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仕事消滅 AIの時代を生き抜くために、いま私たちにできること
 [社会・政治・時事]

仕事消滅 AIの時代を生き抜くために、いま私たちにできること (講談社+α新書)  
鈴木貴博/著
出版社:講談社(講談社+α新書)
出版年月:2017年8月
ISBNコード:978-4-06-272998-7
税込価格:756円
ファイル容量:2.6MB
 
 
 AIとロボットの発達は、やがて人間の仕事を奪う……仕事消滅。その具体的な未来像を描く。
 まず、押さえておかなければならないのは、これまで信じられてきた、単純作業が機械に取って代わられる、という状況にはなりそうもない、ということ。予想に反して、人間の知能を超えるAIの登場が、人間の知的作業を奪うという見通しが語られる。意外に最後まで残るのが、人間にしかできない細かい手先の仕事であるという。つまり、「足」「脳」「腕」「顔(表情)」「手の指」の順で、人間の仕事がAI/ロボットに置き換わっていく。
 真っ先に訪れるのが、自動運転車の登場による、ドライバーの失業である。それが2025年……。ごく身近な将来の話である。
 
【目次】
第1章 仕事はいつ消滅するのか?
第2章 仕事はなぜ消滅するのか?
第3章 仕事消滅から生き延びることはできるのか?
第4章 仕事が消滅していく過程で何が起きるのか?
第5章 不幸な未来はどう回避できるのか?
第6章 未来はどうなるのか?
 
【著者】
鈴木 貴博 (スズキ タカヒロ)
 経営戦略コンサルタント。東京大学工学部卒。ボストンコンサルティンググループ等を経て2003年に独立。過去20年にわたり大手人材企業のコンサルティングプロジェクトに従事。人工知能がもたらす「仕事消滅」の問題と関わるようになる。経済評論家としてメディアなど多方面で活動している。
 
【抜書】
●2025年
オックスフォード大学のオズボーン准教授とフレイ博士。「2025年から2035年までに日本の労働力人口の約49%が就いている仕事が、AIとロボットによって代替可能になる」という予測。
 
●2045年
 〔2045年には一台のAIが人類全体の頭脳を足し合わせたものを超える知能を獲得すると言われている。そこから先は、ハードウェアを拡張すればAIの思考力は神の領域に達するだろう。今、世の中にある無駄な仕事がすべて発見されて、それらを省いたまったく次元の違う生産性の高い「最適な」産業システムが、AIの手で設計さえてしまう可能性があるからだ。〕
 
●特徴量
 2000年代までは、人間が猫を判断する基準(AIの専門用語で「特徴量」という)を作って、コンピュータにプログラミングしなければならなかった。
 最先端のAIは、コンピュータが自力で猫を理解する。 ⇒ ディープラーニング
 
●ディープラーニング
 ディープラーニング(深層学習)は、長い間、理論的には可能と言われてきたが、なかなかプログラム処理を実現できなかった。
 2012年に初めてグーグルの猫のケースでプログラム化に成功した。
 第1層:AIが見つけた猫の特徴……「耳がぴんと立っている」「ヒゲが横に伸びている」「目が猫目である」「歯が鋭い」という特徴量で定義。
 第2層:「これが耳である」「これが目である」(顔に一対ある円形の器官)といった上の層の判断をするために必要な概念を学ぶ。
 第3層:「顔」とは何か、「一対」とは何か、「円形」とは何か、を定義する。
 どんどん深い層に降りて物事を定義し、学習していく。
 
●30年後
 最初にイノベーションの種が発明され、市場にプロトタイプの商品が出る。
 この段階から破壊的イノベーションの脅威が現実になるまでの時間はほぼ20年。
 古い業界最大手が消えていくのが30年後。
《デジカメの場合》
 1981年、ソニーが「マビカ」というデジカメの元祖ともいうべき商品の試作品を発表。
 1995年、カシオがQV-10(25万画素)を発売。ヒット商品に。PCに画像が取り込める。
 2000年代、プロ向けも含めてカメラはデジカメに置き換わった。
 2012年、世界最大の銀塩フィルム・メーカーだったイーストマンコダックが、連邦破産法を申請。
《AIの場合》
 2012年、学習能力を備えたAIが出現(グーグル)。 
 2032年には、人間よりも賢い「AIの上司」が人間から仕事を奪う現実の脅威になっている?
 
●フクシマショック
 二足歩行ロボットの開発が世界中で盛んになっている。
 きっかけは、2011年、放射能汚染事故「フクシマショック」。
 当時、日本で注目を浴びていた自律型二足歩行ロボットの性能では、がれきの山を乗り越えて原子炉のある建屋まで歩いていくことは不可能だった。
 
●手、指
 人類がロボットやAIに最後まで勝てる能力は「手」、その中でも特に「指」の能力。
 「足」「脳」「腕」「顔(表情)」「手の指」の五つの要素がすべて人間に追いついたとき、はじめてAI搭載ロボットは人間と同じ仕事ができるようになる。
 
●仕事消滅
 2025年、仕事消滅は、最初にドライバーの仕事で起きる。
 2030年ごろ、パラリーガル(弁護士助手)、銀行の融資担当者、裁判官といった、主に「頭を使う専門家の仕事」がAIに奪われる。
 2035年ごろ、汎用的な管理職、経営者、研究者、クリエイターの仕事もAIに取って代わられる。ロボットの足と単純な手の役割が人間に近づき、重いものを設置する仕事、宅配業者の配達の仕事もなくなっていく。
 2040年以降、知的労働の大半はなくなる。人間に残された仕事の大半は、ロボットより優れた指先が必要な単純労働に絞られていく。パティシエが菓子を造形するような仕事が「高度な技能職」として世界で一番給料が高いレベルの仕事になる? バックヤードから商品を運んで陳列するコンビニの店員、手先の器用さが要求されるマクドナルドのハンバーガー調理店員、などが最後に残る仕事?
 2035年以降の世界では、「マックジョブ」(本来は、「マニュアル通りに行う仕事」の意)を労働力人口全体で競い合うようになる?
 
●ロボット経済三原則
 雇用がなくなり、経済が縮小するディストピアを回避するために、AIとAI搭載ロボットのコスト競争力を下げるための政策。
 〈原則1〉すべてのAI/ロボットの利用権を国有化する。
 〈原則2〉AI/ロボットの産業利用に対しては、その働きが人間何人分かを計測し、その仕事に応じた賃金を国に支払う。ただしAI/ロボットの家庭利用/私的利用については、特に賃金を支払う必要はない。
 〈原則3〉AI/ロボットに支払われた給料はそのまま国民に配分する。
 
●五つの生き方
 仕事がなくなった人類は、ローマ人のような五つの分野を追求しながら「充実した人生」を送るようになるだろう。
 (1)芸術家……AIが芸術を量産するので、芸術家の生きる場はライブへと移行する。たとえば生け花。「消えていくライブ芸術」を追求。
 (2)学究人……過去の文献を読み、自分の関心のある事柄に思いをはせ、特定の分野ついて知の巨人となる。ノーベル賞級の新たな発見や研究は、AIが担う。
 (3)アスリート……プロスポーツの主役は人間。ロボット同士の競技では感動は生まれない。
 (4)趣味人……さまざまな趣味は、ロボットやAIと何の関係もない。
 (5)遊び人……もっとも対象者が多い。美食、宴会、友との語らい、……。
 
