So-net無料ブログ作成
検索選択
経済・ビジネス ブログトップ
前の10件 | -

情報と秩序 原子から経済までを動かす根本原理を求めて
 [経済・ビジネス]

情報と秩序:原子から経済までを動かす根本原理を求めて
 
セザー・ヒダルゴ/著 千葉敏生/訳
出版社名:早川書房
出版年月:2017年4月
ISBNコード:978-4-15-209683-8
税込価格:2,700円
頁数・縦:286p・20cm
 
 
 宇宙を構成する要素でありながら偏った存在の仕方をする「情報」から説き起こし、経済の複雑性にまで言及する統一理論(?)の構築を目指す……のかもしれないが、未消化な印象はぬぐえない。キーコンセプトとなる「情報」に関する説明が不十分で、そこから経済複雑性までもっていくのは、ちょっと飛躍しすぎであると感じた。
 
【目次】
パート1 原子のビット
 第1章 タイムトラベルの秘密
 第2章 無意味の実体
 第3章 永遠の異常
 
パート2 想像の結晶化
 第4章 脳に生まれて
 第5章 増幅エンジン
 
パート3 ノウハウの量子化
 第6章 個人の限界
 第7章 関係構築のコスト
 第8章 信頼の重要性
 
パート4 経済の複雑性
 第9章 経済の複雑性の進化
 第10章 第六の物質
 第11章 知識、ノウハウ、情報の密接な関係
 
パート5 エピローグ
 第12章 物理的秩序の進化―原子から経済まで
 
【著者】
ヒダルゴ,セザー (Hidalgo, César)
 1979年チリ生まれ。アメリカのノートルダム大学でアルバート=ラズロ・バラバシの指導のもと物理学の博士号を取得。現在はマサチューセッツ工科大学(MIT)准教授であり、MITメディアラボでcollective learning groupを主導する。ハーバード大学ケネディスクールのリカルド・ハウスマンとともに経済成長の予測手法として有用な「経済複雑性指標」(ECIを開発、複雑系経済学からデータビジュアライゼーションまで多彩な分野で活躍中。
 
千葉 敏生 (チバ トシオ)
 翻訳家。1979年横浜市生まれ。早稲田大学理工学部数理科学科卒業。
 
【抜書】
●想像の結晶化(p84)
 製品は、情報だけでなく、想像も具象化するものである。
 〔この情報は、私たちが脳内計算を通じて生み出し、頭のなかにあるイメージどおりのモノを作り出すことで体内から遊離させたものだ。りんごは、りんごの名前、りんごの値段、りんごの市場が生まれる前からこの世界に存在していた。概念としてのりんごは、単に人間の頭脳に取り込まれたものなのである。一方、iPhoneやiPadは、人間の頭脳に取り込まれたものではなく、人間の頭脳から書き出されたものだ。世界に存在する前に、私たちの脳内で生まれた製品だからだ。〕
 
●パーソンバイト(p120)
 一人の人間の神経系が蓄積できる知識やノウハウの最大量。
 1パーソンバイトを超える知識やノウハウを必要とする製品を作るには、チームが必要となる。複雑な製品を生産できるチームを作るには、ある程度調和のとれた社会的ネットワークのなかで知識やノウハウを蓄積する必要がある。
 
●企業バイト(p127)
 企業バイト(firmbyte)……企業のネットワークを形成する一つ一つのノード。パーソンバイトの集積により、一つの企業バイトが構成される。
 
●社会的ネットワーク(p155)
 社会的ネットワークは、三つの単純な概念に基づいて形成される。
 (1)共通の社会的中心(social foci)……クラスメート、仕事仲間、教会、など。
 (2)三者閉包(triadic closure)……共通の友人を持つ人々の間で関係が生まれやすい。
 (3)同類原理(homophily)……似たような関心や特徴を持つ人々の間に関係が生まれやすい。長続きする関係を構築する。
 
●高信頼社会(p156)
 フランシス・フクヤマ『「信」無くば立たず』(1995年)による。
 家族主義的社会では、小規模な事業がたくさん生まれやすく、一握りの一族がいくつかの複合企業を牛耳っている。南ヨーロッパやラテン・アメリカ。
 高信頼社会で発展し、プロフェッショナルに運営される事業は、小さなものから巨大なものまで、あらゆる規模のネットワークを生みやすい。
 
●情報(p225)
〔 宇宙は、エネルギー、物質、情報でできている。エネルギーと物質はもともと存在するが、情報は生じる道を探さなければならない。〕
 《情報を成長させる基本的な物理的メカニズム》
 (1)非平衡系における情報の自然な発生(渦がその例)
 (2)個体としての情報の蓄積(たんぱく質やDNA)
 (3)物質の持つ計算力
 
(2017/8/16)KG
 
〈この本の詳細〉


nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:

クレモナのヴァイオリン工房 北イタリアの産業クラスターにおける技術継承とイノベーション
 [経済・ビジネス]

クレモナのヴァイオリン工房―北イタリアの産業クラスターにおける技術継承とイノベーション
 
大木裕子/著
出版社名:文真堂
出版年月:2009年2月
ISBNコード:978-4-8309-4631-8
税込価格:5,832円
頁数・縦:256p・22cm
 
 
 クレモナのヴァイオリン産業をテーマとした、産業クラスタ研究の論文。日本学術振興会平成18年度科学研究費補助金の成果である。
 
【目次】
序章 本書の課題と分析視角
第1章 イタリア・ヴァイオリン製作の歴史
第2章 クレモナのヴァイオリン製作の現状と課題
第3章 クレモナのヴァイオリン製作の特徴―製作者の視点から
第4章 クレモナのヴァイオリン製作者へのアンケート調査の結果と分析
第5章 クレモナの産業クラスターの特徴
 
【著者】
大木 裕子 (オオキ ユウコ)
 博士(学術)。京都産業大学経営学部・同大学院マネジメント研究科准教授。東京藝術大学器楽科卒業後、東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団ヴィオラ奏者、昭和音楽大学専任講師、京都産業大学経営学部専任講師を経て現職。専門はアートマネジメント。
 
【抜書】
●クレモナ派、ブレッシア派(p7)
 弓で音を出す弦楽器は、8世紀頃、ムーア人によってスペインに伝えられた。ヴァイオリンは16世紀初頭に突如として出現し、1550年頃に音楽家たちに普及した。ヴィオラ・ダ・ブラッチョ(viola da braccio)あるいはリラ・ダ・ブラッチョ(lira da braccio)から派生した。初期段階では、北イタリアにおいてクレモナ派とブレッシア派の2種類のヴァイオリンが存在、演奏者は、曲に合わせてこの2種類を使い分けた。
 クレモナ派……アンドレア・アマティ(Amati, Andrea、ca.1505-ca.1577)による、繊細に美しく仕上げられたヴァイオリン。
 ブレッシア派……ガスパロ・ダ・サロ(通称Gasparo da Salò)とその弟子マジーニ(Maggini, Giovanni Paolo, 1580-1630)による頑丈なヴァイオリン。
 1632年、マジーニが他界、ブレッシアは急激に衰退、クレモナの独擅場に。ニコロ・アマティ(Amati, Nicolo、1597-1684)とドイツのヤコブ・シュタイナー(Steiner, Jacob、1617-1683)の二人が主導するようになる。
 
