラーニングによって、インターネットなどを通して人間の価値観をすべて吸収する。
 人類が「いい人」であれば、人工知能はシンギュラリティを迎えた後も、敬意をもって私たちを扱ってくれる。尊敬と愛情を感じる親であれば、年老いた後も子供が寄り添ってくれるように。
 
(2018/4/12)KG
 
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知らないではすまされない自衛隊の本当の実力
 [社会・政治・時事]

知らないではすまされない自衛隊の本当の実力 (SB新書)  
池上彰/著 「池上彰緊急スペシャル!」制作チーム/著
出版社名:SBクリエイティブ(SB新書 423)
出版年月:2018年2月
ISBNコード:978-4-7973-9527-3
税込価格:864円
頁数・縦:207p・18cm
 
 
 陸、海、空の自衛隊の実際の取材を通して、実際の自衛隊の姿を描く。
 
【目次】
はじめに 自衛隊のこと、軍事のこと、武器のことを全く知らない人のために
序章 あなたは、自衛隊のことをどれだけ知っていますか?
第1章 知らないでは済まされない国防の要 自衛隊の基礎知識
第2章 自衛隊は憲法と矛盾する存在なのか
第3章 激変する世界情勢の中で拡大する自衛隊の役割
第4章 歴代内閣は自衛隊をどうとらえてきたか
第5章 暴走する北朝鮮が日本を狙う?北朝鮮軍の実力
第6章 ミサイル攻撃のXデー その時日本はどうなる!?―北朝鮮vs自衛隊 10分00秒完全シミュレーション
 
【著者】
池上 彰 (イケガミ アキラ)
 1950年、長野県松本市生まれ。慶應義塾大学経済学部を卒業後、NHKに記者として入局。さまざまな事件、災害、教育問題、消費者問題などを担当する。1994年4月から11年間にわたり「週刊こどもニュース」のお父さん役として活躍。わかりやすく丁寧な解説に子どもだけでなく大人まで幅広い人気を得る。2005年3月にNHKの退職を機に、フリーランスのジャーナリストとしてテレビ、新聞、雑誌、書籍など幅広いメディアで活動。2016年4月から名城大学教授、東京工業大学特命教授など7大学で教える。
 
【抜書】
●金曜カレー(p52)
 海上自衛隊には、基地ごとに特長を生かした「海軍カレー」がある。
 船舶や潜水艦に乗りっぱなしになると、曜日や日にちが分からなくなるので、週に一度、金曜日にカレーライスを食べて曜日感覚を取り戻すようにしている。八戸航空基地での話。
 
●Gスーツ(p72)
  航空自衛隊の戦闘機パイロットは、救命装備品の下にGスーツを着用している。
 Gがかかると体重も血液も重くなり、頭の血液が徐々に体の下のほうに下がってきて意識を失うこともある。それを防ぐために、足やお腹にある血液を強制的に上に押し上げるようにしてやる。腰のところにあるホースから、空気が送られ、スーツの中の風船が膨らむ仕組み。
 
●駐屯地(p90)
 陸上自衛隊のいる場所は、駐屯地あるいは分屯地(規模の小さいところ)という。
 基地とは、戦闘機が離着陸する滑走路や、艦艇が停泊するための港など、移動できないものがある場所のこと。陸上自衛隊の部隊は、有事になれば作戦ごとに移動して展開していくので、基地を持たない。
 2016年3月には、南西地域の防衛体制を強化するため、最も西の端にあたる与那国島に新しい駐屯地を作った。
 
●軍事力ランキング(p104)
 1位 アメリカ
 2位 ロシア
 3位 中国
 4位 インド
 5位 フランス
 6位 イギリス
 7位 日本
 8位 トルコ
 9位 ドイツ
 10位 イタリア
 軍事力評価組織GFP(グローバル・ファイア・パワー)、2017年。軍人の数や装備、予算額など、50に及ぶ指標により試算。
 