(2017/12/13)EB
 
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最後の超大国インド 元大使が見た親日国のすべて
 [社会・政治・時事]

最後の超大国インド 元大使が見た親日国のすべて
 
平林博/著
出版社名:日経BP社
出版年月:2017年6月
ISBNコード:978-4-8222-5524-4
税込価格:1,836円
頁数・縦:285p・21cm
 
 
 在任5年に及んだ元インド大使によるインド論。
 インドは、米国、ロシア、中国に伍して、4番目に超大国になるという。そしてインド以降、超大国は出ないであろう。そんな見解を反映したタイトルである。
 元インド大使らしく、インドという超大国を多角的に紹介する。
 
【目次】
第1章 インド理解のカギ
 インドの大きさと経済力
 世界最大の民主主義国
  ほか
第2章 超・親日インドの淵源
 インド人の日本観
 日印関係の基礎を築いた偉大な先駆者たち
  ほか
第3章 インドの大変貌
 独立から冷戦終了まで―非同盟主義により欧米・日本と疎遠に
 新興国から世界の大国へ―ニュー・インドの誕生
  ほか
第4章 日印繁栄のための経済・ビジネス協力
 インドで高まる日本の存在感―ODAによるインドの国造り・人づくり
 日印関係の将来を作る人的交流
  ほか
第5章 インドで生活し、仕事するための心構え
 極端が併存し、平均値は意味がない
 インド人とどう付き合うか?
  ほか
 
【著者】
平林 博 (ヒラバヤシ ヒロシ)
 日印協会理事長・代表理事。1963年東京大学法学部卒業、外務省入省。在外公館では、イタリア、フランス、中国、ベルギー、及び米国に勤務。本省では、官房総務課長、経済協力局長等を歴任。在米大使館参事官時代に、ハーバード大学国際問題研究所フェロー兼同研究所日米関係プログラム研究員。1990年駐米公使、1995年内閣官房兼総理府外政審議室長(現在の内閣官房副長官補)、1998年駐インド特命全権大使、2002年駐フランス特命全権大使、在任中にリヨン第二大学より名誉博士号を授与、2006年在外公館査察担当大使。2007年外務省退官。同年から現職。
 
【抜書】
●紙幣発行(p2)
 ナレンドラ・モディ首相は、2016年11月、それまで流通していた500ルピー札(約800円)と1,000ルピー札(約1,600円)を、発表の翌日から無効とした。インドでは高額紙幣。
 新たに500ルピー札と2,000ルピー冊ができるのを待って交換する。その間は銀行に預ける。さもなければ、使えなくなる。
 狙いは二つ。
 (1) 不正なビジネスや汚職、脱税などでため込んだ現金を使えなくする。
 (2) テロリストたちが偽造紙幣を増発してインドの治安を脅かしていることを阻止する。
 効果はてきめんだった。インド経済への悪影響はほとんど見られず、インドの株価指数(Sensex)も上昇を加速した。
 
●インド国旗(p52)
 上から、サフラン(ヒンドゥー教を象徴)、白(仏教を象徴する法輪がある)、緑(イスラム教)の3色の帯。法輪は、アショカ大王の柱からとったもの。
 なお、サフランは勇気と犠牲、緑は公平と騎士道、白は平和と両宗教の和解を表すとも言われる。
 
●ザビエル(p68)
 フランシスコ・ザビエルは、1551年、日本からゴアに戻ったが、その後、中国に赴き、上陸した上川島で発病、客死した。
 遺体は、ゴアのボン・ジーザス教会に安置され、ミイラ化した。
 現在でも世界遺産に指定され、この教会に安置されている。10年ごとにガラスケースに入れて公衆の前に陳列される。
 1554年の拝観の際、信者の女性が右足の2本の指をかみ切って逃走。あとで返還された。ガラスケースの中、ザビエルの右足が参拝者に見えるよう、右指の部分だけ着衣から出されていた。確かに、2本が欠けていた。
 1614年、イエズス会の命令により、右腕は切断され、現在マカオにある。
 耳や毛はポルトガルのリスボン、歯はポルトガルのポルト、胸骨の一部は東京に分骨されている。
 
●国連未加盟国(p231)
 現在、国連の加盟国は193か国。日本が承認していない北朝鮮も含む。
 未加盟国は、ヴァチカン、コソボ、クック、ニウエ。
 
(2017/12/9)KG
 
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国際政治 恐怖と希望
 [社会・政治・時事]

国際政治 - 恐怖と希望 (中公新書)
 
高坂正堯/著
出版社名:中央公論新社(中公新書 108改版)
出版年月:2017年10月
ISBNコード:978-4-12-180108-1
税込価格:821円
頁数・縦:233p・18cm
 
 
 1966年8月初版で、2015年12月には50版までいった新書の改版。
 50年以上前の著作ではあるが、ジャン・ジャック・ルソーやイマヌエル・カントからの引用が随所で見られ、彼らの言説がいまだに通じるということは、国際政治の
「複雑怪奇」さは、なかなか古びない、ということか。
 
【目次】
序章 問題への視角
 権力闘争の変質
 国際政治の三つのレベル
第1章 軍備と平和
 勢力均衡
 軍備縮小
 軍備規制と一方的段階的軍縮
第2章 経済交流と平和
 経済と権力政治
 権力政治と経済交流の分離
 エゴイズムと相互の利益
第3章 国際機構と平和
 強制力の問題
 世論の力
 国際連合の意味
終章 平和国家と国際秩序
 国際社会と国内体制
 現実への対処
 
【著者】
高坂 正堯 (コウサカ マサタカ)
 1934年(昭和9年)、京都市に生まれる。京都大学法学部卒業。1960年より2年間ハーバード大学留学。法学博士。京都大学教授。専攻は国際政治学、ヨーロッパ政治史。1996年(平成8年)5月、逝去。
 
(2017/12/9)KG
 
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〈インターネット〉の次に来るもの 未来を決める12の法則
 [社会・政治・時事]

〈インターネット〉の次に来るもの 未来を決める12の法則  
ケヴィン・ケリー/著 服部桂/訳
出版社名:NHK出版
出版年月:2016年7月
ISBNコード:978-4-14-081704-9
税込価格:2,160円
頁数・縦:401,13p・20cm
 
 
 訳者があとがきで本書の要旨を以下のようにまとめてくれている。
 「ネット化したデジタル世界は名詞(結果)ではなく動詞(プロセス)として生成し(第1章 BECOMING)、世界中が利用して人工知能(AI)を強化することでそれが電気のようなサービス価値を生じ(第2章 COGNIFYING)、自由にコピーを繰り返し流れ(第3章 FLOWING)、本などに固定されることなく流動化して画面で読まれるようになり(第4章 SCREENING)、すべての製品がサービス化してリアルタイムにアクセスされ(第5章 ACCESSING)、シェアされることで所有という概念が時代遅れになり(第6章 SHARING)、コンテンツが増えすぎてフィルターしないと見つからなくなり(第7章 FILTERING)、サービス化した従来の産業やコンテンツが自由にリミックスして新しい形となり(第8章 REMIXING)、VRのような機能によって高いプレゼンスとインタラクションを実現して効果的に扱えるようになり(第9章 INTERACTING)、そうしたすべてを追跡する機能がサービスを向上させライフログ化を促し(第10章 TRACKING)、問題を解決する以上に新たな良い疑問を生み出し(第11章 QUESTIONING)、そしてついにはすべてが統合され彼がホロス(holos)と呼ぶ次のデジタル環境(未来の〈インターネット〉)へと進化していく(第12章 BEGINNING)」。
 なるほど、そういうことだったのか。
 