●オールド・イタリアン(p9)
 年代により、3つに区分される。
 オールド・イタリアン・ヴァイオリン……1550年頃~1820年頃。ヴァイオリンの誕生からプレッセンダの出現まで。アマティ、ストラディヴァリ、グァルネリ、ガリアーノ、ロジェリ、ルジェリ、ベルゴンツィ、グァダニーニなどの各ファミリーが大きなギルド、工房を構成していた。1660年頃から1770年ごろがルネッサンス期で、「シルバートーン」を持つ個性に富んだ多くの名器が製作された。「クレモナの栄光」と呼ばれた黄金期には、ベルゴンツィ、グァダニーニ、グァルネリ、ストラディヴァリ(Stradivari, Antonio、1644-1737) などが活躍、1万本程度の楽器が製作された。
 ベルゴンツィの死後、クレモナは空白期を迎える。空白期、パリのヴァイオリン製作が盛んになる。イタリアは、オールド・ヴァイオリンの修理や調整が主となる。
 
●モダン・イタリアン(p10)
 モダン・イタリアン・ヴァイオリン……ストリオーニの弟子プレッセンダ(Pressenda, Giovanni Francesco、1777-1854) がトリノで独立した後、1831年以降、北イタリアで彼の作品が認められるようになってから、第二次世界大戦期まで。音量のあるブレッシア・モデルが製法に導入される。1890~1940年が隆盛期。約250人の名匠が製作した楽器は、コンサート・ヴァイオリンとして高く評価されている。皆で切磋琢磨し、個性豊かなヴァイオリンが製作された。ドイツのミッテンヴァルト、フランスのミルクールなどで大量生産方式が盛んになる中、イタリアでは伝統的な手工業を継承した。
 
●コンテンポラリー(p11)
 コンテンポラリー・ヴァイオリン……職人の個性を重視するというより、ストラディヴァリ、デル・ジェス(Guarneri, Giuseppe Ⅱ《Del Gesu》、1698-1744)をコピーするといった、作風の標準化が進められている。ヴァイオリン製作が途絶えていたクレモナでは、サッコーニ(Sacconi, Simone Fernado、1895-1973、イタリア系アメリカ人)が、内枠式あるいはクレモナ式と言われる製作方法を取り戻すことに尽力した。サッコーニの提唱により、1937年にストラディヴァリ生誕(没後?)200年祭が行われ、1938年に国際ヴァイオリン製作学校が設立された。世界各国からのヴァイオリン製作者を養成、130以上のヴァイオリン工房が集積し、ヴァイオリン製作のメッカとなる。
 
●4つのパターン(p13)
 ヴァイオリンの4つのパターン。
 (1)ストラディバリ・パターン
 (2)デル・ジェス・パターン
 (3)アマティ・パターン
 (4)シュタイナー・パターン
 
●ニコロ・アマティ(p15)
 アンドレア・アマティの孫。それまで「親族のものでない見習いを工房に置かない」というアマティ一族の慣習を破り、アンドレア・グァルネリ(Guarneri, Andrea、1626-1698)、ストラディヴァリ、ロジェリ、ルジェリ、グランチーノなど、最高の技術を持つ弟子を育て上げた。彼らは、アマティやシュタイナーの胴体の盛り上がったモデルではなく、ブレッシア派のフラットなヴァイオリンの設計を基として進化させていった。
 
●クレモナ(p21)
 ポー(Po)、アッダ(Adda)、オーリオ(Oglio)の3つの川に挟まれた肥沃な土地。
 BC218年、ローマの植民地が造られた。第2次ポエニ戦争後は、文化・芸術面で高いレベルを誇っていた。
 1098年、コネーム(自治都市)となる。川を利用した交易で街は栄える。1107年には大聖堂が建設される。
 12世紀から14世紀初頭までは神聖ローマ帝国に属する。
 1334年、ミラノのヴィスコンティ家に征服され、ミラノ公国の一部になる。
 1499年、ヴェネツィアの支配下となり、多くのユダヤ人が移住してきた。
 1535~1701年、スペインの支配下となる。修道会の保護を受け、ヴァイオリン製作の最盛期を迎える。
 
●モンテヴェルディ(p23)
 クラウディオ・モンテヴェルディ(Mnteverdi, Claudio、1567-1643)、クレモナ出身。オペラの作者。「オルフェオ」(1607)は、どの場面でどの楽器を用いるかを作曲者が楽譜によって示した初めてのケースとなった。38の楽器からなるオーケストラと、数多くの合唱曲とレチタティーボによって生き生きとしたドラマとなっている。
 オペラは、1600ごろ、イタリアに興った多声音楽。
 
●クレモナの工房(p34)
 クレモナのヴァイオリン製作……ヴァイオリン工房130。学生100~200人、未登録の製作者100~200人。これらを合わせると500~600人の製作者がいる。
 
●鈴木バイオリン(p39)
 フランスのミルクールのヴァイオリン産業を震撼させた新規参入のヴァイオリン・メーカー。
 三味線作りを家業としてた鈴木政吉がヴァイオリンに魅せられ、1898年に大量生産を目指してヴァイオリン製作工場を設立した。ピーク時には年間15~16万本を生産した(1921年)。
 鈴木バイオリン・メソッド……創業者三男の鈴木慎一が、演奏者教育法の確立と普及を行った。
 ヤマハが、ヴァイオリン製作に参入しなかったことも鈴木バイオリンの隆盛に大きく影響。鈴木がオルガン製作を行わないことを条件に、ヤマハ(日本楽器)は準備を進めていたバイオリン製作から手を引いた。
 
●Cremona Liuteria(p41)
 コンソルツィオ……Consorzio liutai e archettai "A Stradivari" Cremona。1996年、クレモナ製品の独自性を宣揚するために設立された商業団体。2003年に商工会議所の一機関と位置づけられる製作者協会となる。60人の製作者が所属。
 ヴァイオリン製作の品質保証のために、「Cremona Liuteria」という商標を考案。「クレモナにおけるプロフェッショナルなヴァイオリン製作者によるもの」を公認する制度。会員には年間15本まで、証明書を発行。完全な手作りであることが条件。手作りの証明として、削った木材の残りを数年間保存する必要アリ。
 
●ヴァイオリンの市場(p43)
 ヴァイオリンの市場規模は、世界で年間50万本。アメリカ20万本、日本6万本。
 
●国際ヴァイオリン製作学校(p45)
 Scuola Internazionale di Liuteria。
 1938年、ストラディヴァリ没後200周年の記念事業の一環として設立された。
 1960年、イタリア唯一の国立製作学校I.P.I.A.L.L.(Istituto Professionale Internazionale Artigianato Liutario e del Lagno)の一部となった。I.P.I.A.L.L.は、デザイナー、装飾家、家具職人などに「ディプロマ」を与える機関。
 第一課程の3年。卒業すると「ヴァイオリン職人(TECNICO DI LIUTERIA)の資格が与えられる。
 さらに2年間の課程を修了すると、「ヴァイオリン製作者(PROFESSIONALIZZANTE)の資格が与えられる。
 学生は、年間1台の製作を目標としている。通常、5年間、同じマエストロにつく。
 4・5年次には、モダン楽器の加え、ピチカート弦楽器、バロック楽器、修理、弓のコースも併設。
 
(2017/8/5)
 
〈この本の詳細〉


nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:

国家は破綻する 「日本は例外」にはならない!
 [経済・ビジネス]

国家は破綻する 「日本は例外」にはならない!
 
