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習近平の中国 百年の夢と現実
 [社会・政治・時事]

習近平の中国――百年の夢と現実 (岩波新書)  
林望/著
出版社名:岩波書店(岩波新書 新赤版 1663)
出版年月:2017年5月
ISBNコード:978-4-00-431663-3
税込価格:886円
頁数・縦:220,3p・18cm
 
 
 2016年10月27日、北京の中国共産党中央委員会第6回全体会議(六中全会)で、党の「核心」と位置づけられた習近平。実は、「核心」と呼ばれた総書記は、これまでに毛沢東、鄧小平、江沢民の3人しかいない。習指導部が盤石のものとなり、独裁体制が鮮明になった証とみてよい。
 そんな「習近平の中国」の来し方・行く末を描く。
 
【目次】
序章 習近平の描く夢
第1章 勃興する大国、波立つ世界
 米中の攻防
 海への野心
 日中の地殻変動
第2章 中国式発展モデルの光と影
 改革開放のひずみ
 農民を食べさせる
 国家の繁栄、市民の憂鬱
第3章 十三億人を率いる党
 強まる自負と深まる危惧
 「核心」時代の党大会
終章 形さだまらぬ夢
 
【著者】
林 望 (ハヤシ ノゾム)
 1972年長野県生まれ。1995年東京外国語大学外国語学部中国語学科卒業。信濃毎日新聞、人民中国雑誌社勤務の後、2001年に朝日新聞社入社。香港支局長、広州支局長などを経て、2012年から中国総局員として中国の政治・社会分野の取材を担当。2016年から米戦略国際問題研究所(CSIS)客員研究員。
 
【抜書】
●百年マラソン(p56)
 過去100年に及ぶ屈辱に復讐すべく、中国共産党革命百周年にあたる2049年までに、世界の経済・軍事・政治のリーダーの地位をアメリカから奪取するという計画。
 
●三大国有大手企業(p102)
 中国の国有企業の三大大手。石油の生産を効率化するために全国に散らばっていた企業や施設を統廃合した。
 ・中国石油天然ガス集団(CNPC)
 ・中国石油化工集団(シノペック)
 ・中国海洋石油
 企業と言いながら実態は政権と一体の存在。そこでキャリアを積んだ幹部が、歴代の共産党指導部の一角を占めてきた。党最高指導部との太いつながりを背景に、国有石油大手は中央政府を同格かむしろ格下とみなしている。
 
●公民意識(p137)
 中国人の間で広がりつつあるのが「公民意識」。
 人民……共産党政権を支えてその支配に従うという政治的な意味合いが強い。
 公民……暮らしや生命にかかわる権利意識に目覚めた人々を指す。
 新公民運動……真正面から共産党に抵抗するのではなく、社会の安定を願い、中国社会をより公正で風通しの良いものにしたいという意識の表れ。新公民運動が目指したのは、「公民」がつながる「公民社会」を育て、広げること。守るべき生活と財産、幅広い知識や情報をもつ中間層が育ってきたことも一因。
 
●『炎黄春秋』(p142)
 『炎黄春秋(えんこうしゅんじゅう)』……中国の改革派の言論を代表してきた月刊誌。
 2016年7月、『炎黄春秋』の社長を解任された杜道正が以下のような声明を発表した。
 「今後、『炎黄春秋』を名乗って刊行されるいかなる出版物も、弊社とは一切関係ありません」。
 習近平指導部になってから、記事の事前検閲が強まったり、監督機関を党の影響力の強い団体に変更させられたりし、多くのスタッフが去っていった。そして、ついに杜社長も解任された。
 もともと『炎黄春秋』は、胡耀邦元総書記の息子の胡徳華らの支えを受け、共産党体制の下で政治改革や経済改革を促そうとする穏健な改革派言論人のよりどころとなってきた。胡耀邦や趙紫陽元総書記ら、1980年代の改革派指導者たちの志を引き継ごうとする共産党内の声を代表していた。
 
(2017/7/29)KG
 
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遺伝子の社会
 [自然科学]

遺伝子の社会  
イタイ・ヤナイ/著 マルティン・レルヒャー/著 野中香方子/訳
出版社名:NTT出版
出版年月:2016年10月
ISBNコード:978-4-7571-6069-9
税込価格:3,024円
頁数・縦:285p・20cm
 
 
 生き残りをかけて闘いを繰り広げる「遺伝子の社会」を描く。生物の進化を、遺伝子をキーとしてわかりやすく解説してくれる。
 
【目次】
第1章 八つの簡単なステップを経て進化するがん
第2章 敵はあなたをどう見ているか
第3章 セックスの目的は何か?
第4章 クリントン・パラドックス
第5章 複雑な社会に暮らす放埒な遺伝子たち
第6章 チューマン・ショー
第7章 要は、どう使うかだ。
第8章 窃盗、模倣、イノベーションの根
第9章 物陰の知られざる生命
第10章 フリーローダーとの勝ち目のない戦い
 
【著者】
ヤナイ,イタイ (Yanai, Itai)
 ニューヨーク大学医学部教授(生化学・分子薬理学)・計算医学研究所所長。ハーバード大学、ワイツマン科学研究所(イスラエル)、イスラエル工科大学(テクニオン)准教授(生物学)・テクニオンゲノムセンター所長を経て現職。
 
レルヒャー,マルティン (Lercher, Martin)
 デュッセルドルフのハインリッヒ・ハイネ大学教授(生物情報学)。ケンブリッジ大学でPhD(理論物理学)取得後、バース大学(イギリス)とハイデルベルクのヨーロッパ生物学研究センターでゲノムを研究。
 
野中 香方子 (ノナカ キョウコ)
 翻訳家。お茶の水女子大学卒業。
 
【抜書】
●テロメラーゼ(p25)
 テロメアの再生を専門とする酵素。複数のたんぱく質(サブユニット)で構成され、異なる染色体上の遺伝子座にコードされている。TERT遺伝子が、テロメラーゼの作成にかかわる。
 テロメラーゼが存在する理由……卵子や精子を作る過程で、次世代が完全なテロメアを備えるために必要になる。このような、「不死」細胞という選ばれたグループのみで使われ、一般の細胞では働かないようになっている。
 テロメア……染色体の両端についている。細胞分裂の回数をおおまかに記録する「カウンター」。決まった文字列(哺乳類ではTTAGGG)が数千回も繰り返される。染色体が複製されると、テロメアの端が切り離され、短くなる。
 