【目次】
BECOMING ビカミング
COGNIFYING コグニファイング
FLOWING フローイング
SCREENING スクリーニング
ACCESSING アクセシング
SHARING シェアリング
FILTERING フィルタリング
REMIXING リミクシング
INTERACTING インタラクティング
TRACKING トラッキング
QUESTIONING クエスチョニング
BEGINNING ビギニング
 
【著者】
ケリー,ケヴィン (Kelly, kevin)
 1952年生まれ。著述家、編集者。1984~90年までスチュアート・ブラントと共に伝説の雑誌ホール・アース・カタログやホール・アース・レビューの発行編集を行い、93年には雑誌WIREDを創刊。99年まで編集長を務めるなど、サイバーカルチャーの論客として活躍してきた。現在はニューヨーク・タイムズ、エコノミスト、サイエンス、タイム、WSJなどで執筆するほか、WIRED誌の"Senior Maverick"も務める。
 
服部 桂 (ハットリ カツラ)  
 1951年生まれ。1978年、朝日新聞社入社。1987~89年までMITメディアラボ客員研究員。科学部記者や雑誌編集者を経て、現在はジャーナリスト学校シニア研究員。
 
【抜書】
●テクニウム(p18)
 テクノロジーの活動空間を生命における生態系と同等なものとして定義した著者の造語(訳注)。
 
●アーミッシュ(p35、BECOMING)
 アーミッシュも、インターネットを使う。
 〔私は、彼らが自分たちのウェブサイトについて話すのを聞いて驚いた。
 「アーミッシュのウェブサイトがあるんですか?」
 「家業の宣伝用にね。店ではバーベキュー用のグリルを溶接しているんです」
 「そうですか、しかし……」
 「ああ、ネット用の端末は、公共図書館にあるものを使っています。ヤフーも使っていますよ」〕
 自宅には電話もテレビもなく、電気も使っていない。ウェブサイトを作っても、仲間のアーミッシュは自宅で見られない。やはり、図書館で見るのだろうか!?
 
●異質の知性(p65、COGNIFYING)
 〔AIという言葉は「異質の知性(Alien Intelligence)」の略号にもなることだろう。これから200年の間に、夜空に輝く何十億もの地球型惑星に住む宇宙人との接触があるかどうかは分からないが、その頃までにわれわれが異星人のような知能を作り上げていることはほぼ100%確かだ。そうした人工的な異星人からは、実際に宇宙人に遭遇したかのような恩恵や脅威を受けることになるだろう。〕
 
●ロボット(p70、COGNIFYING)
 元MIT教授のロドニー・ブルックス、リシンク・ロボティクス社にて、ワークボットのバクスターを製作。人間の横で一緒に働く工業用ロボットの先駆け。
 「今は製造業といえば中国ということになっています。でもロボットのおかげで生産コストが下がるにつれ、輸送コストの方がはるかに大きなものになるでしょう。近場で生産した方が安くなるのです。そこで私たちは、地域のフランチャイズ化した工場のネットワークを作り、納品先から5マイル以内で生産できるようにするつもりです」(ブルックス)
 
●第三段階(p86、FLOWING)
 現在は、コンピュータ化の第三段階。
 第一段階……工業化から借用。最初の商用コンピュータは、オフィスの姿を真似して、画面に「デスクトップ」「フォルダ」「ファイル」が並べられた。
 第二段階……ウェブの原理によって体系化された。基本的な単位はファイルではなく「ページ」となり、ネットワーク化されたウェブに並べられた。「フォルダ」に整理されるのではなく。デスクトップのインターフェイスは、「ブラウザ」という、どんなページもいくらでも表示できる単一のウィンドウに置き換えられた。
 第三段階……いまでは、第三段階に移行中。主要な単位は、流れとストリーミング。〔われわれは常にツイッターの流れやフェイスブックのウォールに流れる投稿を注視している。写真や映画や音楽をストリーミングで楽しんでいる。テレビの画面の下にはニュースのバナーが流れている。〕
 時間の流れも変化している。
 第一の時代は、仕事はまとめて(例えば月末に)行うバッチ方式。
 第二の時代は、すべてのことがその日のうちに行われるのが当たり前になった。
 今や、1日単位からリアルタイムへと変わった。
 
●生成的なもの(p92、FLOWING)
 無料よりも良い、コピーできないもの。
 〔生成的な価値は、取引をした時点で生成される資質や特性を指す。生成されたものはコピーもクローン化もできず、倉庫にしまっておくこともできない。生成的なものは偽ったり複製したりはできない。それはリアルタイムで交換されるときにだけ起きる。生成的な資質は無料のコピーに価値を与え、値段を付けて売れるものにする。〕
 
●3倍(p118、SCREENING)
 人々が文字を読む時間は80年代と比べてほぼ3倍になっている。
 2015年までにウェブには60兆ページの情報がアップされ、毎日数十億ページずつ増えている。
 
●高速連続視覚表示(p121、SCREENING)
 高速連続視覚表示と呼ばれる読書の実験では、1語しか表示されないスクリーンを使う。大きさは切手程度。
 
●ビール缶(p147、ACCESSING)
 過去30年のトレンドは、より良いものをより少ない材料で作ることだった。非物質化。
 ビール缶は、基本的な形やサイズや機能は80年間変わっていない。
 1950年には、錫メッキした鉄製で73gの重さだった。
 1972年には、アルミ製の缶ができ、21gになった。
 現在では、手の込んだ畳み込みやカーブの工夫によって原材料を減らし、13gにまで減った。初期の重さの5分の1。
 
●FireChat(p172、ACCESSING)
 2014年、香港の学生たちは、中国政府の弾圧・監視に対抗するために、FireChatというアプリを作った。中継局を介さず、WiFiの無線で電話同士が直接交信できる。さらに、ファイアチャットを入れている第三者に転送できる。自分宛でないメッセージを受けた電話は、次々とそれを目的の相手までリレーしてつないでいく。
 メッシュ……FireChatのように、P2Pが張り巡らされたネットワーク。
 
●ギフトの共有(p191、SHARING)
 インターネットは、経済原理に動かされているというより、ギフトを共有することによって動いている。
 ハッカー、プログラマーたちが、オープンソースのために無償で働いている動機は、「学んで新しい技能を身につけるため」。ある学者は、「無料で働く主な理由は、自分という鈍ったソフトウェアを改善するため」と言っている。
 
●ウィキペディア(p201、SHARING)
 ウィキペディアは、100万人単位の人々が書き込む一方で、約1,500人の編集者が責任を持って書き込みをチェックしている。
 膨大な貢献を管理しているのは、それよりもはるかに小さな調停者の集団。
 
●テッド・ネルソン(p328、TRACKING)
 ハイパーテキストを発明した人物。
 1980年代半ば、他人との会話をすべて録音したり映像に収めたりしていた。初期のライフログの例。
 何千人にも会っていたので、大きな倉庫を借りて、その中いっぱいに録音したテープを保管していた。
 
●共監視(p347、TRACKING)
 人類はずっと長い間、部族や氏族で暮らしていた。そこではすべての行為が丸見えで、秘密などなかった。われわれの精神は、常に共監視される環境の中で進化してきた。
 進化論的に言えば、共監視は自然状態。懐疑的な現代とは対照的に、循環する世界ではお互いが監視しあうことに関して大きな反動はない。それが本当に公平で対称的に行われるなら、快適なものになりえる。
 