藤巻健史/著
出版社名:幻冬舎
出版年月:2016年11月
ISBNコード:978-4-344-03027-5
税込価格:1,296円
頁数・縦:303p・18cm
 
 
 出口戦略なき「異次元の質的量的緩和」を批判する。日本経済はいずれハードランディングせざるを得ない、ハイパーインフレがやってくる、ということを、明るく説き起こす。円が暴落した後、円安のお陰で日本経済は復活するでしょう、とのご託宣である。
 そこで今、庶民がすべきこと、それは、資産の一部を米ドルに換えること。米ドルのMMFを買いなさい、と説く。これからしばらくは、財テクで「儲けようとする」時期ではなく、「資産を守る」時期なのだから。
 
【目次】
序章 今後10年に何が起きるか
第1章 「異次元の緩和」の恐ろしい真実
第2章 なぜ日本の株価だけ上がらないのか
第3章 お金の流れが見えると経済がわかる
第4章 「異次元の質的量的緩和」はこんなに危険!
第5章 マイナス金利政策はいいのか、悪いのか?
第6章 「異次元の量的緩和」は「日銀の国債引き受け」そのもの
第7章 政府と日銀のバランスシートを統合するとわかること
第8章 今の低金利は異常事態!
第9章 識者も財政破綻を警告している
第10章 日本の財政は世界的にもこんなに悪い!
第11章 崩壊しつつある日本経済
第12章 景気回復で財政は再建できるのか
第13章 マイルドな通貨安が最高の景気対策である
第14章 そもそもアベノミクスとは何だったのか
第15章 穏やかなインフレによる財政再建は可能か?
第16章 今の量的緩和に出口はない!
第17章 FRBと日銀の出口戦略は何が違うのか
第18章 量的緩和をするなら米国債を購入すべきだった
第19章 財政破綻はいつ来るか?
第20章 なぜ日本の財政はここまで悪化したのか
第21章 マネーを守るためにもドルを買え!
 
【著者】
藤巻 健史 (フジマキ タケシ)
 1950年東京生まれ。一橋大学商学部を卒業後、三井信託銀行に入行。80年に行費留学にてMBAを取得(米ノースウエスタン大学大学院・ケロッグスクール)。85年米モルガン銀行入行。東京屈指のディーラーとしての実績を買われ、当時としては東京市場唯一の外銀日本人支店長に抜擢される。同行会長から「伝説のディーラー」のタイトルを贈られる。2000年に同行退行後は、世界的投資家ジョージ・ソロス氏のアドバイザーなどを務めた。1999年より2011年まで一橋大学経済学部で、02年より08年まで早稲田大学大学院商学研究科で非常勤講師として毎年秋学期に週1回半年間の講座を受け持つ。日本金融学会所属。現在は、日本維新の会所属の参議院議員(全国比例区)。東洋学園大学理事。
 
(2017/5/26)KG
 
〈この本の詳細〉


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

米中地獄の道行き大国主義の悲惨な末路
 [経済・ビジネス]

米中地獄の道行き 大国主義の悲惨な末路

増田悦佐/著
出版社名:ビジネス社
出版年月:2017年2月
ISBNコード:978-4-8284-1935-0
税込価格:1,620円
頁数・縦:245p・19cm


 これまで製造業がリードしてきた経済構造の主役が、現在、サービス業に移行しつつある。工業社会からサービス社会に転換するのだ。そのために世界の覇権も変わってくる、という内容。
 アメリカの金融市場が中国の資源浪費を後押ししてきたが、それも立ち行かなくなる。サービス業中心の社会では、株式市場や軍需産業が意味を失い、貧富の格差が少なく、人口密集型の国が繁栄することになるという。

【目次】
第1章 今後10年で世界が大転換するこれだけの理由
 今度の金融危機は、体制内変革ではなく、体制の大転換く
 地政学は、軍事帝国を築いたアメリカの自己弁護
  ほか
第2章 アメリカ金融資本主義のたそがれ
 アメリカの没落が不可避な理由(その1)サービス業経済への転換
 設備投資が景気回復の万能薬ではない時代になった
  ほか)
第3章 中国資源浪費バブル崩壊が暴き出す「グローバル化」の虚構
 貿易量縮小は、供給不足が原因か、需要不足が原因か?
 驚異的な中国の資源浪費
  ほか
第4章 こんなにダメな日本が世界の先端に立つこれだけの理由
 日本は1人当たり後進国?
 日経平均の「半値戻し」が、世界株式市場大暴落の号砲
  ほか
第5章 明るい未来と暗い現在とのはざまをどう生き抜くか
 個人が自衛する道は、大きく分けて2つ
 趣味の金銭化に真剣に取り組むべし
  ほか

【著者】
増田 悦佐 (マスダ エツスケ)
 1949年東京都生まれ。一橋大学大学院経済学研究科修了後、ジョンズ・ホプキンス大学大学院で歴史学・経済学の博士課程修了。ニューヨーク州立大学助教授を経て帰国、HSBC証券、JPモルガン等の外資系証券会社で建設・住宅・不動産担当アナリストなどを務める。現在、経済アナリスト・文明評論家。

【抜書】
●地政学(p15)
〔 一時、戦争の論理で軍事外交のみならず、政治経済全般まで論じる「地政学」なる発想がもてはやされたことがある。この発想は、実はアメリカが軍事的にいかに有利な立場にあるかということに論点を絞った「学問」体系だった。地政学がお好きなアメリカの保守派は、「だからアメリカはもっと自分の利益を正面から押し出す主張をしていい」とあおったわけだ。〕

●84年サイクル(p38)
 株式チャーチストの中に、世界経済は84年周期で回っているという新説を唱えている人がいる。世界経済の危機(不況)は、84年周期で訪れる。あるピークの年を境に、前後10年程度ずつ続く。
 (1)1502~22年……コロンブスの第1回大西洋横断の10年後の1502年から、マザラン艦隊の世界周航完成の1522年。ヨーロッパが世界を地理的に征服したことにより、ヨーロッパ以外の国々は悲惨のどん底に突き落とされた。
 (2)1586~1606年……ヨーロッパにおけるアジア、アフリカ、南北アメリカの侵略の中心が、スペイン、ポルトガルからオランダに移行。植民地支配が貴金属や宝石などを奪い取るだけの略奪経営から、香料諸島で現地人を搾取した生産経営に移行した。
 (3)1670~90年……1688年、イギリスで「名誉革命」が起き、欧州大陸諸国でも個人の自由や平等、人権を尊重する風潮が芽生える。しかし、他方ではヨーロッパ諸国による他民族の隷属化が露骨に進んだ時代。イギリスの独擅場。
 (4)1754~74年……第0次世界大戦の時代。アメリカでフレンチ・アンド・インディアンウォー(7年戦争)が勃発。ヨーロッパ諸国が世界中の植民地でイギリス側とフランス側に分かれて戦争した。1776年、アメリカ独立。ヨーロッパで産業革命が本格化。他の地域では、ヨーロッパ支配が進み、国民の生活水準がかなり顕著に落ちていった。ドイツ、ロシア、アメリカが抬頭。
 (5)1838~58年……フランス、ドイツ、オーストリアで革命が挫折し、悲惨な生活苦がヨーロッパに蔓延した。一方、「セポイの乱」(57~58)にてムガール帝国を滅亡させ、大英帝国が隆盛。1873~96年も大デフレ時代だったが、一般庶民の勤労所得の実質上昇率が一番高かった時代。この後、大英帝国後の五大国(アメリカ、ドイツ、ソ連、日本、中国)のうち、アメリカ、ドイツが経済力を顕著に伸ばした。
 (6)1922~42年……アメリカが覇権を確立。 前半の10年は第一次大戦の戦後成金が没落、後半はその反動として起きた投機的ブームがこけて(1929年)、30年代大不況が始まった。世界経済史上、デフレと同時に不況になったのはこの時だけ。
 (7)2006~2026年?……2016年がピーク? 前半の10年は、30~50年に一度くらいしか起きていなかった金融危機が、2~3年おきに頻発。