●癌のホールマーク(p29)
 癌の発生には、以下の八つのホールマーク(証明)すべてを経なければならい。
 (1)増殖シグナルを自給する。
 (2)増殖抑制シグナルを無視する。
 (3)不死になる。
 (4)細胞の自殺を避ける。
 (5)免疫システムによる破壊を避ける。
 (6)貪欲にエネルギーを消費する。
 (7)新しい血管を引き寄せる。
 (8)遠くの部位をに侵入する。
 
●自然選択が働く条件(p36)
 (1)個体差があり、(2)遺伝性で、(3)適応度に影響するときに、自然選択が働く。ダーウィンによる。
 
●ハダカデバネズミ(p41)
 東アフリカに棲む。寿命が30年。一般にネズミの寿命は2~3年。
 ハダカデバネズミは癌にかからない? 八つの防御プログラムの一つを強化したか、九つ目の防御メカニズムを備えている。この仕組みが分かれば、癌の新薬開発に貢献する可能性あり。
 
●アレル(p44)
 アレル=対立遺伝子。たとえば、ヒトの半分は、ある遺伝子の4番目にCがあり、残り半分はGがあるといった具合。
 
●トゲネズミ(p82)
 日本のオキナワトゲネズミには、Y染色体がない。X染色体が一つしかないのが、オスのしるし。
 
●精子の生成(p91)
 精子の生成は思春期に始まり、男性が死ぬまで続く。しかし、細胞分裂のたびにより多くの変異が蓄積されていく。そのため、多くの遺伝的疾患は、父親の年齢とともに増えていく。
 マルファン症候群は、父親の精巣で発生した変異が原因となる場合が多い。50歳以上の父親は、20歳代前半の父親より、10倍可能性が高い。
 マルファン症候群……異常に背が高く、指が細長く、しばしば、肺、目、主幹動脈の病気を抱えている。結合組織を組み立てるのに必要なたんぱく質の形成を担っているフィブリリン1遺伝子の欠損が原因。
 
●アフリカ(p123)
 アフリカの外より中のほうが遺伝的多様性が豊か。
 非アフリカ人よりアフリカ人のほうが変異の種類が多いので、どんなことでも、最高に優れた遺伝的要因を持つ人は、アフリカ大陸のどこかに住んでいる可能性が高い。
 〔いつの日か、アフリカのどこかで子どもたちがチェスをするようになり、数世代経てば、チェスの国際大会でアフリカ人が優勝する、というのも、まったくの絵空事ではない。〕
 
●エピスタシス(p136)
 アレル間の相互作用。
 たとえばパーキンソン病は、原因はエピスタシス、すなわち三つのアレルの相互作用がうまくいかないことに起因する。
 
●セントロメア(p150)
 ヒトの染色体は23対、チンパンジーの染色体は24対。ヒトの第二染色体は、チンパンジーの二つの短い染色体がくっついたもの。
 セントロメア……すべての染色体にある、特別な領域。細胞が分裂するとき、分子の「ロープ」がこの領域に付着し、対になっている染色体を引き離す。
 ヒトの第二染色体には、現在のセントロメアの他に古いセントロメアの名残がある。祖先の二つの染色体が融合した時の名残。
 
●チンパンジー(p159)
 チンパンジーとヒトのX染色体の違いは、他の染色体の違いより約20%も少ない。ヒトとゴリラのゲノムでは、変異はすべての染色体に均等に散らばっている。
 初期のチンパンジーと初期のヒトが分岐し、それぞれのゲノムがかなり変異を蓄積した後、再び交配した。その際、チンパンジーの雌とヒトの雄との交配に偏っていた。
 混血の子ども(娘XXと息子XY)のX染色体の三分の二は、チンパンジー由来となる。
 
●ネアンデルタール人(p162)
 アフリカ人のゲノムは、非アフリカ系に比べて、ネアンデルタール人との違いが少し多い。30万年以上前に分岐した現生人類(初期のヨーロッパ人)とネアンデルタール人が、のちにアフリカの外で再び性的な交渉を持った証拠。
 
●デニソワ人(p164)
 アジア北部に暮らしていた人類。ネアンデルタール人の遠い親戚。
 東南アジアに到達した現生人類と性交した。現代の東南アジア人のゲノムにその痕跡が残されている。
 
●HLA遺伝子(p168)
 現生人類より20万年も前からヨーロッパで暮らしていたネアンデルタール人は、この地域の気候と病原体に適応していた。交配によって、その遺伝子が現生人類に受け継がれ、自然選択で普及した。
 ヒト白血球型抗原HLA-AとHLA-Cは、細胞内部から細胞の表面へたんぱく質断片を運ぶ役割を担うたんぱく質をコードする遺伝子。免疫系の機能にとって重要な遺伝子。どの病原体が認識できるかに影響する。
 現代アジア人のHLA遺伝子は、デニソワ人のゲノムに見られるものによく似ている。全体的にみて、現代アジア人の70~80%は、ネアンデルタール人とデニソワ人のいずれかに由来するHLA-Aアレルをそのゲノムに含んでいる。
 現代ヨーロッパ人では、ネアンデルタール人のアレルを持つ可能性はおよそ50%。
 アフリカ人は、これら古代型のHLA-Aタイプの一つを持つ可能性は6%。おそらく、その人の祖先がユーラシアからアフリカに戻った結果。
 
●選択浄化(p174)
 重要な変異の周辺では多様性が失われること。
 通常、二つのヒトゲノムを比べると、1,000文字に一つ違いがある(欠損や挿入を除く)。
 FOXP2遺伝子は、発話にとって重要な遺伝子。FOXP2周辺の領域は、みんな似ている。その違いは、通常の0.5%以下。言語が、ある家族が繁栄するうえでいかに重要だったかということの表れ。
 
●GADD45G(p177)
 GADD45Gは、マネージャー・タイプの遺伝子で、どの細胞の成長を止めるかというタスクを管理する。腫瘍抑制遺伝子とも呼ばれる。
 チンパンジーとヒトのゲノムの違いの一つは、GADD45G遺伝子のスイッチを含む領域にある。ヒトでは、3,200文字からなるかなり長い配列が欠けている。この欠損により、胚成長のある段階で、脳領域の成長を止める能力を失った。つまり、ヒトが大きな脳を持つことになった。
 