(2017/12/2)KG
 
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アジア主義 西郷隆盛から石原莞爾へ
 [社会・政治・時事]

  アジア主義 西郷隆盛から石原莞爾へ (潮文庫)
中島岳志/著
出版社名:潮出版社(潮文庫 な-1)
出版年月:2017年7月
ISBNコード:978-4-267-02088-9
税込価格:1,188円
頁数・縦:603p・16cm
 
 
 月刊誌『潮』2010年8月号から2011年12月号までに連載された「アジア主義を考える」に大幅加筆してまとめたものであるという。2014年7月に潮出版より発行された単行本の文庫化。
 日本で、清を打倒するための4つの革命団体ができたが、地域ごとのまとまりであった。広東派の「興中会」、湖南派の「華興会」、浙江派の「光復会」、湖北派の「科学補習所」である。後に孫文を総理とする「中国同盟会」に統一する(1905年8月)。彼らの目的は、満族支配を打破して漢族の支配する中国を作ることであった。(p.342)
 「滅満興漢」、「光復革命論」。満族を満州に追いやって、漢族中心の中国を作るというのが、彼ら革命派の共通の志であった。
 中国では、なぜ、民族にこだわるのだろうか。特に漢族の優越という思想が常に興ってくる。もっと、他民族、他者を受け入れる度量はないものだろうか。
 一方、清朝エリートたちは、列強の支配から逃れるべく、民族の枠組みを超えた中国ナショナリズムを志向し始めていたという。もしそれが「華夷秩序」ではなく、「万国公法」に基づく国の再建であったなら。そうなれば、今と違った中国ができていたかもしれない。
 
【目次】
序章 なぜ今、アジア主義なのか
第1章 竹内好はアジア主義に何を見たのか
第2章 西郷隆盛と征韓論
第3章 なぜ自由民権運動から右翼の源流・玄洋社が生まれたのか
第4章 金玉均という存在
第5章 頭山満、動き出す
第6章 来島恒喜のテロと樽井藤吉の『大東合邦論』
第7章 天佑侠と日清戦争
第8章 閔妃暗殺
第9章 孫文の登場―宮崎滔天・内田良平・南方熊楠
第10章 岡倉天心「アジアは一つ」の真意
第11章 黒龍会と一進会
第12章 韓国併合という悲劇
第13章 中国ナショナリズムへのまなざし―辛亥革命と二十一カ条要求
第14章 孫文の大アジア主義演説
第15章 来日アジア人の期待と失望
第16章 大川周明の理想
第17章 田中智学から石原莞爾へ―「八紘一宇」の奈落
第18章 アジア主義の辺境―ユダヤ、エチオピア、タタール
第19章 戦闘の只中で―日中戦争と大東亜戦争
終章 未完のアジア主義―いまアジア主義者として生きること
 
【著者】
中島 岳志 (ナカジマ タケシ)
 1975年大阪府生まれ。東京工業大学リベラルアーツ研究教育院教授。大阪外国語大学(ヒンディー語専攻)卒業。京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科博士課程修了。京大人文科学研究所研修員、日本学術振興会特別研究員、北海道大学大学院法学研究科准教授を経て、現職。専門は南アジア地域研究、近代思想史。著書に『中村屋のボース』(大佛次郎論壇賞)など多数。
 
【抜書】
●玄洋社(p42)
 1881年、頭山満らが、福岡にて玄洋社を設立。
 「日本の右翼の源流」と言われているが、活動の原点は自由民権運動にあった。右翼であり、ナショナリストであり、自由民権論者。
 朝鮮の民主化運動を支援したことからアジア主義に傾斜し、日清戦争前には「天祐侠」という秘密組織を結成して朝鮮に送り込む。天祐侠には、内田良平や武田範之(はんし)といった人物が参加。東学グループに接近し、農民蜂起を援助しようとする。
 
●互市(p63)
 華夷思想の外交関係三つのパターン。川島真「近代東アジア国際政治の形成」『東アジア国際政治史』(名古屋大学出版、2007年)による。
 (1) 冊封
 (2) 朝貢
 (3) 互市(ごし)……中国との政治的な上下関係を伴わない交易。近世の日中はこの関係にあった。
 日本は、7世紀に「天皇」の文字を使用して以来、足利義満の時代を除いて朝貢をしたことがない。
 
●万国公法(p66)
 東アジアの国々は西洋諸国に植民地化され、華夷秩序は、徐々に「万国公法」による新秩序に組み替えられていった。
 万国公法の代表が日本。中国と朝鮮のみが、旧秩序の冊封・朝貢関係を維持し、日本と対立するという構図が出来上がった。
 
●王道、覇道(p82)
 西南戦争について、頭山満をはじめとするアジア主義者は、西郷隆盛の思想と行動の中に「東洋的王道」の精神を見出した。王道インタナショナリズム。
 パワーポリティクスの論理に傾斜する政府主流派を「西洋的覇道」とみなした。
 アジア主義者たちは、ナショナリズムを世界に開き、他民族と連帯しながら世界全体が「東洋的王道」に回帰するというインターナショナリズムを理想とした。
 
●ナショナリズム(p92)
 ベネディクト・アンダーソン(『想像の共同体』)は、「ナショナリズムは古代から続く一貫した国民意識」という通説を覆す。
 フランス革命により、「国家は国王のものである」(王権神授説)という考え方から、「国家は国民のものである」という原則に転換する。「封建的な王政国家」から「主権在民に基づく国民国家」へのレジームチェンジ。
 フランス革命こそが、「国民は平等な主権者である」という政治的なナショナリズムの嚆矢。
 
●金玉均(p108)
 金玉均(キム・オッキュン)……1851年生まれ。1872年、科挙に合格、官僚となる。明治日本をモデルに朝鮮の近代化を進めようとした「改革派」のリーダー。甲申事変というクーデター事件を起こして失敗し、日本に亡命。
 通算4回、日本に滞在し、日本の思想家・活動家と交流。頭山満は、金との出会いによってアジア主義に目覚める。樽井藤吉は、金に感化され、日韓の対等合邦を構想する『大東合邦論』を書く。
 
●岡倉天心(p272)
 岡倉天心はインドでヴィヴェーカーナンダと意気投合し、「アドヴァイティズム」に感銘を受ける。「不二一元論」(=アドヴァイティズム)を説くようになる。
 『Ideals of the East, with special reference to the art of Japan(東洋の理想)』にて、「アジアは一つである」と宣言。
 
●黒龍会(p286)
 1901年、内田良平が黒龍会を結成。
 「黒龍会創立趣意」の中で、西洋諸国が「東洋の地を蹂躙」していることを批判。清朝や韓国は「拱手閉目」しているので、日本がロシアと対峙する必要性を強調。
 
●中国ナショナリズム(p345)
 清朝末期、清朝エリートは、列強による版図の分割という危機にさらされる過程で、民族を超えた「中国ナショナリズム」を形成し始めていた。
 孫文ら革命家たちの多くは、漢族ナショナリズムを志向していた。滅満興漢。満族を「同胞」から除外。万里の長城の北、満蒙は日本に与えてもいいという考えにつながる。
 しかし、清朝打倒が達成されると、輿論に迎合する形で、「中国ナショナリズム」にかじを切っていった。
 