(2017/4/19)KG

〈この本の詳細〉


nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

ブロックチェーン革命 分散自律型社会の出現
 [経済・ビジネス]

ブロックチェーン革命 分散自律型社会の出現

野口悠紀雄/著
出版社名:日本経済新聞出版社
出版年月:2017年1月
ISBNコード:978-4-532-35719-1
税込価格:1,944円
頁数・縦:355p・20cm


 革命的な技術革新であり、パラダイムシフトをもたらす可能性の高いブロックチェーンについて分かりやすく解説。

【目次】
ブロックチェーンが地殻変動を引き起こす
ブロックチェーン革命の到来
ブロックチェーンの応用(1)ビットコインの成長
ブロックチェーンの応用(2)銀行も導入
ブロックチェーンの応用(3)証券業に革命的変化
在来技術型のフィンテックとその限界
ブロックチェーンは通貨と金融をどう変えるか
ブロックチェーンの応用(4)事実の証明
ブロックチェーンの応用(5)IoT
分散型自律組織や分散市場がすでに誕生
分散型自律組織はいかなる未来を作るか
われわれは、どのような社会を実現できるか

【著者】
野口 悠紀雄 (ノグチ ユキオ)
 1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年イェール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学ファイナンス研究科教授などを経て、2011年4月より早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。主な著書:『情報の経済理論』(東洋経済新報社、日経・経済図書文化賞)、『財政危機の構造』(東洋経済新報社、サントリー学芸賞政治経済部門)、『バブルの経済学』(日本経済新聞社、吉野作造賞)。

【抜書】
●ビザンチン将軍問題(p48)
 P2Pネットワークで、いかにして共同作業を行うことができるか、つまり、どうすれば見知らぬ相手を信用することができるのか、という問題。
 ビザンチン帝国の将軍たちは、互いに他を陥れようとしていた。彼らは、ある都市を包囲し、「攻撃するか否か」を決めようとしている。一部の将軍だけで攻撃すれば敗北してしまう。攻撃するなら過半数が参加しなければならない。9人の将軍がおり、4人は賛成、4人は反対、その旨を他の将軍に連絡する。ところが、9人目の将軍は裏切り者で、攻撃派の将軍たちには賛成と伝え、反対派の将軍たちには反対と伝える。攻撃派の将軍たちは多数決で攻撃に決まったと判断して攻撃するが、敗北してしまう。裏切り者によって陥れられてしまう。
 では、裏切り者が現れないようにするには、どのような方法で合意を形成すればいいのか?
 つまり、信頼できない者同士が集まって共同作業を行うことは不可能だと考えられてきた。

●PoW(p49)
 PoW……Proof of Work。ビザンチン将軍問題を解決するための仕組み。各ブロックに直前のブロックのハッシュと、ナンス(number of once)という数字を組み込むことによって、再計算の手間を膨大なものにし、ブロックの改ざんを防ぐ。ナンス値はハッシュ関数に組み込まれた任意の数で、計算されるハッシュがある一定の条件(最初から一定個数だけゼロが並ぶという条件)を満たすよう要求される。
 一つのブロックの有効期限は10分間。
 あるブロックを改ざんした場合、それ以降のブロックも含めてハッシュとナンスを再計算しなければならない。
 フォーク……ナンスが求められるまでの間に、ブロックチェーンが枝分かれすることがある。それをフォークと呼ぶ。フォークが生じた場合、短い枝は捨てられる。

●コンメンダ(p175)
〔 中世イタリアの「コンメンダ」という事業形態では、航海ごとに出資を募った。イギリス東インド会社は、初期の段階では一航海ごとに資本家が出資を行う形態だった。未来の企業組織は、このようなものに先祖返りするかもしれない。〕

●DAO(p236)
 DAO……Decentralized Autonomous Organaization。分散型自立組織。管理者を持たず、P2Pを構成する多数のコンピュータが運営する。意思決定、実行、紛争解決は、ヒトが行うのではなく、プロトコルがあらかじめ定めたルールに従って行う。
 DAOはブロックチェーンによってコントロールされ、変更のきかないルールにしたがって運用される。企業がなくなったとしても、サービス自体提供され続けていく。
 ビットコインは、世界で初めてのDAOだと言われることもある。
 DAC……Decentralized Autonomous Corporation/Company。DAOの部分集合。株主のために配当を支払う組織。
 Dapps、DAO、DACなどは、bitcoin2.0とかBlockchain2.0などと呼ばれることもある。

●エセリウム(p237)
 エセリウム(Ethereum)……〔ユーザーが独自に定義したさまざまなスマートコントラクトや分散型アプリケーション(Dapps)を実行するためのプラットフォーム〕。プログラミング言語はチューリング完全(あらゆるプログラムを記述可能)であるとされる。
 ビットコインなどの多くのプロジェクトでは、スマートコントラクトを記述・実装できるのは開発チームだけだった。
 エセリウムはP2Pによって運営され、12秒に1回、承認作業を行う。
 セリウムにおける取引手数料やスマートコントラクトの実行手数料は、Gas(ガス)と呼ばれる。Gasは、基軸通貨のETH(イーサ)で支払われ、作業によって使用手数料が定められている。

●予測の自己実現効果(p254)
 人々が予測を信じて行動すると、結果的に予測通りになること。

(2017/3/29)KG

〈この本の詳細〉


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

ヘリコプターマネー
 [経済・ビジネス]

ヘリコプターマネー

井上智洋/著
出版社名: 日本経済新聞出版社
出版年月: 2016年11月
ISBNコード: 978-4-532-35718-4
税込価格: 1,620円
頁数・縦: 194p・19cm


 今の日本を覆う「信用創造の罠」から抜け出すには、「ヘリコプターマネー」を中心とした貨幣制度の変革が必要と説く。

【目次】
第1章 お金のばらまきで景気は良くなるか?
 アベノミクスの基礎にはマクロ経済学がある
 成長政策はデフレ不況脱却のための政策ではない
  ほか
第2章 政府紙幣と財政ファイナンス
 歴史の中の政府紙幣
 銀行券と中央銀行の起源
  ほか
第3章 長期デフレ不況にヘリコプターマネーは有効か?
 長期的な需要不足の可能性
 自然失業率仮説
  ほか
第4章 日本経済が陥った罠とは何か?
 流動性の罠なのか?
 クルーグマンの「流動性の罠」モデル
  ほか
第5章 ヘリコプターマネーとベーシックインカム
 貨幣発行益とは何か?
 貨幣発行益をベーシックインカムとして国民に配当せよ
  ほか

【著者】
井上 智洋 (イノウエ トモヒロ)
 駒澤大学経済学部講師。慶應義塾大学環境情報学部卒業、早稲田大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。2015年4月から現職。博士(経済学)。専門はマクロ経済学、貨幣経済理論、成長理論。人工知能と経済学の関係を研究するパイオニアとして、学会での発表や政府の研究会などで幅広く活動している。AI社会論研究会の共同発起人もつとめる。

