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アクティブラーニング 学校教育の理想と現実
 [教育・学参]

アクティブラーニング 学校教育の理想と現実 (講談社現代新書)  
小針誠/著
出版社名:講談社(講談社現代新書 2471)
出版年月:2018年3月
ISBNコード:978-4-06-288471-6
税込価格:950円
頁数・縦:268p・18cm
 
 
 学校教育の分野で、ちょっと前から話題に上り始めた「アクティブ・ラーニング」。2020年から施行される学習指導要領では、「主体的・対話的で深い学び」として登場する。要は、教師が一方的に講義するのではなく、生徒が積極的・主体的に活動する授業を指す。
 しかしながら、生徒が主体的にかかわる授業が登場したのは最近のことではない。大正期の新教育、戦時下の新教育でも、一部でそのような授業は行われていた。
 本書では、近代以降、日本の学校で行われていた「アクティブ・ラーニング」の歴史をたどり、今後、行われようとしている「主体的・対話的で深い学び」の問題点を探る。
 「アクティブ・ラーニング」が、必ずしも生徒の深い学びを導くものでも、全体の学力を上げるものでもないという指摘がある。現実はその通りなのかもしれない。
 
【目次】
第1章 アクティブラーニング/主体的・対話的で深い学びとは何か
 授業が変わる 学びが変わる
 大学の授業改革―第一期
  ほか
第2章 近代教育史の“アクティブラーニング”―大正新教育・戦時下新教育
 近代学校の矛盾と「教育改造」
 成城小学校の自学自習―ドルトン・プラン
  ほか
第3章 戦後教育史の“アクティブラーニング”―戦後新教育・民間教育研究運動
 戦後教育改革
 戦後新教育の展開―カリキュラムの自主編成
  ほか
第4章 平成教育史の“アクティブラーニング”―新しい学力観・総合的な学習の時間
 平成教育史を描く
 「ゆとり」の登場
  ほか
第5章 未来のアクティブラーニングに向けて
 歴史から何を学ぶか
 実践上の課題―教室で実践できるのか
  ほか
 
【著者】
小針 誠 (コバリ マコト)
 1973年、福島県生まれ、栃木県育ち。慶應義塾大学文学部卒業、東京大学大学院教育学研究科博士課程修了。博士(教育学)。専門は教育社会学・教育社会史。同志社女子大学現代社会学部准教授などを経て、青山学院大学教育人間科学部准教授。
 
【抜書】
●質的転換答申(p23)
 「アクティブ・ラーニング」の語が中央教育審議会の議論のなかで初めて現れたのは、2008年3月。大学分科会制度・教育部会の「学士課程教育の構築に向けて(審議のまとめ)」。初等中等教育よりも先行して提案された。
 しかし、同年12月の本答申では「アクティブ・ラーニング」の語は削除された。
 「アクティブ・ラーニング」が再登場するのは、2012年8月の答申「新たな未来を築くための大学教育の質的転換に向けて~生涯学び続け、主体的に考える力を育成する大学へ~」にて。「質的転換答申」とも言われる。
 中央教育審議会の本答申に書かれたことで、「アクティブ・ラーニング」が文部科学省(国)のお墨付きを得る。
 
●学力の三要素(p35)
 ① 個別の知識・技能……何を教わったのか、学んだのか。習得と定着の度合。
 ② 思考力・判断力・表現力……知ったこと、できることをどう使うか。活用レベル。
 ③ 主体的な学習意欲・関心・態度
 2007年6月の学校教育法改正時に、第30条で新しく設けられた条項。
 
●PISAショック(p38)
 PISA……Programme for International Student Assessment。OECDに加盟している国や地域を中心に、15歳の生徒の読解力、数学的リテラシー、科学的リテラシーを測定する国際学習到達度調査。2000年以降、3年に1度実施。
 日本では2002年に「ゆとり教育」が本格的に導入。2003年と2006年に得点と順位が大きく低下した。
      2000 2003 2006
  読解力  8位 14位 15位
  数 学  1位  6位 10位
  科 学  2位  1位  5位
 
●グループワークとPISAの相関関係(p40)
 2012年の試験で、PISAでは、「数学の授業で、問題解決のためのグループワークをどれほど行っているか」を生徒に尋ねた。日本でアクティブ・ラーニング・ブームが起こる前。
 「まったく/めったにない」(Never or Hardly Ever)の割合は、日本71.7%(得点は7位)で最高。フランス57.9%、英国44.1%(26位)、ドイツ31.4%(16位)、米国17.7%(36位)。
 「アクティブ・ラーニング(グループワーク)」を積極的に取り入れている国ほど、数学の点数は低かった。
 