●東遊運動(p404)
 ベトナム人のファン・ボイ・チャウ。近代ベトナムを代表する独立運動の志士。
日本から軍事的支援を受けようと、1905年に来日。国内の人材育成と組織の拡大が先決であると、期待した支援は受けられなかった。
 東遊運動……日本留学運動。人材育成のために、優秀な若者に対して日本への留学を奨める。日露戦争後、ベトナムで大きな潮流となっていった。 
 チャウは、日本で「越南維新会」という独立のための結社を創設。ベトナムと日本の連帯を目指す。日本とベトナムは「同文同種同州」。
 しかし、日本が1907年に日仏協約を締結し、チャウの目論見は挫折する。
 
●トゥーラン主義(p496)
 「ウラル・アルタイ語族」といわれる諸民族の連帯を目指すイデオロギー。フィンランド、ハンガリー、トルコ、中央アジア、モンゴル、満州、朝鮮、日本。
 トゥーラン主義は、ハンガリーが起源。バラートシ・バロク・ベネディクトという民族学者が中心となって主張。ハンガリーにとって宿敵だったロシアを日本人が撃破したことで、急速に支持者が増加した。
 バラートシは、3度にわたって来日、各地で民族学的調査を繰り返した。通訳を務めた今岡十一郎と、1920年代初頭、一致団結してトゥーラン主義の拡大を目指す。
 今岡は、10年間、ハンガリーで日本文化の普及に努め、ブダペスト大学に日本語講座を開設した。
 しかし、ウラル・アルタイ語族というのは、仮説にすぎず、まだ学術的には確立されていない。
 
●黒田雅子(p501)
 子爵黒田廣志(華族)の次女。エチオピアの皇族アラヤ・アベバ殿下のもとに嫁ぐ予定だった。1934年1月に発表される。
 しかし、日本の皇族とエチオピアの皇太子の結婚と誤解したムッソリーニの横やりで破談となる。破談報道から8か月後の1934年12月、イタリア領ソマリランドとエチオピアの国境地帯で軍事衝突が起こる。ワルワル事件。
 
●文明の衝突(p578)
 ハンチントンは、『文明の衝突』で、「儒教ーイスラームコネクション」が欧米と敵対するという構図を示した。
〔 しかし、この議論には大きな欠点があります。それは、宗教は必然的に異教徒との衝突を生み出すという前提です。ここでは、宗教間の共生を論じる思想や歴史の叡智は脇に追いやられ、宗教復興は必ず文明の衝突をもたらすことになってしまいます。
 文明の衝突を乗り越えるには、やはり「単一論」から「多一論」へのパラダイムの転換が必要です。今日こそ、「バラバラでいっしょ」の「多一論」を基礎とした思想的アジア主義の可能性を追求する必要があります。「文明の衝突」論を超えるアジア的共生のあり方を、思想的に模索すべきです。〕
 
(2017/11/27)KG
 
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男子劣化社会 ネットに繋がりっぱなしで繋がれない
 [社会・政治・時事]

男子劣化社会  
フィリップ・ジンバルドー/著 ニキータ・クーロン/著 
高月園子/訳
出版社名:晶文社
出版年月:2017年7月
ISBNコード:978-4-7949-6968-2
税込価格:2,160円
頁数・縦:342p・19cm
 
 女性の社会進出に伴い、学校では男子より優秀な女子が増えているという。自尊心の満たされない男性は、女性と交わることを避け、自分の世界に閉じこもるようになる。
 しかしながら、これまでの人間社会でも、多くの男性は子孫を残していない(つまり女性との生殖活動が十分にできなかった)という。それは、男同士の競争に負けた結果である。腕力や暴力による敗北も多かったであろう。
 しかしながら、兵器の発達した現代において、暴力による男性性の誇示は、全社会にとって危険な行為である。男が劣化する、すなわち生殖活動に参加しない男が増えているというのは、人類社会の破滅につながる男たちの暴力を回避するための、自然の叡智かもしれない。子孫を残せない男の存在が自然の摂理なら、その男たちを戦場に赴かせるより、家の中に閉じ込めておくほうが社会のためになる?
 
【目次】
1 症状
 教育に幻滅
 労働力からの脱落
 度を越えた男らしさ―ソーシャル・インテンシティ・シンドローム(SIS)
  ほか
2 原因
 船頭のいない家族―父親不在
 問題だらけの学校
 環境の変化
  ほか
3 解決法
 政府ができること
 学校ができること
 両親にできること
  ほか
 
【著者】
ジンバルドー,フィリップ (Zimbardo, Philip)
 スタンフォード大学心理学名誉教授。エール大学、ニューヨーク大学、コロンビア大学でも教鞭をとる。米国心理学会会長、スタンフォード対テロリズム総合政策教育研究センター所長を歴任。『ルシファー・エフェクト』(2015年、海と月社、ウィリアム・ジェイムズ・ブック賞)、『迷いの晴れる時間術』(2009年、ポプラ社)などがある。
 
クーロン,ニキータ (Coulombe, Nikita D.)
 ファインアートと心理学をコロラド大学で学んだあと、ジンバルドーのもとでアシスタントとして働き、ジンバルドーとともに様々なプロジェクトに参加している。
 
高月 園子 (タカツキ ソノコ)
 翻訳者・エッセイスト。東京女子大学文理学部史学科卒業。在英25年。 
 
【抜書】
●ネゴシエーション(p32)
 すべての対人関係は権利と義務のネゴシエーションである。
 
●SIS(p38)
 ソーシャル・インテンシティ・シンドローム(SIS)。Laddism(ラディズム。マッチョな態度や行動)に似た、「男同士の過度な団結」。男だらけの環境に対する強い嗜好。「男は心の底では、女との付き合いやパートナーシップより、男同士で過ごす時間や彼らとの絆を好んでいる」。
 その社会的環境の魅力が高まる要因……①グループの人間関係の質が強烈である。②部外者やメンバーになる資格がない者たちに対して排他的である。③各メンバーがそこに深く組み込まれているとみなされる。
 軍隊、身体の接触を伴うスポーツ(アメフト、ラグビーなど)、スポーツジムに入り浸る男たち、フラタニティ(男子学生の社交クラブ)、など。
 
●33%(p195)
 生物学者ジェイソン・ワイルダー。現存するさまざまな集団の遺伝子の標本を通して、人類の祖先はおよそ67%が女性で、33%が男性である。
 つまり、一部の男性は複数の女性と子供を作ることができたが、ほとんどの男性に子供がいなかった。チンギス・ハーンの息子たちは大きなハーレムを所有していたので、かつてのモンゴル帝国内に現在も住んでいる男性の8%がチンギス・ハーンの子孫。
 男が自分の血統を永続させるためには、さまざまな才能をもち、創造的になり、かつリスクを冒して新しい選択肢を探らなければならなかった(社会心理学者ロイ・バウマイスター)。
 
●ベッドメイク(p304)
 2014年、米海軍大将で特殊作戦司令長官のウイリアム・H・マクレーヴンがテキサス大学の卒業式の演説で学生たちに与えたアドバイス。「毎朝のベッドメイキングを自分でしなさい」。
 1日の最初の仕事をきちんとやり遂げたことが、次にすべき仕事の数々を成功に向けて調子づける。
 そして、その日の終わりには、朝一番の小さな仕事が雪だるま式に膨らんで、多くの仕事がやり遂げられているだろう。
 「(ベッドメイクという)そんなちっぽけなこともちゃんとやれないなら、大きなことをまともにやれるはずがない」。
 それに、もしその日、期待どおりに物事が進まなかったとしても、家に帰った時に整ったベッドがあると、明日はいい日になるという希望が湧いてくる。
 
