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なぜペニスはそんな形なのか ヒトについての不謹慎で真面目な科学
 [自然科学]

なぜペニスはそんな形なのか ヒトについての不謹慎で真面目な科学
 
ジェシー・ベリング/著 鈴木光太郎/訳
出版社名:化学同人
出版年月:2017年3月
ISBNコード:978-4-7598-1926-7
税込価格:2,700円
頁数・縦:317, 13p・20cm
 
 
 ゲイの進化心理学者による、性、宗教、自殺など、タブーと見られがちな分野に関する「進化論的」エッセー。学術論文を多く引用し、テーマはきわどいが、内容は極めて科学的である。
 
【目次】
1 どうしてぶら下がっているの?その理由
2 自己フェラチオの道(近づきはしたけど、まだまだ)
3 なぜペニスはそんな形なのか?突起の謎
4 早漏のなにが「早過ぎ」?
5 ヒトの精液の進化の秘密
6 あそこの毛―ヒトの陰毛とゴリラの体毛
7 カニバリズムの自然史
8 なぜにきびができるのか?―裸のサルとにきび
9 脳損傷があなたを極端なほど好色にする
10 脳のなかの性器
11 好色なゾンビ―夜間の性器と夢遊
12 マスターベーションと想像力
13 小児性愛と思春期性愛
14 動物性愛
15 無性愛者の謎
16 足フェチ―ポドフィリア入門
17 ゴム偏愛者の物語
18 女性の射出
19 「ファグ・ハグ」―男が好きな男を好きな女
20 女性のオルガスムの謎
21 意地悪の進化―なぜ女の子どうしは残酷なのか?
22 ゲイに道は聞くな
23 抑圧された欲望としてのホモ恐怖
24 失恋、性的嫉妬とゲイ
25 トップかボトムか、それとも
26 プレ同性愛者―性的指向を予言する
27 (日曜だけは)敬虔な信者
28 埋めよ、増えよ―信者の産む子どもの数
29 亡き母の木
30 自殺は適応的か?
31 自殺者の心のなか
32 ヒトラー問題で考える自由意志
33 笑うネズミ
 
【著者】
ベリング,ジェシー (Bering, Jesse)
 PH.D.。1975年アメリカ生まれ。実験心理学者・コラムニストで、『サイエンティフィック・アメリカン』や『スレート』の常連寄稿者。フロリダ・アトランティック大学大学院修了後、アーカンソー大学准教授、ベルファストのクイーンズ大学認知文化研究所のディレクターを経て、現在、ニュージーランドのオタゴ大学サイエンス・コミュニケーション・センターで准教授を務める。
 
鈴木 光太郎 (スズキ コウタロウ)
 新潟大学人文学部教授。専門は実験心理学。東京大学大学院人文科学研究科博士課程中退。
 
【抜書】
●遅漏ー高攻撃性仮説(p37)
 社会学者ローレンス・ホン「早漏者生存――早漏の起源について」(1984年)という論文で展開。
 霊長類では、セックスが短時間で終わる種ほど、配偶に関係した行動では攻撃性が低い。
 より早く射精する男性のほうが、危害が加えられるのを避け、より長生きし、その結果高い地位を占め、最も望ましい雌たちを獲得する機会が多くなる。男性の膣内射精の潜時は遺伝する。
 
●精漿の成分(p45)
 ヒトの精液中、精子の割合は1~5%。残りの液を精漿という。
 精漿の成分は、ホルモン、神経伝達物質、エンドルフィン、免疫抑制物質などを含む。
 コルチゾール……愛情を高める作用がある。
 エストロン……気分を高める。
 オキシトシン……気分を高める。
 プロラクチン……自然の抗鬱薬。
 甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン……抗鬱薬。
 セロトニン……抗鬱作用のある神経伝達物質。
 メラトニン……催眠物質。
 卵巣刺激ホルモン(FSH)……女性ホルモンの一種。卵巣内の卵胞の成熟を引き起こす。
 黄体形成ホルモン(LH)……女性ホルモンの一種。排卵を誘導し、その卵を排出する。
 
●ケジラミ(p58)
 ヒトの陰毛のケジラミは、ゴリラのケジラミと近縁関係にある。330万年前に分岐。ゴリラの粗い体毛に適応していたので、ヒトの陰毛にちょうど良い居場所を見つけた。
 太古のヒトが、ゴリラを殺して食べていた。ゴリラの死体との接触が、ケジラミの感染をもたらした。
 
●腋臭(p191)
 ゲイは異性愛者とは異なる腋臭を発し、ほかの人間はその匂いを感じ取れる。
 
●日曜効果(p228)
 ハーバード・ビジネス・スクールのディーパク・マルホトラの研究。
 宗教的な人々はチャリティの求めに非宗教的な人々よりもより強く反応するが、それは教会に行ってきた日に限られる。
 
●シェイカー教(p234)
 ドイツの社会学者ミヒャエル・ブルーメの研究。
 シェイカー教徒は、集団内での結婚を妨げたり禁じたりし、代わりに布教活動、外部者の転向や改宗に重点を置いた。「若者のいなくなり始めた共同体は、ほかの若者たちには共同体のミッションが魅力に欠けたものに見えるようになる。こうしてシェイカー教徒の集団は高齢化し、崩壊した」。
 
●オナイダ共同体(p234)
 ニューヨーク州北部のキリスト教コミューン。
 数世代にわたり、オナイダ共同体の医者は、遺伝的健康の観点から注意深く選ばれた男女を結婚させた。生まれた子供は共同体で育てられ、母子のきずなは弱められた。
 人為淘汰によらない子供が生まれるのを避けるため、10代の少年を閉経後の女性とセックスさせた。両者の個人的関係を築く中で、敬虔な年長の女性が若者に重要な宗教的教育を施した。
 大人の男性は、性交中に射精しないようにするテクニックを訓練した。
 30年後にメンバーは数百人に達したが、1881年にこの宗教共同体は崩壊した。
 〔このメンバーはおそらく遺伝的資質に恵まれていたが、その社会的地位は高くなかった。その後、彼らは銀製食器の交易に携わるようになり、いまは企業オナイダとして大成功している。〕
 
●緑の埋葬(p242)
 遺体は防腐剤で処理されることなく、自然保護区に埋められる。
 通常の埋葬方法は、自然破壊を引き起こしている。墓地を作るための広大な土地、防腐保存液、棺用の木材、金属などなど。火葬も同様。一人分の火葬に必要なエネルギーで、7,700kmをドライブできる。
 
●自殺の数式(p251)
 デニス・デカタンザロが1986年に提案した「自己保存と自己破壊の数学モデル」。
 翻訳すると……〔ヒトは自分の直接の繁殖的見込みが低くなった時に、そして同時に、自分が存在し続けることが自分の遺伝的血縁者の繁殖の妨げになって包括適応度を下げると(正しいかどうかはともかく)感じた時に、自殺する可能性がもっとも高い。重要なのは、デカタンザロが、そして彼とは別個に調査を行っている研究者も、この適応モデルを支持するデータを得てきているという点である。〕
 
(2017/7/24)KG
 
〈この本の詳細〉


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