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仮想通貨の時代
 [経済・ビジネス]

仮想通貨の時代  
ポール・ヴィニャ/著 マイケル・J・ケーシー/著 コスモユノー/訳
出版社名:マイナビ出版
出版年月:2017年9月
ISBNコード:978-4-8399-6362-0
税込価格:3,132円
頁数・縦:378p・21cm
 
 
 翻訳が分かりにくく、誤植も多く、なかなかの難物であった。
 たとえば、「このパブリックキーの暗号システムのオンラインバンクアカウントのパスワードをユーザネームに適用するもので、インターネットと金融のアプリケーションでは広く使われている手法で、オンラインバンキングと電子メールでも使われ、人選択したデータをすべての情報にアクセス権を与えることは必要なく共有するものである。」(p.123)
 意味が通じないのは、専門知識がないから?
 
【目次】
1章 バビロンからビットコインへ
2章 創世記
3章 コミュニティ
4章 ローラーコースター
5章 ブロックチェーンを作る
6章 軍備拡張戦争
7章 サトシの製造所
8章 アンバンクト
9章 すべてをブロックチェーンで
10章 四角い杭が丸い穴と会う
11章 新たな経済モデル
結論 何が起ころうと…
 
【著者】
ヴィニャ,ポール (Vigna, Paul)
 ウォール・ストリート・ジャーナル(The Wall Street Journal, WSJ)のマーケット・リポーター。WSJのMoneyBeatブログに書き込み、MoneyBeatショーの司会をつとめ、“BitEeat”デイリー・コラムを更新する。ヴィニャはダウ・ジョーンズ経済通信(Newswires)のコラム「Market Talk」の執筆、編集もつとめる。妻と息子と一緒にニュージャージーに住んでいる。
 
ケーシー,マイケル・J. (Casey, Michael J.)
MIT Media Labのデジタル通信イニシアティブのシニアアドバイザー。かつてはWSJで世界金融に関するコラムニストをつとめ、『Che's Afterlife: The Legacy of Image』:“ミチコ・カクタニによる2009年の本トップ10”選出など、の著作がある。妻と2人の娘と一緒にニューヨークに住んでいる。
 
【抜書】
●2,100万コイン(p63)
 サトシ・ナカモトは、2009年初頭、ビットコインの発行(マイニング)を開始した。
 最初の4年間は、10分ごとに固定した50個のコインを発行し、マイニングに成功した者の所有となる。
 2012年末には発行量を25コインに減らし、その後、4年ごとに半減を続け、2140年にはゼロになるように設計されている。
 合計で、2,100万コインが発行される。
 
●クラウド・ハッシング(p140)
 マイニングするための機器を大量に買い入れてデータセンターを設置し、ハッシュ化能力を分割して貸し出す仕組み。
 顧客は、自分の支払金額に応じて、ビットコインの分配を受けることができる。
 
●M-Pesa(p215)
 M=Mobile、Pesa=お金(スワヒリ語)。
 銀行に口座を持つ成人のケニア人の割合は42%。しかし、ケニア人の多くは電話を持っていた。
 2007年、ケニア最大の通信会社Safaricomは、利用者に電話を使って送金させるパイロットプログラムを開始した。プリペイド通話時間の標準単位を、通貨形式に変換した。
 M-Pesaを利用するには、まずアカウントにサインアップして電話に電子ウォレットを受け取る。
 お金を追加するには、現地のSafaricom代理店に行き、「e-float」と同額の現金を払う。代理店は、全国に1万5000件以上ある。
 その後、他のM-Pesaアカウント所有者に送金したり、通話時間を購入したり、支払いしたりすることができる。
 お金を引き出すには、代理店に行き引き出しの申し込みをする。アカウントにe-floatの相当額があれば代理店はその分の現金をその場で渡す。
 ケニア人の3分の2がこのM-Pesaを利用しており、ケニアのGDPの流れの約25%がこのシステムを経由している。
 Safaricomの40%を所有するVodafoneは、タンザニア、南アフリカ、モザンビーク、エジプト、フィジー、インド、ルーマニアでこの製品を展開している。
 
(2018/2/21)KG
 
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ユニクロ潜入一年
 [経済・ビジネス]

ユニクロ潜入一年  
横田増生/著
出版社名:文藝春秋
出版年月:2017年10月
ISBNコード:978-4-16-390724-6
税込価格:1,620円
頁数・縦:309p・20cm
 
 
 『ユニクロ帝国の光と影』(2011年、文藝春秋)の著者による、ユニクロ潜入ルポ。
 ユニクロは、同書発行後ほどなく文藝春秋に対して名誉棄損の訴えを起こしたが、2014年12月に最高裁が上告を棄却し、敗訴している。その後、ユニクロは横田氏に対する取材拒否と決算会見への出席不許可を続けている。これに対する怒りが、同氏に2冊目のユニクロ本を書かせることにつながった。
 結局、不屈のジャーナリストに対しては、SLAPPは脅しとならず、火に油を注ぐ結果になったということか。
 
【目次】
はじめに 藤原氏とは何か
序章 鎌足の「功業」と藤原氏の成立
第1章 不比等の覇権と律令体制
第2章 奈良朝の政変劇
第3章 藤原北家と政権抗争
第4章 摂関政治の時代
第5章 摂関家の成立と院政
第6章 武家政権の成立と五摂家の分立
おわりに―日本史と藤原氏
 
【著者】
横田 増生 (ヨコタ マスオ)
 1965年、福岡県生まれ。アイオワ大学ジャーナリズムスクールで修士号。93年に帰国後、物流業界紙『輸送経済』の記者、編集長を務め、99年フリーランスに。
 
【抜書】
●SLAPP裁判(p41)
 大企業や政治家などの「社会的強者」が起こす、高額な賠償金を求める名誉棄損裁判のこと。「威嚇裁判」「恫喝裁判」「高額嫌がらせ裁判」などと意訳される。
 訴える側にとっては、自分たちの社会的な評価を低下させる表現を見つけ、あとは訴訟を弁護士に依頼すればいいだけだから、うるさいメディアを黙らせるには低廉なメディア対策と言える。
〔 ユニクロは裁判に負けたが、しかし文春との裁判終了後、新聞や雑誌において独自取材によるユニクロ記事をほとんど見かけなくなったという点では、ユニクロは言論の萎縮効果という、実質的な”果実”を手に入れたように私にはみえた。多くのマスコミは、SLAPP裁判も辞さないというユニクロについて、調査報道をしようという気にはなかなかならないものである。私の目には、ユニクロは、あれこれと同社のことを詮索するマスコミの口を封じることに成功したように映った。〕
 