(2017/11/4)KG
 
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自死は、向き合える 遺族を支える、社会で防ぐ
 [社会・政治・時事]

自死は,向き合える――遺族を支える,社会で防ぐ (岩波ブックレット)
 
杉山春/著
出版社名:岩波書店(岩波ブックレット No.970)
出版年月:2017年8月
ISBNコード:978-4-00-270970-3
税込価格:626円
頁数・縦:70p・21cm
 
 
 自殺した人の遺族を支える人たち、自殺予防に携わる人たちに関するルポルタージュ。
 
【目次】
第1章 高額補償が追い込む遺族たち
第2章 自死遺族が「人」としていられる場所
第3章 自死を科学する国になれるか
第4章 耳を傾け、「生きる」を選ばせる社会へ
あとがき―オーストラリア国際シンポジウムを振り返って
 
【著者】
杉山 春 (スギヤマ ハル)
 1958年東京都生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。雑誌編集者を経て、ルポライター。著書に、『ネグレクト 育児放棄―真奈ちゃんはなぜ死んだか』(小学館、第11回小学館ノンフィクション大賞)など。
 
【抜書】
●スティグマ(p3)
 社会的に否定的な烙印。心理的嫌悪感。
 
●浄土真宗(p16)
 〔浄土真宗本願寺教学伝統センターは、2000年代半ばに経典を精査、「釈尊は自殺について価値判断をしていなかった」という結論を出した。〕
 
●キリスト教(p16)
 「わたしたちは自殺したかたがたの上に、神のあわれみが豊かに注がれるであろうことを信じます。(中略)自殺者に対して、冷たく、裁き手として振る舞い、差別を助長してきました。今その事実を認め、わたしたちは深く反省します」。日本カトリック司教団の冊子『いのちへのまなざし』(カトリック中央協議会、2001年)より。
 ほとんどのプロテスタント教会も、自死を罪には定めない。
 
(2017/11/1)KG
 
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なぜ日本だけがこの理不尽な世界で勝者になれるのか
 [社会・政治・時事]

なぜ日本だけがこの理不尽な世界で勝者になれるのか
 
高橋洋一/著
出版社名:KADOKAWA
出版年月:2017年4月
ISBNコード:978-4-04-601940-0
税込価格:1,404円
頁数・縦:221p・19cm

 
 タイトルは、あまり内容と関係ない。「この理不尽な世界で――」というのは、担当編集者が決めたらしい。
 今の日本と世界情勢を読み解く政治・経済評論である。
 
【目次】
第1章 この「理不尽」な世界の本質を語ろう
 常識の通じないトランプ大統領
 イギリス離脱とEU崩壊の真実
 いまや世界経済のリスクとなった中国
 親北・超反日化する韓国に備えよ
第2章 いつの間にか進化した日本の安全保障
 「戦争の巣」東アジアでどう生き残るか
 不言実行で進む「戦後レジームからの脱却」
 「ジャパンファースト」を堂々と主張せよ
 日本が主導する次代の世界平和
第3章 日本経済悲観論を完全に論破する
 「日本の借金一〇〇〇兆円」の大嘘
 マイナス金利で得をするのは国民だ
 経済成長不要論に惑わされるな
 「日本も『格差社会』化する」論の真相
 この国の経済政策は間違っていない
第4章 内政問題を吹き飛ばす究極の方法
 役人天国・日本が終焉を迎える
 年金制度の持続可能性は高まった
 築地市場の移転に問題は存在しない
 ノーベル賞と金メダルを増やす方法
 
【著者】
高橋 洋一 (タカハシ ヨウイチ)
 (株)政策工房会長、嘉悦大学教授。1955年東京都生まれ。東京大学理学部数学科・経済学部経済学科卒業。博士(政策研究)。1980年大蔵省(現・財務省)入省。大蔵省理財局資金企画室長、プリンストン大学客員研究員、内閣府参事官(経済財政諮問会議特命室)、内閣参事官(首相官邸)などを歴任。小泉内閣・第一次安倍内閣ではブレーンとして活躍。2008年『さらば財務省!』(講談社)で第17回山本七平賞を受賞。
 
【抜書】
●最適通貨圏理論(p40)
 ロバート・マンデル、1999年、ノーベル経済学賞。ヨーロッパ統一のシナリオに一役買い、「ユーロの父」と呼ばれている。
 最適通貨圏理論……単一の通貨で維持できる経済範囲は決まっている。
 単一の経済政策でカバーするには、今のEU圏は大きすぎる。ユーロを使うギリシャやポルトガルの経済が危機的状況に至ったのは、EU経済圏が「最適」な規模を超えてしまったから。
 長い目で見れば、イギリスのEU離脱は、ヨーロッパの経済圏が最適な規模へと縮小していくための大きな一歩となる、というのが筆者の見立て。
 
●ドレスデン和解(p75)
 1995年、アメリカとドイツが共同で犠牲者を追悼した。戦争責任も謝罪もなく、敵と味方がともに犠牲者を追悼する和解方式。欧州型の戦後処理の典型例。
 
●内向き、外向き(p113)
 アメリカ、イギリス、フランスは、「内向き」の流れになっている。
 ロシア、中国は「外向き」の流れになっている。
 国際政治の歴史に鑑みると、「内向き」と「外向き」が交わるときには、パワーバランスが大きく崩れる確率が高くなる。
 〔グローバル経済を牽引してきた西側の超大国が内向きになり、グローバル経済に乗り遅れていた東側の超大国が外向きになっている状況は、間違いなく国際社会の基盤に地殻変動を引き起こす。〕
 
●680兆円(p127)
 日本の政府資産の総額は約680兆円。
 ・現預金 約28兆円
 ・有価証券 約139兆円
 ・貸付金 約138兆円
 ・出資 約70兆円
 ・有形固定資産 約180兆円
 ・運用預託金 約104兆円
 ・その他
 
●2.7%(p170)
 日本の構造失業率は2.7%。
 
●統合政府(p173)
 「財政」と「金融」を連動させ、政府と中央銀行を一体で捉えること。
 アベノミクスが掲げている金融緩和・積極財政は、統合政府という考え方に合致する。
 
●五輪金メダル(p214)
 グレゴリー・マンキュー『マンキュー経済学』(東洋経済新報社)。
 「世界クラスの選手を生み出す一国の能力を測る最善の尺度がGDPの総額であることを発見した。GDPの総額が大きいことは、それが一人当たりGDPの高さによるものであれ、人口の多さによるものであれ、より多くメダルをもたらす」。
 さらに、「開催国」であること、「旧共産圏」であることが、メダル獲得に有利に働く。この三つの条件を数値化して回帰分析を行うと、相関係数は+0.88。
 GDP3,300憶ドル当たり金メダル1個、「開催国」はプラス8個、「旧共産圏」はプラス3個。
 2020年東京五輪では、日本の予想金メダル数は、開催国プラス8個が加わって22個。
 
(2017/10/28)KG
 
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「西洋」の終わり 世界の繁栄を取り戻すために
 [社会・政治・時事]

「西洋」の終わり 世界の繁栄を取り戻すために
 
ビル・エモット/著 伏見威蕃/訳
出版社名:日本経済新聞出版社
出版年月:2017年7月
ISBNコード:978-4-532-35737-5
税込価格:2,160円
頁数・縦:350p・20cm
 
