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双極性障害のことがよくわかる本 新版
 [医学]

新版 双極性障害のことがよくわかる本 (健康ライブラリーイラスト版)
 
野村総一郎/監修
出版社名:講談社(健康ライブラリー イラスト版)
出版年月:2017年6月
ISBNコード:978-4-06-259813-2
税込価格:1,404円
頁数・縦:98p・21cm
 
 
 双極性障害について、イラストや図表を使って分かりやすく解説。
 
【目次】
1 躁とうつが入れ替わりあらわれる
 ケース1 買い物が止められず、自己破産
 ケース2 実現不可能な計画を次々と立ち上げる
  ほか
2 大きくみると二つのタイプがある
 診断1 初診では多くがうつ病と診断される
 診断2 双極性障害とうつ病の特徴を知る
  ほか
3 発病の原因やきっかけは、単純ではない
 原因 遺伝子、成育歴、脳…考えられること
 誘因 ストレスと睡眠不足が大きなきっかけ ほか
4 薬物療法と認知療法を中心に
 概要 うつ病より治療が困難になる二つの理由
 薬物療法 双極性のうつ状態は、うつ病とは薬が違う
  ほか
5 日常のなかで本人や周囲ができること
 本人1 見失っていた自分をとりもどす
 本人2 生活のリズムをととのえる
  ほか
 
【著者】
野村 総一郎 (ノムラ ソウイチロウ)
 六番町メンタルクリニック所長。1949年広島県生まれ。慶應義塾大学医学部卒業。藤田学園保健衛生大学精神科助教授、立川共済病院神経科部長、防衛医科大学校精神科教授、同大学校病院院長を経て、2015年より現職。1985~87年、米国テキサス大学医学部、メイヨー医科大学に留学。日本うつ病学会第1回総会会長。
 
【抜書】
●気分循環性(p38)
 双極性障害には、Ⅰ型、Ⅱ型、気分循環性がある。
 気分循環性……軽い躁状態と軽い鬱状態を繰り返すことが2年以上続き、そうした状態がない時期が2か月も続かない。いつも不安定。何とか社会生活を送ることができるが、結婚生活や恋愛関係が何度も破綻したり、アルコール依存や薬物乱用に至るケースもみられる。治療されないまま気分循環性の状態が長年続くと、双極Ⅰ型障害や双極Ⅱ型障害へと症状が悪化することもある。
 
●気分変調症(p39)
 鬱病の一つ。軽躁状態がないこと以外は、気分循環性と同じ。
 
●混合性(p39)
 鬱状態と躁状態の症状が同時期に現れる。双極性障害では、数時間または数日間で鬱状態と躁状態が入れ替わる。
 双極性障害は、思考、気分、意欲に変調が現れる病気だが、混合性の状態では、この3つのいずれかが躁になったり鬱になったりしている。つまり、思考、気分は躁状態だが意欲だけが鬱状態、など。
 
●急速交代型(p40)
 鬱状態と躁状態が頻繁に繰り返される状態。
 基本的な特徴は、過去12か月間に、4回以上、躁や軽躁、鬱、混合性などの状態が認められる場合。
 抗鬱薬の副作用が原因の一つと見られている。
 難治性で、治療期間が長期にわたる。寛解期(落ち着いているとき)が少ない。
 
●境界性パーソナリティ障害(p49)
 もともと、神経症と統合失調症との境界という意味。神経症をはるかに超えた症状が現れるが、統合失調症ほど重症ではない。
 症状……対人関係が不安定。はしゃいでいたかと思うと急に落ち込む。ほめちぎっていた相手を急にこき下ろし始める。過食やリストカット、過量服薬などを繰り返す。極端な感情の揺れがある。
 
●ステロイド、カテコラミン(p56)
 ストレスに対応するホルモン。
 ホルモン……脳から指令を受け、副腎皮質や甲状腺などで分泌される。
 ステロイド(コルチゾール)……副腎皮質から分泌される。血圧を上昇させ、膵臓のインシュリンの分泌を抑えて血糖値を高め、脳に糖を送って脳の回転をよくする。免疫機能が後回しにされるので、細菌に感染しやすくなる。
 ステロイドの分泌が一定量になると、海馬の脳細胞の新生が抑えられる。
 カテコラミン……交感神経と副腎髄質から分泌される。血管を収縮させて心拍数を増やし、血圧を上昇させる。けがをしても素早く出血を止められるように、血小板の凝集能を高め、胃の粘膜血流を低下させる。
 