●ラギー原則(p192)
 国連人権理事会は、2011年、「ビジネスと人権に関する指導原則」を採択した。通称「ラギ―原則」。
 これまでは、主に国家が自国民の人権を守る義務(duty)を負ってきた。
 しかし、大手資本の国際企業が、国境を越えてビジネスを展開するようになった。国際企業にもそのサプライチェーン全般においてビジネスを展開する国で雇用する人々に対する人権を守る責任(responsibility)がある、とする考え方。
 
(2018/2/10)KG
 
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異次元緩和の終焉 金融緩和政策からの出口はあるのか
 [経済・ビジネス]

異次元緩和の終焉 金融緩和政策からの出口はあるのか
 
野口悠紀雄/著
出版社名:日本経済新聞出版社
出版年月:2017年10月
ISBNコード:978-4-532-35748-1
税込価格:1,944円
頁数・縦:261p・20cm
 
 
 日銀が推進する「異次元金融緩和政策」の誤りを指摘し、日本経済の目指すべき方向を示す。
 
【目次】
序論 「金融政策の死」を「経済の死」につなげぬために
第1章 効果なしと分かっていた量的緩和をなぜ繰り返したのか?
第2章 弊害の大きいマイナス金利と長期金利操作
第3章 評価(1)物価上昇率目標は達成できず
第4章 評価(2)消費を増やさず、格差が拡大した
第5章 世界は金融緩和政策からの脱却を目指す
第6章 出口に立ちふさがる深刻な障害
第7章 本当に必要なのは構造改革
 
【著者】
野口 悠紀雄 (ノグチ ユキオ)
 1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年イェール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学ファイナンス研究科教授などを経て、早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。主な著書:『情報の経済理論』(東洋経済新報社、日経・経済図書文化賞)、『財政危機の構造』(東洋経済新報社、サントリー学芸賞政治経済部門)、『バブルの経済学』(日本経済新聞社、吉野作造賞)など。
 
【抜書】
●金融緩和政策(p88)
 第2次安倍政権の金融緩和政策は、以下のようなルートを経て、経済活動を拡大させると期待されている。
  マネタリーベース(現金通貨+日銀当座預金)の増大
    ↓
  マネーストック(現金通貨+預金通貨)の増大
    ↓
  マネーに対する需給が緩和
    ↓
  実質金利の低下
    ↓
  設備投資などの増加
 しかし、期待したようにはマネーストックは増加しなかった。そもそも、今の日本には、マネーの需要がない。
 〔異次元金融緩和政策は「空回りした」と評価せざるをえない。〕
 
●金融政策の大転換(p127)
 (1)マイナス金利からの脱却。
 (2)長期金利について、ある程度の上昇を容認する。
 (3)巨額の国債購入を惰性的に続けることをやめる。
 これらによって、為替レートが円安に動くのを抑止することができる。政策転換を明らかにすれば、投機筋の行動が変化し、円高になる。
 円高になれば輸入物価が下落。さらに、企業の競争を促進させ、輸入物価の低下が消費者物価の低下に反映させやすい状況を作る。そうすれば実質賃金が上昇する。そして、実質消費が増大することで、経済成長が実現する。
 〔いま日本に求められているのは、実質賃金を引き上げて、消費主導の経済成長を実現することなのである。〕
 
●消費税減税(p143)
 日本の企業は、内部留保を増大させている。いま必要なのは、法人税を増税して消費税の減税を行うこと。
〔 しかし、問題は、日本の政治が法人税増税を行なう体質になっていないことである。とりわけ、現在の自民党内閣は「株価連動内閣」と言われるほどだから、こうした政策を行なうはずがない。
 本来は、労働者の立場からの議論が起こるべきだが、そうした利害を代弁する政治勢力が存在しない。日本経済が停滞から脱却できないのは、このような政治的構造に大きな原因がある。〕
 
●インフレ率(p208)
 各国のインフレ率。『国家は破綻する』(カーメン・ラインハート/ケネス・ロゴフ、日経BP社、2001年)による。
 1923年のドイツ、年率200憶%以上。
 1946年のハンガリー、年率9×10の26剰パーセント。過去最高。
 日本では、1945年の年率568%が最高。
 
●TPP(p249)
〔 そもそも、TPPは、貿易自由化のための協定ではない。それは、関税同盟であり、域内地域だけで特別の関係を築こうとする協定だ。それは、自由貿易の原則に背く。たとえば、TPPを締結すれば、原産地規則によって、域外国での部品などの生産は不利になる。TPPが自由貿易を促進するというのは、まったくの誤解に過ぎないのだ。〕
 
●食料自給率(p253)
〔 「自給率を高めることが必要だ」という論理は誤りなのだ。「食料安全確保のために自給率向上が必要」とされるが、天候不順などによって引き起こされる食料不足問題に対処する最も基本的な方策は、輸入自由化を進めて、供給地を分散させることである。
 もちろん、自由貿易によって、自動的にすべての国民が利益を得るわけではない。国内の消費者は利益を得るが、国内の生産者は損失を被る。しかし、国全体としてパイ全体が大きくなっていれば、利益を受けた集団から損失を受けた集団への補償が可能だ。それが実現されれば、すべての人が貿易自由化の恩恵を享受できる。関税で輸入を制限するのではなく、輸入は自由にして、補助金を支出するほうがよい。〕
 
(2018/1/11)KG
 
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近大革命
 [経済・ビジネス]

近大革命
 
世耕石弘/著
出版社名:産経新聞出版
出版年月:2017年11月
ISBNコード:978-4-8191-1326-7
税込価格:1,404円
頁数・縦:236p・19cm
 