【抜書】
●ベビーシッター組合(p32)
 資産効果……通常は、株価や地価などの上昇による資産の増大によって消費が増える効果をいう。井上は、現金や預金通貨などの増大によって消費が増える現象も「資産効果」と呼ぶ。
 「資産効果」によって消費需要が増大して景気が良くなる例として、「貨幣理論とベビーシッター組合の危機」(ジョーン・スウィーニー/リチャード・スウィーニー著、1977年)のエピソードがある。ポール・クルーグマンによって日本のデフレ不況を説明するために紹介されて有名になった。
 ベビーシッター組合に150組ほどの若い夫婦が加盟していた。ベビーシッターを雇うためのクーポン券は20枚配布され、1枚で30分、ベビーシッターを頼める。
 一定程度のクーポン券を蓄えようとするカップルが増え、需要が減り、相互扶助が行われなくなった。
 「需要不足は貨幣の増大によって解消できる。」
 クーポンを30枚に増やすと、資産が増大し、より気軽にクーポンを使うようになり、需要が増える。しかし、500枚に増やすとベビーシッターをしてクーポンを増やそうとする人がいなくなり、供給が増えない。

●ジョン・ロー(p42)
 1671年、スコットランド生まれ。「ゴールドスミス・バンカー」(金匠銀行家) の父親の財産を相続。博打打ち、殺人犯、亡命者、銀行家、政治家、経済思想家。
 『貨幣と商業』を匿名で出版。歴史上初の銀行や信用に関する体系的な理論書。スコットランドの経済が停滞しているのは、貨幣が不足しているから。その解決のためには、銀行を設立して貨幣量を増大させ、雇用の増大を図るべきである、と論じる。
 スコットランドではこの「銀行設立計画」は受け入れられず、財政危機に瀕していたスランスにて実現。
 王立銀行を設立、紙幣(王立銀行券)を発行、国債の償還に充てる。
 同時に、市中に出回った紙幣を吸収するために、ミシシッピー会社という政府系企業を設立。植民地ルイジアナで、金鉱の探査をするための会社。この会社の株を王立銀行券で買えるようにした。国債がミシシッピー会社の株に「化ける」 ⇒ 証券化(セキュリタイゼーション)。
 実際にはルイジアナに金鉱などなく、偽装。
 「ローのシステム」「ミシシッピー・システム」……貨幣は、金や銀などといった貴金属と交換できる保証がなくても信用だけで流通する。 
 1720年、王立銀行券の額面を100リーヴルから50リーヴルに切り下げ、ミシシッピー会社の株価が暴落し、ローはフランスを追われ、29年、ヴェネチアで亡くなる。

●交子(p51)
 宋朝の中国で、人類史上、初めて紙幣が広範囲に使われるようなった。「交子(こうし)」。
 当時の中国では、目覚ましい経済発展により、銅銭が不足した。
 やがて、西夏の侵入によって増大した軍事費を賄うのに使われるようなった。

●ゴールドスミス・バンク(p54)
 金細工師(ゴールドスミス)は、金を保管するための頑丈な金庫を持っていたので、人々から金を預かる業務つまり預金業務(銀行業)を営むようになる。⇒ ゴールドスミス・バンク
 金を預かる際にゴールドスミスが発行する預かり証「ゴールドスミス・ノート」が、紙幣(銀行券)として流通するようになる。民間の「銀行」が、めいめい銀行券を発行し、流通させていた。⇒ フリーバンキング
 イングランド銀行は、当初は政府への貸し付けを主たる業務とする民間銀行だった。ただし、政府への貸付額と同じ額まで紙幣(イングランド銀行券)を発行する権利が与えられた。一般の民間銀行が金ではなくイングランド銀行券を保有するようになり、銀行の銀行として機能するようになり、自然と中央銀行としての役割を担うようになった。

●ピグ―効果(p108)
 ピグ―効果……需要が不足すると、商品の価格が下がって手持ちのお金でより多くのものが買えるようになり、消費需要が増大する、という効果。
 資産効果と同じ結果をもたらす。

●技術進歩率(p126)
 技術進歩率と同程度の貨幣成長率を維持すれば、長期的な需要不足を解消することができる。
 政策当局の介入が存在しないようなレッセフェール(自由放任主義)経済では、必ず技術的失業が発生する。
 貨幣が非中立的な経済では、そもそもレッセフェールはあり得ない。

●信用創造の罠(p138)
 流動性の罠……マネーストック(現金+預金)を増大させても、利子率が低下せず投資や消費が増大しない。
 信用創造の罠……マネタリーベース(現金+預金準備)を増大させても利子率が低下せずマネーストックが増大しない。
 現在は、信用創造の罠に陥っている。

●自己実現的期待(p156)
 「景気が回復し定常状態Hにたどり着ける」ということを国民全体に信じ込ませることができれば、それによって消費需要及び投資需要が増大し、信用創造がなされ、マネーストックも増大し、本当に定常状態Hにたどり着ける。
 予言したことによって実際に予言したとおりになる「予言の自己成就」 ⇒ 自己実現的期待。

●貨幣発行益(p160)
 信用創造の罠からの唯一確実な脱却手段は、「ヘリコプターマネー」である。
 ヘリコプターマネーを実施するということは、「貨幣発行益」を使うことを意味する。
 たとえば国債は、いずれ税金によって償還するか、中央銀行に買い取らせて貨幣発行益に変える必要がある。
 もっとも公平なのは、国民一人ひとりに同額ずつマネーを給付すること。⇒ 「貨幣発行益の国民配当」
 ベーシックインカム……カナダの思想家クリフォード・ヒュー・ダグラスのアイディア。生活に最低限必要な所得を国民全員に保障する制度。

●国民中心の貨幣制度(p170)
 これまでの貨幣制度は、「政府中心の貨幣制度(Aレジーム)」と「銀行中心の貨幣制度(Bレジーム)」のどちらかであった。
 Aレジーム……政府(領主や王、皇帝などの為政者)がコインや紙幣を発行して貨幣発行益を享受する近代以前の制度。
 Bレジーム……銀行が信用創造を行い、貨幣発行益を享受する近代以降の制度。
 Cレジーム……未来に現れるだろう貨幣制度。「国民中心の貨幣制度」。中央銀行のみがお金を創造し、政府を介してそのお金は国民にベーシック・インカムとして支給され、国民はすべての貨幣発行益を直接享受できる。
 中央銀行 ⇒ 民間銀行 ⇒ 企業 ⇒ 家計、という流れが以下のように逆転。
 中央銀行 ⇒ 家計 ⇒ 民間銀行 ⇒ 企業
 現在、銀行以外の経済主体が仮想通貨や地域通貨を発行し、「貨幣創造の分権化」が進行している。
 Cレジームは、中央銀行のみに貨幣創造の権限を持たせる「貨幣創造の集権化」。

●100%準備制度(p175)
 信用創造の禁止……「部分準備制度」を廃止して、「100%準備制度」を導入する。
 「預け入れ」であり、同時に「貸し付け」であるという預金の二重性を預金からはく奪する。
 ヘンリー・シモンズやミルトン・フリードマンといったシカゴ大学を根城とする経済学者集団に支持されたので、「シカゴプラン」と呼ばれるようになる。