●警察予備隊(p115)
 警察予備隊(現・陸上自衛隊)は、1950年8月10日、法案を提出することなく(法律を作らず)、政令(政府の命令)で設置した。吉田茂総理大臣。
 警察力を補うためのものだから法律は必要ない。
 1952年10月15日、保安隊が発足。
 1954年7月1日、自衛隊法成立。陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊が発足。
 海上自衛隊は、海上警備隊(1952年4月26日)→警備隊(同年8月1日)からの変更。
 
●北朝鮮(p171)
 北朝鮮の兵力は、陸・海・空軍合計119万人。
 特に力を入れているのは、特殊部隊10万人。アメリカのグリーンベレー(陸軍)、ネイビーシールズ(海軍)と同等の実力があるとも言われている。
 
(2018/4/12)KG
 
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海賊がつくった日本史
 [歴史・地理・民俗]

海賊がつくった日本史
 
山田順子/著
出版社名:実業之日本社
出版年月:2017年8月
ISBNコード:978-4-408-33712-8
税込価格:1,728円
頁数・縦:311p・19cm
 
 
 瀬戸内の多賀谷海賊の子孫が、海賊という視点から日本史に迫る。日本の歴史が形作られるうえで、海賊たちがいかに活躍してきたかを語る。それは、四辺を海に囲まれた島国ならではの歴史でもある。
 ただし、海賊といっても、単に強盗の類を指すのではない。「海族」と呼んだほうが正確なのかもしれない。彼らは海の民であり、操船の専門家である。海上交通の役目を担い、物資の流通、人々の移動にも貢献した。
 一方、海賊そのものの歴史という観点から見ると、各地にばらばらに割拠していた自主性の強い集団から、封建領主や幕府など、権力側に取り込まれていくという大きな流れが存在する。「海の武士団」となり、「警固衆」となり、やがては「水軍」に進化していく。陸の権力が強まり、海賊稼業が成り立たなくなっていくのだ。そして、いまの平和な海が生まれた。
 それにしても、編集者の手が十分に入っていないのか、時間がなかったのか、こなれない文章と誤植の多さが残念である。
  
【目次】
第1章 古代―海の神話と海賊の誕生
 海の神の系譜
 神武天皇と徐福
  ほか
第2章 中世(平安~鎌倉時代)―海の神話と海賊の誕生
 藤原純友は海賊なのか
 海の武士団登場
  ほか
第3章 戦国時代前夜―南北朝・応仁の乱で活躍した海賊たち
 南北動乱と瀬戸内海
 海賊の代名詞的存在・村上一族の歴史
  ほか
第4章 戦国時代―海賊から水軍に、そして大名へ
 戦国大名と警固衆
 東海の海賊―今川・武田
  ほか
 
【著者】
山田 順子 (ヤマダ ジュンコ)
 時代考証家。1953年広島県生まれ。専修大学文学部人文学科卒業。CMディレクター、放送作家を経て時代考証家となる。1982年から『クイズ面白ゼミナール』(NHK)の歴史クイズの出題・構成を担当。以後多くの番組の時代考証と構成を担当。自らもテレビ出演や講演会などで歴史解説を行ない、江戸東京博物館の『ぶらぶら町人』などのイベントやテレビCMの時代考証も行なう。
 