 
 近畿大学の創立者の孫にあたる著者が実践してきた、近大のPR戦略を余すところなく語る。今や、日本の大学で志願者数がナンバー1となった軌跡など。
 付属高校、大学の卒業生でもあるつんく♂が総合プロデューサーを務めた2014年、2015年の入学式の話は、涙なしには読めない。特に15年には、そのステージで声帯摘出を初めて公表した。
 
【目次】
第1章 問題は正しく提起された時に解決する
第2章 誰に向けた仕事か常に考える
第3章 これが近代広報部の実力だ!
第4章 「近代マグロ」成功の本質とは何か
第5章 入学式と卒業式は最大の広報コンテンツ
第6章 私立大学は企業か
 
【著者】
世耕 石弘 (セコウ イシヒロ)
 奈良県出身。1992年に大学を卒業後、近畿日本鉄道株式会社に入社。以降、ホテル事業、海外派遣、広報担当を経て2007年、近畿大学に奉職。入学センター入試広報課長、同センター事務長、広報部長を経て17年4月から広報室などを統括する総務部長。
 
【抜書】
●『近大コメンテーターガイドブック』(p97)
 2013年、『近大コメンテーターガイドブック』を発刊。
 約1200人に上る教員の専門分野やコメントできる内容、顔写真を掲載した冊子。
 毎年更新して新聞社やテレビ局など各社に配布している。
 マスコミから広報に連絡が入ると、担当者がワンストップで取材をセッティングする。
 「全教職員が情報収集力と発信力を高め、近大の広報員となる」とする近大の方針に沿ったもの。教員にとっても、自分と研究成果をアピールするきっかけとなる。
 
●近大ピックス(p102)
 2015年10月公開。近畿大学に関するキュレーションサイト「Kindai Picks」。インターネット上にある情報「社会から見た近大の姿」を収集し、再発信。
 広報部が「Kindai Picks編集部」としてキュレートを行い、新聞や雑誌などのサイトから近大に関連する記事をピックアップして掲載。また、卒業生や教職員ら近大と縁のある人へのインタビューなど、オリジナル・コンテンツも掲載。専門知識を持つ教職員によるニュース解説もある。
 
(2018/1/8)KG
 
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人間の経済
 [経済・ビジネス]

人間の経済 (新潮新書)
 
宇沢弘文/著
出版社名:新潮社(新潮新書 713)
出版年月:2017年4月
ISBNコード:978-4-10-610713-9
税込価格:778円
頁数・縦:189p・18cm
 
 
 宇沢弘文へのインタビューと講演をまとめた遺著(?)。
 2009年に企画された本書出版前に体調を崩し、2014年9月に他界したが、2年半を経て刊行される。「論」と いうより「随筆」に近い内容であるが、氏の思想、生き様が現れている。
 
【目次】
序 社会的共通資本と人間の心
1 「自由」と「利益」の暴走
2 経済学と医療をめぐって
3 教育とリベラリズム
4 大学と都市の理想と現実
5 数学という永遠の命
6 天与の自然、人為の経済
7 人類と農の営み
8 「シロウトの経済学」ゆえの仏心
 
【著者】
宇沢 弘文 (ウザワ ヒロフミ)
 1928年鳥取県生まれ。経済学者。東京大学理学部数学科卒。シカゴ大学や東京大学などで教鞭をとる。97年に文化勲章受章。2014年に他界。
 
【抜書】
●イギリスのインド支配(p58)
 イギリスの軍隊は、インドを守るためにあるという名目で、軍事費のかなりの部分をインド政府に負担させていた。
 イギリスの国家公務員は、任期中に必ず2、3年はインドに赴任。インドのために尽くしたということで、その年金をインド政府が払う。
 〔世界でいちばん貧しい国が、世界で一番豊かな国の軍事費と国家公務員の年金を負担する、それがパックス・ブリタニカの過酷さを象徴しています。〕
 
(2017/12/17)KG
 
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世界一訪れたい日本のつくりかた 新・観光立国論〈実践編〉
 [経済・ビジネス]

世界一訪れたい日本のつくりかた―新・観光立国論【実践編】
 
デービッド・アトキンソン/著
出版社名:東洋経済新報社
出版年月:2017年7月
ISBNコード:978-4-492-50290-7
税込価格:1,620円
頁数・縦:321p・19cm
 
 
 日本在住32年の知日家による、国際観光業振興策。国際データ比較をもとに、かなり具体的な提案を含み、納得の内容。
 
【目次】
第1章 日本の「実力」は、こんなものじゃない―「大観光時代」を迎える世界と日本の現状
第2章 「どの国から来てもらうか」がいちばん大切―国別の戦略を立てよう
第3章 お金を使ってもらう「魅力」のつくりかた―「昭和の常識」を捨てて、質を追究しよう
第4章 自然こそ、日本がもつ「最強の伸び代」―「長く滞在してもらう」ことを考えよう
第5章 「誰に・何を・どう伝えるか」をもっと考えよう―「So What?テスト」でうまくいく
第6章 儲けの9割は「ホテル」で決まる―「高級ホテル」をもっと増やそう
第7章 観光は日本を支える「基幹産業」―あらゆる仕事を「観光業化」しよう
 
【著者】
アトキンソン,デービッド (Atkinson, David)
 小西美術工藝社代表取締役社長。三田証券社外取締役。元ゴールドマン・サックス金融調査室長。裏千家茶名「宗真」拝受。1965年イギリス生まれ。オックスフォード大学「日本学」専攻。1992年にゴールドマン・サックス入社。日本の不良債権の実態を暴くレポートを発表し、注目を集める。2006年にpartner(共同出資者)となるが、マネーゲームを達観するに至り2007年に退社。2009年、創立300年余りの国宝・重要文化財の補修を手掛ける小西美術工藝社に入社、2011年に同社会長兼社長に就任。
 
【抜書】
●第3の基幹産業(p19)
 観光産業は、全世界のGDPの10%、雇用の11分の1を生み出している。世界旅行ツーリズム協議会(WTTC)の試算。
 観光輸出の総計は1.5兆ドル。世界総輸出の7%。国連世界観光機関(UNWTO)の試算。
 世界経済において、「観光産業」はエネルギー、化学製品に次ぐ「第3の基幹産業」。
 