●国民学校(p106)
 1941年、私立を除く、全国の小学校は「国民学校」と名を変え、児童も年少の国民を意味する「少国民」と呼ばれるようになった。
 教育の目的は、少国民を鍛えあがる「錬成」となり、少国民を「皇国ノ道ニ帰一セシメ」る教育または「皇国ノ道ヲ修練セシメ」る教育が目指されることになった。
 
●音楽(p116)
 国民学校の発足に伴い、従来の「唱歌」は「音楽」になり、芸能科の1科目に置かれるようになった。唱歌のみならず、鑑賞や楽器が導入された。
 しかし、「鋭敏ナル聴覚ノ育成」を目的とする「聴音の練習」は、敵機の音を判別するための国防または軍事訓練の手段として構想された。
 
●大正新教育と戦時下教育体制の継続性(p120)
 〔大正新教育以来の主体性や自発性の理念は、国民学校や戦時化教育体制に矛盾することなく取り込まれていきました。その主体性、自発性、自主性は、当時の教師や少国民のあるべき精神として高く評価されました(高橋浩「15年戦争における『日本教育学』研究Ⅲ」『鹿児島女子大学研究紀要』一五-一)。〕
〔 これからの学校教育で本格的に実施されるアクティブラーニングも、戦時下新教育のように、国家や政府の目指す政治・経済体制に、自発的または能動的に奉仕、奉公することを子どもに求める教育になっていくのではないかという懸念を禁じえません。〕
 
●単元学習(p132)
 子どもの興味や関心に合わせて学習内容をまとめ、そのテーマについて学習する形態。
 
●振り子(p153)
 戦後日本のカリキュラム改革は、「振り子」のように、「教師主導・知識重視の本質主義または系統主義の教育」と「子ども中心で、学習に臨む態度や考える力を重視する経験主義の教育」の両者の間を行ったり来たりした。
 
●集団主義教育(p160)
 1959年1月、日本教職員組合の第八次教育研究大阪集会に参加した有志を中心とした全国生活指導研究協議会のもとで展開された。
 「班・核・討議づくり」と呼ばれる方法で、学級集団作りを目指した。
 学級内に男女混合4~5名程度の「班」を構成し、その中の核(リーダー)のもと、討議を通じて、集団成員の一人ひとりが集団に対してもつ力、集団のさまざまな力を自覚させ、それを表現する能力、それを遂行する方法やスタイルの習得が教育目標とされた。
 しかし、班同士の競争をあおり、最下位になった班を「ボロ班」「ビリ班」と呼ぶなど、歪みが現れた。
 問題やトラブルがあれば、班全体で連帯責任が問われたりした。
 「助け合いと民主的競争」の名のもと、班全員が一定以上の点数を取るまで放課後の居残り学習が求められることもあった。
 
(2018/5/24)KG
  
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天皇は本当にただの象徴に堕ちたのか 変わらぬ皇統の重み
 [歴史・地理・民俗]

天皇は本当にただの象徴に堕ちたのか 変わらぬ皇統の重み (PHP新書)  
竹田恒泰/著
出版社名:PHP研究所(PHP新書 1123)
出版年月:2018年1月
ISBNコード:978-4-569-83728-4
税込価格:994円
頁数・縦:382p・18cm
 
 
 宮沢教授が唱えた「八月革命説」に対する反論。大日本帝国憲法下の日本は「天皇主権」「神勅主権」ではなく、明治維新以来、日本は「国民主権」の民主主義国家だったというのが趣旨か。
 帝国憲法では天皇が「統治権を総攬」する地位にあったが、その前提として、国務大臣が輔弼し、陸軍・海軍の両統帥部長が輔翼することが原則だった。天皇が独裁することはほぼ不可能であった。
 一方、日本国憲法において、天皇は決して象徴としてだけの存在ではない。天皇には12の国事行為(第六条、第七条)があり、これらは国政に関する行為である。天皇は、これらの行為を「内閣の助言と承認」によって行っている。
 すなわち、旧新の憲法は、連続性のある内容となっており、「根本建前」が大きく変わったわけではない、というわけである。
 