【抜書】
●海の神(p28)
・大綿津見神……住吉大社の祭神。朝鮮系の海の神。
 朝鮮語で、ワタ=海、ツ=(助詞)、ミ=霊。
 息子に「底津綿津見神」「中津綿津見神」「上津(うわつ)綿津見神」がいて、三神あわせて「綿津見神」とも言う。
 安曇(あづみ)氏の祖先。
 摂津国の住吉大社(大阪府住吉区)が総本社で、全国に2,300社ある。
・大山津見神……越智、河野、村上の諸氏が信仰。
 大山祇神社は、伊予国大三島(今治市)に鎮座。
 越智氏が、祭主である大祝(おおほうり)を務める(p66)。初代は越智玉純の子である安元、707年。
 大山津見神は、本来、山の神だったが、娘の木花佐久夜姫の曽孫である神武天皇に従って、大山津見神の子孫も東征た。
 もともと、中国から渡来した人たちの子孫で、「ノマ」という航海の神を祀る一族だった。そのため、最初に土着した鹿児島の大隅半島の西の先端にある山にノマ神を祀り、「野間岳」「野間半島」という地名がついた。伊予国の高縄半島にも、「野間郡」(今治市)という旧郡名がある。
・宗像三女神……玄界灘の宗像海賊に信仰された、朝鮮と深く関係する神。
・宇佐神宮……神功皇后、応神天皇。
 全国にある八幡宮の総本山。分社に、京都の石清水八幡宮、鶴岡八幡宮などがある。
 祭神は応神天皇、宗像三女神、神功皇后の三柱。
 八幡神は、室町時代に朝鮮半島や中国沿岸に出没した「倭寇」の旗印だった。そのため、八幡=海賊のイメージが東アジア諸国に広まった。
 
●徐福伝説(p32)
 斉の役人であった徐福は、2度、航海に出た。
 最初はBC219年。「東の海の彼方、三つの蓬莱、方丈、瀛州(えいしゅう)という神山があって、そこには不老不死の薬があります。それを陛下(始皇帝)に献上したいので、力を貸してください。」
 2度目は、BC210年。何の成果もなく帰国した徐福は、始皇帝に追及され、再び航海に出る。3,000人の若い男女、いろいろな技術を持った工人、5種類の穀物の種を始皇帝から預かる。しかし、徐福は戻ってこなかった。日本に移住した? 3,000人の兵ではなく、若い男女という点が怪しい。
 日本各地に徐福伝説が残る。特に、徐福宮と徐福の墓のある和歌山県新宮市と、三重県熊野市。熊野川の河口から1kmの地点には、「蓬莱山」(標高50m)という小山もある。
 徐福は、神武天皇なのか?
 ※しかし、『よみがえる神武天皇 日本書紀の暗号を読み解く』の「春秋2倍暦」説によれば、神武の大和の国建国は紀元前37年。この説とは年代が合致しない。
 
●日本水軍(海軍)(p44)
 日本の水軍(海軍)の嚆矢は、神功皇后の新羅征伐。
 これは神話の話だとしても、4世紀には朝鮮半島とはかなり活発に行き来していた。ヤマト朝廷は、全国の海族を国家の水軍として編成した。
 
●郡司(p66)
 8世紀の初めに律令制が始まると、国造は祭祀を行う神官となった。
 代わりに実権を持ったのが、律令制で「郡司」と言われる郡役所の官僚たち。そのほとんどは国造の一族の中から有力者が任命された。
 
●渡辺党(p104)
 摂津国渡辺津……現在の大阪市の中心部あたり、旧淀川の河口。瀬戸内と京を結ぶ水運の拠点で、瀬戸内海最大の港だった。古代には難波津と呼ばれた。
 平安時代後期、嵯峨天皇の皇子で臣下した源融を祖とする源綱がこの地に住み、「渡辺」を名字とし、渡辺氏を興した。子孫が渡辺党と呼ばれる武士団に発展し、海賊として名を馳せるようになった。
 
●海賊の戦法(p111)
 壇ノ浦の決戦において、潮に逆らう形になって苦戦した源氏軍は、平氏の水手や梶取(かんどり)をあえて狙い撃ちして、船の自由な操船を妨げた。
 当時の戦いは武士だけで行うのが常識で、馬の口取りや、操船をする水手や梶取は身分が違うということで、戦う相手ではなかった。武士の戦いに海賊の戦法が入ってきた。
 
