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多摩の近世・近代史
 [歴史・地理・民俗]

多摩の近世・近代史

岩橋清美/〔ほか執筆〕 松尾正人/編著
出版社名 : 中央大学出版部
出版年月 : 2012年9月
ISBNコード : 978-4-8057-4150-4
税込価格 : 2,625円
頁数・縦 : 293p・21cm


 多摩地区の近世・近代史に関する論文集。

【目次】
第1部 多摩の文化と人々の暮らし

子どもと村社会―近世後期における子ども観の変容……岩橋
 捨子禁止令以後、共同体での子供の養育が重視され、農村でも寺子屋が発達。名主など村の上役が子供の教育としつけを行っていた。

島津家奥右筆となった多摩の女性・瀧尾―奥女中のアーカイブズ……亀尾
 多摩郡宮下村(現・八王子市)に在した旗本川村家領の名主、荻島家の分家の娘「まさ」が、最初は越前松平家に、のちに島津家に奉公に出る。

多摩の豪農と在村文化―多摩郡連光寺村富澤家の文芸と思想……清水
 富澤政恕は、俳諧、和歌、漢詩、国学を修め、句会、歌会などを主催して文芸に親しむ。連光寺村向岡で桜の植樹を行う(現在の聖蹟桜ヶ丘)。

大岳山をめぐる言説とイメージの歴史的変遷……西村
 大岳山(檜原村)は、奥多摩三山の一つ。山岳信仰・狼信仰の拠点。大嶽神社。

第2部 近世多摩の地域と社会

家康・秀忠・家光と多摩地域の将軍家鷹場……岡崎
 家康が府中に、秀忠が八王子に、家光が牟礼・井之頭に鷹場を持っていた。家康は府中御殿を設置して幾度か足を運んだ。ただし、鷹狩のためというよりは、小田原方面から川越方面に向かう中継地としての利用が多かった。秀忠は、川越などで鷹狩をするための後背地として八王子を利用した。家光は、鷹狩を目的として牟礼を訪れた。

綱吉政権期における犬預け政策と村……桜井
 綱吉時代、中野の犬小屋(野良犬収容所)が溢れ、多摩地域の村々、特に青梅街道沿いの村々に犬が預けられ、養育費が支給された。

近世後期における多摩の質屋渡世……落合
 農村での質屋渡世は農間渡世として位置づけられ、村役人や改革組合村の許可を必要としていた。そのため各地に林立することはなく、それぞれの村に限定して存在した。換金というより、季節的に不要なものを管理保管してもらう目的で利用されていた。

幕末の助郷と多摩の村―元治元年の内藤新宿定助郷差村一件をめぐって……牛米
 内藤新宿の定助郷差村を免除された村と、免除に失敗した村との違いを探る。賄賂や、役人への接待など、活発な営業活動が行われていた様子がわかる。

草莽の軌跡―落合直言とその周辺……藤田
 多摩郡上長房村駒木野(現・八王子市)に生まれた草莽の志士、落合直言(なおこと)と、その兄・直亮(なおあき)、直澄(なおずみ)の事績。直亮は、薩邸浪士隊の幹部として活躍、後に伊那県判事、同大参事に就く。直澄は、出雲大社、伊勢神宮の神職を務める傍ら古典研究にも打ち込んだ学究肌の人。直言は、政府転覆を謀った外山・愛宕(おたぎ)事件に連座し、鹿児島藩御預の刑に処せられる。慶喜の上洛に同行したり、山岡鉄舟とも交流あり。西南戦争に参加し、戦死。

自由民権期学習結社の討論会運営―五日市学芸講談会再考……松崎
 明治10年代半ばに五日市で結成された学習結社学芸講談会の活動と、嚶鳴社との関わり。中心人物は深澤権八。

三多摩壮士と政党政治―青野権右衛門とその周辺……矢野
 三多摩壮士・青野権右衛門は、立憲政友会の本部事務長として自由民権運動を支えた。父親は多摩郡柴崎村(現・立川市)出身の中島治郎兵衛。

戦時下における多摩の陸軍少年飛行兵学校……松尾
 多摩郡村山村(現・武蔵村山市)に昭和12年に開設された東京陸軍航空学校の歴史を探る。同校は、そもそも大正8年に入間郡所沢町(現・所沢市)に設立された陸軍航空学校がその前身で、のちに昭和18年3月、東京陸軍少年飛行兵学校に改称された。

【著者】
岩橋 清美 (イワハシ キヨミ)
 東京都公文書館専門員、中央大学文学部兼任講師。

亀尾 美香 (カメオ ミカ)
 高知県立坂本龍馬記念館学芸員、元八王子市郷土資料館学芸員。

清水 裕介 (シミズ ユウスケ)
 公益財団法人多摩文化振興財団学芸員、首都大学東京非常勤講師。

西村 敏也 (ニシムラ トシヤ)
 武蔵大学人文学部非常勤講師。

岡崎 寛徳 (オカザキ ヒロノリ)
 大倉精神文化研究所研究員。

桜井 昭男 (サクライ アキオ)
 淑徳大学アーカイブズ主任専門員。

落合 功 (オチアイ コウ)
 広島修道大学商学部教授。

牛米 努 (ウシゴメ ツトム)
 税務大学校税務情報センター租税資料室研究員、中央大学文学部兼任講師。

藤田 英昭 (フジタ ヒデアキ)
 徳川林政史研究所研究員。

松崎 稔 (マツザキ ミノル)
 町田市立自由民権資料館主事(学芸担当)、中央大学文学部兼任講師。

矢野 信幸 (ヤノ ノブユキ)
 中央大学人文科学研究所客員研究員。

松尾 正人 (マツオ マサヒト)
 中央大学文学部教授、八王子市史編さん審議会会長、多摩市文化財審議会会長。

【抜書】
●捨子禁止令(p3)
 生類憐み令……人々に慈悲や仁の心を持たせることを目的として出された一連の法令。
 「捨子禁止令」もそのうちの一つ。生類憐み令廃止後も重視された。
 捨子養育システムともいうべき仕組みを創りだす。
    ↓
 子供は社会によって保護され、育てられるべき存在であるという意識を定着させる。

●花本(p62)
 俳人に贈られる最高の号。
 芭蕉は、150年忌のあたる天保14年(1843)に二条家から正式に「花本大明神」の号を授けられた。
 花本を関して芭蕉を祀る祠や石碑が各地に存在。東京・深川の富岡八幡宮末社「花本社」はその代表的存在。

●成増の飛行場(p281)
 〔多摩地域には、昭和十九年秋から第一航空軍の司令部が成蹊学園に置かれ、調布に飛行第二四四戦隊が配置され、成増にも飛行第四七戦隊が置かれていたが、各方面の作戦に転用され、十分な防衛が困難であったようだ。〕

(2012/11/23)KG

〈この本の詳細〉


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