【目次】
プロローグ 「八月革命説」へ新たな視点を
第1章 旧新憲法間における根本建前の変動
 宮沢教授のいう「根本建前」とは何か
 「天皇主権」の意味
  ほか
第2章 実体としての政治権力の変動
 旧新憲法間における天皇の権能の相違
 「輔弼」と「助言と承認」の相違
  ほか
第3章 理念としての政治権力の変動
 天皇の地位の根拠
 天皇は神か
  ほか
第4章 連合国は国民主権主義の採用を要求したか
 天皇の地位に関する米国の初期の見解
 ポツダム宣言は国民主権主義採用の要求を含むか
  ほか
エピローグ 二〇〇〇年続いた日本の君民共治
 
【著者】
竹田 恒泰 (タケダ ツネヤス)
 昭和50年(1975年)、旧皇族・竹田家に生まれる。明治天皇の玄孫に当たる。慶應義塾大学法学部法律学科卒業。専門は憲法学・史学。作家。平成18年(2006年)に著書『語られなかった皇族たちの真実』(小学館)で第一五回山本七平賞を受賞。
 
【抜書】
●八月革命説(p22)
 宮沢俊儀教授が提唱。
 八月革命説の三段論法:
 (第1段:大前提)憲法改正には限界がある。
 (第2段:小前提)帝国憲法から日本国憲法への改正は、憲法改正の限界を超えるものであった。
 (第3段:結論)ポツダム宣言受諾と同時に法学的意味における革命が起きたと考えることによって、帝国憲法の改正手続きによる形式をとった新憲法が違法でないとされ得る。
 
●天皇の大権(p93)
 帝国憲法第四条「天皇ハ国ノ元首ニシテ統治権ヲ総攬シ此ノ憲法ノ条規ニ依リ之ヲ行フ」。
 帝国憲法の起草者である井上毅と、起草責任者の伊藤博文は、天皇の統治権(大権)は固有のものではなく、憲法によって制限されるということにこだわった。そうでなければ、「憲法政治ニアラス無限専制ノ政体ナリ」(伊藤。枢密院の第二会議、明治21年6月18日午後)。
 両氏は、憲法に神話を持ち込まないことを徹底した。
 
●五箇条の御誓文(p226)
 いわゆる昭和天皇の「人間宣言」(昭和21年元日の詔書)の冒頭に、五箇条の御誓文の全文が掲げられている。
 宣言の第一の目的は、五箇条の御誓文だった。日本の国民に「誇りを忘れさせないため、明治大帝の立派な考えを示すために発表しました」(昭和52年8月23日の記者会見にて、昭和天皇の談話)。
 幣原喜重郎首相がGHQのマッカーサー最高司令官に五箇条の御誓文を示すと、マッカーサーは称賛し、宣言に全文を入れることを指示。〔御誓文の精神が、戦後日本が目指すべき民主主義の原理と矛盾するものではないことを、元帥自らが認めたことを意味する。〕
 
●国体明徴声明(p231)
 昭和10年8月3日、岡田啓介内閣は、「第一次国体明徴声明」を発表した。
 帝国憲法第一条が定める天皇統治の根拠が「天壌無窮の神勅」である旨が公式に表明された。
 昭和11年に、文部省によって『国体の本義』が編纂された(公刊は昭和12年3月)。「天孫降臨」が国の始まりであるという解釈が記され、天皇が「現人神」であることが記された。公文書に初めて「現人神」の語が記された。
 それまで、政府は天皇統治の根拠を神勅に求める見解をとってこなかった。
 〔満州事変を契機に戦時体制が強化される過程において、天皇の絶対性を確認しようとする運動が、天皇機関説の排除を突破口に、「国体明徴運動」を引き起こしたことで、天皇と国体について、国の公式な見解が大きく変化することになった。〕
 
●原爆2個(p287)
 トルーマン〔大統領は、原子爆弾を投下して日本を降伏させようとしたのではなく、日本が降伏する前に原子爆弾を投下しようとしていた〕。
 太平洋戦争末期、米国が所有していた原子爆弾は2個。原爆を使用しても日本が一向に降伏しなければ、原爆の使用自体が国際社会から厳しく非難されることは必至。
 原爆の投下が完了するまでは日本が降伏しないように「天皇の地位の保障」を拒み、投下が完了した後は、日本の降伏を促すために「天皇の地位の保障」を伝えた。バーンズ国務長官の回答文(1945年8月12日)。
 