(2017/8/18)KG
 
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情報と秩序 原子から経済までを動かす根本原理を求めて
 [経済・ビジネス]

情報と秩序:原子から経済までを動かす根本原理を求めて
 
セザー・ヒダルゴ/著 千葉敏生/訳
出版社名:早川書房
出版年月:2017年4月
ISBNコード:978-4-15-209683-8
税込価格:2,700円
頁数・縦:286p・20cm
 
 
 宇宙を構成する要素でありながら偏った存在の仕方をする「情報」から説き起こし、経済の複雑性にまで言及する統一理論(?)の構築を目指す……のかもしれないが、未消化な印象はぬぐえない。キーコンセプトとなる「情報」に関する説明が不十分で、そこから経済複雑性までもっていくのは、ちょっと飛躍しすぎであると感じた。
 
【目次】
パート1 原子のビット
 第1章 タイムトラベルの秘密
 第2章 無意味の実体
 第3章 永遠の異常
 
パート2 想像の結晶化
 第4章 脳に生まれて
 第5章 増幅エンジン
 
パート3 ノウハウの量子化
 第6章 個人の限界
 第7章 関係構築のコスト
 第8章 信頼の重要性
 
パート4 経済の複雑性
 第9章 経済の複雑性の進化
 第10章 第六の物質
 第11章 知識、ノウハウ、情報の密接な関係
 
パート5 エピローグ
 第12章 物理的秩序の進化―原子から経済まで
 
【著者】
ヒダルゴ,セザー (Hidalgo, César)
 1979年チリ生まれ。アメリカのノートルダム大学でアルバート=ラズロ・バラバシの指導のもと物理学の博士号を取得。現在はマサチューセッツ工科大学(MIT)准教授であり、MITメディアラボでcollective learning groupを主導する。ハーバード大学ケネディスクールのリカルド・ハウスマンとともに経済成長の予測手法として有用な「経済複雑性指標」(ECIを開発、複雑系経済学からデータビジュアライゼーションまで多彩な分野で活躍中。
 
千葉 敏生 (チバ トシオ)
 翻訳家。1979年横浜市生まれ。早稲田大学理工学部数理科学科卒業。
 
【抜書】
●想像の結晶化(p84)
 製品は、情報だけでなく、想像も具象化するものである。
 〔この情報は、私たちが脳内計算を通じて生み出し、頭のなかにあるイメージどおりのモノを作り出すことで体内から遊離させたものだ。りんごは、りんごの名前、りんごの値段、りんごの市場が生まれる前からこの世界に存在していた。概念としてのりんごは、単に人間の頭脳に取り込まれたものなのである。一方、iPhoneやiPadは、人間の頭脳に取り込まれたものではなく、人間の頭脳から書き出されたものだ。世界に存在する前に、私たちの脳内で生まれた製品だからだ。〕
 
●パーソンバイト(p120)
 一人の人間の神経系が蓄積できる知識やノウハウの最大量。
 1パーソンバイトを超える知識やノウハウを必要とする製品を作るには、チームが必要となる。複雑な製品を生産できるチームを作るには、ある程度調和のとれた社会的ネットワークのなかで知識やノウハウを蓄積する必要がある。
 
●企業バイト(p127)
 企業バイト(firmbyte)……企業のネットワークを形成する一つ一つのノード。パーソンバイトの集積により、一つの企業バイトが構成される。
 
●社会的ネットワーク(p155)
 社会的ネットワークは、三つの単純な概念に基づいて形成される。
 (1)共通の社会的中心(social foci)……クラスメート、仕事仲間、教会、など。
 (2)三者閉包(triadic closure)……共通の友人を持つ人々の間で関係が生まれやすい。
 (3)同類原理(homophily)……似たような関心や特徴を持つ人々の間に関係が生まれやすい。長続きする関係を構築する。
 