●純粋機械化経済(p181)
 人間の労働の大部分が、汎用AIを搭載したロボットなどの機械によって代替され、機械のみが生産を行う経済。
 潜在成長率が上がるので、マネーストックを増大させ、絶え間なく需要を喚起し続ける必要がある。
 今の貨幣制度のままでは、信用創造の罠が発生してしまう。
 貨幣経済の主軸をヘリコプターマネーに据える必要がある。
 雇用を失った人々の生活を支えるための社会保障制度として、ベーシック・インカム(BI)が導入されるべきである。 ⇒ 固定BI
 BIの給付額は、インフレ率やGDPギャップなどのマクロ経済の状況を鑑みて変動させる必要がある。⇒ 変動BI。固定BIとの2階建てBI。
 変動BIを実施するには、「貨幣制度の変革」(Currency Innovation:CI)がなされなければならない。
 AI ⇒ BI(2階建てBI)⇒ CI

(2017/2/18)KG

〈この本の詳細〉


nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

マンガとイラストでよくわかる一度は考えていただきたい相続対策
 [経済・ビジネス]

マンガとイラストでよくわかる 一度は考えていただきたい相続対策

松岡敏行/著
出版社名 : 清文社
出版年月 : 2016年11月
ISBNコード : 978-4-433-62336-4
税込価格 : 1,728円
頁数・縦 : 160p・21cm


【目次】
第1章 マイナンバーがやってきた!これからどうなる私の生活!?
第2章 実家が空くと何が問題?どうすればいいの?
第3章 最もシンプルな相続税節税法
第4章 相続税節税の王道!現預金のかんたん贈与法
第5章 相続税を劇的に下げる不動産を使った“超”節税法
第6章 所得税も相続税も節税できる不動産管理会社を作ろう
第7章 国税庁がメス これからどうなる?タワーマンション節税
第8章 相続税の現場から本当にあった税務調査のリアル
第9章 円満な相続を実現する家族のための信託と遺言
第10章 自分に合った相続対策で実現する上手な財産の遺し方

【著者】
松岡 敏行 (マツオカ トシユキ)
 税理士。日本で初めて税理士自らマンガを描いた『マンガ 突然の相続』(清文社)を出版。相続対策の重要性を早期に訴え、独自の対策を提案することで定評がある。

【抜書】
●家族型信託(p133)
 所有権……管理、運用、処分する権限。
 受益権……運用、処分で利益を得る権利。
 家族型信託なら、所有権が息子に移っても、受益権を母親に残すことができる。贈与税は、受益権が移った時に課税される。

(2017/1/7)KG

〈この本の詳細〉


nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

株式会社の終焉
 [経済・ビジネス]

株式会社の終焉

水野和夫/〔著〕
出版社名 : ディスカヴァー・トゥエンティワン
出版年月 : 2016年9月
ISBNコード : 978-4-7993-1964-2
税込価格 : 1,188円
頁数・縦 : 239p・18cm


 近代の創出した株式会社という仕組みは21世紀に終焉を迎える。グローバル化の進展により「無限の空間」がなくなり、それに代わる「電子・金融空間」での利潤は、社会の発展に貢献しないからだ。
 これからは、ゼロ成長に見合った新たな社会を目指していかなければならない。

【目次】
第1章 株高、マイナス利子率は何を意味しているのか―「資本帝国」の株高vs.「国民国家」のマイナス金利
 国家と国民の離婚
 政府のROE8%超要請
 人件費削減に正当性はあるのか
  ほか
第2章 株式会社とは何か―「無限空間」の株式会社vs.「有限空間」のパートナーシップ
 「世界で最も重要な組織は会社だ」
 古くて新しい法人vs.中世イタリアのパートナーシップ
 最初の株式会社モスクワ会社と国王の事情
  ほか
第3章 21世紀に株式会社の未来はあるのか―より多くの現金配当vs.より充実したサービス配当
 成長、それ自体が収縮を生む
 バブルが多発する「電子・金融空間」
 ショック・ドクトリンと無産階級の増大
  ほか

【著者】
水野 和夫 (ミズノ カズオ)
 1953年生まれ。法政大学教授。77年、早稲田大学政治経済学部卒業。80年、同大学大学院経済学研究科修士課程修了後、八千代証券(国際証券、三菱証券を経て、現三菱UFJモルガン・スタンレー証券)に入社。三菱UFJ証券チーフエコノミストを経て、2010年退社。同年、内閣府大臣官房審議官(経済財政分析担当)。11年、内閣官房内閣審議官(国家戦略室)。12年、退官。

【抜書】
●ブレクテアーテ(p59)
 1150~1350年ごろは、中世ヨーロッパのビジネスの黄金時代。カテドラル(大聖堂)が各地につくられ、巡礼者が数多く訪れた。
 封建領主たちは、日常的な取引や売買に使う目的で独自の通貨をつくり、領内に流通させていた。銀の板に刻印をした貨幣。6~8か月ほど流通したら回収され、新しい貨幣を再流通。その際の価値は、旧貨幣100円に対して新貨幣97~98円。1年に換算すると3~6%のマイナス金利。あるいは、地方所得税? 見えない税金。
 こうして集めた金で作られたのが、各地のカテドラル。

●徴税権(p62)
 近代国家である日本は、「租税法律主義」という考え方のもと、徴税権は議会にある。
 しかし、日銀は、国会の議決を経ずに、マイナス金利という実質的な税金を取り始めた。日銀には徴税権はないので、越権行為である。

●国民国家vs.資本帝国(p67)
 20世紀までの金利と株価は、国民国家の「景気」を反映して動いていた。
 しかし、21世紀になると、株価がみているのは「資本」である。20世紀末に誕生した「電子・金融空間」をホームグラウンドとする資本帝国。
 利子率が見ているのは、近代の「地理的・物的空間」に立脚する国民国家の経済。
 金利と株価の乖離。
 円高・株高政策を採用するアベノミクスは、「資本帝国」の政策である。

●モスクワ会社(p83)
 1555年、イギリスの国王メアリーⅠ世によって、モスクワ会社という株式会社が設立された。モスクワ大公国との貿易の独占権を得る「特許会社」。
 モスクワ会社は、「株式共同資本で交易した最初の法人」。
 特許会社……特許状に加え、中世から引き継いだ二つの概念に基づいている。①自由市場で売買可能な株式。②有限責任。二つの概念は、いまの株式会社の概念となっていく。
 モスクワ会社と東インド会社(1600年設立)は、永続資本だった。

●ザ・セイホ(p108)
 1985年のプラザ合意で、円とマルクを切り上げた。
 日本のザ・セイホは、米国債を購入することで、米国の赤字国債をファイナンスしていた。日本の貯蓄は、生命保険会社を通じて、米ウォール街と米財務省へ、そして最終的に米軍需産業へ、流れていた。
 しかし、プラザ合意でドル安になることでザ・セイホが巨額の為替差損をこうむっては、米国債を購入することができなくなる。そこで日本政府が国策として、土地・株式バブルでザ・セイホの株式含み益をかさ上げする必要があった。それが、アメリカの要請による日本の官製バブルの真相。

●オリーヴィ(p116)
 ピエール・ド・ジャン・オリーヴィ、1248-1298。現代の資本の概念に近い考え方をした。
 資本を「所有者がなんらかの可能的利益を生み出すために用いようと固く決意しているもの」と定義。そして、この定義のもと、「『決意』や『目的』によって『資本』と化した貨幣が、あたかも『種子のごとく』生む利益であれば、たとえそれが現時点では存在せず、将来において見込まれているものであっても、それを売買することは正当な行為であり、したがってコンメンダ(=投資貸借)による利益取得も正当である」と主張。
 教会が利子を認める際、正当化する理論となった。