(2018/5/18)KG
 
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移民の政治経済学
 [経済・ビジネス]

移民の政治経済学  
ジョージ・ボージャス/著 岩本正明/訳
出版社名:白水社
出版年月:2018年1月
ISBNコード:978-4-560-09591-1
税込価格:2,376円
頁数・縦:227, 12p・20cm
 
 
 中東での紛争によってヨーロッパに押し寄せる大量の難民が問題となって久しい。トランプ大統領候補(当時)のメキシコ国境の壁建設発言も、移民に対する関心を高めた。
 国が移民を受け入れることは、是か非か……。
 本書の著者は、「是」と考えている。アメリカは、移民を受け入れるべきだ、と。
 しかし、経済的な観点からは、必ずしも受け入れ国に利益をもたらすものではない、という。移民は労働ロボットではなく、工場を出たら生身の人間としての生活がある。当然ながら社会保障等のコストがかかるし、移民によって賃金が下がる、もしくは職を奪われる自国民が生まれることもある。移民によって賃金が下がって利益を得るのは、雇用主だけかもしれない。
 にもかかわらず、「是」と考えるのは、本人がキューバからの移民であり、この国で恩恵を受けた一人でもあるからだ。
〔米国はこれまで、ほとんど成功の機会のない多くの外国人に希望と新たな人生を提供するという、他国に類を見ない歴史的に重要な役割を担ってきた。そうした国こそが私が住みたい国なのだ。〕(p215)
 移民により不利益を被る人たちに対しては、再分配を組み直すことで対応すべきである、という。イデオロギーによって、移民の受け入れは利益をもたらすという試算の恣意性に反論し、現実的な負の数字を突き付けつつも、著者は移民賛成論者である。
 
【目次】
第1章 イントロダクション
第2章 ジョン・レノンがうたった理想郷
第3章 米国における移民の歴史
第4章 移民の自己選択
第5章 経済的同化
第6章 人種のるつぼ
第7章 労働市場への影響
第8章 経済的利益
第9章 財政への影響
第10章 いったい誰の肩を持つの?
 
【著者】
ボージャス,ジョージ (Borjas, George J.)
 1950年キューバ生まれ。1962年に米国に移住。コロンビア大学で経済学博士号取得。カリフォルニア大学を経て、1995年からハーバード・ケネディスクール教授。労働経済学の分野で最も権威のあるIZA賞を2011年に受賞している。
 
岩本 正明 (イワモト マサアキ)
 1979年生まれ。大阪大学経済学部卒業後、時事通信社に入社。経済部を経て、ニューヨーク州立大院で経済学修士取得。通信社ブルームバーグに転じて独立。
 
【抜書】
●富の再分配(p13)
〔 本書で繰り返し述べることは、移民が国民にもたらす経済的な利益や損失は一様ではないということだ。簡単に言えば、移民の受け入れで儲ける人がいれば、損をする人もいる。あらゆるイデオロギーの装飾や意図的なぼかしを取り除いて裸にすれば、移民をありのままに見ることができる。移民とは単なる富の再分配政策なのだ。〕
 
●経済のパイ(p211)
 あらゆる政策目標は、「経済のパイ」を可能な限り大きくすることが正しいという価値観に基づく。
 多くの経済学者も、これと同じ思考回路を持っている。
 
(2018/5/12)KG
 
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科学報道の真相 ジャーナリズムとマスメディア共同体
 [社会・政治・時事]

科学報道の真相: ジャーナリズムとマスメディア共同体 (ちくま新書1231)  
瀬川至朗/著
出版社名:筑摩書房(ちくま新書 1231)
出版年月:2017年1月
ISBNコード:978-4-480-06927-6
税込価格:950円
頁数・縦:283p・18cm
 
 
 STAP細胞問題、福島第一原発事故、人為的地球温暖化の真偽に関するマスメディアの報道を論じつつ、科学報道の現実とそのあり方を考察する。
 
【目次】
序章 科学報道はなぜうまくいかないのか
第1章 メディアはなぜ見抜けなかったのか―STAP細胞問題
第2章 なぜ大本営発表報道といえるのか―福島第一原発事故
第3章 懐疑論をどう「公平・中立」に報道するのか―地球温暖化問題
第4章 マスメディア共同体の構造
第5章 「客観報道」と「公平・中立報道」の問題点を考える
終章 科学ジャーナリストは科学者とどう向きあうべきか
 