●高信頼社会(p156)
 フランシス・フクヤマ『「信」無くば立たず』(1995年)による。
 家族主義的社会では、小規模な事業がたくさん生まれやすく、一握りの一族がいくつかの複合企業を牛耳っている。南ヨーロッパやラテン・アメリカ。
 高信頼社会で発展し、プロフェッショナルに運営される事業は、小さなものから巨大なものまで、あらゆる規模のネットワークを生みやすい。
 
●情報(p225)
〔 宇宙は、エネルギー、物質、情報でできている。エネルギーと物質はもともと存在するが、情報は生じる道を探さなければならない。〕
 《情報を成長させる基本的な物理的メカニズム》
 (1)非平衡系における情報の自然な発生(渦がその例)
 (2)個体としての情報の蓄積(たんぱく質やDNA)
 (3)物質の持つ計算力
 
(2017/8/16)KG
 
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アメリカから〈自由〉が消える 増補版
 [社会・政治・時事]

増補版 アメリカから<自由>が消える (扶桑社新書)
 
堤未果/著
出版社名:扶桑社(扶桑社新書 245)
出版年月:2017年7月
ISBNコード:978-4-594-07740-2
税込価格:918円
頁数・縦:256p・18cm
 
 
 2010年4月に刊行した同名書の増補改訂版。内容的には、オバマ政権時代のことが中心で、9・11以降、じわじわと広がる自由の抑制の事例を列挙する。巻末に袋綴じを付し、スノーデン事件のことに言及している。
 日本も他人ごとではない。民主主義の終焉が訪れようとしているのだろうか?
 
【目次】
第1章 飛行機に乗れない!丸裸にされる!恐怖の空港
第2章 何もかも見られている
第3章 ある日突然人が消える
第4章 口をふさがれる市民
第5章 危機に立つジャーナリストたち
第6章 それでも“希望”は存在する
袋綴じ
 
【著者】
堤 未果 (ツツミ ミカ)
 国際ジャーナリスト。ニューヨーク州立大学、ニューヨーク市立大学院国際関係論学科修士号。国連、アムネスティ・インターナショナルNY支局員、米国野村証券等を経て現職。日米を行き来しながら各種メディアで発言、執筆、講演を続けている。「ルポ貧困大国アメリカ」(3部作:岩波新書)で新書大賞2009・日本エッセイストクラブ賞、「報道が教えてくれないアメリカ弱者革命」(海鳴社)で2006年度黒田清日本ジャーナリスト会議新人賞。夫は参議院議員の川田龍平氏。
 
(2017/8/16)KG
 
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世界文明史 人類の誕生から産業革命まで
 [歴史・地理・民俗]

世界文明史: 人類の誕生から産業革命まで
 
下田淳/著
出版社名:昭和堂
出版年月:2017年5月
ISBNコード:978-4-8122-1622-4
税込価格:2,592円
頁数・縦:288p・21cm
 
 
 著者による独自の人類文明史。「コア文明」という概念を梃子に、西欧中心の現代史観を是正しようという試みである。
 
【目次】
第Ⅰ部 文明の誕生と謎
 第1章 人類の誕生と拡散―「出アフリカ」から東西ユーラシア人へ
 第2章 文明成立の転換点―道具の飛躍的発展と農耕の発明
 第3章 古代最大の謎―シュメル人とは何者か
 
第Ⅱ部 文明の新たな定義「コア」
 第4章 ユーラシアの「コア文明」―中東・中国・インド
 第5章 アフリカとアメリカの「コア文明」―西アフリカ・メソアメリカ
 
第Ⅲ部 文明の媒介としての「移動民」
 第6章 ユーラシア・コア文明と騎馬遊牧民―陸上の道を制した東ユーラシア人
 第7章 インド洋交易とヨーロッパ―海上の道を制した西ユーラシア人
 
第Ⅳ部 文明と「高等宗教」
 第8章 中東コアの「高等宗教」―ユダヤ・キリスト教からイスラムへ
 第9章 インドコアの「高等宗教」―何でも呑み込むヒンドゥー教
 第10章 中国コアの「高等宗教」―儒教・道教・仏教が混淆した中国教
 
