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ブロックチェーン革命 分散自律型社会の出現
 [経済・ビジネス]

ブロックチェーン革命 分散自律型社会の出現

野口悠紀雄/著
出版社名:日本経済新聞出版社
出版年月:2017年1月
ISBNコード:978-4-532-35719-1
税込価格:1,944円
頁数・縦:355p・20cm


 革命的な技術革新であり、パラダイムシフトをもたらす可能性の高いブロックチェーンについて分かりやすく解説。

【目次】
ブロックチェーンが地殻変動を引き起こす
ブロックチェーン革命の到来
ブロックチェーンの応用(1)ビットコインの成長
ブロックチェーンの応用(2)銀行も導入
ブロックチェーンの応用(3)証券業に革命的変化
在来技術型のフィンテックとその限界
ブロックチェーンは通貨と金融をどう変えるか
ブロックチェーンの応用(4)事実の証明
ブロックチェーンの応用(5)IoT
分散型自律組織や分散市場がすでに誕生
分散型自律組織はいかなる未来を作るか
われわれは、どのような社会を実現できるか

【著者】
野口 悠紀雄 (ノグチ ユキオ)
 1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年イェール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学ファイナンス研究科教授などを経て、2011年4月より早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。主な著書:『情報の経済理論』(東洋経済新報社、日経・経済図書文化賞)、『財政危機の構造』(東洋経済新報社、サントリー学芸賞政治経済部門)、『バブルの経済学』(日本経済新聞社、吉野作造賞)。

【抜書】
●ビザンチン将軍問題(p48)
 P2Pネットワークで、いかにして共同作業を行うことができるか、つまり、どうすれば見知らぬ相手を信用することができるのか、という問題。
 ビザンチン帝国の将軍たちは、互いに他を陥れようとしていた。彼らは、ある都市を包囲し、「攻撃するか否か」を決めようとしている。一部の将軍だけで攻撃すれば敗北してしまう。攻撃するなら過半数が参加しなければならない。9人の将軍がおり、4人は賛成、4人は反対、その旨を他の将軍に連絡する。ところが、9人目の将軍は裏切り者で、攻撃派の将軍たちには賛成と伝え、反対派の将軍たちには反対と伝える。攻撃派の将軍たちは多数決で攻撃に決まったと判断して攻撃するが、敗北してしまう。裏切り者によって陥れられてしまう。
 では、裏切り者が現れないようにするには、どのような方法で合意を形成すればいいのか?
 つまり、信頼できない者同士が集まって共同作業を行うことは不可能だと考えられてきた。

●PoW(p49)
 PoW……Proof of Work。ビザンチン将軍問題を解決するための仕組み。各ブロックに直前のブロックのハッシュと、ナンス(number of once)という数字を組み込むことによって、再計算の手間を膨大なものにし、ブロックの改ざんを防ぐ。ナンス値はハッシュ関数に組み込まれた任意の数で、計算されるハッシュがある一定の条件(最初から一定個数だけゼロが並ぶという条件)を満たすよう要求される。
 一つのブロックの有効期限は10分間。
 あるブロックを改ざんした場合、それ以降のブロックも含めてハッシュとナンスを再計算しなければならない。
 フォーク……ナンスが求められるまでの間に、ブロックチェーンが枝分かれすることがある。それをフォークと呼ぶ。フォークが生じた場合、短い枝は捨てられる。

●コンメンダ(p175)
〔 中世イタリアの「コンメンダ」という事業形態では、航海ごとに出資を募った。イギリス東インド会社は、初期の段階では一航海ごとに資本家が出資を行う形態だった。未来の企業組織は、このようなものに先祖返りするかもしれない。〕

●DAO(p236)
 DAO……Decentralized Autonomous Organaization。分散型自立組織。管理者を持たず、P2Pを構成する多数のコンピュータが運営する。意思決定、実行、紛争解決は、ヒトが行うのではなく、プロトコルがあらかじめ定めたルールに従って行う。
 DAOはブロックチェーンによってコントロールされ、変更のきかないルールにしたがって運用される。企業がなくなったとしても、サービス自体提供され続けていく。
 ビットコインは、世界で初めてのDAOだと言われることもある。
 DAC……Decentralized Autonomous Corporation/Company。DAOの部分集合。株主のために配当を支払う組織。
 Dapps、DAO、DACなどは、bitcoin2.0とかBlockchain2.0などと呼ばれることもある。

●エセリウム(p237)
 エセリウム(Ethereum)……〔ユーザーが独自に定義したさまざまなスマートコントラクトや分散型アプリケーション(Dapps)を実行するためのプラットフォーム〕。プログラミング言語はチューリング完全(あらゆるプログラムを記述可能)であるとされる。
 ビットコインなどの多くのプロジェクトでは、スマートコントラクトを記述・実装できるのは開発チームだけだった。
 エセリウムはP2Pによって運営され、12秒に1回、承認作業を行う。
 セリウムにおける取引手数料やスマートコントラクトの実行手数料は、Gas(ガス)と呼ばれる。Gasは、基軸通貨のETH(イーサ)で支払われ、作業によって使用手数料が定められている。

●予測の自己実現効果(p254)
 人々が予測を信じて行動すると、結果的に予測通りになること。

(2017/3/29)KG

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毛の人類史 なぜ人には毛が必要なのか
 [自然科学]

毛の人類史 なぜ人には毛が必要なのか (ヒストリカル・スタディーズ18)

カート・ステン/著 藤井美佐子/訳
出版社名:太田出版(ヒストリカル・スタディーズ 18)
出版年月:2017年2月
ISBNコード:978-4-7783-1557-3
税込価格:2,592円
頁数・縦:250, 32p・19cm


 「毛」ついて、生理学的、生物学的、動物学的、文化的、産業的、社会史的に、総合的に紹介する、「毛の博物学」。

【目次】
第1部 毛の起源と成長の謎
 哺乳類に生えた最初の毛
 毛はどのように生えるのか
 新しい毛が生まれる仕組み
 音のストレスは毛の成長を妨げる
第2部 毛をめぐる奥深い世界
 毛が伝えるメッセージ
 理容店の登場と発展
 髪の毛の驚異の性質
 毛髪の特徴と色の不思議
 究極の工芸品、かつら
 ひと房一二万ドルの髪
第3部 毛と人間の複雑な関係
 ビーバーの毛皮がもたらしたもの
 帝国の財源となった羊毛
 毛の意外な用途