●中世(p120)
〔 今起きているのは、近代の拠って立つ前提、すなわち「無限の空間」を21世紀のグローバリゼーションで前に進んできた結果、これ以上広がらないところまで到達してしまったということです。
 したがって、わたしたちが対話すべき過去とは、アジアにまだフロンティアがあった1930年代の「世界大恐慌」ではなく、「閉じた空間」だった中世なのです。オリーヴィが中世から800年を経て、現在の舞台に呼び戻されたのは、中世と対話しろというメッセージだと考えるべきです。〕

●電子・金融空間(p132)
 貨幣と企業は、「不確実性とその源泉」である。貨幣が安定していなければ、企業は、「地理的・物的空間」の膨張、すなわち市場の拡大に専念できない。ドルが金の裏打ちを喪失した1971年から、「地理的・物的空間」において付加価値を増加させることが難しくなった。
 明日の貨幣価値が分からなくなったために、資本主義は市場の拡大以外のことを考えなければならなくなった。そのため、金融の自由化の元に「電子・金融空間」が創出された。

●近代の3つの原理(p133)
 より速く……1820年以降、蒸気の力を得て「鉄道と運河の時代」がスタートした。
 より遠く……大航海時代に端を発する。
 より合理的に……科学革命が推進。

●立ち止まる(p158)
 〔過去の歴史的経緯をたどっていくと、20世紀の「技術の時代」は17世紀の「科学の時代」からの累積によって築かれたことがわかります。シュミットが16世紀から20世紀のそれぞれの世紀を特徴づけたように、今なすべきことは、21世紀はどんな時代かをまずは立ち止まって考えることです。走りながら考えると、過去4世紀の慣性、すなわち、「より速く、より遠く、より合理的に」が働いて、ITを切り札にした第4次産業革命にすがることになります。
 21世紀は「より速く、より遠く、より合理的に」を追求する「技術の時代」ではありません。21世紀が引き続き「技術の時代」だと信ずるのであれば、少なくとも「よりゆっくり、より近く、より寛容に」を目指す技術でなければなりません。
 マイナス金利とは、立ち止まって冷静に考えなさいというメッセージなのです。〕

●債務国家(p169)
 債務国家……「現実にはまだ存在していない金融資源の投入によって社会的紛争を平和的に解決することを可能にする」国家。金融資源とは、日本の場合、966.8兆円の国債。米国の場合、サブプライムローン、学生ローン。
 「租税国家」から「債務国家」への意向は、1980年以降、先進国共通の現象。1970年代に近代システムが機能不全に陥ったにもかかわらず、歳出・歳入構造が時代の変化に適応しきれていない。
 米国は、1980年以降、「債務国家」となった。国家債務の負担が大きくなると、債務は家計に移し替えられていった。「新自由主義」、「ショック・ドクトリン」(惨事便乗型資本主義)。

●ゼロ成長(p174)
〔 今の日本は、資本係数は世界最大、自然利子率はゼロです。資本が過剰に積み上がって、コンビニエンスな社会、すなわち、いつでもどこでもほしいモノ・サービスが手に入る社会を築いたわけですから、成長を目標にすればその反動のほうが大きくなるはずです。
 ゼロ成長が長期化すれば、国債は利息を生まなくなります。預金者は事実上、ゼロ金利永久国債保持者、もっと極端に言えば、国家に対する出資者となります。
 出資者へのリターンは国家の行う社会保障関連サービスや教育です。日本国家は現金配当をやめて優良なサービス給付国家に変わっていくことを求められているのです。〕

●資本の帝国(p182)
 「資本の帝国」とは、一級市民の株主と二級市民の預金者から成る階級社会。
 国民は平等であるという近代の理念に反するという点で、「反近代」であり、反動勢力。

●エラスムス(p215)
 「より寛容に」は、「より合理的に」の反対概念。
 16世紀は、寛容主義者エラスムス(1466‐1536)の時代と言われていた。カトリックからもプロテスタントからも尊敬を集めていた。しかし、彼をしても三十年戦争を避けられなかった。
 近代合理主義も限界に達した今、私たちがよりどころとすべきは、エラスムス。
 合理性とは、少ないインプットと多くのアウトプットを求めること。それが、人口減とイノベーションの低下を招来している。

(2017/1/4)KG

〈この本の詳細〉


nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

第四次産業革命 ダボス会議が予測する未来
 [経済・ビジネス]

第四次産業革命 ダボス会議が予測する未来

クラウス・シュワブ/著 世界経済フォーラム/訳
出版社名 : 日本経済新聞出版社
出版年月 : 2016年10月
ISBNコード : 978-4-532-32111-6
税込価格 : 1,620円
頁数・縦 : 232p・19cm


 ダボス会議(世界経済フォーラム)の創設者が、現在進行中の「第四次産業革命」について分析、将来を論じる。
 
【目次】
1章 第四次産業革命とは何か
 歴史的背景
 根底からのシステム変革
  ほか
2章 革命の推進力とメガトレンド
 メガトレンド
 ティッピング・ポイント
3章 経済、ビジネス、国家と世界、社会、個人への影響
 経済への影響
 企業への影響
  ほか
付章 ディープシフト
 体内埋め込み技術
 デジタルプレゼンス
  ほか

【著者】
シュワブ,クラウス (Schwab, Klaus)
 1938年生まれ、ラーベンスブルク(ドイツ)出身。公的機関と民間企業の協力(パートナーシップ)を通して社会課題の解決を推進する国際機関、世界経済フォーラムの創設者であり、会長を務める。フリブール大学にて経済学博士号(summa cum laude)を取得したほか、スイス連邦工科大学にて工学博士号を、ハーバード大学ケネディスクールにて行政学修士号を取得。1972年にジュネーブ大学の最年少教授に就任。研究者として国内外にて数々の表彰を受け、ビジネス界でも数々の大企業の取締役として活躍した。

【抜書】
●第四次産業革命(p18)
 〔第四次産業革命は、今世紀に入ってから始まり、デジタル革命の上に成り立っている。第四次産業革命を特徴づけるのは、これまでとは比較にならないほど偏在化しモバイル化したインターネット、小型化し強力になったセンサーの低価格化、AI、機械学習である。〕
 第一次産業革命……1760年代~1840年代。蒸気機関の発明と鉄道建設。機械による生産の到来。
 第二次産業革命……19世紀後半~20世紀初頭。電気と流れ作業の登場。大量生産が可能になる。
 第三次産業革命……1960年代~1990年代。コンピュータ革命、デジタル革命。
 第四次産業革命では、遺伝子配列解析、ナノテクノロジー、再生可能エネルギー、量子コンピュータなど、様々な分野でブレイクスルーの波が同時に起きている。〔第四次産業革命がこれまでの産業革命と根本から異なるのは、これらのテクノロジーが融合し、物理的、デジタル、生物学的各領域で相互作用が生じたことである。〕
 〔第四次産業革命ではエマージングテクノロジーと幅広いイノベーションが、これまでの産業革命をはるかに凌駕する速度と範囲で普及している。〕

●機械的・反復的職業(p58)
 今後、労働市場はさらに二極化する。高収入の認知的・創造的職業と、低収入の単純労働。
 中所得の機械的・反復的職業は大幅に減少する。