●第4位(p48)
 World Economic Forum(WEF)は、2年に1回、世界の旅行・観光国際競争力の分析結果を発表している。2017年4月のデータでは、日本の国際競争力は世界第4位。
 2年前に比べて世界一改善している国。2009年は、25位、2011年22位、2013年14位、2015年9位だった。
 改善したものは、ICT対応(WiFi利用等)、国際的開放度(観光ビザの取得、観光政策)、文化資源、自然資源、など。
 
●昭和の観光業(p106)
 昭和の観光業……高度経済成長や、一極集中(GW、盆暮れ、など)、人口増加を背景にした、量と画一性を重視。
 平成の観光業……中国人観光客増大のため、「昭和の観光業」を温存。「春節商戦」など。
 将来の観光業……〔満足度を上げてリピーターを獲得する戦略をとることで観光客数という「量」を増やし、それ以上に単価を上げることで収入を増やす。〕トヨタのレクサス戦略と同じ。
 
●森林が完成しない(p139)
 日本の美しい自然を作り出しているのは、「自然災害」。あるパークレンジャーの説明。
 地震、火山、台風、大雨などの自然災害により、日本では「森林が完成しない」。
 自然環境が全く変わらないと、弱肉強食が顕著となり、生物的に強い種が弱い種を駆逐して、勢力を増していく。しかし、定期的に大規模な自然災害に見舞われる日本では、どんなに強い種でもあっという間に駆逐されてしまう。そうなると、隅に追いやられていた別の種が台頭するチャンスが巡ってくる。優越種の入れ替わりが起こる。弱い種も絶滅しない。多様性に富んだ自然ができる。
 
●ハンティング・ツーリズム(p171)
 害獣駆除のために、「ハンティング・ツーリズム」を導入するとよい。自然を武器にした観光戦略の一つ。
 
(2017/11/11)KG
 
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分解するイギリス 民主主義モデルの漂流
 [経済・ビジネス]

分解するイギリス: 民主主義モデルの漂流 (ちくま新書 1262)  
近藤康史/著
出版社名:筑摩書房(ちくま新書 1262)
出版年月:2017年6月
ISBNコード:978-4-480-06970-2
税込価格:929円
頁数・縦:267p・18cm
 
 
 民主主義のモデルとされたイギリスが「分解」し、漂流している。イギリスの議会制民主主義の歴史、特徴を解説し、その分解の過程を論じる。
 二大政党制の代表的な国イギリスでも多党化が進んでいるという。そもそも、多様な意見を二つの政党の主張で代表させるのには無理がある。民主主義が行きわたり、情報化も進んで社会が複雑化している現代ではなおさらだ。
 
【目次】
序章 モデルとしてのイギリス?
第1章 安定するイギリス
第2章 合意するイギリス
第3章 対立するイギリス
第4章 分解するイギリス
終章 イギリスはもはやモデルたりえないか?
 
【著者】
近藤 康史 (コンドウ ヤスシ)
 1973年生まれ。筑波大学人文社会系教授。専門は比較政治・イギリス政治。名古屋大学大学院法学研究科博士課程修了、博士(法学)。
 
【抜書】
●イギリスの議会制民主主義(p29)
 民主主義のモデルとして位置づけられてきたイギリスの議会制民主主義は、以下のような制度的パーツから形作られている。
 ・議会主権
 ・小選挙区制
 ・二大政党制
 ・一体性のある政党組織
 ・執政(内閣)優位の執政ー議会関係
 ・中央集権的な単一国家
 
●多数決型民主主義(p29)
 比較政治学者アレント・レイプハルトは、民主主義を「多数決型民主主義」と「コンセンサス型民主主義」とに分類。
 イギリスは、ひとりでも数が上回ったほうに決定権を与える「多数決型民主主義」。
 コンセンサス型は、「なるべく多くの人が納得する選択肢に決定する」もの。
 
●ウェストミンスター・モデル(p41)
 イギリスの民主主義を示す言葉である「ウェストミンスター・モデル」の核をなすのは、「議会主権」。さまざまな政治的決定や法律形成を行う最上の機関が、ウェストミンスター議会である。
 イギリスには、議会を超える権威である成文化された憲法が存在しない。憲法的な取り決めも、議会において一般的な法律と同様の手続きを経て行われる。
 
●同意と代表(p42)
 中世、国王は戦争の費用を貴族たちに負担させていた。それに不満を持った貴族たちの「同意」を得るために招集された場が議会の起こり。
 13世紀になると、貴族以外の人々からも同意を得るために、「庶民院(House of Commons)が形成され、「貴族院」(上院)と「庶民院」(下院)の二院制として確立された。
 庶民院は、定期的にメンバーを選出し始めるようになる。つまり、人々の「代表」を選び、その代表によって決めるという原理が強まった。イギリスの議会において「同意」の原理と「代表」の原理が結合した。
 1689年の「権利の章典」、1701年の王位継承法によって多くの国王特権がはく奪され、議会の権限が強まり、現代につながる政党システムが形成され始めた。
 19世紀になって参政権が徐々に拡大され、議会の民主主義化が進めれられるにつれ、議会の持つ代表原理もさらに強まった。
 
●下院の優越(p45)
 イギリスの議会では、下院(庶民院)の優越が認められている。
 庶民院で開始された法案については、貴族院の反対があっても、最初の討論から3回の会期を連続して庶民院を通過した場合、貴族院の拒否権は「一時停止的な拒否権」にとどまる。最大1年、法案成立を遅らせることができるのみ。
 歳入などの予算にかかわる法案(金銭法案)は、貴族院の同意が得られなくても、1か月後には成立する。
 
●二大政党制(p52)
 二大政党制は、安定性と競争性を両立させた政党システムであった。しかし、イギリスでは、その安定性が崩れ始めている。
 イギリスの二大政党制の起源は、1688年の名誉革命。このころ、トーリー党とホイッグ党の二大党派が生まれた。
 トーリー党は王党派とも呼ばれ、王権を支持。現在の保守党につながる。
 ホイッグ党は王権の制限を求め、その後の自由党へとつながる。
 政党間対立というより、与党と野党、権力者と対抗者という形に近かった。
 20世紀には、自由党が分裂しがちになり、勢力が衰退し、労働党が二大政党の座を奪う。
 