【著者】
ステン,カート (Stenn, Kurt)
 20年間イェール大学教授として勤務(病理学および皮膚科学)。アデランスの米国研究機関アデランス・リサーチ・インスティテュート(ARI)の研究担当副所長および最高科学責任者として毛髪の最先端研究に携わり、ジョンソン・エンド・ジョンソンでもスキン・バイオロジー研究部門責任者を務める。毛包研究に関する講演や多数の科学論文を発表するなど、長年にわたって毛髪研究に従事している。

藤井 美佐子 (フジイ ミサコ)
 翻訳家。横浜市立大学文理学部卒。

【抜書】
●100万年前(p27)
 ヒトは、ほかの動物には温度に敏感な脳を守るため、被毛を失った、という説が有力。
100万年から300万年前に、霊長類の脳の大型化が進んだのと同時に被毛を失い始め、エクリン腺を獲得するようになった。エクリン腺の機能は、汗(ほとんどが水分の分泌物)の放出によって、体温を調節する。

●つむじ(p43)
 アメリカ国立がん研究所のアマル・クラーの、北アメリカの成人500人を対象にした調査によると、右利きの人の90%以上のつむじが時計回り。左利きと両手利きのヒトはつむじの向きと利き手との関連が見られない。
 ボン大学のベルント・ヴェーバー教授によると、つむじが時計回りの被験者は左脳の言語中枢との強い関連が認められたが、つむじが反時計回りの被験者にはそのような関連はなかった。
 知的発育不全の子供の頭皮には、対象群と比較して2倍の頻度で複数のつむじがある。複数のつむじがある、あるいは複数のつむじが交差している子供は、脳の形成異常が潜んでいる可能性が高い。

●フェルト(p128)
 フェルトは、羊毛の繊維を絡ませ、キューティクル細胞を開かせて結合させたもの。
 フェルトに適した素材は、非常に細くて縮れが多く、キューティクルが目立つメリノヒツジの羊毛。
 【製造工程】
  ①羊毛を洗う。
  ②カードという器具で梳かして繊維の向きをそろえる。
  ③目の粗いシート状にならす(バット)。
  ④希望の厚さになるまでバットの層を上に重ねていく。帽子用なら1層か2層、毛布やラグマットはさらに多く重ねる。
  ⑤重ねたバットを温かい石鹸水に浸してローラーをかけ、揉んでたたく。バットが目の詰まった塊になったらフェルト化完成。

●メディチ家(p196)
 イングランドでは、中世以降、最重要の輸出品は羊毛だった。
 13~14世紀に羊毛交易が拡大したことで、新たな資本調達の技術や手段が必要になった。その過程で商人は、現代の資本主義、銀行家、金融の基礎を築く。その頃の羊毛商人は、教皇の代理人として教会税の徴収にあたるイタリア人たちだった。現金を持たない修道院は、袋に詰めた羊毛で教会税を支払っていた。
 16世紀半ば、イングランドがローマカトリック教会から独立すると、商人たちは徴税人から独立した羊毛取引専門の商人へと変貌した。
 羊毛市場の規模が拡大し、羊毛商人の一部は莫大な利益を得て、商人兼銀行家となり、巨大な資本を支配し、ヨーロッパじゅうに手を広げる。ヨーロッパ初の大規模な銀行制度が生まれる。
 代表的な商人銀行家一族が、メディチ家。1297年には、フィレンツェの毛織物製造業者のギルド「アルテ・デッラ・ラーナ」に加盟しいていた。メディチ銀行が羊毛交易で築いた財産をもとに設立され、フィレンツェがイングランドの羊毛を大量に輸入していた。

●フランドル(p198)
 ヨーロッパの羊毛加工の二大中心地はフランドルとフィレンツェ。
 イングランドは、原料の羊毛が主要な産物で、生産した羊毛をフランドルに輸出し、そこで作られた上質な毛織物を輸入していた。
1258年、ヘンリー3世国王の時代、「オックスフォード議会」(別名“狂気の議会”。国政改革案を王に提示した)において、イングランドは質の高い毛織物産業を自国で育成しなければならないとの判断が下された。主にフランドルに対する、毛織物の輸入と原毛の輸出を規制する法律をつくる。
 その後、フランドルの優秀な織物職人をイングランドに呼び込むことにする。当時、低地地域にに吹き荒れていた政治的、宗教的な過激思想のせいで、多くの職人がフランドルから移住してきた。

●雄の尻尾(p217)
 バイオリンやビオラ、チェロなど弦楽器の弓で最高級品は、シベリア産かモンゴル産の雄の白馬の尻尾の毛。
 寒冷地に生息する動物は毛が丈夫。雄の毛が好まれるのは、その尻尾が日常的に尿にさらされていないから。
 尿は、毛幹を柔らかくし、キューティクル細胞を開かせてしまうため、毛にとって有害。

(2017/3/28)KG

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地方自治と図書館 「知の地域づくり」を地域再生の切り札に
 [ 読書・出版・書店]

地方自治と図書館: 地方再生の切り札「知の地域づくり」

片山善博/著 糸賀雅児/著
出版社名:勁草書房
出版年月:2016年12月
ISBNコード:978-4-326-05017-8
税込価格:2,484円
頁数・縦:252, 6p・20cm


 図書館行政の専門家と、図書館愛用者でもある元総務大臣が、地方創成、地方活性化の肝となる、図書館を核にした「地域の地の拠点」づくりを論じる。

【目次】
第1部 図書館は民主主義の砦
 知的立国の基盤としての図書館
 図書館のミッションを考える
 民主主義社会における図書館
第2部 地方財政と図書館
 講演・図書館と地方自治
 パネル討論・地方財政と図書館―交付金で図書館整備を
 光交付金が図書館にもたらしたもの
第3部 地域の課題解決を支援する図書館と司書
 まちづくりを支える図書館
 「地域の情報拠点」としての課題解決型図書館
 地方自治を担う図書館専門職のあり方
 「地方創生」の視点から見た図書館と司書
第4部 地方自治と図書館政策
 対談・地方自治と図書館政策