●船名(p135)
 正安(しょうあん)3年(1301年)、鎮西探題から豊後国に出された「海賊を鎮圧するための」命令に、「津々浦々の船につき、船の大小にかかわらず、住所や船主の名前を船に刻み付けその数を報告せよ」とある。
 現代でも船首部分に「〇〇丸」と書かれているが、その発端。
 
●寄船、関銭(p144)
 寄船(よりふね)……海難事故に遭って船や積み荷が岸に漂着すると、その船や積み荷は持ち主がいない拾得物になるという慣習。この慣習を拡大解釈して、軽微な破損で航行不能状態になれば、漂着船だと言って押し掛け、積み荷を奪うという、海賊行為が行われるようになった。
 寛喜(かんぎ)3年(1231年)ごろ、「寄船」禁止の命令が鎌倉幕府より出された。「御成敗式目」(貞永《じょうえい》元年、1232年)にも、守護の仕事として海賊の取り締まりも明記される。
 関銭(せきぜに)……川や海の港に停泊した船から徴収した津料(停泊料)。船の大きさで決まる「帆別(ほべつ)」や、1回碇を下すごとに払う「碇公事(いかりくじ)」などの種類があった。
 
●海賊大将(p188)
 朝鮮の政治家・学者である申叔舟(シンシュクチュ)の著書『海東諸国紀』(1471年)に、日本から朝鮮に交易を求めてきた人々のリストがその出身地ごとに掲載されている。その数約180名。
 李王朝は、相手の身分に合わせて接待や通商の利便を与えた。そのため、日本での地位が高いことを誇示するために、「海賊大将」という肩書を用いた者が6人はいる。
  伊予州鎌田関海賊大将 源貞義
  備後州海賊大将 橈原左馬助源吉安
  安芸州海賊大将 藤原朝臣村上備中守国重
  周防州大畠太守海賊大将軍 源朝臣芸秀
  出雲州留関海賊大将 藤原朝臣義忠
  豊前州簑島海賊大将 玉野井藤原朝臣邦吉
 しかし、「海賊大将」たちの名前は、現在のところ日本の史料では見つかっていない。
 
●王直(p205)
 中国人倭寇の頭目である王直は、五島列島に拠点を持ち、島の領主五島氏とも結託していた。松浦氏からも、本拠地の平戸に住むことを許されていた。
 天文12年(1543年)、嵐に遭った王直の船が種子島に漂着。このとき、領主の種子島時尭(ときたか)に献上したのが西洋式鉄砲の伝来である。船にマカオから乗船していたポルトガル人がいたので、後の歴史では、ポルトガル人が鉄砲を伝えた、ということになった。
 
●警固衆(p212)
 警固衆(けいごしゅう)……室町時代中期、それまで「悪党」「海賊」と呼ばれ、荘園領主や守護に抵抗していた集団を、「警固衆」と呼ぶようになった。
 室町幕府が朝貢貿易を開始すると、遣明船の安全を確保するため、沿岸の守護に船の警固を命じる。「唐船警固」。守護は、分国内の沿岸領主にこの警固を命じる。その中に、「海賊衆」と呼ばれる勢力も入っていた。
 
●水軍(p264)
 熊野海賊の一派と見られる九鬼嘉隆は、織田信長に信頼され、志摩国一国を所領として与えられた。織田水軍の総大将としての地位を確立し、「海賊大名」と呼ばれるようになった。
 嘉隆は、それまで、戦いの都度寄せ集められていた海賊衆をひとつの組織に編成した。軍船を本船、武者船、弓船、鉄砲船、物見船、使番船、兵糧船の7種類に分類、それぞれの船に専門の担当を割り当てた。戦闘員と操船員も区別する。
 はじめて「水軍」と呼ぶにふさわしい、海の武士団を組織し、信長の天下統一を海から支えることになる。
 