●小さな悪(p54)
 フランスの学者モーリス・デュベルジェが唱えた、小選挙区制は二党制に有利に働くという説のうち、「心理学的要因」。
 小選挙区制では、第3党以下に投票して死票になるより、「より大きな悪を防ぐために、二つの対抗者のうちのより小さな悪に、自分たちの投票を委譲する自然の法則」。
 デュベルジェの法則のもう一つは「機械的自動的要因」。小選挙区制においては各選挙区で第一位になった候補者しか当選しないため、第1党が得票率に比較して過大に議席を獲得すること。
 
●オルタナティブ・ヴォート(p206)
 小選挙区制で選挙を行うが、投票者は複数の候補者に順位をつけて投票する制度。過半数の候補者が出なかった場合、最下位の候補者を落選とし、その候補者に次ぐ2位に記載された候補者にその票を分配する。これを、過半数の候補者が出るまで繰り返す。
 オーストラリアで採用されている。
 
●先進性(p251)
 〔イギリスは、制度や政策の導入にしても、その行き詰まりにしても、さらにはまた、その行き詰まりへの対処にしても、常に一歩先を行っている場合が多いために、その効果や問題点、行き詰まりの原因などについて検討することが可能な、先行事例となるのである。〕
 
(2017/9/30)KG
 
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Suicaが世界を制覇する アップルが日本の技術を選んだ理由
 [経済・ビジネス]

Suicaが世界を制覇する アップルが日本の技術を選んだ理由 (朝日新書)
 
岩田昭男/著
出版社名:朝日新聞出版(朝日新書 616)
出版年月:2017年5月
ISBNコード:978-4-02-273716-8
税込価格:778円
頁数・縦:203p・18cm
 
 
 2016年9月16日に発売されたiPhone7/7Plusにおいて、アップルペイ(Apple Pay)に日本が加わり、Suicaが使えるようになった。iPhoneにフェリカを採用したのである。それはフェリカの国際標準化を見据えた取り組みであった。
 読み取り速度も速く、優れた機能を有するものの、ガラパゴス化と揶揄されたSuica、そしてフェリカが世界を席巻するかもしれない。その舞台裏に迫る。
 
【目次】
プロローグ iPhoneにSuicaが載った日
第1章 日本初のIC乗車券Suica誕生
第2章 Suica躍進 エキナカ戦略と相互利用の拡大
第3章 翳りゆくSuica ガラパゴスという汚名
第4章 起死回生!アップルペイ上陸
第5章 黒船襲来に揺れるクレジットカード業界
第6章 確立されるアップル幕藩体制
第7章 電子決済三国志 グーグルとVISAの逆襲
エピローグ 世界に広がる「Suica経済圏」
 
【著者】
岩田 昭男 (イワタ アキオ)
 1952年生まれ。早稲田大学第一文学部卒業、同大学院修士課程修了。月刊誌記者などを経て独立。流通、情報通信、金融分野を中心に活躍するジャーナリスト。セミナー講師も数多く務める。
 
【抜書】
●Suica(p28)
 Suica=Super Urban Intelligent Card。「スイスイ行けるICカード」という意味が込められている。
 ぺんぎんのきゃらくたーとともに2011年11月に登場。
 自動改札が日本で初めて導入されたのは、1967年。阪急電鉄が北千里駅に設置。
 JR東日本が首都圏の各駅に自動改札機を設置し始めたのは1990年。JRと私鉄各線との相互連絡や直通運転が多いため、乗車券の情報をやり取りするシステムの開発に時間がかかった。
 
●手数料(p54)
 クレジットカードの手数料……決済額が小さいコンビニ、ファーストフード店などは1~2%程度。回収不能となる可能性が高い居酒屋、キャバクラやスナックなどでは5~7%。
 Suicaショッピングは、少額決済の店が多いので、2~3%程度が中心?
 
●PiTaPa(p62)
 PiTaPa=Postpay IC for "Touch and Pay"。大阪市交通局、阪急電鉄、阪神電車、能勢電鉄、北大阪急行電鉄等で構成された「スルッとKANSAI」協議会が運営している。
 フェリカが使われているが、ポストペイ(後払い)方式を採用。そのため、Suicaなどとの全国相互利用への参加は、2013年と遅れた。
 後払いの理由は、意思表示がはっきりしている関西人の特殊事情による。残高不足で下車時に扉が閉まったりすると、たちまちクレームとなる。残高不足と説明しても納得してもらえない。10円から改札に入れるようにして、料金は後日引き落としとした。
 後払いのため、クレジットカードと同様に入会審査が必要となる。それが敬遠され、なかなか利用者が増えなかった。結果的に関西のICカード文化の発展を阻害する要因の一つとなった?
 
●サイバネ規格(p65)
 磁気方式の切符や改札機は、1963年設立の日本鉄道サイバネティクス協議会によって規格が定められていた。サイバネ規格。
 JR東日本がSuicaを開発する際、同協議会の元で全国の鉄道事業者が集まり、技術やサービス内容をすり合わせて規格を決めていった。2000年3月にICカードに関するサイバネ規格を策定。
 各社がすべてこの規格に準拠していたので、ICカードの相互利用が可能になった。
 2004年、相互利用の開始に伴い、事業者間の運賃の精算を行う株式会社ICカード相互利用センターが設立された。
 
●NFC(p74)
 NFC=Near Field Communication:近距離無線通信技術。
 非接触型ICカードの国際標準規格として認定を受けているのは、「タイプA」「タイプB」(ISO/IEC14443,15693)。
 タイプA……フィリップス社などが開発したマイフェアという技術がもとになっている。CPUを搭載せず、メモリだけを持ったカード。低コストで大量生産可能。使い捨てテレホンカードや各会員カードに使用。「タスポ」にも採用。
 タイプB……モトローラ社などによって開発され、CPUとメモリを装備。アメリカをはじめとして広く使われ、日本では運転免許証やマイナンバーカードなど、行政部門での導入が進んでいる。
 タイプA/タイプBを指してNFCと呼ぶことも多い。
 フェリカも国際規格としての標準化を目指していたが、見送られた。2003年、通信規格の部分のみISO標準として認められた。
 