●HOX遺伝子(p190)
 胎生のある時期、動物は非常によく似ている。
 ほとんどの動物が、非常によく似た文字配列のホメオティック遺伝子群=HOX遺伝子群(形質転換遺伝子)を持っている。ハエ、センチュウ、マウス、……etc。例外は、クシクラゲ類など。
 HOX遺伝子は、交換可能。ハエのHOX遺伝子をセンチュウやマウスに導入しても胎の正常な成長を導くことができる。
 
●クリスタリン(p199)
 水晶体は、クリスタリンと呼ばれる透明なたんぱく質によって形成されれる。
 クリスタリン遺伝子は、代謝にかかわる遺伝子が重複し、進化したもの。クリスタリンの元々の仕事は、アルコールの分解だった。
 
●真正細菌、古細菌(p228)
 およそ20億年前、古細菌が小さな真正細菌(ミトコンドリアの祖先)を飲み込み、それをエネルギー源にした。そして、真核生物が誕生した。
 細胞内にミトコンドリアを取り込んだ結果、核ができた。核の壁は、家主のゲノムを取り囲み、死んだ間借り人(ミトコンドリア)のDNAの絶え間ない流入から自らのゲノムを守っている。
 
●LINE1(p237)
 60億文字からなるヒトのゲノムでは、管理に必要なスイッチも含め、実際に機能しているDNAは全体の三分の一に満たない。2万個のたんぱく質コード遺伝子や、健康に貢献すると思われる他のゲノム領域など。残りの40憶文字は、人の生存に何の貢献もしていない。
 LINE1(Long Interspersed Elements type 1) ……ゲノムのフリーローダー。ゲノムのうち15%以上は、ある特定の配列となっており、それがLINE1。50万コピー以上存在する。ニューヨーク公立図書館の蔵書1,200万冊のうち、180万冊がまったく同じ本(!?)。
 50万コピーは、完全に一致するわけではなく、多少の変異もある。数百年前に1匹の霊長類の遺伝子に入り込んだ配列にさかのぼる。
 完全なLINE1は、6,000文字の長さがある。マネージャー、コンバーター(RNAからDNAへの変換)、プレーカー(DNAの切断)の機能を持つ領域で成り立っている。ゲノムの他の部分に、自らのコピーをペーストしている。 ⇒ セルフ・コピー&ペースター
 
●Alu(p243)
 Aluファミリーは、ヒトのゲノムのなかに100万コピー存在し、10%を占めている。100~400文字の短いフリーローダー。LINE1と異なり、コンバーターとブレーカーを持たない。LINE1が切断したDNAの切り口に入り込む。
 
(2017/7/28)KG
 
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なぜペニスはそんな形なのか ヒトについての不謹慎で真面目な科学
 [自然科学]

なぜペニスはそんな形なのか ヒトについての不謹慎で真面目な科学
 
ジェシー・ベリング/著 鈴木光太郎/訳
出版社名:化学同人
出版年月:2017年3月
ISBNコード:978-4-7598-1926-7
税込価格:2,700円
頁数・縦:317, 13p・20cm
 
 
 ゲイの進化心理学者による、性、宗教、自殺など、タブーと見られがちな分野に関する「進化論的」エッセー。学術論文を多く引用し、テーマはきわどいが、内容は極めて科学的である。
 
【目次】
1 どうしてぶら下がっているの?その理由
2 自己フェラチオの道(近づきはしたけど、まだまだ)
3 なぜペニスはそんな形なのか?突起の謎
4 早漏のなにが「早過ぎ」?
5 ヒトの精液の進化の秘密
6 あそこの毛―ヒトの陰毛とゴリラの体毛
7 カニバリズムの自然史
8 なぜにきびができるのか?―裸のサルとにきび
9 脳損傷があなたを極端なほど好色にする
10 脳のなかの性器
11 好色なゾンビ―夜間の性器と夢遊
12 マスターベーションと想像力
13 小児性愛と思春期性愛
14 動物性愛
15 無性愛者の謎
16 足フェチ―ポドフィリア入門
17 ゴム偏愛者の物語
18 女性の射出
19 「ファグ・ハグ」―男が好きな男を好きな女
20 女性のオルガスムの謎
21 意地悪の進化―なぜ女の子どうしは残酷なのか?
22 ゲイに道は聞くな
23 抑圧された欲望としてのホモ恐怖
24 失恋、性的嫉妬とゲイ
25 トップかボトムか、それとも
26 プレ同性愛者―性的指向を予言する
27 (日曜だけは)敬虔な信者
28 埋めよ、増えよ―信者の産む子どもの数
29 亡き母の木
30 自殺は適応的か?
31 自殺者の心のなか
32 ヒトラー問題で考える自由意志
33 笑うネズミ
 
【著者】
ベリング,ジェシー (Bering, Jesse)
 PH.D.。1975年アメリカ生まれ。実験心理学者・コラムニストで、『サイエンティフィック・アメリカン』や『スレート』の常連寄稿者。フロリダ・アトランティック大学大学院修了後、アーカンソー大学准教授、ベルファストのクイーンズ大学認知文化研究所のディレクターを経て、現在、ニュージーランドのオタゴ大学サイエンス・コミュニケーション・センターで准教授を務める。
 
鈴木 光太郎 (スズキ コウタロウ)
 新潟大学人文学部教授。専門は実験心理学。東京大学大学院人文科学研究科博士課程中退。
 
【抜書】
●遅漏ー高攻撃性仮説(p37)
 社会学者ローレンス・ホン「早漏者生存――早漏の起源について」(1984年)という論文で展開。
 霊長類では、セックスが短時間で終わる種ほど、配偶に関係した行動では攻撃性が低い。
 より早く射精する男性のほうが、危害が加えられるのを避け、より長生きし、その結果高い地位を占め、最も望ましい雌たちを獲得する機会が多くなる。男性の膣内射精の潜時は遺伝する。
 