第Ⅴ部 新しい「コア文明」ヨーロッパ
 第11章 封建制社会とフランス革命―テクノロジーと資本主義の成立基盤
 第12章 産業革命と近現代文明―テクノロジーと資本主義の一体化へ
 
【著者】
下田 淳 (シモダ ジュン)
 1960年埼玉県生まれ。1983年青山学院大学文学部卒業。1990年ドイツ・トーリア大学歴史学科退学。現在、宇都宮大学教育学部教授。専門はドイツ宗教史、博士(歴史学)。
 
【抜書】
●道具の飛躍的発展(p34)
 文明の成立(約5千年前)以前に、4万~2万年前に道具の飛躍的発展があった。石器の多様化(細石器)、槍投器、骨角器、土器、など。
 4万年前からが、最終氷期で最も寒かった時期。特に2万1千~1万8千年前は、最も過酷な時期だった。この時期、ホモ・サピエンスは世界的規模で食糧不足に陥った。食料を効率的に捕え、調理するために道具を作る必要に迫られた。
 最終氷期末からの温暖化は、食料の増加をもたらした。その結果が、定住と戦争の出現。
 
●ヤンガー・ドリアス期(p35)
 約1万4500年前頃、最終氷期が終わった。
 1万2900年前に、「ヤンガー・ドリアス期」という亜氷期に逆戻り、1万1600年前頃、ようやく温暖化。1300年間、現在より、平均気温は7~8度低かった。
 ヤンガー・ドリアス期にムギ類と稲の栽培化が始まったとする説がある。
 最終氷期が終わり、技術革新と温暖化で食料が増えたので、人口が急増した。乱獲を生み、生態系を破壊。ヤンガー・ドリアスの亜氷期に食料が激減。これを乗り越えるために、農耕を始めざるを得なかった。
 シリア北西部の遺跡から、1万3000~1万2500年前の栽培化されたと見られるライ麦種子が見つかっている。
 温暖化して野生の食料が手に入るようになっても、面倒な農耕を継続させたのはなぜか? ムギ類や稲やイモ類などの「文明の基盤食」が美味しかったから。
 
●牧畜(p39)
 農耕とともに牧畜も始まった。
 最も早く家畜化されたのは犬。遺伝子の研究によると、遅くとも1万5千年前、中央アジア(中国より)と言われている。
 最初の牧畜がどこかは不明。鶏と豚は中国、牛はインド、山羊と羊は中東と考えられているが、先後は不明。
 
●四大文明(p58)
 最初に「古代四大文明」(メソポタミア、エジプト、インダス、黄河)を唱えたのは、中国の梁啓超(1873-1929)。当時中国は、列強の半植民地状態だった。
 1899年大晦日、渡米途上の太平洋上で創った「二十世紀太平洋歌」のなかで、古代文明の祖国は「四つ」であり、中国、インド、エジプト、安息(アルケサス朝パルティア=小アジア)とした。
 文明を三期に分け、第一期「河流文明時代」、第二期「内海文明時代」(地中海、ペルシア湾、アラビア海、インド洋、黄海、渤海)、第三期「大洋文明時代」(太平洋、大西洋)とした。
 
●アルファベットの誕生(p66)
 シュメルの絵文字は「表語文字・音節文字」、ヒエログリフは「表語文字・アルファベット」だった。
 BC1500年頃、最古の「完全アルファベット」(音素のみからなる文字体系)が考案された。パレスチナの「原カナン文字」。ヒエログリフをもとに、カナン語をアルファベットだけで表記した。30字未満の子音字。
 少し遅れて、楔形文字でシリアのウガリット語を表記した「ウガリット文字」が登場。30字未満の子音字。
 原カナン文字 ⇒ フェニキア文字、アラム文字(ともに22子音字)
  フェニキア文字……ギリシャに伝わり、ヨーロッパのアルファベットの起源に。 ⇒ ギリシャ文字、ラテン文字、キリル文字
  アラム文字……中東コアで使用された。新バビロニア、アッシリア、ペルシア帝国の公用文字になる。旧約聖書もアラム文字で書かれた。 ⇒ ヘブライ文字、アラビア文字
 イエス・キリストは、アラム語で説教した。
 