【著者】
瀬川 至朗 (セガワ シロウ)
 1954年岡山市生まれ。東京大学教養学部教養学科(科学史・科学哲学)卒業。毎日新聞社でワシントン特派員、科学環境部長、編集局次長などを務める。現在は早稲田大学政治経済学術院教授。早稲田大学ジャーナリズム大学院プログラムマネージャー。
 
【抜書】
●エンバーゴ(p65)
 エンバーゴ(embargo)……自然科学系の一流学術誌では、論文の内容に関して、発行前の報道規制を敷いている。
 「ネイチャー」誌の場合、投稿された論文については、メディア関係者と一切話をしてはいけないことになっている。その「掟」を破ると、ネイチャー編集部は、当該論文の検討や掲載を取りやめる権利があると、HP上のエンバーゴ・ポリシーに明記されている。
 「ネイチャー」は毎週木曜日に発行されるが、メディアへの広報として、掲載予定の主要論文のサマリーを1週間前にプレスリリースしている。それをもとに研究者に取材はできるが、記事にはエンバーゴが付く。解禁時間は、グリニッジ標準時で出版前日の水曜日午後6時(日本時間では木曜日午前3時)。
 
(2018/5/11)KG
 
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意識の進化的起源 カンブリア爆発で心は生まれた
 [自然科学]

意識の進化的起源: カンブリア爆発で心は生まれた  
トッド・E・ファインバーグ/著 ジョン・M・マラット/著 鈴木大地/訳
出版社名:勁草書房
出版年月:2017年8月
ISBNコード:978-4-326-10263-1
税込価格:4,320円
頁数・縦:356p・22cm
 
 
 カンブリア紀に動物の目が進化し、その後、聴覚や嗅覚、味覚などの感覚も発達し、それが生物に意識を発生させたと説く。
 ちなみに、確実に意識を持つ動物は脊椎動物で、〔節足動物と、軟体動物のうちの頭足類は、無脊椎動物のなかで意識をもつ有力な候補〕となっている(p210)。
 
【目次】
第1章 主観性の謎
第2章 一般的な生物学的特性と特殊な神経生物学的特性
第3章 脳の誕生
第4章 カンブリア爆発
第5章 意識の発端
第6章 脊椎動物の感覚意識の二段階的進化
第7章 感性の探求
第8章 感性の解明
第9章 意識に背骨は必要か
第10章 神経生物学的自然主義―知の統合
 
【著者】
ファインバーグ,トッド・E. (Feinberg, Todd E.)
 M.D.(医師)、マウント・サイナイ医科大学。マウント・サイナイ医科大学教授。専門は意識科学、特に自我の精神医学。
 
マラット,ジョン・M. (Mallatt, Jon M.)
 Ph.D. in Anatomy(解剖学博士)、シカゴ大学。ワシントン大学とワシントン州立大学の准教授を兼任。専門は分子系統学や形態学、特に脊椎動物の解剖学。
 
鈴木 大地 (スズキ ダイチ)
 博士(理学)、筑波大学。学術振興会海外特別研究員(カロリンスカ研究所)。博士号取得後、学術振興会特別研究員(筑波大学)を経て現職。専門は進化発生学や神経科学、特に初期脊椎動物の神経系の進化。生物学の哲学や心の哲学にも関心があり、気鋭の哲学者との研究会や共同研究を行っている。
 
【抜書】
●ハード・プロブレム(p3)
 哲学者デイヴィッド・チャ―マーズの命名。
 血と肉でできた脳がいかにして主観的経験を生み出すのか?
 経験の主観的側面を客観的に説明することは困難。
 
●ゲノム4倍化(p77)
 脊椎動物の黎明期に、ゲノム全体が重複(倍化)した。
 そしてすぐにもう一度重複した。
 ナメクジウオや他の無脊椎動物と比べて、どの現生脊椎動物も非常に多くの遺伝子を有している。
 「ゲノム4倍化」が、遺伝的な新奇性をもたらし、進化的革新を可能にした。初期の脊椎動物は遺伝的メカニズムによって、身体構造、身体機能、神経系の面でそれまでの地球上でもっとも複雑な動物となり、それが今日まで続いている。
 ゲノム重複は、無脊椎動物の中で最大の身体と脳を持つ軟体動物でも起こっていない。ただし、独立にゲノム重複した無脊椎動物の系統は存在する。(p260、原注)
 
(2018/5/11)KG
 
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