●iD、クイックペイ(p127)
 電子マネー決済の草創期から始まったサービスで、後払い方式のサービス。2005年に携帯電話(ガラケー)のおサイフケータイ上でサービスが始まり、2011年にはAndroidのスマートフォンにも対応。アップルペイでも採用された。
 iD……NTTドコモと三井住友カード。発行枚数2,259万枚(本書発行時。以下同様)。
 QUICPay(クイックペイ)……JCBとトヨタファイナンス。467万枚。
 Suica(5,704万枚)、楽天Edy(1億枚超)、WAON(6,140万枚)などに比べると少ない。
 
●クレジットカード(p134)
 国際ブランド……世界中で使えるクレジットカードの決済ネットワークを運営する会社。VISA、マスターカード、アメリカン・エキスプレス、ダイナース・クラブ、JCB、ディスカバー(米国)、中国銀聯の7社。
 クレジットカードの発行や、加盟店の管理・開拓は、国際ブランドと契約したクレジットカード会社(三井住友カード、三菱UFJニコス、など)や銀行(海外では銀行が主となる)が行う。
 イシュア―……カード発行を行うクレジットカード会社。
 アクワイアラー……加盟店業務を行うクレジットカード会社。
 日本では、通常イシュアーがアクワイアラーを兼ねている。JCBは、国際ブランドも含めた三者すべてを兼ねている。
 
●市場(p141)
 2017年3月31日、日本銀行が発表した「決済動向(2017年2月)」。
 Suica、SUGOCA、ICOCA、Kitaca、PASMOの交通系電子マネーと、楽天Edy、nanaco、WAONを合わせた8つの電子マネーの決算金額(2016年)が、5兆1436億円となった。前年比10.8%増。決算件数51億9200万件も前年比11%増。
 クレジットカードの年間利用額は約50兆円。
 少額決済は電子マネー。1000円以下の金額なら電子マネーで決済する人はクレジットカードで決済する人の2倍以上。電子マネーの1件当たりの決済金額は991円。
 
●アップルの専制(p147)
 アップルペイをめぐり、「あまりのアップルの専制ぶりには呆れてものが言えなかった。これでは、まるで植民地ではないか」という声が上がっている。秘密主義や権威主義が目に付く。
 アップルペイに参加する日本のクレジットカード会社にテレビCMを作るよう求めた。制作費はカード会社持ち、内容には厳しく介入。
 
●アップルペイの幕藩体制(p152)
 幕府の天領……JR東日本、ビューカード(JR東日本の完全子会社)。Suica。
 親藩大名……NTTドコモ、au、ソフトバンク。携帯電話の三大キャリア。
 老中、大老……iD(NTTドコモ、三井住友カード)、クイックペイ(JCB、トヨタファイナンス)。iPhoneでクレジットカードを使うときに必要になる。
 譜代大名(関が原以前からの恩顧の大名)……オリコ、イオン、クレディセゾン。サービス開始時にアップルペイ対応に選ばれたカード会社。
 外様大名……ジャックス、ライフカード、など。アップルペイ開始以降に選ばれた中堅規模のカード会社。今後増える見込み。
 自社のクレジットカードとアップルペイのコラボCMを打つことが許されているのは、いまのところ譜代大名以上。
 
●ペイウェーブ(p176)
 VISAが開発したNFC対応の電子マネー。欧米など、日本以外の国では決済ツールとして定着している。
 2016年12月、GoogleとVISAが提携してアンドロイドペイがスタート 。参加したカード会社から手数料を取らない。その代わり、利用者の消費行動に関するデータを収集・分析し、ユーザーに提供する情報と広告の精度をさらに高めるために利用。
 アップルペイは、カード会社から手数料を取るが、消費行動のデータを収集しない。
 
(2017/8/24)KG
 
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情報と秩序 原子から経済までを動かす根本原理を求めて
 [経済・ビジネス]

情報と秩序:原子から経済までを動かす根本原理を求めて
 
セザー・ヒダルゴ/著 千葉敏生/訳
出版社名:早川書房
出版年月:2017年4月
ISBNコード:978-4-15-209683-8
税込価格:2,700円
頁数・縦:286p・20cm
 
 
 宇宙を構成する要素でありながら偏った存在の仕方をする「情報」から説き起こし、経済の複雑性にまで言及する統一理論(?)の構築を目指す……のかもしれないが、未消化な印象はぬぐえない。キーコンセプトとなる「情報」に関する説明が不十分で、そこから経済複雑性までもっていくのは、ちょっと飛躍しすぎであると感じた。
 
【目次】
パート1 原子のビット
 第1章 タイムトラベルの秘密
 第2章 無意味の実体
 第3章 永遠の異常
 
パート2 想像の結晶化
 第4章 脳に生まれて
 第5章 増幅エンジン
 
パート3 ノウハウの量子化
 第6章 個人の限界
 第7章 関係構築のコスト
 第8章 信頼の重要性
 
パート4 経済の複雑性
 第9章 経済の複雑性の進化
 第10章 第六の物質
 第11章 知識、ノウハウ、情報の密接な関係
 
パート5 エピローグ
 第12章 物理的秩序の進化―原子から経済まで
 
【著者】
ヒダルゴ,セザー (Hidalgo, César)
 1979年チリ生まれ。アメリカのノートルダム大学でアルバート=ラズロ・バラバシの指導のもと物理学の博士号を取得。現在はマサチューセッツ工科大学(MIT)准教授であり、MITメディアラボでcollective learning groupを主導する。ハーバード大学ケネディスクールのリカルド・ハウスマンとともに経済成長の予測手法として有用な「経済複雑性指標」(ECIを開発、複雑系経済学からデータビジュアライゼーションまで多彩な分野で活躍中。
 