●精漿の成分(p45)
 ヒトの精液中、精子の割合は1~5%。残りの液を精漿という。
 精漿の成分は、ホルモン、神経伝達物質、エンドルフィン、免疫抑制物質などを含む。
 コルチゾール……愛情を高める作用がある。
 エストロン……気分を高める。
 オキシトシン……気分を高める。
 プロラクチン……自然の抗鬱薬。
 甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン……抗鬱薬。
 セロトニン……抗鬱作用のある神経伝達物質。
 メラトニン……催眠物質。
 卵巣刺激ホルモン(FSH)……女性ホルモンの一種。卵巣内の卵胞の成熟を引き起こす。
 黄体形成ホルモン(LH)……女性ホルモンの一種。排卵を誘導し、その卵を排出する。
 
●ケジラミ(p58)
 ヒトの陰毛のケジラミは、ゴリラのケジラミと近縁関係にある。330万年前に分岐。ゴリラの粗い体毛に適応していたので、ヒトの陰毛にちょうど良い居場所を見つけた。
 太古のヒトが、ゴリラを殺して食べていた。ゴリラの死体との接触が、ケジラミの感染をもたらした。
 
●腋臭(p191)
 ゲイは異性愛者とは異なる腋臭を発し、ほかの人間はその匂いを感じ取れる。
 
●日曜効果(p228)
 ハーバード・ビジネス・スクールのディーパク・マルホトラの研究。
 宗教的な人々はチャリティの求めに非宗教的な人々よりもより強く反応するが、それは教会に行ってきた日に限られる。
 
●シェイカー教(p234)
 ドイツの社会学者ミヒャエル・ブルーメの研究。
 シェイカー教徒は、集団内での結婚を妨げたり禁じたりし、代わりに布教活動、外部者の転向や改宗に重点を置いた。「若者のいなくなり始めた共同体は、ほかの若者たちには共同体のミッションが魅力に欠けたものに見えるようになる。こうしてシェイカー教徒の集団は高齢化し、崩壊した」。
 
●オナイダ共同体(p234)
 ニューヨーク州北部のキリスト教コミューン。
 数世代にわたり、オナイダ共同体の医者は、遺伝的健康の観点から注意深く選ばれた男女を結婚させた。生まれた子供は共同体で育てられ、母子のきずなは弱められた。
 人為淘汰によらない子供が生まれるのを避けるため、10代の少年を閉経後の女性とセックスさせた。両者の個人的関係を築く中で、敬虔な年長の女性が若者に重要な宗教的教育を施した。
 大人の男性は、性交中に射精しないようにするテクニックを訓練した。
 30年後にメンバーは数百人に達したが、1881年にこの宗教共同体は崩壊した。
 〔このメンバーはおそらく遺伝的資質に恵まれていたが、その社会的地位は高くなかった。その後、彼らは銀製食器の交易に携わるようになり、いまは企業オナイダとして大成功している。〕
 
●緑の埋葬(p242)
 遺体は防腐剤で処理されることなく、自然保護区に埋められる。
 通常の埋葬方法は、自然破壊を引き起こしている。墓地を作るための広大な土地、防腐保存液、棺用の木材、金属などなど。火葬も同様。一人分の火葬に必要なエネルギーで、7,700kmをドライブできる。
 
●自殺の数式(p251)
 デニス・デカタンザロが1986年に提案した「自己保存と自己破壊の数学モデル」。
 翻訳すると……〔ヒトは自分の直接の繁殖的見込みが低くなった時に、そして同時に、自分が存在し続けることが自分の遺伝的血縁者の繁殖の妨げになって包括適応度を下げると(正しいかどうかはともかく)感じた時に、自殺する可能性がもっとも高い。重要なのは、デカタンザロが、そして彼とは別個に調査を行っている研究者も、この適応モデルを支持するデータを得てきているという点である。〕
 
(2017/7/24)KG
 
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クモの糸でバイオリン
 [自然科学]

クモの糸でバイオリン (岩波科学ライブラリー)  
大崎茂芳/著
出版社名:岩波書店(岩波科学ライブラリー 254)
出版年月:2016年10月
ISBNコード:978-4-00-029654-0
税込価格:1,296円
頁数・縦:114、2p・19cm
 
 
 趣味で(?)クモの糸の研究を始め、バイオリンの弦を作ってしまった研究者のエッセー。この人、なかなかの凝り性で、自分でバイオリンを買って演奏するまでになった。クモは、主にジョロウグモまたはオオジョロウグモの糸を使っているようだ。
 
【目次】
1 クモのことをもっと知りたい
 クモとの出会い
 クモの巣のいろいろ
  ほか
2 クモが繰り出す魔法の糸
 柔らかくて強い
 クモの糸の不思議な構造
  ほか
3 バイオリンに挑戦!賛
 音楽に参戦
 バイオリンを購入
  ほか
4 魔法の糸の音色の秘密
 「よい音」とはなにか
 バイオリンでの音色解析
  ほか
5 音色が世界を駆けめぐる
 学会発表とその反響
 取材対応でヒヤリ
  ほか
 
【著者】
大崎 茂芳 (オオサキ シゲヨシ)
 1946年兵庫県生まれ。大阪大学理学部卒業、大阪大学大学院理学研究科博士課程修了。(株)マイカル商品研究所所長、島根大学教育学部教授、奈良県立医科大学医学部教授を経て、同大学名誉教授。理学博士、農学博士。専門は、生体高分子学。文部科学大臣表彰科学技術賞、日本オーディオ協会顕彰「音の匠」など受賞。
 
【抜書】
●7種類の糸(p7)
 典型的な円網を張るクモは、7種類の腺から別々の糸を出して使い分けている。粘着性の糸は横糸だけ。
 (1)枠糸……巣のフレームとなる。
 (2)繋留糸……巣を木などに固定する。
 (3)縦糸……巣の骨格となる。
 (4)横糸……縦糸のあいだに渡す。粘着性がある。
 (5)こしき……円網の中心にある、クモの生活場所。
 (6)附着盤……牽引糸の尖端を物体に固定するのに使う。
 (7)牽引糸……危険が生じて逃げるときに使う、命綱。
 他に、獲物を取るための捕獲帯や、卵を保護する卵のうもある。
 
●破断応力、弾性率(p23)
 破断応力……糸を引っ張っていき、切れた時の断面積あたりの力の強さ。牽引糸は、ナイロンよりも数倍大きい。
 弾性力……物体を伸ばしたり、圧縮したりする時の変形しにくさを表す指標。ナイロンでは4GPa(ギガパスカル)だが、牽引糸は13GPa。
 つまり、クモの糸は柔らかくて強い。
 
