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サイボーグ化する動物たち ペットのクローンから昆虫のドローンまで
 [自然科学]

サイボーグ化する動物たち-ペットのクローンから昆虫のドローンまで
  
エミリー・アンテス/著 西田美緒子/訳
出版社名:白揚社
出版年月:2016年8月
ISBNコード:978-4-8269-0190-1
税込価格:2,700円
頁数・縦:281p・20cm
 
 
 人類のためなのか、はたまた動物自身の幸福のためなのか?
 人間が、さまざまな動物に施す改造すなわち「サイボーグ化」をレポート。新奇なペットを求めて
光る熱帯魚を作る、遺伝子操作でリゾチームが豊富な乳を出すヤギを作る、愛猫のクローンを作る、センサーを装備したアザラシに深海探査をさせる、などなど。命とは何なのか。

【目次】
第1章 水槽を彩るグローフィッシュ
第2章 命を救うヤギミルク
第3章 ペットのクローン作ります
第4章 絶滅の危機はコピーで乗り切る
第5章 情報収集は動物にまかせた
第6章 イルカを救った人工尾ビレ
第7章 ロボット革命
第8章 人と動物の未来

【著者】
アンテス,エミリー (Anthes, Emily)
 科学ジャーナリスト。「ニューヨークタイムズ」「ネイチャー」「サイエンティフィック・アメリカン」「ワイアード」「ボストン・グローブ」などの各紙誌に執筆。マサチューセッツ工科大学からサイエンス・ライティングの修士号、イェール大学から科学史・医学史の学士号を取得。ニューヨークのブルックリン在住。『サイボーグ化する動物たち』で、優れた科学書に贈られる「AAAS(アメリカ科学振興協会)/Subaruサイエンスブックス&フィルム賞」を受賞している。

西田 美緒子 (ニシダ ミオコ)
 翻訳家。津田塾大学英文科卒業。

【抜書】
●グローフィッシュ(p20)
 1999年、シンガポール国立大学の生物学者ジーユエン・ゴングが、オワンクラゲなどの一部の種が独自に進化させた緑色蛍光タンパク質(GFP)の遺伝子を、ゼブラフィッシュの胚に直接注入することに成功。マイクロインジェクションという手法による。ブルーライトを当てると緑色に光る。
 イソギンチャクの仲間のGFPを導入して赤く光る系統、黄色の系統も作る。
 リチャード・クロケットとアラン・ブレイクが、ヨークタウンテクノロジーズ社を設立、テキサス州オースティンに店を出す。光る魚をグローフィッシュと名付け、養殖して販売を開始する。
 発売は、2004年1月。赤い色のグローフィッシュ。 米国食品医薬品局(FDA)や、カリフォルニア州魚類鳥獣委員会の認可が下りるのに時間がかかった。
 2006年、緑色とオレンジ色を発売。2011年、青色と紫色を追加。2012年、緑色に輝くホワイトスカートテトラを発売。

●ファーミング(p45)
 pharming……pharmacy(薬学)とfarming(農業)を組み合わせた造語。
 遺伝子操作によって、動物を人間の病気を治すための工場に変えること。
 リゾチーム……体内に侵入した細菌の細胞壁を分解し、中身を外にあふれださせる酵素。免疫系を強化し、乳児の下痢性疾患を抑える。あらゆる哺乳動物のミルクに含まれているが、ヒトの母乳では特に濃度が高く、別の動物の3000倍。
 カリフォルニア大学デービス校の動物科学者ジェイムズ・マレーとエリザベス・マーガは、遺伝子組み換えによって、リゾチームを多量に含むミルクを出すヤギの「ファーミング」に取り組む。「アルテミス」誕生。

●キメラ、ハイブリッド(p60)
 キメラ……二つの異なる種に由来する細胞を持つ動物。「青い」細胞と「赤い」細胞がパッチワークキルトのように、青1色の細胞と赤1色の細胞が混じり合って並んでいる。
 遺伝子組み換え動物……各細胞の中に異なる種の遺伝子が1個ずつ入っている。青い細胞のそれぞれに赤い点が1個ずつ入っている。
 ハイブリッド……一つの種の精子と別の種の卵子とが受精してできる雑種。すべての細胞が紫色になる。

●更新世パーク(p119)
 生物は複雑な生態系の一部を担っているので、一つの動物集団が突然消えると、生態系全体の歯車が狂う。
 絶滅した動物を生息環境に再導入することによって、景観を取り戻すことができるかもしれない。
 シベリア北部のツンドラ地帯は、雪におおわれた大地に低木とコケ以外の植生はほとんど見当たらない。12,000年ほど前まで続いた更新世には、青々とした野草が茂り、ケナガマンモス、バイソン、野生のウマが歩き回っていた。
 ロシア科学アカデミー北東科学観測所の所長セルゲイ・ジーモフの「サイエンス」誌への投稿。「冬になると動物たちが、その前の夏に生えた草を食べた。これらの動物たちは排泄物によって土壌を肥やし、植物の生産性を高める一方、コケや低木を踏みつけて、しっかり根付かせないようにしていた。もしも更新世の動物の大きな群れがここにいて景観を守っていたならば……北方の草原は今もまだ生き残っていたはずだと、私は考えている。」
 ジーモフは、更新世の代表的な草食動物(もしくは現代の同等の動物)をツンドラ地帯に連れ戻す実験を行っている。「更新世パーク」と名付けた広い保護区に、数十年かけて動植物の多様性を復元する計画。すでに、トナカイ、ヘラジカ、ジャコウウシ、バイソン、野生のウマがここを歩きまわっている。
 北米の大草原地帯に野生のウマ、ラクダ、ゾウ(マンモスの代役)、チーター(アフリカチーターがアメリカチーターの代役)などを放して「再自然化」しようという提案もある。

●チーター(p122)
 およそ1万年前に何らかの破壊的状況が起きて地球上のチーターの大半が死滅した。現在のチーターは際立って均質で、遺伝的差異がほとんどない。繁殖力が低く、精子異常の割合が高い。

●ゾウアザラシ(p148)
 ミナミゾウアザラシは、人間がなかなか近付けない、極寒の南極水域に生息。水深1600m以上まで潜水して餌をとる。
 2003~2007年、セントアンドリューズ大学(スコットランド)の海洋生物学者マイケル・フェダックらが、102頭のゾウアザラシの頭に多機能タグを貼り付けた(換毛期には毛とともにはがれおちる)。海面下に潜るたびに装置が作動し、水圧、温度、塩分濃度を一定間隔で測定する。海面に顔を出すと、タグの衛星発信器がデータを研究室に送り返す。
 生物学者の「タグ装着プロジェクト」に、海洋学者たちも興味津津。アザラシの集めたデータが、海面から海底まで、垂直部分全体の詳細な分析結果を組み立てる。南極海底で未発見だったトラフの存在が明らかになる。

●ニューティクル(p170)
 避妊手術で睾丸を摘出した雄犬のための人工睾丸。1995年に登場。犬の精神的苦痛を和らげる?
 愛犬家グレッグ・ミラーが考案。しかし、愛犬バッグには間に合わなかった。肝臓がんで死亡。

●犬の遺伝病(p216)
 犬は、純血種を作るために近親交配を続けたため、遺伝病や奇形が目立つ。
 人気の高い犬種50種の調査では、396の遺伝病が見つかる。
 ダルメシアン……聴覚障害が多い。
 ドーベルマン……発作性睡眠障害(ナルコレプシー)にかかる傾向が強い。
 ラブラドル・レトリバー……股関節の形成不全。

(2017/3/12)KG

〈この本の詳細〉


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