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つながる脳科学 「心のしくみ」に迫る脳研究の最前線
 [自然科学]

つながる脳科学 「心のしくみ」に迫る脳研究の最前線 (ブルーバックス)
 
理化学研究所脳科学総合研究センター/編
出版社名:講談社(ブルーバックス B-1994)
出版年月:2016年11月
ISBNコード:978-4-06-257994-0
税込価格:1,253円
頁数・縦:322p・18cm


 脳科学の最先端を、BSI(Brain Science Institute:理化学研究所脳科学総合研究センター)で行われている研究の紹介を通して解説。サイエンスライターの丸山篤史がインタビューを元に原稿を執筆。

【目次】
第1章 記憶をつなげる脳
第2章 脳と時間空のつながり
第3章 ニューロンをつなぐ情報伝達
第4章 外界とつながる脳
第5章 数理モデルでつなげる脳の仕組み
第6章 脳と感情をつなげる神経回路
第7章 脳研究をつなげる最新技術
第8章 脳の病の治療につなげる
第9章 親子のつながりを作る脳

【著者】
利根川進 (トネガワ ススム)
 1939年生まれ。京都大学理学部卒業。カリフォルニア大学サンディエゴ校博士課程修了。1987年、「多様な抗体を生成する遺伝的原理の解明」によりノーベル生理学・医学賞を受賞。2009年より、理化学研究所脳科学総合研究センター センター長。

藤澤茂義(フジサワ シゲヨシ)
 1977年、岡山県生まれ。京都大学工学部卒業。東京大学大学院薬学系研究科博士課程修了。米国ラトガース大学分子行動神経科学センター、ニューヨーク大学医学部神経科学センター研究員などを経て、2012年より、システム神経生理学研究チーム チームリーダー。

合田裕紀子(ゴウダ ユキコ)
 1962年、兵庫県生まれ。トロント大学理学部卒業。スタンフォード大学生化学科大学院博士課程修了。カリフォルニア大学サンディエゴ校理学部助教授、英国MRC細胞生物学ユニット(ロンドン大学)シニアグループリーダーなどを経て、2011年より理化学研究所脳科学総合研究センター シナプス可塑性・回路制御研究チーム チームリーダー。2015年より副センター長も兼務。

風間北斗(カザマ ホクト)
 1978年、米国ミシガン州生まれ。東京大学理学部物理学科卒業。同大大学院理学系研究科物理学専攻博士号取得。ハーバード大学大学院医学系研究科神経生物学科博士研究員などを経て、2010年より知覚神経回路機構研究チーム チームリーダー。2011年からは東京大学大学院総合文化研究科特任準教授も務める。

豊泉太郎(トヨイズミ タロウ)
 1978年、東京都生まれ。東京工業大学理学部卒業。東京大学大学院新領域創成科学研究科博士課程修了。米国コロンビア大学博士研究員などを経て、2011年より神経適応理論研究チーム チームリーダー。2013年から3年間、東京工業大学大学院総合理工学研究科連携准教授も兼任した。

ジョハンセン, ジョシュア(Johansen, Joshua)
 1973年、米国カリフォルニア州生まれ。米国コロラド大学ボルダ―校心理学専攻卒業。米国カリフォルニア大学ロサンゼルス校神経科学専攻博士課程修了。ニューヨーク大学博士研究員を経て、2011年より記憶神経回路研究チーム チームリーダー。2015年からは、東京大学大学院総合文化研究科客員准教授も兼任。

宮脇敦史(ミヤワキ アツシ)
 1961年、岐阜県生まれ。慶應義塾大学医学部卒業。大阪大学大学院医学系研究科博士課程修了。東京大学医科学研究所助手、カリフォルニア大学サンディエゴ校研究員などを経て、1999年より理化学研究所脳科学総合研究センターに勤務。現在、副センター長、細胞機能探索技術開発チーム チームリーダー。

加藤忠史(カトウ タダフミ)
 1963年、東京都生まれ。東京大学医学部卒業。滋賀医科大学精神医学講座助手、東京大学医学部精神神経科講師などを経て、2001年より精神疾患動態研究チーム シニア・チームリーダー。2015年から副センター長を兼務。

黒田公美(クロダ クミ)
 1970年、東京都生まれ。京都大学理学部物理系卒業。その後、大阪大学医学部に入学、同大大学院医学研究科博士課程修了。カナダ・マギル大学博士研究員として留学した2002年から親子関係の研究を始める。理化学研究所基礎科学特別研究員などを経て、2015年より親和性社会行動研究チーム チームリーダー。

【抜書】
●エングラム(p24、利根川)
 ある出来事を記憶することによって脳内に起こり維持される物理的・化学的変化のことを「記憶のエングラム(痕跡)」という。
 記憶のエングラムセオリー……エングラムを作ることによって記憶ができたり、エングラムを保持している細胞群の発火でその記憶が思い出せされたりするというアイディアのこと。

●過誤記憶(p33、利根川)
 過誤記憶……False memory。現実に経験したことがないのに、あたかも経験したがごとく記憶ができてしまう。

●ヘブ則(p53、利根川)
 ヘブ則、ヘブの法則。
 シナプスを介したニューロンの信号伝達では、伝達効率(信号の流れやすさ)が変化する。よく使われるシナプスの伝達効率は上がり(シナプスの強化)、あまり使われないシナプスの伝達効率は下がる。
 伝達効率を決めているのは、シナプスにおける神経伝達物質の放出量、神経伝達物質を受け取るレセプターの数、シナプスそのものの大きさなど、様々な要因がある。

●スパイン(p54、利根川)
 スパイン……シナプス後部(神経伝達物質を受け取る側)にある構造。ここで刺激を受け取る。エングラムセルを刺激するスパインの数が多ければ、それだけ想起しやすくなる。
 初期アルツハイマー病においては、一般に海馬細胞のスパインの数が異常に少ない。初期アルツハイマー病は、記憶できないのではなく、記憶したものを想起できない症状。
 スパインを増やせば、初期アルツハイマー病の治療につながる可能性がある。

●ノンレム睡眠(p79、藤澤)
 あるラットの研究によると、睡眠中に、場所細胞の圧縮表現によるリプレイが行われていた。
 ノンレム睡眠中はリップル波(回顧や予定しているときと同じ)の上に、レム睡眠中はシータ波(歩行中と同じ)の上に圧縮されていた。夢を見ていない時には圧縮されて、夢を見ているときには歩行中と同じ速さでリプレイされていた。
 リプレイは、神経回路の強化に機能していると考えられている。

●視床室傍核(p273、加藤)
 双極性障害は、ミトコンドリアDNA機能障害によって起こると考えられている。うつ状態のマウスで、ミトコンドリアDNAの変異がたまっているところは、「視床室傍核」だった。
 視床室傍核……視床上部と呼ばれる場所にある。ここには、手綱核と松果体が含まれる。
 手綱核……たづなかく。良くないことが起きることを予測した時に活動。報酬系を抑制する働きをもつ。
 ミトコンドリア機能障害が関係している病気……糖尿病は、膵臓のランゲルハンス島のミトコンドリア機能障害。パーキンソン病は、黒質(ドーパミンを神経伝達物質に持つ神経細胞)のミトコンドリア機能障害。

(2017/4/1)KG

〈この本の詳細〉


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