●「2」の安全則(p27)
 牽引糸は、円柱状の細い2本のフィラメントからなっている。
 牽引糸の弾性限界強度は、体重の約2倍。つまり、1本が切れても残りの1本で支えることができる。
 
●250℃(p29)
 牽引糸は250℃以上で分解し始め、300℃で重量が減り、350℃で変色、600℃で完全に分解。
 クモの糸に融点はないが、250℃までは安定な状態。
 合成高分子のポリエチレンの融点は約120℃。
 
●紫外線(p31)
 紫外線のうち、波長の長いUV-Aは、地球の表面に届く紫外線の大部分を占める。波長がもう少し短く、危険なUV-Bは、オゾンホールができると届くようになる。UV-Cは地表には届かない。
 UV-Aを昼行性のジョロウグモの牽引糸に当てると、破断応力は、照射時間が経過するとともに上昇、5時間後に極大、その後、徐々に低下、48時間程度で初期値まで下がる。
 ジョロウグモの糸は、毎晩、半分ずつ張り替えられる。いったん張った糸は、2日後には新しい糸になる。
 夜行性のズグロオニグモの場合、糸の破断応力は照射時間とともに低下するのみ。
 
●バイオリン弦(p66)
 牽引糸によるバイオリン弦の作り方。A線(2番目に高音)の場合。
 (1)多数のオオジョロウグモから巻き取った約100cmの糸3,000本の両端を粘着テープで留め、糸束の状態にして6か月保存。80cmくらいに縮む。
 (2)これを左巻きにねじると73cmの紐ができる。
 (3)同じ紐を3本作り、一緒に右巻きにねじり、65cmの太い紐にする。両端に結びを作り、55cmになる。
 (4)表面を均一にするためにゼラチンに5分間つけ(スキップすることもある )、一晩乾かす。最終的にできた弦の太さは850μm。
 E線は2,000×3本、D線は4,000×3本、G線は5,000×3本。
 
●倍音(p77)
 クモの糸の弦は、スチール弦、ガット弦に比べて、強度の大きい倍音が多数出る。
 スチール弦は、倍音が出るが、強度は小さい。ガット弦は、第2倍音の強度のみが大きい。
 クモの糸では、すべての倍音が比較的大きい。特に第8倍音、第9倍音が大きい。
 
●断面(p81)
 クモの弦の断面は、1本1本の糸の断面が円形から多角形へと大幅に変形。糸と糸の隙間がなくなっている。繊維間の摩擦が大幅にアップし、隙間の多い通常の繊維集合体に比べて弾性率(変形しにくさ)が大幅に上昇。一部の細い繊維が切れても、残りの繊維で支えることができるので、弦そのものが切れにくくなる。
 
(2017/7/22)KG
 
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父と私
 [社会・政治・時事]

父と私 (B&Tブックス)
 
田中眞紀子/著
出版社名: 日刊工業新聞社(B&Tブックス)
出版年月:2017年3月
ISBNコード:978-4-526-07676-3
税込価格:1,728円
頁数・縦:305p・20cm
 
 
 実娘から見た田中角栄。傍から見ていたのでは分からない、角栄の実像が語られる。本書には、志の高い偉大な政治家が立ち現れる。もちろん、身内の身びいきもあるかもしれないが、私たちは、マスコミによって形作られ、ゆがめられた虚像を見ていた可能性も拭い去れない。
 
【目次】
第1章 マコちゃん――幼少期
第2章 お嬢さん――独身時代
第3章 奥さん――結婚
第4章 先生・大臣――衆議院議員になって
第5章 眞子さん――議員バッジを外して以降
 
【著者】
田中 眞紀子 (タナカ マキコ)
 1944年生まれ。早稲田大学第一商学部卒業。衆議院議員に新潟県旧第3区より無所属で初当選。科学技術庁長官、外務大臣、文部科学大臣を歴任。越後交通株式会社代表取締役会長。
 
(2017/7/18)KG
 
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図書館と情報技術 情報検索能力の向上をもめざして 改訂
 [ 読書・出版・書店]

改訂 図書館と情報技術:情報検索能力の向上をめざして
 
岡紀子/著 田中邦英/著 田窪直規/編集
出版社名:樹村房
出版年月:2017年4月
ISBNコード:978-4-88367-274-5
税込価格:2,160円
頁数・縦:153p・26cm
 
 
 司書課程の必修科目「図書館情報技術論」(2単位)のテキスト。1~6章を田中、7~10章を岡が担当。
 
【目次】
第1章 コンピュータの基礎
第2章 ネットワークの基礎
第3章 情報検索と社会・法律
第4章 データベースの仕組み
第5章 サーチエンジンの仕組み
第6章 コンピュータシステムの管理とセキュリティ
第7章 図書館の業務とIT
第8章 図書館と電子資料
第9章 デジタルアーカイブ
第10章 情報検索の理論と方法
  
【著者】
岡 紀子 (オカ ノリコ)
 1975年、京都薬科大学薬学部卒業。住友化学株式会社入社、文献および特許調査、図書運営管理を担当。2012年、同社を定年退職。一般社団法人情報科学技術協会主催。桃山学院大学、近畿大学、佛教大学等で司書課程非常勤講師。
 
田中 邦英 (タナカ クニヒデ)
 1974年、大阪電気通信大学工学部卒業。京都の計算機メーカーに入社、特許データベース構築等を担当。2011年、同社を定年退職。一般社団法人情報科学技術協会主催。桃山学院大学、大阪樟蔭女子大学、近畿大学等で司書課程非常勤講師。
  
田窪 直規 (タクボ ナオキ)
 大阪府生まれ。図書館情報大学大学院博士課程修了。奈良国立博物館仏教美術資料センター研究官を経て、近畿大学教授(司書課程)。博士(図書館情報学)。
  
【抜書】
●RDF(p73)
 RDF: Resource Description Framework。
 シマンテックウェブにおいて、タグとタグとの関係を認識させるための構文。XMLなどを用いて記述。
 基本構文は、主語+述語+目的語で構成。主語は、ユニークにそのものを特定できるID番号、メールアドレス、URLなど。
 例: ≪主語≫ISBN:xxxxxxx → ≪述語≫書名(title) → ≪目的語≫図書館と情報技術
 