【著者】
片山 善博 (カタヤマ ヨシヒロ)
 慶應義塾大学法学部教授。1951年生まれ。東京大学法学部卒業。自治省入省後、能代税務署長、鳥取県総務部長、自治省府県税課長、鳥取県知事などを経て、2008年4月より慶應義塾大学法学部教授。併せて鳥取大学客員教授。2010年9月より2011年9月まで総務大臣。この間、地方制度調査会副会長、中央教育審議会臨時委員、財政制度等審議会臨時委員、日本弁護士連合会市民会議議長、日本司法支援センター(法テラス)顧問、角川文化振興財団城山三郎賞選考委員、文部科学省子どもの読書サポーターズ会議座長、日本図書館協会認定司書審査会審査委員などを務める。

糸賀 雅児 (イトガ マサル)
 慶應義塾大学文学部教授。1954年生まれ。東京大学大学院教育学研究科博士課程単位取得退学。慶應義塾大学文学部助手、助教授を経て、1997年4月より同学部教授。この間、中央教育審議会生涯学習分科会臨時委員、文部省大学設置・学校法人審議会専門委員、文部科学省これからの図書館の在り方検討協力者会議副主査、文化庁文化審議会著作権分科会専門委員、国立国会図書館活動実績評価に関する有識者会議座長、東京都立図書館協議会副議長、鳥取県政アドバイザリースタッフ、日本図書館協会認定司書事業委員会委員長、同認定司書審査会審査委員などを務める。

【抜書】
●地方自治法第100条(p21、片山)
 地方自治法第100条で、地方議会に図書室の設置を義務付けている。
 第100条……百条調査権の根拠規定。議会が一般的に持っている自治体執行部に対する質問権や調査権とは異なり、調査対象は行政外にまで及ぶ。議会が設置した調査委員会への出頭などについては、裁判所の場合と同じく一定の強制力を持っている。国会における国政調査権と同様の強力な調査権限。

●自立支援(p30、片山)
 図書館のミッションは、「自立支援」にある。国民・住民が自立するための「知的インフラ」。

●公共施設の集約(p104、片山)
 図書館は、社会教育や生涯学習の中枢にとどまらず、自治体行政の拠点になりうる施設。
 マタニティ教室、放課後児童クラブ、学童保育、など、いろいろな行政サービスを図書館で行えばいい。そのための会議室、集会所などを図書館に併設するといい。縦割り行政の打破。

●公共事業(p54、片山)
 公共事業は、雇用を創出しない。鳥取県の場合、産業構造を分析した結果。
 公共事業に投じられたお金のうちの多くは土地代。土地代を受け取った地権者が新しい会社を始めるということは一切ない。銀行口座に眠る。その人が死ぬと、遺産として一部は都会に出ていった遺族に分配される。
 調達する資材も、ほとんどが県外で生産。地元の雇用には結びつかない。しいて言えば、山から採ってくる砂利くらい。
 土木作業員の人件費は、県内の雇用につながるが、そもそも全体のなかでの比率が低い。しかも、大きな事業だとゼネコンに発注するので、地元企業はその下請け、孫請けとなってしまい、還元される比率は低くなる。

●光交付金(p107、糸賀)
 2010年10月8日、「円高・デフレ対策のための緊急総合経済対策~新成長戦略実現に向けたステップ2~」が閣議決定され、「地域活性化交付金」として、約3,500億円が補正予算に計上された。
 「きめ細やかな交付金」2,500億円と、「住民生活に光をそそぐ交付金」(光交付金)1,000億円。
 光交付金……いままで光が十分にあてられてこなかった、以下の三つの取り組みを支援する。①地方消費者行政、②DV対策・自殺予防等の弱者対策・自立支援、③地の地域づくり。
 ③地の地域づくり(具体例)
 ・図書館における司書の確保、図書の充実、図書館施設の改築・増築等による地域の地の拠点づくりに対する支援。
 ・試験研究機関による研究開発に対する支援。
 「図書館、図書館同種施設、学校図書館の充実」に約400億円が交付された。
 全国の公立図書館約三千館の資料費の年額……1998年度350億円(ピーク)、2011年度278億円。

(2017/3/27)KG

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宇宙からみた生命史
 [自然科学]

宇宙からみた生命史 (ちくま新書)

小林憲正/著
出版社名:筑摩書房
出版年月:2016年8月
ISBNコード:978-4-480-06907-8
税込価格:864円
頁数・縦:229,6p・18cm


 生命について考察するなら、宇宙科学と分子生物学の進んだ現在、宇宙的規模で捉える必要がある。それが「アストロバイオロジー」である。

【目次】
第1章 われわれは宇宙の中心か―天動説から地動説へ
第2章 われわれは何者か―ガラパゴス化した地球生命
第3章 われわれはどこから来たのか1―生命誕生の謎
第4章 われわれはどこから来たのか2―生命進化の謎
第5章 太陽系に仲間はいるか―古いハビタブルゾーンを超えて
第6章 太陽系外に生命を探る―系外惑星とSETI
第7章 人類の未来、生命の未来

【著者】
小林 憲正 (コバヤシ ケンセイ)
 1954年生まれ。東京大学大学院理学系研究科化学専攻博士課程修了。米国メリーランド大学化学進化研究所研究員などを経て、現在、横浜国立大学大学院工学研究院機能の創生部門教授。

【抜書】
●シュレディンガー(p37)
 エルヴィン・シュレディンガー(1887-1961)……量子力学の創成で20世紀前半の物理学革命を推し進めた。『生命とは何か』において、生命とは「負のエントロピーを食べて生きているものである」と述べる。
 生物は、熱力学第二法則(エントロピーの増加)に背いているように見える。エントロピーを減らすために世界の一部を区切り、その中のエントロピーを減少させている。仕切りの中の余分なエントロピーを外側に捨ててやれば、第二法則は守られる。
 仕切り=細胞膜。生物は、酵素という触媒を使って、細胞膜のなかで特定の反応のみを進める仕組みを獲得した(代謝)。それによってエントロピーを減少させている。

●ハビタブルゾーン(p136)
 生命が生きていくための3つの条件……①水、②有機物、③有機物を作り出すためのエネルギー。
 これら3つが存在する惑星を含む領域を「ハビタブルゾーン」と呼ぶ。太陽系では、太陽から0.97~1.39天文単位離れた領域。含まれる惑星は地球のみ。