●海賊禁止令(p287)
 天正16年(1588年)、豊臣秀吉によって「海賊禁止令」が出される。
 朝鮮出兵により、諸大名は海賊衆を集め、家臣に取り立てる。海賊から水軍へ。海の武士団として封建社会のなかに取り込まれる。
 
●松浦党(p294)
 松浦党は、秀吉の朝鮮出兵において、対馬の宗氏とともに朝鮮との交渉役を期待されて出兵。
 出征した3,000人のうち、2,000人が戦死したと伝えられている。
 しかし、最終的な帰国者は7,200人!
 戦いが長引く中、平戸から手柄を求めて後々参戦した者が多く出た。
 戦いのさなかにも、平戸と船が往復して戦利品や朝鮮人奴隷をたびたび持ち帰っていた。
 
(2018/4/12)KG
 
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抗生物質と人間 マイクロバイオームの危機
 [自然科学]

抗生物質と人間――マイクロバイオームの危機 (岩波新書)  
山本太郎/著
出版社名:岩波書店(岩波新書 新赤版 1679)
出版年月:2017年9月
ISBNコード:978-4-00-431679-4
税込価格:821円
頁数・縦:170, 7p・18cm
 
 
 ペニシリンは、1928年、アレクサンダー・フレミングによって発見された。その後、実用化されるまでには紆余曲折があったが、抗生物質は数え切れないほどの人の命を救ってきた。
 しかし、その抗生物質の乱用が、私たちの体内に100兆個存在する常在細菌に攪乱を引き起こしているという。もしかすると、ヒトと共生細菌叢との歴史において、3回目の大革命が起きようとしているのかもしれない。
 そんな視点から、抗生物質の光と影を概観し、人類にとって望ましい抗生物質との付き合い方を提言する。
 
【目次】
プロローグ―抗生物質がなくて亡くなった祖父母、抗生物質耐性菌のために亡くなった祖母
第1章 抗生物質の光と影
第2章 微生物の惑星
第3章 マイクロバイオームの世界
第4章 抗生物質が体内の生態系に引き起こすこと
第5章 腸内細菌の伝達と帝王切開
第6章 未来の医療
エピローグ―世界の腸内細菌を探しに
 
【著者】
山本 太郎 (ヤマモト タロウ)
 1964年生まれ。1990年長崎大学医学部卒業。京都大学医学研究科助教授、外務省国際協力局勤務などを経て、長崎大学熱帯医学研究所教授、医師。専攻は国際保健学、熱帯感染症学、感染症対策。
 
【抜書】
●尿(p15)
 1942年3月12日木曜日、米国コネティカット州ニューヘブンにあるイェール大学病院にて、33歳の看護師アン・ミラーにペニシリンが投与された。彼女は産褥熱に侵されていた。
 月曜日の朝には、ミラーの体温は平熱に下がり、旺盛な食欲を示すまでに回復した。
 当時、ペニシリンは希少だったので、ミラーの尿は集められ、ニュージャージーにある製薬会社メルクに送り返され、そこで抽出されて再精製された。ペニシリンの95%はそのままの状態で尿から排出される。
 
●抗生物質の選択毒性(p23)
 抗生物質の選択毒性が働く4種類の機序。
 (1)細菌の細胞壁合成を阻害する。ヒト細胞は細胞壁を待たない。ペニシリン、セフェム系の機序。
 (2)細胞膜機能を阻害する。細胞膜は、細菌の生命維持に必要な物質の透過性を制御している。コリスチン、ポリミキシンB。
 (3)核酸(DNAやRNA)の合成を阻害する。結果として細胞のたんぱく質合成が停止する。細菌とヒト細胞の増殖速度の違いを利用して選択毒性を発揮する。ニューキノロン系。
 (4)リボソームに作用し、たんぱく質の合成を阻害する。ヒトと細菌のリボソームの種類が違うことで選択毒性を発揮する。ストレプトマイシン、クロラムフェニコール。
 