(2017/7/15)KG
 
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日本列島創生論 地方は国家の希望なり
 [社会・政治・時事]

日本列島創生論 地方は国家の希望なり (新潮新書)
 
石破茂/著
出版社名:新潮社(新潮新書 712)
出版年月:2017年4月
ISBNコード:978-4-10-610712-2
税込価格:821円
頁数・縦:218p・18cm
 
 
 元地方創成担当大臣による、地方活性化のための新たな「日本列島改造論」。
 
【目次】
はじめに―革命は地方から起きる
地方創生とは何か
補助金と企業誘致の時代は終わった
PDCAとKPIを考えよ
国は人材とデータで後押しをする
外資アレルギーから脱却を
観光はA級を目指すべし
一次産業に戦略を
創生の基点はどこにでも作れる
「おねだり」に未来は無い
官僚は現場で発想せよ
里帰りにどれだけ魅力を付加するか
「お任せ民主主義」との決別を
 
【著者】
石破 茂 (イシバ シゲル)
 1957(昭和32)年生まれ、鳥取県出身。慶應義塾大学法学部卒。86年衆議院議員に全国最年少で初当選。防衛大臣、農林水産大臣等を歴任し、2014年に初代地方創生・国家戦略特別区域担当大臣に就任。
 
【抜書】
●CLT(p117)
 CLT:Cross Laminated Timber。ひき板を繊維方向が直交するように接着した重厚な木造のパネル。マンションや商業施設の壁や床として使われている。ヨーロッパでは、CLTを使った木造10階建て、20階建ての建物が多く建っている。
 
●土佐の森・救援隊(p119)
 200名ほどの隊員たちが、地元の山林の間伐を引き受けるNPO。
 
●島留学(p128)
 島根県海士町の隠岐島前(おきどうぜん)高等学校。中ノ島の島の島外から生徒を集め、島留学をアピールする。寮も作った。
 廃校寸前の高校が2クラスになった。教職員数の関係上、これ以上は増やせない。
 この地域の島は4つとも国立公園に指定されていて、自然が豊か。
 
●北海道おといねっぷ美術工芸高校(p131)
 北海道音威子府村の村立高校。
 昭和50年代、前身にあたる音威子府高校は存立の危機にあった。
 音威子府村は、北海道で最も小さな村で、人口789人(2016年)。面積の8割が森林という特徴を生かした高校づくりを推進。木材の加工、工芸を教育の中心に据えた。
 2002年、校名を「北海道おといねっぷ美術工芸高等学校」に変更し、工芸コース、美術コースの選択制に。2008年から、家具デザインの世界での「先進国」スウェーデンの高校と姉妹校提携制度を導入。
 村外、道外からの生徒を積極的に受け入れ、寄宿舎も作る。全人口の2割弱が学校関係者。「村民運動会」は高校の体育祭も兼ね、高校生が中心となって開催。
 
●やねだん(p139)
 鹿児島県鹿屋市の柳谷集落、通称「やねだん」。人口300人程度の、過疎化、高齢化の進む集落。
 豊島哲郎……地元の高校を卒業後、東京都民銀行に就職。「学歴の壁」にぶつかり、Uターンして養鰻業を始める。1996年、50代で公民館長となる。
 「行政に頼らないむら興し」を目指す。まず、耕作放棄地を使ったサツマイモの栽培。土着菌を用いた上質のサツマイモ作りに成功。焼酎にすると、高品質のものができ、今では韓国に輸出。これを目玉にした「やねだん」という居酒屋がソウルにできる。
 自主財源ができ、高齢者にボーナスを支給。住民みんなが仕事を分担し、儲けをみんなで分配。90歳を超えても
土壌菌を繁殖させるために土壌をかき回すといった仕事がある。
 地域リーダー養成のための「やねだん故郷創生塾」を開講。
 2007年からは、芸術家に創作場所として空き家を提供する試みを始める。芸術祭も毎年開かれるようになる。
 地元の民家を改造した宿泊施設「迎賓館」をつくる。広い日本間で素泊まり3,000円ほど。
 
●海士町(p143)
 隠岐島前高校のある海士町。山内道雄町長。
 もともとNTTの営業マンだったが、52歳の時、退職して母親の介護のために帰島。当時の町長に声をかけられ、島で立ち上げた観光関連の第三セクターを手伝う。町長の新しい試みに対して議会から横やりが入るので、思い切って町議に立候補して当選。
 2期目に、町長が引退。地元の建設会社の社長に懇願されて町長に立候補、助役を破って当選。社長の言葉「もう公共事業に頼る時代は終わった」。
 島の人たちも、当時の島の財政難に危機を感じていた。当選後、自身の給与30%カットを実施。 役場の課長、一般職員、町議、教育委員らも報酬のカットを申し出る。
 浮いたお金を「未来への投資に」使う。島留学もその一つ。ほかに、5億円を投じてCASの設備を購入。
 CAS(Cells Alive System)……細胞が生きたままの状態で冷凍する技術。
 海士町では、魚介類、隠岐牛を、CASを用いて商品化して全国に出荷している。
 現在、岩ガキの養殖を推進することで、新たな名物を作り出している。
 
●丸亀町商店街(p154)
 香川県高松市の「シャッター商店街」。地元の青年会の人たちが話し合い、商店の2階部分を強制的に賃貸させるように決める。
 とにかく、2階部分を診療所や保育所などに貸し出すことにより、町の機能をなるべく商店街に凝縮するようにした。
 
●中央官庁の地方移転(p166)
 移転の目的は、(1)東京への一極集中を避ける、(2)地方を活性化する。全国の都道府県(首都圏一都三県以外)に、来てほしい中央官庁機関の希望を募る。その希望に国が有効な反証ができなければ移転させる。
 文化庁を全面的に京都府に移転。もっとも文化財が多い土地。
 消費者庁の政策の企画・立案部門を徳島県に移転。消費者行政の先進地であり、ブロードバンド環境も全国屈指。
 総務省統計局の一部を和歌山県に移転。
 