千葉 敏生 (チバ トシオ)
 翻訳家。1979年横浜市生まれ。早稲田大学理工学部数理科学科卒業。
 
【抜書】
●想像の結晶化(p84)
 製品は、情報だけでなく、想像も具象化するものである。
 〔この情報は、私たちが脳内計算を通じて生み出し、頭のなかにあるイメージどおりのモノを作り出すことで体内から遊離させたものだ。りんごは、りんごの名前、りんごの値段、りんごの市場が生まれる前からこの世界に存在していた。概念としてのりんごは、単に人間の頭脳に取り込まれたものなのである。一方、iPhoneやiPadは、人間の頭脳に取り込まれたものではなく、人間の頭脳から書き出されたものだ。世界に存在する前に、私たちの脳内で生まれた製品だからだ。〕
 
●パーソンバイト(p120)
 一人の人間の神経系が蓄積できる知識やノウハウの最大量。
 1パーソンバイトを超える知識やノウハウを必要とする製品を作るには、チームが必要となる。複雑な製品を生産できるチームを作るには、ある程度調和のとれた社会的ネットワークのなかで知識やノウハウを蓄積する必要がある。
 
●企業バイト(p127)
 企業バイト(firmbyte)……企業のネットワークを形成する一つ一つのノード。パーソンバイトの集積により、一つの企業バイトが構成される。
 
●社会的ネットワーク(p155)
 社会的ネットワークは、三つの単純な概念に基づいて形成される。
 (1)共通の社会的中心(social foci)……クラスメート、仕事仲間、教会、など。
 (2)三者閉包(triadic closure)……共通の友人を持つ人々の間で関係が生まれやすい。
 (3)同類原理(homophily)……似たような関心や特徴を持つ人々の間に関係が生まれやすい。長続きする関係を構築する。
 
●高信頼社会(p156)
 フランシス・フクヤマ『「信」無くば立たず』(1995年)による。
 家族主義的社会では、小規模な事業がたくさん生まれやすく、一握りの一族がいくつかの複合企業を牛耳っている。南ヨーロッパやラテン・アメリカ。
 高信頼社会で発展し、プロフェッショナルに運営される事業は、小さなものから巨大なものまで、あらゆる規模のネットワークを生みやすい。
 
●情報(p225)
〔 宇宙は、エネルギー、物質、情報でできている。エネルギーと物質はもともと存在するが、情報は生じる道を探さなければならない。〕
 《情報を成長させる基本的な物理的メカニズム》
 (1)非平衡系における情報の自然な発生(渦がその例)
 (2)個体としての情報の蓄積(たんぱく質やDNA)
 (3)物質の持つ計算力
 
(2017/8/16)KG
 
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クレモナのヴァイオリン工房 北イタリアの産業クラスターにおける技術継承とイノベーション
 [経済・ビジネス]

クレモナのヴァイオリン工房―北イタリアの産業クラスターにおける技術継承とイノベーション
 
大木裕子/著
出版社名:文真堂
出版年月:2009年2月
ISBNコード:978-4-8309-4631-8
税込価格:5,832円
頁数・縦:256p・22cm
 
 
 クレモナのヴァイオリン産業をテーマとした、産業クラスタ研究の論文。日本学術振興会平成18年度科学研究費補助金の成果である。
 
【目次】
序章 本書の課題と分析視角
第1章 イタリア・ヴァイオリン製作の歴史
第2章 クレモナのヴァイオリン製作の現状と課題
第3章 クレモナのヴァイオリン製作の特徴―製作者の視点から
第4章 クレモナのヴァイオリン製作者へのアンケート調査の結果と分析
第5章 クレモナの産業クラスターの特徴
 
【著者】
大木 裕子 (オオキ ユウコ)
 博士(学術)。京都産業大学経営学部・同大学院マネジメント研究科准教授。東京藝術大学器楽科卒業後、東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団ヴィオラ奏者、昭和音楽大学専任講師、京都産業大学経営学部専任講師を経て現職。専門はアートマネジメント。
 
【抜書】
●クレモナ派、ブレッシア派(p7)
 弓で音を出す弦楽器は、8世紀頃、ムーア人によってスペインに伝えられた。ヴァイオリンは16世紀初頭に突如として出現し、1550年頃に音楽家たちに普及した。ヴィオラ・ダ・ブラッチョ(viola da braccio)あるいはリラ・ダ・ブラッチョ(lira da braccio)から派生した。初期段階では、北イタリアにおいてクレモナ派とブレッシア派の2種類のヴァイオリンが存在、演奏者は、曲に合わせてこの2種類を使い分けた。
 クレモナ派……アンドレア・アマティ(Amati, Andrea、ca.1505-ca.1577)による、繊細に美しく仕上げられたヴァイオリン。
 ブレッシア派……ガスパロ・ダ・サロ(通称Gasparo da Salò)とその弟子マジーニ(Maggini, Giovanni Paolo, 1580-1630)による頑丈なヴァイオリン。
 1632年、マジーニが他界、ブレッシアは急激に衰退、クレモナの独擅場に。ニコロ・アマティ(Amati, Nicolo、1597-1684)とドイツのヤコブ・シュタイナー(Steiner, Jacob、1617-1683)の二人が主導するようになる。
 
●オールド・イタリアン(p9)
 年代により、3つに区分される。
 オールド・イタリアン・ヴァイオリン……1550年頃~1820年頃。ヴァイオリンの誕生からプレッセンダの出現まで。アマティ、ストラディヴァリ、グァルネリ、ガリアーノ、ロジェリ、ルジェリ、ベルゴンツィ、グァダニーニなどの各ファミリーが大きなギルド、工房を構成していた。1660年頃から1770年ごろがルネッサンス期で、「シルバートーン」を持つ個性に富んだ多くの名器が製作された。「クレモナの栄光」と呼ばれた黄金期には、ベルゴンツィ、グァダニーニ、グァルネリ、ストラディヴァリ(Stradivari, Antonio、1644-1737) などが活躍、1万本程度の楽器が製作された。
 ベルゴンツィの死後、クレモナは空白期を迎える。空白期、パリのヴァイオリン製作が盛んになる。イタリアは、オールド・ヴァイオリンの修理や調整が主となる。
 