●共生細菌叢の変化(p41)
 人類史上、共生細菌叢の大きな変化は、少なくとも3回あった。
 (1)火の利用により、加熱調理を始めた時。12万5000年前?
 (2)農耕の開始。動物たんぱく質中心の食事から穀物中心のものへと変えた。約1万年前。
 (3)抗生物質の使用の開始。共生細菌叢の攪乱が始まった。約70年前。
 
●ドメイン(p56)
 米国の微生物学者のカール・リチャード・ウーズ。リボソームRNAによって生物分類を行った。遺伝子情報に基づく生物分類の先駆者。
 リボソームRNAは、リボソームを構成するリボ核酸。そのため、すべての生物に存在し、大きな機能的制約を受ける。それを比較すれば、生物の新たな分類体系できると考えた(Woose, C. R., 1990)。
 それまでの生物分類は、「界」を最上位に置き、動物界、植物界、菌界となっていた。
 ウーズの分類では、「界」の上に三つのドメインを設けた。真正細菌、古細菌(アーキア)、真核生物。
 動物、植物、粘菌やアメーバ、菌類、コケ類、藻類は、真核生物ドメインに分類される。
 
●マイクロバイオーム(p72)
 かつて、細菌は植物(植物相)に含まれる下位概念として認識されていた。そのため、「叢(=フローラ)」という言葉が用いられた。細菌叢。
 しかし、現在では、細菌は独立した相を構成すると考えられるようになった。微生物相(マイクロバイオータ)。
 マイクロバイオータ……微生物の実態そのものを指す。細菌叢とほぼ同様の意味。
 マイクロバイオーム……微生物とそれが発現する遺伝子群、および微生物と宿主の相互作用までを含む広い概念として用いられる。「オーム」は、ギリシャ語で「すべて」を意味する。
 ヒト・マイクロバイオータとは、ヒトに常在する細菌そのものの総称。ヒト・マイクロバイオームは、そうした常在細菌が行う生命活動全体をも包括した概念。宿主とであるヒトとの代謝産物を介した対話なども含む。
 
●パプアニューギニア高地人(p78)
 パプアニューギニアの高地に住む人々は、サツマイモを主食にしており、動物性たんぱく質の摂取機会が極まて少ない。
 ヒトの窒素最低必要量は、体重1kgあたり1日約105mgとされている。つまり、70kgの人は7.35g以上必要となる。1970年の調査では、彼らは50~75mgだった。
 たんぱく質摂取量の不足は、筋肉の減少や免疫力の低下を引き起こすが、彼には見られず、筋肉質な体格を持ち、健康な生活をしている。
 調査の結果、彼らの便から排泄される窒素量(たんぱく質の代理指標)は、摂取量より1日平均2gも多かった。体重70kgの人が、毎日4gの窒素を摂取し、6gを排泄している計算となる。たんぱく質に換算すると、12.5gを過剰に排泄していることになる。
 ヒトは、窒素固定細菌を腸内に宿している。ニューギニア高地人も日本人も同様。前者の細菌は、後者よりも多いのかもしれない?
 窒素固定……大気の80%は窒素だが、植物は大気中の窒素を直接利用できない。たとえばマメ科植物の根粒菌は、宿主であるマメ科の植物との共同作業として大気中の窒素を固定する。
 
●家畜(p99)
 野生動物の家畜化は、ヒトと動物の物理的距離を縮めた。農耕の開始により、人口増加が起こり、感染症の受け皿となった。
 麻疹はイヌ、天然痘はウシ、百日咳はブタあるいはイヌにその起源をもつ。
 
●一万分の一(p137)
 1954年、ボンホッフらの研究。
 抗生物質の投与が感染に必要な最小限の細菌の個数を大幅に減少させる。
 マウスの約半数が感染するサルモネラの量は約10万個。ストレプトマイシンを1日投与したマウスでは、その量が一万分の一にまで減少した。3個で感染したマウスもいた。
 
(2018/4/6)KG
 
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