●CCRC構想(p185)
 CCRC:Continuing Care Retirement Community、生涯活躍のまち。
 「東京圏をはじめとする高齢者が、自らの希望に応じて地方に移り住み、地域社会において健康でアクティブな生活を送るとともに、医療介護が必要なときには継続的なケアを受けることができるような地域づくり」を目指す。
 楡周平『プラチナタウン』(祥伝社文庫)のイメージ。子育て世代と老人たちが共存する新しいタイプのコミュニティが描かれている。2008年の刊行。
 
●ユーカリが丘(p203)
 千葉県佐倉市のベッドタウン。山万が開発。1970年代末、住民の高齢化も視野に入れ、 「環境にやさしい街づくり」を標榜して宅地開発。交通機関やホテルなども含め、住民にとって有益な設備を整える。
 山万は、建売を買った夫婦が高齢化した際、手広になった戸建て住宅を買い戻し、駅近くのマンションを斡旋。戸建てはリフォームして若い夫婦に販売。
 開発業者が、「売ったらお終い」ではなく、町にずっと関わり続けている。
 
(2017/7/15)KG
 
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国家の矛盾
 [社会・政治・時事]

国家の矛盾 (新潮新書)
 
高村正彦/著 三浦瑠麗/著
出版社名:新潮社(新潮新書 703)
出版年月:2017年2月
ISBNコード:978-4-10-610703-0
税込価格:842円
頁数・縦:236p・18cm
 
 
 2015年秋に成立した平和安全法制を主導した立役者のひとりである高村正彦と、国際政治学者の三浦瑠麗による対談。法政成立の舞台裏や、日本の安全保障、米国との関係などを真摯に語る。
 
【目次】
第1章 安全保障の矛盾
 安全保障は「確率のゲーム
 戦前の「翼賛勢力」に似ているのはどっち?
 「原罪としての敗戦」という考え方
  ほか
第2章 外交の矛盾
 「法理」はキープし、「当てはめ」は柔軟に
 米軍駐留の必要性と国民感情の相克
 対北朝鮮政策に「正解」は存在しない
  ほか
第3章 政治の矛盾
 小選挙区制が生んだ「政治主導」
 「政高党低」か「党高政低」か
 筋金入りの平和主義者・河本敏夫
  ほか
 
【著者】
高村 正彦 (コウムラ マサヒコ)
 1942(昭和17)年生まれ。衆議院議員。自由民主党副総裁。弁護士。外務大臣、防衛大臣、法務大臣などを歴任。
 
三浦 瑠麗 (ミウラ ルリ)
 1980(昭和55)年生まれ。国際政治学者。東京大学政策ビジョン研究センター講師株式会社山猫総合研究所代表。博士(法学)。
 
【抜書】
●武力行使3要件(p27、高村)
 平和安全法案で、武力行使をする際の要件。
 (1)我が国に対する武力攻撃が発生したこと、又は我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があること。
 (2)これを排除し、我が国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がないこと。
 (3)必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと。
 
●サラミスライス(p45、三浦)
 中国は、南シナ海や東シナ海で、サラミを薄く切るように少しずつ勢力を拡張させ、既成事実を積み重ねていく「サラミスライス戦略」をとっている。
 
●芦田修正論(p56、編集部注)
 憲法9条第1項は、武力による威嚇や武力の行使を「国際紛争を解決する手段」としては放棄する、と定めている。第2項では、「前項の目的を達するため」に戦力を保持しない、と定めている(この部分は芦田均が加えた)。
 したがって、我が国が当事国である国際紛争を解決するために武力による威嚇や武力の行使に用いる戦力の保持は禁止されている。しかし、それ以外の目的での戦力の保持は認められている、という考え方。すなわち、個別的または集団的を問わず自衛のための実力の保持や、国際貢献のための実力の保持は禁止されてない、という考え方。
 
●本音(p97、三浦)
〔 ただ、世界全体で人々が本音で話したいというふうに思っていますよね。イギリス、フィリピン、大阪でもそうだった。トランプ現象ももちろんそうです。彼らは何に対して戦ったのか。大阪では大阪自民党であり、そこと結託していた官僚でした。トランプは不法移民問題に対して何もできていないワシントンのエスタブリッシュメント。フィリピンのドゥテルテが衝いたのは、大農場主の保守派が組織犯罪グループとなあなあにやってきたことに対する国民の不満です。現状を何らかの形で変えたいと思いている人々の、変えてこなかった人たちに対する怒りがあちこちで噴出している。2009年に、それまでほとんど経験を蓄積してこなかった政党に政権を与えて大失敗した日本は、その経験から学んで穏健化したのかもしれないですが。〕
 
(2017/7/15)KG
 
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マタギ聞き書き その狩猟民俗と怪異譚
 [歴史・地理・民俗]

マタギ聞き書き: その狩猟民俗と怪異譚
 
武藤鉄城/著
出版社名:河出書房新社
出版年月:2017年4月
ISBNコード:978-4-309-22699-6
税込価格:1,944円
頁数・縦:221p・20cm
 
 
 著者の死から13年後、1969年に慶友社より刊行された『秋田マタギ聞書』(常民文化選書4)の再刊。資料編の大方と索引を割愛してある。
 40人ほどのマタギから聞いた話を採録している。聞いた話をそのまま収録しているようであり、随所にマタギ言葉に重複があったり、同じテーマで異なる伝説を紹介していたりして、整理された内容ではないが、現役のマタギの姿を伝える貴重な資料である。
 
【目次】
秋田県 仙北郡
 鈴木政治郎さん―上桧木内村戸沢 旧二月九日、四ツ前には山を鳴らすな
 門脇寛一郎翁―上桧木内村戸沢 鹿の獅子舞
 門脇竜治郎さん―上桧木内村戸沢 ササラの笠納め
  ほか
秋田県 由利郡・北秋田郡
 小野勘太郎翁―由利郡直根村百宅 スノ祝い
 佐藤正夫氏―北秋田郡大阿仁村根子 売薬行商
 佐藤永太郎翁―北秋田郡大阿仁村根子 南無アブランケン、ソワカ
  ほか
又鬼資料
 菅江真澄翁著書から
 伊藤為憲著書から
 マタギの語源
 