●拡大ハビタブルゾーン(p157)
 しかし、従来の「古典的」ハビタブルゾーンを超えて、生命が存在可能な惑星の存在が検討されている。「拡大ハビタブルゾーン」。
 エウロパ……木星の衛星。ガリレオが手製の望遠鏡で発見した「ガリレオ衛星」の一つ。氷におおわれているが、クレーターはほとんど見られず、多くの筋が見られる。氷の下の方が融けている。ひび割れ部分から内部の水がときどき噴き出して、新しい表面を作るのでクレーターが見られない。
 タイタン……土星で最大の衛星。太陽系の衛星の中で、唯一濃い大気がある。地球よりも濃い。窒素を主とし、メタンを数%含む。1950年代から始まった化学進化実験で、メタン・アンモニア・水蒸気の組み合わせの次に多く用いられたのが、メタン・窒素・水蒸気だった。
 エンケラドゥス……土星に60以上ある衛星のなかで6番目に大きい衛星。タイタンの10分の1程度。2005年、カッシーニ探査機の写真に、水蒸気や水の粒が噴出(プルーム) しているのが写っていた。メタンなどの有機物を含む。内部海が存在し、地球の海底熱水噴出に似た活動を示唆する。

●4.22光年(p169)
 太陽に最も近い恒星は、リギル・ケンタウルス。三つの恒星からなる三重連星(A、B、C)。太陽からC星までの距離は4.22光年。

●ペール・ブルー・ドット(p218)
 1977年に打ち上げられた惑星探査機ボイジャー1号は、木星、土星を探査した後の1990年、地球から60億km離れた地点から太陽系の写真を撮った。地球は、写真の右側の縦の縞の中央よりやや下に見えるかすかな点。この写真を撮ることを提案したカール・セーガンは「ペール・ブルー・ドット」と呼んだ。

(2017/3/22)KG

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縄文時代史
 [歴史・地理・民俗]

縄文時代史

勅使河原彰/著
出版社名:新泉社
出版年月:2016年9月
ISBNコード:978-4-7877-1605-7
税込価格:3,024円
頁数・縦:334p・20cm


 縄文時代を総合的に知るための基本教科書。図版も多く、説明もわかりやすい。

【目次】
1 縄文文化の誕生
 最終氷期の環境変動
 「草創期」という時代
  ほか
2 縄文人の生活と生業
 竪穴住居の出現と定住集落の形成
 新しい環境の創造
  ほか
3 縄文人の社会
 住居の営みと集落の仕組み
 集落と村落のつながり
  ほか
4 縄文文化の発展と限界
 縄文文化の広がり
 東西日本の地域差
  ほか
5 縄文から弥生へ
 日本列島の自然と農耕の条件
 農耕社会の形成
  ほか

【著者】
勅使河原 彰 (テシガワラ アキラ)
 1946年、東京都生まれ。1975年、明治大学文学部卒業。文化財保存全国協議会常任委員。第2回尖石縄文文化賞、第13回藤森栄一賞受賞。

【抜書】
●花綵列島(p10)
 花綵……はなづな。細紐で花を結んでつくった花飾り。
 大小の島々が花綵のように連なった日本列島を、花綵(かさい)列島と呼ぶ。

●1万1500年前(p18)
 完新世の初頭、1万1500年前までには、日本列島は完全に大陸から離れて島国となった。

●縄文の時代区分(p36)
 ※国際標準暦年較正曲線に基づく較正年代。
 16,000年前--------------------------
       草創期(旧石器時代)
 11,500年前--------------------------
       早期
 7,200年前---------------------------
       前期
 5,400年前---------------------------
       中期
 4,400年前---------------------------
       後期
 3,000年前---------------------------
       晩期
 2,700年前---------------------------
       弥生時代

●労働時間(p79)
 カラハリ砂漠のサン……女:毎日1~5時間。男:週3~5日で各5~10時間、食料の獲得のために外出。男女平均で1日4時間39分。実際に猟や採集に出かけても、木陰に涼を求める時間も多い。
 オーストラリアのアボリジニ……食料の獲得に費やす時間は、男女で平均4時間30分程度。

●漆(p108)
 早期の頃から、刳物(くりもの)の木製食器が使われていた。
 さらに、前期前半の土器の下地に赤漆を塗り、その上に黒漆で繊細な幾何学文様を描いた彩文土器が出土している。山形県東置賜郡高畠町の押出(おんだし)遺跡。福井県の鳥浜貝塚や、小田原市の羽根尾貝塚などでも、前期の漆塗りの櫛とともに漆塗りの土器が出土。
 縄文人は、定住するようになって豊富な種類の容器類を多量に持つようになり、漆塗りで美しく飾るようなった。

●植物利用(p121)
 早期……アサ、ヒョウタン、エゴマなどの栽培植物を縄の繊維や容器、調味料などに利用。
 前期……ツルマメ(ダイズの野生種)やヤブツルアズキ(アズキの野生種)、ヒエ属。
 中期……栽培ダイズやアズキ、ヒエに相当する大きさの穀物。

●大湯遺跡、環状列石(p185)
 秋田県鹿角市の大湯遺跡。万座と野中堂と呼ばれる二つの環状列石が、約130mの距離をおいて東西に対峙。
 万座……48基の組石。
 野中堂……44の組石。
 全体として組石が二重の同心円状(外帯と内帯)に配置されている。外帯の配石の外側に掘立柱建物跡群がめぐっている。組石の下に墓抗。
 また、環状列石の周辺には、大規模な集落が存在しない。周囲に点在する複数の集落の人々によって営まれた、縄文後期の共同墓地だと考えられる。
 大型の環状列石は、後期から晩期前半の東日本に盛行。
 集落が大型化し、やがて分散化される。その中心となる場所に環状列石が作られた。分散した氏族としての結束を高め、村落の維持を図った。

(2017/3/21)KG

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ヒト 異端のサルの1億年
 [自然科学]

ヒト―異端のサルの1億年 (中公新書)

島泰三/著
出版社名:中央公論新社(中公新書 2390)
出版年月:2016年8月
ISBNコード:978-4-12-102390-2
税込価格:994円
頁数・縦:290p・18cm


 ヒトの「歴史」(人類史)を、「サル」という視点から独自の発想で解き明かす。

【目次】
第1章 起原はレムリア―マダガスカル・アンジアマンギラーナの森から
第2章 歌うオランウータン―ボルネオとスマトラの密林にて
第3章 笑うゴリラ―ヴィルンガ火山の高原より
第4章 類人猿第三世代のチンパンジーとアルディピテクス―タンガニーカ湖畔の森から
第5章 類人猿第四世代、鮮新世のアウストラロピテクス―ツァボ国立公園にて
第6章 ホモ・エレクトゥスとハンドアックスの謎―マサイマラから
第7章 格闘者ネアンデルタール
第8章 ホモ・サピエンスの起原―ナイヴァシャ湖にて
第9章 最後の漁撈採集民、日本人―宇和海の岸辺にて
終章 ほほえみの力