●ザラスシュトラ(p73)
 ゾロアスター(ザラスシュトラ、ツァラトゥストラ)……BC12~BC9世紀の人物(研究者によって生没年が異なる)。ペルシア人が中央アジかイラン北部に留まっていたころ。古代ペルシア人の多神教信仰から独自の世界観を作り上げた。
 世界を善と悪の二つの原理の闘争の場と見た。
 善……光の神創造主アフラ・マズダー。ゾロアスター以前からペルシア人に信仰されていた。宇宙、人間、生命、秩序、正義、など。
 悪……大悪魔。暗黒の神アンラ・マンユ(アーリマン)。死、闇、邪悪、破壊、など。
 アフラ・マズラーは、天、水、大地、植物、人間、火などからなる世界を創造した。ここに悪魔が侵入し、世界を破壊した。こうして善悪の戦いが始まった。しかし、最後に救世主サオシュヤントが現れ、悪は滅ぼされる。
 人は、死後ハラ山の頂にかかる「チンワト橋」を通り、善人は天国へ行ける。悪人は、橋から落とされ地獄に行く。
 天国・地獄観は、ユダヤ教に影響を与え、キリスト教、イスラム教にも引き継がれる。
 
●マヤ諸語(p106)
 マヤ人の抵抗は、ヨーロッパによる植民地化後も続く。1697年マヤ最後の都市タヤサルが陥落したが、18・19世紀にもマヤ人の蜂起があった。メキシコ政府の統治を受け入れたのは20世紀後半。
 現在でも30のマヤ諸語が話されている。
 
●オアシスの道、草原の道(p125)
 中央アジには、北緯40度ラインの「オアシスの道」(シルクロード)と、北緯50度および支線の延びる60度ライン「草原の道」がある。各所で南北に連結。陸上の道。
 草原の道……東は現中国の北域・興安嶺から、西はハンガリー平原付近まで。
 
●ソグド人(p128)
 陸上の道の交易商人。ラクダを使ったキャラバン商人のイメージで捉えられているが、本来は騎馬遊牧民。サマルカンドを中心に、4~9世紀の陸上ユーラシア交易の担い手となった。中国とヨーロッパを結ぶ。
 安史の乱(755-763)の安禄山と史思明はソグド人。
 
●鮮卑卓抜部(p135)
 五胡(匈奴、鮮卑、羯、氐、羌)は、騎馬遊牧民族国家である。匈奴系騎馬遊牧民。
 五胡十六国時代(304-439年)は、鮮卑の一部である鮮卑卓抜部の北魏によって統一された。
 隋(581-618)、唐(618-907)も、鮮卑卓抜部出身の王朝。
 
●17世紀半ば(p161)
 17世紀半ばは、東ユーラシア系騎馬遊牧民国家が並び立っていた。すべて内陸国家。
 中国の清朝、インドのムガル朝、イランのサファヴィー朝、トルコのオスマン朝。
 ここに、海洋国家であるオランダとイギリスの東インド会社の入る隙ができた。17世紀後半から18世紀の時代に、伝統的インド洋交易構造が解体し、オランダとイギリスによる海上支配に切り替わった。18世紀末には、インド洋は完全にヨーロッパの海になった。しかし、ヨーロッパによるインド洋支配は、アメリカ大陸とは異なり、簡単に進んだわけではない。
 
●原初的宗教(p171)
 原初的宗教……シャーマニズム(降神術・降霊術)、アニミズム(万物に精霊・霊魂が宿るという信仰)、トーテミズム(ある氏族を特定の動植物に関係づける信仰)、自然の神々崇拝、祖先崇拝、など。
 高等宗教……死生観を体系的・論理的に説いている宗教。
 