 
 開放性と平等を核とする西洋の理念をカギとして、混迷する現代社会を論じる。西洋的な理念こそが、これからの平和で豊かな世界を築くために必要であると説く。
 
【目次】
序 西洋という理念
第1章 戦いを開始しろ
第2章 不平等と公平性
第3章 民主主義と自縄自縛
第4章 アメリカを正道に戻す
第5章 イギリス、彼らのイギリス
第6章 欧州の麻痺
第7章 日本という謎
第8章 スウェーデンとスイスのフーディーニ
第9章 シルバーヘアとスマート・ドローン
第10章 野蛮な来訪者
第11章 西洋の運命
 
【著者】
エモット,ビル (Emmott, Bill)
 世界的に著名な国際ジャーナリスト。知日派、アジア通として名高い。1956年イギリス生まれ。80年から英「エコノミスト」に勤務し、ブリュッセル特派員を経て、83年に東京支局長として来日。86年に帰国し、93年に同誌編集長就任。13年間の在任中、同誌の発行部数を50万部から110万部に倍増させ、数多のジャーナリズム賞を受賞。現在は国際ジャーナリストとして政治経済、世界情勢をめぐる著書や記事の執筆を行ない、スイス・リー、東京大学、全日空などの顧問も務めている。
 
伏見 威蕃 (フシミ イワン)
 翻訳家。1951年生まれ。早稲田大学商学部卒。ノンフィクションからミステリー小説まで幅広い分野で活躍中。
 
【抜書】
●イソノミア(p9)
 古代ギリシャの政治権利の平等のこと。言論や権利や待遇の平等、確立された開放性における発言と参加の平等のこと。
 
●西洋の理念(p10)
〔 私たちは現在も未来も、つねにあらゆる面で不平等でありつづける。所得、資産、才能、職業、個性、社会的地位などだ。しかし、西洋社会では、理論上は、だれもが基本的な公民権や、それが与えてくれる政治的発言権で平等であるべきだ。さまざまな権利の平等は、集権的・独裁的な方向から社会を遠ざけ、より自然発生的でボトムアップな社会を重視させる。それが資産、アイデア、活動を守ってくれるので、私たちはリスクを負って新しい物事を創り出したり、時間や金を投資したりできる。その根底には謙虚さが根をおろしている。共産主義、ファシズム、“自分は全知全能な存在だ”と唱える独裁者の非現実的な傲慢さとは正反対である。それが社会的信頼と正当性を提供してくれるので、社会は開放性がもたらす衝撃と変化を吸収し、適応していける。
 西洋の理念は、これまでずっと絶大な成功を収めてきた。しかし、今その理念が深刻な窮地に陥っている。米欧の西洋の中心地と、一九七〇年代から真の西洋の中心地になった日本で、衰えの兆しが見えはじめている。経済の失策と失望からはじまった衰退は、高齢化と活気を失った人口動態へと変わり、国際問題への影響力行使に対する無力感になる。この兆しと奥に潜む病が、国家間や各国内であらたな分断を引き起こし、一九四五年以来、西洋諸国が何十年もかけて築き、私たちの団結力と弾力性を強めてきた国際体制に亀裂を生じさせている。いまは悲観的な時代、分裂の時代、古いナショナリズム再燃の時代なのだ。〕
 
●開放性、平等、信頼(p16)
 〔西洋の進化の力の源は、開放性、さまざまな権利の平等、社会の信頼だった。〕
 
●西洋社会の八つの特質(p30)
 西洋の多元的な社会には、プラス・マイナス両面で共通する重要な八つの特質がある。
 (1) 成功……経済、文化、科学、スポーツに至るまで、あらゆる物事で持続的な成功を実現した。この成功は、開放性と結びついている。中国は、300または500年前に国を閉ざしたので、優位を失った。
 (2) 失敗……1990年代初頭の日本とスウェーデン、そして2008年のアメリカとEUで起きた金融危機など、大規模な失敗を経験している。〔利益団体が民主主義というゲームに勝ち、ゲームのルールが壊され、ゲームの選ばれた管理人――つまり政府――がその場の政治的満足を得るために目の前の出来事に見て見ぬふりをするとき、民主主義の脆弱性が大惨事を引き起こすのだ。〕
 (3) 法の支配と立憲主義……法の支配と法の下での平等。開かれた社会は、法律によってすべての市民に平等な権利を与え、法律を作って執行するプロセスを憲法で定められた仕組みで保護し、破壊活動や改竄を防いでいる。
 (4) 社会的信頼……成功は、貿易や思考、政治・文化・商業のリーダー層になる途に対して開放的であることからもたらされる。政治・社会の大混乱なしで変化を受け入れ、吸収できるくらい開放的でなければならない。変化の受け入れと吸収は、高いレベルの社会的信頼によって成し遂げられてきた。 ← 法の下の平等、普通参政権、国庫負担による福祉(セーフティ・ネット)、老齢年金、教育
 (5) 不平等の増大……所得と富の不平等。若者と高齢者、納税者と受益者の亀裂。正社員と非正規労働者の不平等。政治的発言力と政治的権利の不平等。など。
 (6) 移民……人口減少を食い止め、若いエネルギーを導入するために、西洋諸国は移民を必要としている。しかし、一方で既存の住民との間でさまざまな軋轢を引き起こす。
 (7) 期待の高まり……民主主義、法の支配、生活水準、政治倫理、あらゆる種類の権利、社会移動についての市民の期待が、戦後の何十年もの間、着実に高まってきた。民主主義は今も発展している。
 (8) 国際協調……NATO、EU、日米安保条約。国際機構や国際条約。国連とその姉妹組織、国際通貨基金(IMF)、世界銀行、国際海事機関(IMO)、世界貿易機関(WTO)。国際サッカー連盟(FIFA)、国際オリンピック員会(IOC)。
 
●所得格差(p58)
 上場企業の平均労働者とCEOの報酬格差の倍率(2011-12年)。アメリカの大手労働組合AFL-CIO(アメリカ労働総同盟・産業別組合会議)による。
 アメリカは350倍、イギリスは85倍、日本は70倍。デンマークは50倍弱。
 
●フレキシキュリティ(p76)
 1994年、デンマークでは、「フレキシキュリティ」と呼ばれる労働法改正が行われた。
 解雇を比較的簡単にするとともに、解雇された労働者が新しい仕事を見つけられるように、政府が積極的に支援する仕組み。
 
●クリエイティブ経済(p154)
 クリエイティブ経済……デザイン、ソフトウェア、IT、出版、映画、テレビ、広告、広報、建築、音楽、舞台芸術、などのクリエイティブ産業による経済活動。その他の業種で、デザイナーなどのクリエイティブな職業についている人も含まれる。
 イギリスでは、2014年にGDPの8.2%を占める。金融サービス約8%、製造業10%。
 雇用では、EUの中でスウェーデンが1位、11.92%。2位オランダ10.9%、3位イギリス9.9%、ドイツ8%、フランス7.5%。アメリカは9.75%。(2013年)
 
