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暗渠マニアック!

暗渠マニアック!

吉村生/著 高山英男/著
出版社名 : 柏書房
出版年月 : 2015年7月
ISBNコード : 978-4-7601-4609-3
税込価格 : 2,376円
頁数・縦 : 223p・21cm


 暗渠とは、「地下や蓋の下の暗いところを流れている水路のこと」である(p.9、高山)。そして、本書では、「地下に水が流れている、いないにかかわらず、『もともと川や水路(あるいはドブ)があったところ』をすべて」暗渠と定義して、暗渠の魅力についてさまざまな観点から語られる。暗渠とは、奥が暗く、もとい、奥が深く、都市の「景観」としてひそやかな魅力をもった存在なのである。
 その「景観」、つまり暗渠にありがちな風景とは以下のようなものである(p12、高山)。
 1. 周囲より低いところに続く、抜け道のような細い道。
 2. 湿気の多い道の周辺で存在を主張する苔。
 3. 遊歩道・緑道・鰻の寝床のような公園。
 4. 車止め
 5. 道に連なるマンホール。
 6. 車道に比べてあからさまに幅の広い歩道。
 本書を読んで、街を歩く楽しみがまた一つ増えた。

【目次】
序章 ようこそ暗渠ロジーへ―暗渠を知ると、路地歩きがもっと愉しくなる
第1章 暗渠、私の「見方」
第2章 名所と暗渠
第3章 境界と暗渠
第4章 湧水と暗渠
第5章 暗渠への視線
第6章 東京近郊暗渠、二番勝負!
第7章 新たな観光資源としての暗渠探訪

【著者】
吉村 生 (ヨシムラ ナマ)
 本業の傍ら、暗渠探索に勤しみ、暗渠ツアーガイドや講演なども行う。杉並区を中心に、郷土史を中心とした細かい情報を積み重ね、じっくりと掘り下げていく手法で暗渠へのアプローチを続けている。もっとも情熱を傾けている暗渠は、杉並・中野を流れていた「桃園川」。

高山 英男 (タカヤマ ヒデオ)
 中級暗渠ハンター(自称)。本業での著書は『絵でみる広告ビジネスと業界のしくみ』(日本能率協会マネジメントセンター)ほか。

【抜書】
●暗渠化の時代(p10、高山)
〔 谷があれば、そこには川があったろう。川とまでいかなくとも、凹んでいれば、何らかの水の流れが生じる。さらに尾根づたいには、玉川上水をはじめとした人工の水路が張り巡らされ、あちこちの尾根を水辺へと変えていた。加えて、東部の東京湾岸エリアには、水運のための掘割が造られ、多くの川岸が賑わいを見せていた。かつての東京は、あちこちに川や水の流れが存在する「水都」であったはずなのだ。
 近代から現代に至るこの100年は、そんな水の都・東京から水が消えていく「暗渠化の時代」だったといえる。江戸から東京への移行に伴う明治期の都市改造、大正期の関東大震災からの復興、および太平洋戦争からの復興などの過程で、東京の水辺を覆う、いくつもの「大波」が押し寄せた。だが、最大のインパクトは、昭和30年代の高度成長期であったろう。経済が急成長し、東京が世界有数の近代都市へと変貌を遂げるのと引き換えに、山の手をはじめとする多くの川が水面を失くしていった。昭和30年代、昭和40年代……と、徐々に都心から離れた地域まで暗渠化の波が及んでいることが見てとれる。〕

●洲崎遊郭(p74、吉村)
 洲崎(すさき)遊郭……現・江東区東陽町1丁目。根津遊郭の移転先のために、海を埋め立てて造成された。洲崎パラダイス。カフェー建築。三方が川で、南端だけが海だった。
 〔明治期、政府が根津遊郭に入り浸る東大生を憂え、キャンパスを移すか遊郭をつぶすかというほどの問題となり、結果、遊郭が追い出されたという、どこまでが本当かわからぬ逸話がある。石川島の囚人を使って海を埋め立て、明治21(1888)年6月30日、造成済みの洲崎に向かって遊郭関係者が一斉に土埃を上げて引っ越していったという。〕

●暗渠ANGLE(p245、高山)
 暗渠ANGLE(ANkyo General Level Explorer)……暗渠および開渠を加工度で分類。
 レベル0……ほぼ天然の状態の開渠。
 レベル1……加工されている開渠。はしご式開渠も含む。
 レベル2……蓋がかけられた暗渠。さまざまな蓋が存在する。
 レベル3……埋没されて道となっている暗渠。見た目は「普通の道」地下下水道管が敷設されていたり、付け替えなどですでに地下に水が流れていないものもある。
 レベル4……過剰に整備された暗渠。公園、緑道など。


●合流式、分流式(p156、高山)
 東京の多くの都市中小河川は下水道に転用されており、暗渠は下水道とは切っても切れない縁がある。
 下水道には、「合流式」と「分流式」がある。
 分流式……「雨水」と「汚水」がある。合流式は、これらが一緒になっている。

(2016/1/11)KG

〈この本の詳細〉


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コメント 2

高山英男

著者の片割れです。
このたびは、お読みくださってどうもありがとうございます!素敵な暗渠ライフをお愉しみくださいませ!!
by 高山英男 (2016-01-11 21:44) 

ゆうどう

 高山さん、ゆうどうです。コメントありがとうございます!
 読みながら、実家の近くに暗渠になっている道(レベル2とレベル3の中間くらい)があり、そこが子ども時代にはドブであり、ヒキガエルのオタマジャクシがうじゃうじゃわいていたのを思い出していました。
 身近な暗渠には、そんな懐かしい思い出も潜んでいるのですよね。
by ゆうどう (2016-01-13 00:47) 

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