【著者】
島 泰三 (シマ タイゾウ)
 1946年、山口県下関市生まれ。下関西高等学校、東京大学理学部人類学科卒業。東京大学理学部大学院を経て、78年に(財)日本野生生物研究センターを設立、房総自然博物館館長、雑誌『にほんざる』編集長、天然記念物ニホンザルの生息地保護管理調査団(高宕山、臥牛山)主任調査員、国際協力事業団マダガスカル国派遣専門家(霊長類学指導)等を経て、NGO日本アイアイファンド代表。アイアイ生息地の保護につとめる。マダガスカル国第5等勲位シュバリエ。

【抜書】
●レムリア大陸(p9)
 マダガスカルとインド亜大陸(グレーター・インド)とがつながっていた古代大陸。総面積600万平方km以上、オーストラリア大陸(770万平方km)に匹敵する大きさ。
 中生代ジュラ紀の1億6000万年前にアフリカ大陸から分かれる。
 1億2000万年前に南極/オーストラリアから分かれた。白亜紀の6000万年間(恐竜時代の後期)を、他の大陸から独立して存在した。
 7000~8000万年前に、グレーター・インドとマダガスカルとが分離。
 5300万年前、グレーター・インドがアジアと接続。
 ちなみに、マダガスカルの原猿類を「レムール」という。全世界の霊長類の四分の一の5科22属99種。(p4)

●真獣類(p11)
 分子生物学者による、真獣類(有胎盤類)の系統分類。
 ① アフリカ獣類……アフリカ大陸起源
  a. アフリカ食虫類
   1. アフリカトガリネズミ目
   2. ハネジネズミ目
   3. 管歯目(ツチブタ)
  b. 近蹄類
   4. 海牛目(マナティー類)
   5. 長鼻目(ゾウ類)
   6. イワダヌキ目
 ②異節類……南米大陸起源
   7. 有毛目(ナマケモノ・アリクイ類)
   8. 被甲目(アルマジロ類)
 ③真主齧類……レムリア大陸起源
  a. 真主獣類
   9. 霊長目
   10.被翼目(ヒヨケザル類)
   11.登攀目(ツパイ類)
  b. グリレス類
   12.齧歯目(ネズミ類)
   13.ウサギ目
 ④ローラシア獣類……ユーラシア、北米大陸起源
   14.鯨偶蹄目
   15.食肉目
   16.有鱗目(センザンコウ類)
   17.奇蹄目(サイ類)
   18.翼手目(コウモリ類)
   19.真無盲腸目(モグラ類)

●類人猿2000万年(p37)
 3000万年前、ヒト上科が他の霊長類と分かれる。
 2000万年前、テナガザル(小型類人猿)が分岐。すぐ後に、オランウータンが分岐(900万~2000万年前??)。
 1000万年前、ゴリラとチンパンジーが分岐。

●ヴァレシアン・クライシス(p56)
 960万年前、ヨーロッパで哺乳類相の大絶滅と転換があった。ヒマラヤ山脈とチベット高原の隆起による全地球的な寒冷化が原因。寒冷化による草原の拡大し、亜熱帯性の常緑樹から、冬の寒冷と夏の乾燥に対応した落葉樹に交代した。
 アフリカでも、900万年前から600万年前まで、類人猿の化石の空白期がある。

●骨食(p118)
 アルディピテクスが絶滅した鮮新世の乾燥したアフリカで、類人猿第4世代のアウストラロピテクスは、果実食から骨食に大転換した。
 捕食者たちが食べ残した草食動物の骨が主食となった。石を使って骨を割り、厚いエナメル質の臼歯が、骨を糊状にすりつぶした。骨は、肉よりも果実よりも高い栄養がある。アウストラロピテクス属200万年の繁栄は、この主食によって支えられた。
 アファレンシスの身長は1~1.5m、雄の体重は平均44.6kg、最大70kg。雌の体重は29kg。性差は1.55、チンパンジー1.2より大きく、マカク属やヒヒ類の性差と等しい。雄優位で、群れのサイズは数十頭から数百頭? ヒョウや、ハイエナ、チーター、リカオンなどの最大体重が60kg程度の肉食獣には十分対抗できた。

●王獣ホモ・エレクトゥス(p142)
 ホモ・エレクトゥス類の歯のエナメル質は、それ以前の人類に比べて薄い。石器が多様に使われ、それまでの「固いが噛み潰しやすい食べ物(地下茎など)」中心の食生活から、多様な食物を変化する環境に合わせて食べるようになった。大型の哺乳類の狩猟も行った。
 ハンドアックスは、160万年前の遺跡からも出土している。日本列島でも、3万年前まで作られていた。ホモ・エルガスターからホモ・アンテセッサーに至る、アフリカ、ヨーロッパ地域の原人とともにあった石器。ティア・ドロップの形、「厚手のランセオレイト型(槍の穂先型)」と形容される。大型のものは3kgを超える。アシューリアン文化と呼ばれる。
 ハンドアックスの特徴……均整の取れた形、大型化、サバンナ地域だけの分布、使用痕の少なさ。
 ホモ・エレクトゥスは、身長1.7m、体重60kg。ハンドアックスという武器を持つことによって、ライオンにも十分に対応できた。ライオンたちが最初の食欲を満たしたときに、威嚇者として出現すれば、新鮮な骨と残り物の肉を十分に手に入れられる。
 ケニヤのホモ・エレクトゥスの化石(ER1808)には、ビタミンAの取り過ぎの証拠が残されている。肉食動物の肝臓の食べ過ぎ。他の捕食獣たちに優越する「王獣」だった。

●魚貝類食(p188)
 毛皮のない裸のホモ・サピエンスは、突然変異で体毛を失った。裸の皮膚は、水中生活に適応した証拠ではない。
 顔の皮膚が薄い、裸の赤ん坊の「ほほえみ」は、毛皮をまとっていた両親に強烈な印象を与えた?
 サピエンスの骨は、エレクトゥスやネアンデルタール人に比べて、緻密質が薄く、骨そのものが細く、華奢。時に水中に潜ったり、泳いだりする水辺での暮らしには適している。「王獣」ホモ・エレクトゥスと競合することなく、貝類や魚類、海藻や水辺の植物を食料にするようになった。
 魚介類は、脳の発達に欠くことのできない栄養である必須脂肪酸や必須ミネラルの鉄やヨード(ヨウ素)が豊富に含まれている。
 ウガンダ(「千の湖の国」を自称する)からルワンダにかけての高原の湖沼地帯は、水生生物の宝庫。

