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ヒト 異端のサルの1億年
 [自然科学]

ヒト―異端のサルの1億年 (中公新書)

島泰三/著
出版社名:中央公論新社(中公新書 2390)
出版年月:2016年8月
ISBNコード:978-4-12-102390-2
税込価格:994円
頁数・縦:290p・18cm


 ヒトの「歴史」(人類史)を、「サル」という視点から独自の発想で解き明かす。

【目次】
第1章 起原はレムリア―マダガスカル・アンジアマンギラーナの森から
第2章 歌うオランウータン―ボルネオとスマトラの密林にて
第3章 笑うゴリラ―ヴィルンガ火山の高原より
第4章 類人猿第三世代のチンパンジーとアルディピテクス―タンガニーカ湖畔の森から
第5章 類人猿第四世代、鮮新世のアウストラロピテクス―ツァボ国立公園にて
第6章 ホモ・エレクトゥスとハンドアックスの謎―マサイマラから
第7章 格闘者ネアンデルタール
第8章 ホモ・サピエンスの起原―ナイヴァシャ湖にて
第9章 最後の漁撈採集民、日本人―宇和海の岸辺にて
終章 ほほえみの力

【著者】
島 泰三 (シマ タイゾウ)
 1946年、山口県下関市生まれ。下関西高等学校、東京大学理学部人類学科卒業。東京大学理学部大学院を経て、78年に(財)日本野生生物研究センターを設立、房総自然博物館館長、雑誌『にほんざる』編集長、天然記念物ニホンザルの生息地保護管理調査団(高宕山、臥牛山)主任調査員、国際協力事業団マダガスカル国派遣専門家(霊長類学指導)等を経て、NGO日本アイアイファンド代表。アイアイ生息地の保護につとめる。マダガスカル国第5等勲位シュバリエ。

【抜書】
●レムリア大陸(p9)
 マダガスカルとインド亜大陸(グレーター・インド)とがつながっていた古代大陸。総面積600万平方km以上、オーストラリア大陸(770万平方km)に匹敵する大きさ。
 中生代ジュラ紀の1億6000万年前にアフリカ大陸から分かれる。
 1億2000万年前に南極/オーストラリアから分かれた。白亜紀の6000万年間(恐竜時代の後期)を、他の大陸から独立して存在した。
 7000~8000万年前に、グレーター・インドとマダガスカルとが分離。
 5300万年前、グレーター・インドがアジアと接続。
 ちなみに、マダガスカルの原猿類を「レムール」という。全世界の霊長類の四分の一の5科22属99種。(p4)

●真獣類(p11)
 分子生物学者による、真獣類(有胎盤類)の系統分類。
 ① アフリカ獣類……アフリカ大陸起源
  a. アフリカ食虫類
   1. アフリカトガリネズミ目
   2. ハネジネズミ目
   3. 管歯目(ツチブタ)
  b. 近蹄類
   4. 海牛目(マナティー類)
   5. 長鼻目(ゾウ類)
   6. イワダヌキ目
 ②異節類……南米大陸起源
   7. 有毛目(ナマケモノ・アリクイ類)
   8. 被甲目(アルマジロ類)
 ③真主齧類……レムリア大陸起源
  a. 真主獣類
   9. 霊長目
   10.被翼目(ヒヨケザル類)
   11.登攀目(ツパイ類)
  b. グリレス類
   12.齧歯目(ネズミ類)
   13.ウサギ目
 ④ローラシア獣類……ユーラシア、北米大陸起源
   14.鯨偶蹄目
   15.食肉目
   16.有鱗目(センザンコウ類)
   17.奇蹄目(サイ類)
   18.翼手目(コウモリ類)
   19.真無盲腸目(モグラ類)

●類人猿2000万年(p37)
 3000万年前、ヒト上科が他の霊長類と分かれる。
 2000万年前、テナガザル(小型類人猿)が分岐。すぐ後に、オランウータンが分岐(900万~2000万年前??)。
 1000万年前、ゴリラとチンパンジーが分岐。

●ヴァレシアン・クライシス(p56)
 960万年前、ヨーロッパで哺乳類相の大絶滅と転換があった。ヒマラヤ山脈とチベット高原の隆起による全地球的な寒冷化が原因。寒冷化による草原の拡大し、亜熱帯性の常緑樹から、冬の寒冷と夏の乾燥に対応した落葉樹に交代した。
 アフリカでも、900万年前から600万年前まで、類人猿の化石の空白期がある。