【著者】
武藤 鉄城 (ムトウ テツジョウ)
 1896年、秋田市生まれ。民俗学者、考古学者、郷土史家。慶應義塾大学中退。角館尋常高等小学校代用教員、東北帝国大学奥羽資料調査部嘱託、朝日新聞地方通信員、角館時報主筆などを歴任するかたわら、角館を中心とする民俗調査を進めた。1956年逝去。秋田魁文化章、秋田県体育功労章受章。
 
【抜書】
●マタギの語源(p216)
 著者の考察。
 インドの屠殺業者として卑しめられた賤民マータンガ(男)/マータンギ(女)の名称から出ているのではないか?
 水を乞うた釈迦の弟子の阿難に、自分はマータンギであると卑下したプラクリチの話から考え付いた。
 釈迦も、自分がそのマータンガ/マータンギの属するチェーンドラの種であると言った。日本でも、日蓮が自らを穢民と称した。
 日本語でとなえる呪文の最後に、「アビラウンケン(阿毘羅吽欠)」(胎蔵界大日如来真言にある)「ソワカ(蘇波河)」(その効力を呼ぶ)を唱える。
 《他の語源説》
  (1)獣を殺して食うから、鬼の次に恐ろしい又鬼(またぎ)。
  (2)山の峰を跨いで行くからマタギ。(仙北郡雲沢村)
  (3)木の股から生まれたから。(仙北郡中川村)
 
(2017/7/11)KG
 
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日本と世界がわかる最強の日本史
 [歴史・地理・民俗]

日本と世界がわかる 最強の日本史 (扶桑社新書)
 
八幡和郎/著
出版社名:育鵬社(扶桑社新書 236)
出版年月:2017年3月
ISBNコード:978-4-594-07626-9
税込価格:950円
頁数・縦:326p・18cm
 
 
 著者による日本史解釈の書。独自の視点で書かれていて興味深い。同意できる部分と、疑問に感じる部分とあるが。
 
【目次】
第1章 日本人・日本語・日本神話
第2章 邪馬台国・大和朝廷・神功皇太后
第3章 仏教伝来・聖徳太子・大化の改新
第4章 荘園制・摂関制・武士の登場
第5章 幕府・元寇・禅宗文化
第6章 天下統一・南蛮船・朱子学
第7章 黒船来航・明治維新・大東亜共栄圏
第8章 占領・高度成長・バブル崩壊
 
【著者】
八幡 和郎 (ヤワタ カズオ)
 1951年滋賀県生まれ。東京大学法学部卒業。通商産業省(現経済産業省)入省。フランスの国立行政学院(ENA)留学。大臣官房情報管理課長、国土庁長官官房参事官などを歴任後、現在、徳島文理大学大学院教授を務め、作家、評論家としてテレビなどでも活躍中。
 
【抜書】
●脱解尼師今(p27)
 新羅の建国伝説には、1世紀に活躍した第4代新羅王の脱解尼師今(だっかいにしきん)がタバナ国出身と書いてある(『三国史記』)。タバナ国=但馬か丹波?
 逆に、皇室が新羅から来たという伝承は、日本にも半島にもない。
 新羅が国らしくなるのは3世紀以降。日本の神々の時代には未開地だった。
 
●神武東征(p30)
 神武東征は、中世に生まれた伝説。
 皇国史観の時代の教科書には、神武天皇が大軍勢を率いて日向国の美々津から船出して大和を征服し、日本を建国したと書いてある。しかし、「記紀」にはそんな記述はない。
 『日本書紀』や『古事記』は、大和を統一し、吉備や出雲まで勢力圏に入れた崇神天皇を実質的な大和朝廷の創始者としている。その先祖の磐余彦(神武天皇)は、日向出身で、少人数で故郷を出奔し、吉備など各地を経て現在の橿原市と御所市あたりに小さな領地を得たらしい、と書かれているだけ。
 
●日本国家の成立(p42)
 日本国家の誕生は、3世紀。崇神天皇による大和の統一と吉備・出雲の征服。
 仲哀天皇と神功皇后によって筑紫地方が大和朝廷の支配下に入り、日本統一が達成された。
 
●大友皇子(p59)
 日本人の作として知られる最古の漢詩は、大友皇子(弘文天皇)のもの。『懐風藻』に収められている。
 
●平清盛(p112)
 11世紀中ごろ、日宋貿易において大宰府の裁量が広がり、博多に定住した華僑の力も大きくなった。
 神崎庄の支配人や太宰大弐として 、日宋貿易による莫大な富を握ったのが平忠盛・清盛。平家の天下は、日宋貿易で得た富の賜だった。
 さらに大輪田泊(おおわだとまり:神戸)を整備し、福原を都とすると、南宋の首都である臨安(杭州)と直接に向かい合うことになるはずだった。
 
●江戸時代のエコロジー(p199)
 江戸時代にリサイクルが盛んだったのは、単にモノ不足だったため。薪や柴を大量に使わなければならず、山ははげ山だらけで、洪水が頻発した。
 インフラの整った江戸に住めるということが特権。その住民の生活水準や自由度が高いというのは、現代の平壌そっくり。体制の安定のために、首都の住民を特権階級化するのは賢いやり方
 
東京誕生日(p235)
 東京は、誕生日のない首都。東京遷都はなし崩し的になされた。正式に京都から東京へ遷都するということを宣言しなかった。
 1868年1月、大久保利通「大坂遷都建白書」。車駕親征ということで天皇が大坂に約40日間滞在、陸海軍の閲兵、英国公使パークスの引見。
 東西二都論が有力に。7月17日に「車駕東遷」の詔書。10月13日、江戸城に入城、東京城と改称。
 戊辰戦争が終わっていたので、いったん、京都に戻る。
 1869年3月28日、再び東京入城、太政官を置く。
 その後、京都をどうするかということになり、モスクワで戴冠式を行うロシアの例に倣い、京都で即位礼を行うことで決着。しかし、大正と昭和の即位礼は京都で行われたが、平成では反故にされた。
 
●植民地(p275)
〔 朝鮮や台湾は「植民地」だったのかについては、国際法上の用語ではないのでなんとでもいえますが、イギリスのインド統治のような意味での植民地ではありません。イギリスのアイルランド領有とかロシアのポーランド領有にちかいものです。
 朝鮮統治は、もともとの目的が経済面ではなく国防上の要請に基づいたものだったので、一方的に収奪したようなことはありません。〕
 
(2017/7/7)KG
 
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