●イタリア式妨害(p192)
 イタリア製というブランド……熟練職人の技、高品質、優れたデザインという評価は過去のモノ?
 現在は、「イタリア式妨害」という言葉がふさわしい。地方政府や中央政府の規制、職能団体やカルテルや労働組合の存在、機能不全に陥っている手続きが遅い司法制度、政治家の介入、組織犯罪……。
 世界的に定評ある企業でも、国際標準からすれば小さい。規模拡大にコストとリスクがあるから。
 15人以上雇用すると、企業側が不利になる労働法が存在する。
 契約不履行で訴えても、裁判費用のほうが高くつく。
 業種によっては、国内の他の都市や地域で営業する際に別の免許が必要になる。
 
●硬直化(p209)
〔 日本の謎の中核は、債務、人口動態、期待はずれではなく、硬直化だ。一九八三年に私が海外特派員として東京に就任したときは、日本の成功の核をなしていたのは柔軟性と活力だという通念が、支配的だった。イギリスは旧弊で硬化しているとされ、よく比較された。七〇年代も八〇年代も、日本の企業、都市、地方は、競争力を失っている古い産業への依存から脱却して、新産業、新製品、新しい手法に転じるのがきわめて上手だった。イギリス、西欧、北米の斜陽鉄鋼業地帯でよく見られたような、社会の不穏を引き起こさずにそういった変化を遂げた。日本は新テクノロジーを率先して採用した。進化と適応では、どの国よりも優秀だった。それに、経済と社会の難しい変革をやってのけるのに、社会的信頼の奥深い蓄積が必要であるとするなら、日本には海よりも深い信頼があった。
 こんな短いあいだに、高度に柔軟だった国が、どうして極度に硬直化してしまったのだろう? それが日本の謎だ。その答えを見つけられれば、もとの柔軟性を取り戻した暁に日本になにができるかを解き明かし、それをやったらどういうふうになるかを理解できるかもしれない。〕
 
●開放性、平等(p316)
 西洋の復活のカギは、開放性と平等。この二つの基本原則に力を注ぐことでのみ、西洋の復活は達成できる。この二つは、西洋の理念の指針になる。
 開放性がなかったら、西洋は繁栄できない。国家が進歩し続けるためには、開放性がもたらす理想、競争、新しいエリート、幅広い機会が必要。
 しかし、平等がなかったら、西洋は存続できない。平等は西洋の持続性の秘訣である。
 
(2017/10/21)KG
 
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アジアの終わり 経済破局と戦争を撒き散らす5つの危機
 [社会・政治・時事]

アジアの終わり: 経済破局と戦争を撒き散らす5つの危機

マイケル・オースリン/著 尼丁千津子/訳
出版社名:徳間書店
出版年月:2017年5月
ISBNコード:978-4-19-864403-1 
税込価格:2,160円
頁数・縦:413p・19cm
 
 
 インド太平洋地域(アジア地域、アジア太平洋地域、etc.)の大きなリスク要因は、「失敗した経済改革」「人口動態のリスク」「未完の政治革命」「政治共同体の欠如」「戦争の脅威」の5つである。29頁の「アジアのリスクマップ」で描き出したこれらのリスクについて詳述し、危機を回避するために必要な(アメリカの)取り組みを考察する。
 今までのそして今後のアジアとの結びつきを考えると、アメリカは引き続き東アジアに関与すべきであるというのが、その主張の骨子である。アメリカにとって東アジアは、最大の貿易相手ではないが、経済的に重要な位置を占めている。民主主義とグローバル経済の観点から、アジアに本当の危機が訪れる前にアメリカが善導しなければならない、ということのようである。
 
【目次】
序章 アジアの時代の終わり
第1章 アジアの5つのリスク領域
第2章 「アジアの奇跡」は世界の危機となった
第3章 急激にしぼむ国、膨張しすぎる国
第4章 アジアに革命の中心人物はいるのか
第5章 決して統合できないアジア
第6章 戦争の暗雲
第7章 アジアの危機は回避できるのか
 
【著者】
オースリン,マイケル (Auslin, Michael R.)
 1967年生まれ。ワシントンD. C.のアメリカン・エンタープライズ公共政策研究所(AEI)で上級研究員、日本部長を務める。イェール大学国際地域研究マックミラン・センターの上級研究員、イェール大学准教授、東京大学客員教授などを歴任。イリノイ大学で博士号取得。ウォール・ストーリート・ジャーナル紙のコラムニストとしてアジアと世界の安全保障に関する記事を寄稿。専門はグローバルリスク分析、アメリカの国防と外交政策、アジア地域における安全保障と政治関係、世界の空海勢力など。スタンフォード大学フーバー研究所フェローに就任予定(2017.7.1)。
 
尼丁 千津子 (アマチョウ チズコ)
 翻訳家。神戸大学理学部数学科卒。
 
【抜書】
●マフィア(p68)
 中国では、中国企業が外資系企業との競争に負けそうになると、会社にマフィアを送り込んでくるという。中国で20年以上暮らし、仕事をしているアメリカ人男性の話。
 「昔ながらの脅迫さ。貿易部門に参入したばかりの企業にそういう例が多い。伝統ある企業ほど世慣れておらず、彼らは中国のやり方で進めようとするんだ」。
 
●水質汚染(p132)
 2011年、ある非営利環境保護団体の指摘。
 中国の主要7河川とその支流の39%は汚染が進みすぎて一般利用できず、そのうちの14%は工業利用にさえ適していない。
 26の主な湖と貯水池の42%は水泳や釣りに不適で、そのうちの8%は工業利用にも不向き。
 世界銀行は、中国の半数の都市で地下水が危険なレベルにまで汚染されていると推測している。
 つまり、中国の水源の四分の一は人が利用するには汚染が進みすぎている。
 
●日本の民主主義(p174)
 〔一九四五年にアメリカから現行の政治体制構築を命じられた日本でさえ、戦前から民主主義国家である。〕
 
●ならず者国家の支援(p253)
 中国は、北朝鮮やイランに対する国連の制裁措置について、常に自由主義国家の反対側に回っている。中国政府の政策には、世界の政治秩序を再構築する、または弱体化させるという願望がはっきりと表れている。
 中国は、「ならず者国家」が起こした地域や世界の危機を解決しようとするアメリカやそのパートナーの努力を邪魔しようとしている。
 
●世界に不満(p295)
 〔中国は世界に不満を抱きつづけているため、その一員となって協力し合う気になれない。その代わりに、中国は強くなればなるほど脅迫的で威圧感に満ちた行動を着実に取るようになっている。中国は世界の大国として認識されはじめてから、次第に挑発的な振る舞いをするようになった。〕
 
●同心三角形(p328)
 大小二つの三角形で、アメリカのアジア戦略を考える。インド太平洋地域での民主主義国家の同盟体制を築く。それによって、アジア主要国の間に共通の利害に基づいた、より確かな協力と協調が生まれ、中国とロシアに地域全体の話し合いを呼び掛けるための土台になる。
 外側の三角形……日本、韓国、インド、オーストラリア。
 内側の三角形……インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール。いずれ、民主化が定着すれば、タイヤベトナムも加わる。
 目標は、アジア地域主要国の共通のルールや規範、振る舞い、協調に基づいた利益共同体づくり。目的は、透明性の向上、信頼関係の構築、公海と公空の防衛の円滑化。
 「同心三角形」戦略は、中国政府を地域のルールや規範に自国の政策を合わせようとする気にさせられるかもしれない。
 〔合同パトロール、情報の共有といったこの戦略の具体策によって、中国は自身のわがままな振る舞いのためにアジアで孤立していて、しかも周りの国が安定を保とうと協調していることをはっきり理解するだろう。〕
 
(2017/10/9)KG
 
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