●骨食(p118)
 アルディピテクスが絶滅した鮮新世の乾燥したアフリカで、類人猿第4世代のアウストラロピテクスは、果実食から骨食に大転換した。
 捕食者たちが食べ残した草食動物の骨が主食となった。石を使って骨を割り、厚いエナメル質の臼歯が、骨を糊状にすりつぶした。骨は、肉よりも果実よりも高い栄養がある。アウストラロピテクス属200万年の繁栄は、この主食によって支えられた。
 アファレンシスの身長は1~1.5m、雄の体重は平均44.6kg、最大70kg。雌の体重は29kg。性差は1.55、チンパンジー1.2より大きく、マカク属やヒヒ類の性差と等しい。雄優位で、群れのサイズは数十頭から数百頭? ヒョウや、ハイエナ、チーター、リカオンなどの最大体重が60kg程度の肉食獣には十分対抗できた。

●王獣ホモ・エレクトゥス(p142)
 ホモ・エレクトゥス類の歯のエナメル質は、それ以前の人類に比べて薄い。石器が多様に使われ、それまでの「固いが噛み潰しやすい食べ物(地下茎など)」中心の食生活から、多様な食物を変化する環境に合わせて食べるようになった。大型の哺乳類の狩猟も行った。
 ハンドアックスは、160万年前の遺跡からも出土している。日本列島でも、3万年前まで作られていた。ホモ・エルガスターからホモ・アンテセッサーに至る、アフリカ、ヨーロッパ地域の原人とともにあった石器。ティア・ドロップの形、「厚手のランセオレイト型(槍の穂先型)」と形容される。大型のものは3kgを超える。アシューリアン文化と呼ばれる。
 ハンドアックスの特徴……均整の取れた形、大型化、サバンナ地域だけの分布、使用痕の少なさ。
 ホモ・エレクトゥスは、身長1.7m、体重60kg。ハンドアックスという武器を持つことによって、ライオンにも十分に対応できた。ライオンたちが最初の食欲を満たしたときに、威嚇者として出現すれば、新鮮な骨と残り物の肉を十分に手に入れられる。
 ケニヤのホモ・エレクトゥスの化石(ER1808)には、ビタミンAの取り過ぎの証拠が残されている。肉食動物の肝臓の食べ過ぎ。他の捕食獣たちに優越する「王獣」だった。

●魚貝類食(p188)
 毛皮のない裸のホモ・サピエンスは、突然変異で体毛を失った。裸の皮膚は、水中生活に適応した証拠ではない。
 顔の皮膚が薄い、裸の赤ん坊の「ほほえみ」は、毛皮をまとっていた両親に強烈な印象を与えた?
 サピエンスの骨は、エレクトゥスやネアンデルタール人に比べて、緻密質が薄く、骨そのものが細く、華奢。時に水中に潜ったり、泳いだりする水辺での暮らしには適している。「王獣」ホモ・エレクトゥスと競合することなく、貝類や魚類、海藻や水辺の植物を食料にするようになった。
 魚介類は、脳の発達に欠くことのできない栄養である必須脂肪酸や必須ミネラルの鉄やヨード(ヨウ素)が豊富に含まれている。
 ウガンダ(「千の湖の国」を自称する)からルワンダにかけての高原の湖沼地帯は、水生生物の宝庫。

●日本人(p204)
 ミトコンドリアDNAの研究により、アフリカ人以外のすべての民族は一つの系統であることが分かった。非アフリカ系は、第一グループ(日本人とその近縁)と第二グループ(ヨーロッパ人とその近縁)に大別される。
 日本人に最も近いのは、カムチャツカ半島基部のシベリア・イヌイット、南アメリカのパラグアイのグアラニ人。それに次ぐ近縁は、シベリアのエヴァンキ人、バイカル湖周辺のブリヤート人、中央アジアのキルギス人、南米のワラオ人。やや近いのは、オーストラリア先住民、ニューギニア海岸民、インド亜大陸中央部のアジア系インド人、南中国人(現在の少数民族)。
 韓国人や中国人は、第二グループの系統。韓国人は、南太平洋のポリネシアのサモア人と近い。ポリネシア人は、マダガスカルにまで拡散。

●イヌ(p218)
 犬の起源地は、東アジア。犬が家畜化されたは、1万5000万前(もしくは1万6000万年かそれ以前)の長江の南。ミャンマーのマンダレーあたりが、ホモ・サピエンスと犬の最初の遭遇地点? ユーラシア大陸北方種のオオカミの辺縁であり、小柄な犬の棲息地だった。
 犬は、10万年前にオオカミから東南アジアの高原で分岐したと想定される。
 犬は、オオカミと異なり、デンプンの消化能力が備わっている。ヒトの食事の残りを消化できる。

(2017/3/18)KG

〈この本の詳細〉


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