●ヒューマンクラウド(p69)
 ダニエル・ピンク『フリーエージェント社会の到来』2001年。
 〔専門的な仕事が、明確な課題や個別プロジェクトに分解され、意欲的な労働者が世界各地から集まるバーチャルクラウドに託される。新たなオンデマンド経済で、労働提供者はもはや従来の意味での従業員ではなく、特定業務を遂行する個人労働者となる。〕

●貧富の格差(p125)
 クレディ・スイス「グローバル・ウェルス・レポート2015」。
 世界全体の全資産の半分は、世界人口の1%にあたる富裕層が所有。
 世界人口の下位半分の資産を合計しても世界全体の1%未満。

●変化の受容と抵抗(p131)
 現代は、人類に継続的適応を求める根本的なシステム変化の入り口。変化を受容する者と抵抗する者という、世界の二極化が進む。
〔 エンジニアである私は、生粋のテクノロジー信奉者でありアーリーアダプターである。だが、多くの心理学者や社会科学者と同様に私が思うのは、私たちの生活における技術の容赦ない統合がアイデンティティの概念におよぼす影響、そしてそれが内省、共感、思いやりなどの人間が本質的に持つ能力を損ねる可能性である。〕

●必要な知性(p141)
 1. 状況把握の知性(精神)……知識を理解し、応用する能力。
 2. 感情的知性(心)……思考や感情を処理し、統合する能力。あるいは自分自身とそれらを関連付けたり、それら同士を関連づけたりする能力。
 3. 啓示的知性(魂)……公益のために変化をもたらし、行動するための個人および共通の目的意識や信頼感、その他の美徳を活用する能力。
 4. 物理的知性(肉体)……自身の健康や幸福だけでなく、個人およびシステム双方の変革に必要なエネルギーを注ぐ、私たちの周りにいる人々の健康や幸福の追求と維持をする能力。

●スマートダスト(p160)
 それぞれが砂粒より小さいアンテナ付きのコンピュータを並べたもの。体内で必要に応じて複雑な体内プロセス全体に動力を提供するネットワークとなる。
 スマートダストの一群が、早期がんを攻撃したり、傷の痛みを緩和したり、何重にも暗号化されたハッキング不可能な重要な個人情報の保管庫となる。

●取締役会(p194)
 2025年までに、企業の取締役会にAIマシンが初登場すると予測する企業役員は、45%。

(2016/12/30)KG

〈この本の詳細〉


nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

人口と日本経済 長寿、イノベーション、経済成長
 [経済・ビジネス]

人口と日本経済 - 長寿、イノベーション、経済成長 (中公新書)

吉川洋/著
出版社名 : 中央公論新社(中公新書 2388)
出版年月 : 2016年8月
ISBNコード : 978-4-12-102388-9
税込価格 : 821円
頁数・縦 : 198p・18cm


 高齢化で世界の最先端を行く日本。人口減少も深刻な問題だ。
 しかし、人口減少が経済成長を阻害するというのは間違った考え方である。経済の成長を支えるのはイノベーションであり、労働人口ではない。むしろ、超高齢化社会に向けたイノベーションを起こすことによって、経済は発展することができる。日本は、その「実験場」でもあるのだ。

【目次】
第1章 経済学は人口をいかに考えてきた
 日本の人口
 中国の人口
  ほか
第2章 人口減少と日本経済
 日本が消える?
 超高齢社会の社会保障
  ほか
第3章 長寿という果実
 先進国における出生率の低下
 日本の出生率の推移
  ほか
第4章 人間にとって経済とは何か
 経済とぜいたく
 一国経済の活動水準―GDPの計測
  ほか

【著者】
吉川 洋 (ヨシカワ ヒロシ)
 1951年、東京都生まれ。東京大学経済学部卒業後、イェール大学大学院博士課程修了(PH.D)。ニューヨーク州立大学助教授、大阪大学社会経済研究所助教授、東京大学助教授、東京大学大学院教授を経て、立正大学教授。専攻はマクロ経済学。著書『マクロ経済学研究』(東京大学出版会、1984年、日経・経済図書文化賞、サントリー学芸賞)、『日本経済とマクロ経済学』(東洋経済新報社、1992年、エコノミスト賞)、『転換期の日本経済』(岩波書店、1999年、読売・吉野作造賞)など。

【抜書】
●マルサス(p22)
 ロバート・マルサス(1766-1834)の『人口論』(初版1798年)。
 原則1: 人が生きていくためには食料が必要不可欠である。
 原則2: 男女両性の性欲は今日同様いつまでも大きく変わることはない。
 したがって、食料のあるところで人口は増えることになる。
 人口は制御されない限り等比数列的に増えるが、食料は等差数列的に増えるに過ぎない。

●所得の再配分(p43)
 以下、1930年代、人口減少時代を迎えていたイギリスでケインズが行った講演の概要。
 人口減少下では、増益が見込めないので企業は投資を抑制。
 19世紀は、貯蓄は直ちに投資に結び付いていた。金持ちの行う貯蓄は、資本蓄積を通して経済社会の進歩に貢献した。
 20世紀は、旺盛な投資に期待できない。投資に代わり、消費が有効需要を支えなければならない。
 稼いだ所得を貯蓄に回してしまう富裕層から、消費をする一般大衆へと所得の再分配を行わなければならない。

●経済成長(p72)
 経済成長を決めるのは人口ではない。イノベーションである。
 明治の初めから今日まで、経済成長率(GDPの伸び率)と人口の伸び率は、大きく乖離していた。人口の増加が経済成長に貢献していたわけではない。
 経済成長率と人口の伸び率の差=労働生産性の伸び。

●純輸出(p84)
 日本の高度成長期(1955~70年)、輸出から輸入を引いた「純輸出」の経済成長への貢献は、ほぼゼロだった。
 年平均10%の高度成長は、輸出によって牽引されたものではなく、旺盛な国内需要によって生み出されたもの。
〔 人々が求めた耐久消費財の普及、農村から都市への人口移動、その結果として生まれた世帯数の増加、これらはいつの時代にもありうる「無色透明」なものではなく、1950年代から60年代の日本の経済社会にたった1回与えられた「歴史的」な条件である。高度成長は、こうした歴史的条件の下に生まれた。経済成長が人口増加だけによって生まれる機械的な現象ではないことは、日本の高度成長を振り返れば理解できるはずである。〕

●皆保険(p116)
 近代的な医療保険制度は、19世紀末、ドイツ帝国で「鉄血宰相」と言われたビスマルクが、台頭する社会主義への対抗策として導入した。
 日本では、1922年(大正11年)、工場労働者を対象にして「健康保険法」が公布された。
 1955年になっても、農民や自営業者など国民の三分の一には医療保険がなかった。
 日本で「皆保険」が誕生したのは1961年。

●江戸時代(p179)
 『朝日新聞』2011年12月17日夕刊より。
 東京都内の開発で掘り出された人骨1万人分を、国立科学博物館が保管している。
 江戸時代の人々の栄養状態は悪かった。特に鉄分が不足。現代なら死亡率の低い若い世代の骨が多いのも特徴の一つ。伝染病の流行で、ヒトが簡単に死んだ?
 成人の平均身長は、男で150cm台半ば、女性はそれより10cmほど低い。日本のすべての時代で最も小柄だった。

(2016/12/4)KG

〈この本の詳細〉


nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:
前の10件 | - 経済・ビジネス ブログトップ