●日本人(p204)
 ミトコンドリアDNAの研究により、アフリカ人以外のすべての民族は一つの系統であることが分かった。非アフリカ系は、第一グループ(日本人とその近縁)と第二グループ(ヨーロッパ人とその近縁)に大別される。
 日本人に最も近いのは、カムチャツカ半島基部のシベリア・イヌイット、南アメリカのパラグアイのグアラニ人。それに次ぐ近縁は、シベリアのエヴァンキ人、バイカル湖周辺のブリヤート人、中央アジアのキルギス人、南米のワラオ人。やや近いのは、オーストラリア先住民、ニューギニア海岸民、インド亜大陸中央部のアジア系インド人、南中国人(現在の少数民族)。
 韓国人や中国人は、第二グループの系統。韓国人は、南太平洋のポリネシアのサモア人と近い。ポリネシア人は、マダガスカルにまで拡散。

●イヌ(p218)
 犬の起源地は、東アジア。犬が家畜化されたは、1万5000万前(もしくは1万6000万年かそれ以前)の長江の南。ミャンマーのマンダレーあたりが、ホモ・サピエンスと犬の最初の遭遇地点? ユーラシア大陸北方種のオオカミの辺縁であり、小柄な犬の棲息地だった。
 犬は、10万年前にオオカミから東南アジアの高原で分岐したと想定される。
 犬は、オオカミと異なり、デンプンの消化能力が備わっている。ヒトの食事の残りを消化できる。

(2017/3/18)KG

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戦国「境界大名」16家 なぜ、あの家は近世大名として生き残れたのか
 [歴史・地理・民俗]

戦国「境界大名」16家 (歴史新書)

 榎本秋/著
出版社名:洋泉社(歴史新書)
出版年月:2017年1月
ISBNコード:978-4-8003-1137-5
税込価格:972円
頁数・縦:239p・18cm


 「境界大名」とは、近隣の大大名家に挟まれ、圧迫され、「境界」に身を置かざるをえない中小の大名を指す。本書の著者の命名である。
 戦国時代を「境界大名」として生き残り、無事に(?)明治維新を迎えた16家の軌跡をたどる。そこには幾多のドラマがある。

【目次】
1 御家断絶から再興を成し遂げる
 井伊氏 遠江国―数多の危機を乗り越えた末の異例の出世
 亀井氏 出雲国―主家再興を目指した宿敵・毛利氏との死闘
 諏訪氏 信濃国―甲斐の虎・信玄に翻弄された元名門武家
2 周辺勢力と戦い続けて生き残る
 真田氏 信濃国―次々と主君を変えながら勢力を拡大
 相馬氏 陸奥国―奥州第一の実力者・伊達氏との多年に渡る抗争
 相良氏 肥後国―群雄割拠の九州において島津氏に立ち向かう
3 大大名の間を渡り歩いて成り上がる
 水野氏 三河国―織田・松平・今川の狭間で動乱を生き抜く
 奥平氏 三河国―幾度もの主君変えのなか訪れた運命的活躍の場
 有馬氏 肥前国―肥前国支配を目指し勢いづく龍造寺氏との戦い
4 悲願の旧領奪還を勝ち取る
 遠山氏 美濃国―宗家滅亡後も続いた旧領奪還に向けた一族の戦い
 伊東氏 日向国―北の大友、南の島津との間で起きた絶頂と転落
 小笠原氏 信濃国―信長・秀吉・家康の元で領国への復帰を目指す
5 独自の役割を盾に生き残る
 宗氏 対馬国―朝鮮半島との境界で秀吉・家康相手に立ち回る
 松浦氏 肥前国―海外との窓口の地で独立勢力として駆け抜ける
 柳生氏 大和国―激動の大和国にあって一芸によって活路を見出す

【著者】
榎本 秋 (エノモト アキ)
 東京都生まれ。WEBプランニング、ゲーム企画、書店員を経て、現在は著述業。

【抜書】
●大村純忠(p154)
 日本初のキリシタン大名。
 1563年(永禄6年)、イエズス会の宣教師により、キリスト教へ入信。「バルトロメウ」の名をもらう。
 もともと、ポルトガル船が来航するのは、松浦氏が支配する平戸だった。しかし、ポルトガル人が殺される事件なども起き、関係が悪くなった。純忠は、ポルトガル貿易の利を求めてポルトガル船に港を開いた。永禄8年、福田浦(長崎市)。その後、長崎浦(長崎市)が開港、イエズス会に寄進される。
 大村純忠は、有馬晴純の子。大村純前(すみさき)は無理強いされて純忠を大村家の養子に迎え、家督を譲る。

●興福寺(p229)
 室町時代、大和国には武家の守護が置かれていなかった。古来より法相宗の大本山たる興福寺(こうふくじ:奈良市)があり、武力も有していたため、幕府が守護を配することができなかった。
 しかし、戦国時代に興福寺の支配が揺らぎ、興福寺宗徒や国人たちが割拠を始めた。そのなかで頭角を現したのが、宗徒出身の大名、筒井氏。

(2017/3/15)KG

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サイボーグ化する動物たち ペットのクローンから昆虫のドローンまで
 [自然科学]

サイボーグ化する動物たち-ペットのクローンから昆虫のドローンまで
  
エミリー・アンテス/著 西田美緒子/訳
出版社名:白揚社
出版年月:2016年8月
ISBNコード:978-4-8269-0190-1
税込価格:2,700円
頁数・縦:281p・20cm
 
 
 人類のためなのか、はたまた動物自身の幸福のためなのか?
 人間が、さまざまな動物に施す改造すなわち「サイボーグ化」をレポート。新奇なペットを求めて
光る熱帯魚を作る、遺伝子操作でリゾチームが豊富な乳を出すヤギを作る、愛猫のクローンを作る、センサーを装備したアザラシに深海探査をさせる、などなど。命とは何なのか。