●モダン・イタリアン(p10)
 モダン・イタリアン・ヴァイオリン……ストリオーニの弟子プレッセンダ(Pressenda, Giovanni Francesco、1777-1854) がトリノで独立した後、1831年以降、北イタリアで彼の作品が認められるようになってから、第二次世界大戦期まで。音量のあるブレッシア・モデルが製法に導入される。1890~1940年が隆盛期。約250人の名匠が製作した楽器は、コンサート・ヴァイオリンとして高く評価されている。皆で切磋琢磨し、個性豊かなヴァイオリンが製作された。ドイツのミッテンヴァルト、フランスのミルクールなどで大量生産方式が盛んになる中、イタリアでは伝統的な手工業を継承した。
 
●コンテンポラリー(p11)
 コンテンポラリー・ヴァイオリン……職人の個性を重視するというより、ストラディヴァリ、デル・ジェス(Guarneri, Giuseppe Ⅱ《Del Gesu》、1698-1744)をコピーするといった、作風の標準化が進められている。ヴァイオリン製作が途絶えていたクレモナでは、サッコーニ(Sacconi, Simone Fernado、1895-1973、イタリア系アメリカ人)が、内枠式あるいはクレモナ式と言われる製作方法を取り戻すことに尽力した。サッコーニの提唱により、1937年にストラディヴァリ生誕(没後?)200年祭が行われ、1938年に国際ヴァイオリン製作学校が設立された。世界各国からのヴァイオリン製作者を養成、130以上のヴァイオリン工房が集積し、ヴァイオリン製作のメッカとなる。
 
●4つのパターン(p13)
 ヴァイオリンの4つのパターン。
 (1)ストラディバリ・パターン
 (2)デル・ジェス・パターン
 (3)アマティ・パターン
 (4)シュタイナー・パターン
 
●ニコロ・アマティ(p15)
 アンドレア・アマティの孫。それまで「親族のものでない見習いを工房に置かない」というアマティ一族の慣習を破り、アンドレア・グァルネリ(Guarneri, Andrea、1626-1698)、ストラディヴァリ、ロジェリ、ルジェリ、グランチーノなど、最高の技術を持つ弟子を育て上げた。彼らは、アマティやシュタイナーの胴体の盛り上がったモデルではなく、ブレッシア派のフラットなヴァイオリンの設計を基として進化させていった。
 
●クレモナ(p21)
 ポー(Po)、アッダ(Adda)、オーリオ(Oglio)の3つの川に挟まれた肥沃な土地。
 BC218年、ローマの植民地が造られた。第2次ポエニ戦争後は、文化・芸術面で高いレベルを誇っていた。
 1098年、コネーム(自治都市)となる。川を利用した交易で街は栄える。1107年には大聖堂が建設される。
 12世紀から14世紀初頭までは神聖ローマ帝国に属する。
 1334年、ミラノのヴィスコンティ家に征服され、ミラノ公国の一部になる。
 1499年、ヴェネツィアの支配下となり、多くのユダヤ人が移住してきた。
 1535~1701年、スペインの支配下となる。修道会の保護を受け、ヴァイオリン製作の最盛期を迎える。
 
●モンテヴェルディ(p23)
 クラウディオ・モンテヴェルディ(Mnteverdi, Claudio、1567-1643)、クレモナ出身。オペラの作者。「オルフェオ」(1607)は、どの場面でどの楽器を用いるかを作曲者が楽譜によって示した初めてのケースとなった。38の楽器からなるオーケストラと、数多くの合唱曲とレチタティーボによって生き生きとしたドラマとなっている。
 オペラは、1600ごろ、イタリアに興った多声音楽。
 
●クレモナの工房(p34)
 クレモナのヴァイオリン製作……ヴァイオリン工房130。学生100~200人、未登録の製作者100~200人。これらを合わせると500~600人の製作者がいる。
 
●鈴木バイオリン(p39)
 フランスのミルクールのヴァイオリン産業を震撼させた新規参入のヴァイオリン・メーカー。
 三味線作りを家業としてた鈴木政吉がヴァイオリンに魅せられ、1898年に大量生産を目指してヴァイオリン製作工場を設立した。ピーク時には年間15~16万本を生産した(1921年)。
 鈴木バイオリン・メソッド……創業者三男の鈴木慎一が、演奏者教育法の確立と普及を行った。
 ヤマハが、ヴァイオリン製作に参入しなかったことも鈴木バイオリンの隆盛に大きく影響。鈴木がオルガン製作を行わないことを条件に、ヤマハ(日本楽器)は準備を進めていたバイオリン製作から手を引いた。
 
●Cremona Liuteria(p41)
 コンソルツィオ……Consorzio liutai e archettai "A Stradivari" Cremona。1996年、クレモナ製品の独自性を宣揚するために設立された商業団体。2003年に商工会議所の一機関と位置づけられる製作者協会となる。60人の製作者が所属。
 ヴァイオリン製作の品質保証のために、「Cremona Liuteria」という商標を考案。「クレモナにおけるプロフェッショナルなヴァイオリン製作者によるもの」を公認する制度。会員には年間15本まで、証明書を発行。完全な手作りであることが条件。手作りの証明として、削った木材の残りを数年間保存する必要アリ。
 
●ヴァイオリンの市場(p43)
 ヴァイオリンの市場規模は、世界で年間50万本。アメリカ20万本、日本6万本。
 
●国際ヴァイオリン製作学校(p45)
 Scuola Internazionale di Liuteria。
 1938年、ストラディヴァリ没後200周年の記念事業の一環として設立された。
 1960年、イタリア唯一の国立製作学校I.P.I.A.L.L.(Istituto Professionale Internazionale Artigianato Liutario e del Lagno)の一部となった。I.P.I.A.L.L.は、デザイナー、装飾家、家具職人などに「ディプロマ」を与える機関。
 第一課程の3年。卒業すると「ヴァイオリン職人(TECNICO DI LIUTERIA)の資格が与えられる。
 さらに2年間の課程を修了すると、「ヴァイオリン製作者(PROFESSIONALIZZANTE)の資格が与えられる。
 学生は、年間1台の製作を目標としている。通常、5年間、同じマエストロにつく。
 4・5年次には、モダン楽器の加え、ピチカート弦楽器、バロック楽器、修理、弓のコースも併設。
 
(2017/8/5)
 
〈この本の詳細〉


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