●中国仏教(p214)
 中国仏教は、儒教の祖先崇拝と道教の祈祷を取り入れ、インド仏教とは違う代物となった。それが日本に伝わった。
 位牌……神主(しんしゅ)を祀る儒教の祖先崇拝(招魂再生儀式)を取り込んだ。
 盂蘭盆……盂蘭盆経という偽経。釈迦の弟子の目連(もくれん)という人物の母親が輪廻転生して「餓鬼」の世界で苦しむのを見た目連が、釈迦に問うたところ、今度の7月15日の高層の集いでご馳走を盂蘭盆(おそらく容器を指す)に載せ、供養すれば救われると言われ、そのようにしたら母親は救われた。ここから先祖を供養する「盂蘭盆」という仏教行事が行われるようになった。
 線香……寺院で線香を焚くのは、もともと魂を魄に取りつかせるための儒教儀式だった。葬儀も儒教から取り入れたもの。
 戒名……儒教の神主の文句に由来。
 墓……墓も墓参りも本来の仏教には不要。儒教の習慣。
 
●砲術師(p257)
 ヨーロッパでは、最初、大砲や火薬の製造法、砲弾の装填法などは、砲術ギルドによって堅く秘密とされていた。ギルドの成員である砲術師が雇われて戦場に駆り出されていた。砲術師は、民間の手工業者であり、特定の君主に属しているものではなかった。
 16世紀以降、砲術師に対する各君主からの需要は多く、火器市場は大きかった。
 砲兵隊が国家の正規軍となったのは、フランス革命後19世紀。
 
●近現代文明(p269)
〔 テクノロジーと資本主義がインターロックした近現代文明は、最後の文明なのだろうか? 地球の寿命はまだ続くであろう。「テクノロジー=資本主義インターロック文明」に終わりはあるのだろうか? どこに行くつくのだろうか? 私は、テクノロジーと資本主義が悪いといっているわけではない。際限なく続くレースに恐怖を覚えているだけである。この文明に終わりはないように思える。際限なくどこまでも続くような気がする。〕
 
(2017/8/13)KG
 
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中国政治からみた日中関係
 [ 読書・出版・書店]

中国政治からみた日中関係 (岩波現代全書)
 
国分良成/著
出版社名:岩波書店(岩波現代全書 101)
出版年月:2017年4月
ISBNコード:978-4-00-029201-6
税込価格:2,592円
頁数・縦:271p・19cm
 
 
 中国政治の本質は権力闘争である。友好か反日か。日本との関係も、権力闘争の結果だという。
 そんな日中関係の変遷を、中国共産党内の政治力学によって解き明かす。
 
【目次】
序章 地域研究としての中国政治
 
第Ⅰ部 中国の政治体制―迷走する正統性
 第1章 政治改革の展開と挫折―鄧小平・胡耀邦・趙紫陽時代
 第2章 天安門の経済成長―鄧小平・江沢民時代
 第3章 正統性としての経済成長ー鄧小平・江沢民時代
 第4章 党国体制の権威主義―江沢民・胡錦涛時代
 第5章 習近平体制と文化大革命―連続と非連続
 
第Ⅱ部 中国の対日政策―国内政治の延長
 第6章 「一九七二年体制」の成立とその限界―一九七〇‐九〇年代・冷戦から冷戦後へ
 第7章 「日中友好」の陰り―一九八〇年代・光華寮裁判と胡耀邦事件
 第8章 歴史問題の拡大―一九九〇年代・江沢民訪日
 第9章 戦略的互恵関係への道―二〇〇〇年代・暫定的修復
 第10章 試練の中の日中関係―二〇一〇年代・尖閣事案の顕在化
 
終章 中国政治と日中関係
 
【著者】
国分 良成 (コクブン リョウセイ)
 1953年生。1981年慶應義塾大学大学院博士課程修了後、同大学法学部専任講師、85年助教授、92年教授、99年から2007年まで同大学東アジア研究所長、07年から11年まで法学部長。法学博士。12年から現在まで防衛大学校長。この間、ハーバード大、ミシガン大、復旦大、北京大、台湾大の客員研究員を歴任。専門は中国政治・外交、東アジア国際関係。元日本国際政治学会理事長、元アジア政経学会理事長。
 
【抜書】
外資依存(p100)
 GDPに占める中国の貿易依存度……1990年29.8%、2000年43.9%。
 輸出の50%以上は外資系企業が担っている。国家税収全体の20%近くが外資系企業からの徴税。
 
(2017/8/12)KG
 
〈この本の詳細〉


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