【目次】
第1章 水槽を彩るグローフィッシュ
第2章 命を救うヤギミルク
第3章 ペットのクローン作ります
第4章 絶滅の危機はコピーで乗り切る
第5章 情報収集は動物にまかせた
第6章 イルカを救った人工尾ビレ
第7章 ロボット革命
第8章 人と動物の未来

【著者】
アンテス,エミリー (Anthes, Emily)
 科学ジャーナリスト。「ニューヨークタイムズ」「ネイチャー」「サイエンティフィック・アメリカン」「ワイアード」「ボストン・グローブ」などの各紙誌に執筆。マサチューセッツ工科大学からサイエンス・ライティングの修士号、イェール大学から科学史・医学史の学士号を取得。ニューヨークのブルックリン在住。『サイボーグ化する動物たち』で、優れた科学書に贈られる「AAAS(アメリカ科学振興協会)/Subaruサイエンスブックス&フィルム賞」を受賞している。

西田 美緒子 (ニシダ ミオコ)
 翻訳家。津田塾大学英文科卒業。

【抜書】
●グローフィッシュ(p20)
 1999年、シンガポール国立大学の生物学者ジーユエン・ゴングが、オワンクラゲなどの一部の種が独自に進化させた緑色蛍光タンパク質(GFP)の遺伝子を、ゼブラフィッシュの胚に直接注入することに成功。マイクロインジェクションという手法による。ブルーライトを当てると緑色に光る。
 イソギンチャクの仲間のGFPを導入して赤く光る系統、黄色の系統も作る。
 リチャード・クロケットとアラン・ブレイクが、ヨークタウンテクノロジーズ社を設立、テキサス州オースティンに店を出す。光る魚をグローフィッシュと名付け、養殖して販売を開始する。
 発売は、2004年1月。赤い色のグローフィッシュ。 米国食品医薬品局(FDA)や、カリフォルニア州魚類鳥獣委員会の認可が下りるのに時間がかかった。
 2006年、緑色とオレンジ色を発売。2011年、青色と紫色を追加。2012年、緑色に輝くホワイトスカートテトラを発売。

●ファーミング(p45)
 pharming……pharmacy(薬学)とfarming(農業)を組み合わせた造語。
 遺伝子操作によって、動物を人間の病気を治すための工場に変えること。
 リゾチーム……体内に侵入した細菌の細胞壁を分解し、中身を外にあふれださせる酵素。免疫系を強化し、乳児の下痢性疾患を抑える。あらゆる哺乳動物のミルクに含まれているが、ヒトの母乳では特に濃度が高く、別の動物の3000倍。
 カリフォルニア大学デービス校の動物科学者ジェイムズ・マレーとエリザベス・マーガは、遺伝子組み換えによって、リゾチームを多量に含むミルクを出すヤギの「ファーミング」に取り組む。「アルテミス」誕生。

●キメラ、ハイブリッド(p60)
 キメラ……二つの異なる種に由来する細胞を持つ動物。「青い」細胞と「赤い」細胞がパッチワークキルトのように、青1色の細胞と赤1色の細胞が混じり合って並んでいる。
 遺伝子組み換え動物……各細胞の中に異なる種の遺伝子が1個ずつ入っている。青い細胞のそれぞれに赤い点が1個ずつ入っている。
 ハイブリッド……一つの種の精子と別の種の卵子とが受精してできる雑種。すべての細胞が紫色になる。

●更新世パーク(p119)
 生物は複雑な生態系の一部を担っているので、一つの動物集団が突然消えると、生態系全体の歯車が狂う。
 絶滅した動物を生息環境に再導入することによって、景観を取り戻すことができるかもしれない。
 シベリア北部のツンドラ地帯は、雪におおわれた大地に低木とコケ以外の植生はほとんど見当たらない。12,000年ほど前まで続いた更新世には、青々とした野草が茂り、ケナガマンモス、バイソン、野生のウマが歩き回っていた。
 ロシア科学アカデミー北東科学観測所の所長セルゲイ・ジーモフの「サイエンス」誌への投稿。「冬になると動物たちが、その前の夏に生えた草を食べた。これらの動物たちは排泄物によって土壌を肥やし、植物の生産性を高める一方、コケや低木を踏みつけて、しっかり根付かせないようにしていた。もしも更新世の動物の大きな群れがここにいて景観を守っていたならば……北方の草原は今もまだ生き残っていたはずだと、私は考えている。」
 ジーモフは、更新世の代表的な草食動物(もしくは現代の同等の動物)をツンドラ地帯に連れ戻す実験を行っている。「更新世パーク」と名付けた広い保護区に、数十年かけて動植物の多様性を復元する計画。すでに、トナカイ、ヘラジカ、ジャコウウシ、バイソン、野生のウマがここを歩きまわっている。
 北米の大草原地帯に野生のウマ、ラクダ、ゾウ(マンモスの代役)、チーター(アフリカチーターがアメリカチーターの代役)などを放して「再自然化」しようという提案もある。

●チーター(p122)
 およそ1万年前に何らかの破壊的状況が起きて地球上のチーターの大半が死滅した。現在のチーターは際立って均質で、遺伝的差異がほとんどない。繁殖力が低く、精子異常の割合が高い。

●ゾウアザラシ(p148)
 ミナミゾウアザラシは、人間がなかなか近付けない、極寒の南極水域に生息。水深1600m以上まで潜水して餌をとる。
 2003~2007年、セントアンドリューズ大学(スコットランド)の海洋生物学者マイケル・フェダックらが、102頭のゾウアザラシの頭に多機能タグを貼り付けた(換毛期には毛とともにはがれおちる)。海面下に潜るたびに装置が作動し、水圧、温度、塩分濃度を一定間隔で測定する。海面に顔を出すと、タグの衛星発信器がデータを研究室に送り返す。
 生物学者の「タグ装着プロジェクト」に、海洋学者たちも興味津津。アザラシの集めたデータが、海面から海底まで、垂直部分全体の詳細な分析結果を組み立てる。南極海底で未発見だったトラフの存在が明らかになる。

●ニューティクル(p170)
 避妊手術で睾丸を摘出した雄犬のための人工睾丸。1995年に登場。犬の精神的苦痛を和らげる?
 愛犬家グレッグ・ミラーが考案。しかし、愛犬バッグには間に合わなかった。肝臓がんで死亡。

●犬の遺伝病(p216)
 犬は、純血種を作るために近親交配を続けたため、遺伝病や奇形が目立つ。
 人気の高い犬種50種の調査では、396の遺伝病が見つかる。
 ダルメシアン……聴覚障害が多い。
 ドーベルマン……発作性睡眠障害(ナルコレプシー)にかかる傾向が強い。
 ラブラドル・レトリバー……股関節の形成不全。

(2017/3/12)KG

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法律を読む技術・学ぶ技術 元法制局キャリアが教える 改訂第3版
 [社会・政治・時事]

元法制局キャリアが教える 法律を読む技術・学ぶ技術[改訂第3版]

吉田利宏/著
出版社名:ダイヤモンド社
出版年月:2016年5月
ISBNコード:978-4-478-06509-9
税込価格:1,944円
頁数・縦:326p・21cm


 法律を学ぶというのは、条文やテキストを丸暗記することではない。「リーガルマインド」を身に付けることだ。それが法律を理解する近道である。
 本書は、「リーガルマインド」を身に付けるための基礎知識を、簡単な練習問題を説きながら学ぶ。

【目次】
1 知識編
 ようこそ!法律の世界へ
 法律の基本ルールを知ろう
 法律学習の基礎知識
 法律のヒエラルキーを知っておこう
 裁判の仕組みや判例のことを知ろう
2 図解・読解編
 法律の全体像をつかむコツ&図解術
 法律への理解を深める図解術
3 法律編
 憲法の読み方・学び方
 民法の読み方・学び方
 刑法の読み方・学び方
 行政法の読み方・学び方

【著者】
吉田 利宏 (ヨシダ トシヒロ)
 1963年生まれ。早稲田大学法学部卒業後、衆議院法制局に入局。15年にわたり法律や修正案の作成に携わる。特殊法人等改革基本法案、祝日法や公職選挙法の改正案、情報公開法案の修正案などの作成に参画。02年農林水産担当参事で退職。現在、著述業。早稲田大学エクステンションセンター講師。

【抜書】
●リーガルマインド(p24)
〔 法律を学ぶ意義は、ずばり、リーガルマインドを養うことにあります。リーガルマインドとは、「物事の正義や公平の感覚」のことです。〕

●「又は」と「若しくは」(p63)
 (イカ)、(赤身)又は(ギョク)……三つが並列。
 (イカ若しくは赤身)又は(ギョク)……イカ、赤身が同列。

●「及び」と「並びに」(p65)
 (プードル)、(チワワ)、(アメリカン・ショートヘア)及び(ペルシャ)……四つが並列。
 (プードル及びチワワ)並びに(アメリカン・ショートヘア及びペルシャ)……2対2。

●対抗する(p74)
 対抗する=主張を通すことができる。「善意の第三者に対抗することはできない。」

●裁判員制度(p123)
 まず、抽選で「裁判人候補者」に登録され、その中から、事件ごとに抽選が行われ、「裁判員候補者」が選ばれる。
 裁判員候補者は、1事件あたり92人。そのうち選任期日に来る人は平均29人。その中からくじで6人の裁判員が選ばれる。
 日当は1万円以内。

(2017/3/6)KG

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新編荒野に立つ虹
 [哲学・心理・宗教]

新編 荒野に立つ虹

渡辺京二/著
出版社名:弦書房
出版年月:2016年12月
ISBNコード:978-4-86329-141-6
税込価格:2,916円
頁数・縦:436p・20cm


 『アーリイモダンの夢』(弦書房)と、『渡辺京二評論集成 第3巻』『同第4巻』(葦書房)からいくつかの論文を集め、1冊にまとめた。「荒野に立つ虹」は、『評論集成 第3巻』のタイトルである。1982年から2012年にかけて、新聞・雑誌に掲載された論文・エッセーを収録している。
 渡辺は、「英語という共通語、民主主義、人権、スーパーマーケット、インターネットで成り立っているような人類共通文化など、私はご免蒙りたい」(p86)と述べているが、人類は、現代に新たに出現したものや文化、たとえばスーパーマーケットとか、インターネットなどを共有することにより、ひとつになることができないものだろうか。個々の民族、国家の特質を失わず、お互いに尊重しつつ。

【目次】
1 現代文明
 いま何が問われているのか
 ポストモダンの行方
  ほか
2 現代政治
 アジアの子から見たマルクス
 社会主義は何に敗れたか
  ほか
3 イヴァン・イリイチ
 イリイチ翻訳の弁
 イリイチを悼む
  ほか
4 日本早期近代
 逝きし世と現代
 徳川期理解の前提
  ほか

【著者】
渡辺 京二 (ワタナベ キョウジ)
 1930年、京都市生まれ。日本近代史家。

【抜書】
●阿部年晴(p88)
 文化人類学者。『アフリカ人の生活と伝統』(1982年 、「人間の世界歴史」第15巻、三省堂)、『アフリカの創世神話』(1965年、紀伊國屋書店)。
 アフリカが、「長く同じような技術水準と生産力の段階にとどまり、そこで可能な社会や文化の形態をさまざまに模索し、展開し、開花させて来たということは、停滞ではなく彼らの積極j的な達成なのであり、アフリカ大陸が人類史になした寄与とも呼べるものである」(『アフリカ人の生活と伝統』)。

●分益小作制(p130)
 ウォーラーステインは、マルクス主義の発展的世界史観を否定する。世界資本主義が成り立つうえでの絶対的必然的な要素は、世界が中核、半辺境、辺境の三つに分かれていることである。『史的システムとしての資本主義』。
 中核諸国では、自由なる労働者、つまり工場労働者や近代プロレタリアートが成立する。
 半辺境では、シェア・クロッパー、つまり「分益小作制」という労働形態をとる。日本の小作と似たような制度で、4が地主で6が小作というように、収穫の量を取り合う。
 辺境では、奴隷労働あるいは農奴的労働が行われている。

●平衡と矛盾(p156)
〔 毛沢東の最後の冒険は結局悲惨な失敗に終わりましたし、ホメイニ革命の帰結も今や明らかだと思います。どうしてそういう試みが失敗するかというと、人類の意識というものが矛盾から平衡へ、平衡から矛盾へと絶えず運動を繰り返して高次のものへ展開するダイナミクスを、政治的あるいは宗教的な固定化によって阻止しようとしているからです。西洋近代文明は様々な問題を含みつつも、根本的にはそういう人類の意識の展開のひとつのかたちに他ならず、それを政治的あるいは宗教的権力の強制によってせきとめようとするのは、最初から失敗を予定づけられた試みといわねばなりません。〕
 
(2017/3/4)KG

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