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日本の人類学
 [自然科学]

日本の人類学 (ちくま新書)  
山極寿一/著 尾本恵市/著
出版社名:筑摩書房(ちくま新書 1291)
出版年月:2017年11月
ISBNコード:978-4-480-07100-2
税込価格:950円
頁数・縦:286p・18cm
 
 
 東大と京大を代表する(?)二人の人類学者の対談。過去、現在、未来の日本の人類学について語り合う。
 
【目次】
第1章 人類学の現在
第2章 東大人類学と京大霊長類学
第3章 最新研究で見る人類の歩み
第4章 ゴリラからヒトを、狩猟採集民から現代文明を見る
第5章 ヒトはなぜユニークなのか
終章 これからの人類学
 
【著者】
山極 寿一 (ヤマギワ ジュイチ)
 1952年、東京生まれ。京都大学大学院理学研究科博士課程単位取得退学、理学博士。日本モンキーセンター、京都大学霊長類研究所、京都大学大学院理学研究科等を経て、2014年より京都大学総長。人類学と霊長類学を専門とし、ゴリラから人類や文明の起源を探る。
 
尾本 恵市 (オモト ケイイチ)  
 1933年、東京生まれ。東京大学文学部・理学部を卒業し、東京大学大学院理学研究科博士課程中退。Ph.D(ミュンヘン大学)、理学博士(東京大学)。東京大学理学部教授、国際日本文化研究センター教授などを歴任し、アイヌやフィリピンのネグリトの起源の研究で世界的成果を挙げた。
 
【抜書】
●自己家畜化(p87、山極)
 自己家畜化現象(セルフドメスティケーション)……エゴン・フォン・アイックシュテットが提唱。人類が野生生物とは異なり、自ら作る文化的な環境によって身体的にも特異な進化を遂げたこと。自己をあたかも家畜のごとく管理する動物であるとの認識から生まれた人類学上の概念。
 クモが巣を作るように、人間も身の回りの物を整えだし、そこから逆に強い影響を受け始めた。さらに、人間の社会環境も人為的に作り出せるようになった。自分一人で物事をやるのではなく、他人にやってもらうようになった。これは、人間の身体的特徴を急速に変えたのではないだろうか。
 (尾本)咀嚼器官が縮小し、体毛が少なく、表現型の多様性が多いなど、ヒトは、多くの家畜に見られる特徴を持っている。家畜は人間が意図的に何らかの目的のために育て管理するものだが、現代人も文明という環境に合わせて自分を育て管理している。
 
●フランジオス(p104、山極)
 オランウータンのオスは二型ある。フランジオス(顔の両脇に出っ張りがある)とアンフランジオス。アンフランジオスは幼形。なわばりを作るオスはフランジオス。縄張りオスが死んでアンフランジオスがその後を継ぐと、数か月以内にフランジが出て来る。
 社会的なプレッシャーが幼形を維持している。
 
●試行錯誤(p119、山極)
 チンパンジーは試行錯誤的で、失敗してもすぐに何かを始める。
 ゴリラとオランウータンは、なかなか行動に移さないが、実際に始めた時にはもう正解に到達している。始める前に頭のなかでシミュレーションをしていて、自信がついたら行動に移す。
 
●人間平等起源論(p129、山極)
 伊谷純一郎は、ルソー「人間不平等起源論」に対して、「人間平等起源論」を提唱した。
 300種に及ぶ霊長類の社会では、単独生活、雌雄一対のペア社会、単雄複雌群、単雌複雄群、複雄複雌群などのように、同性間、異性間で共存を許すかどうかの違いがある。これらは、単独生活から群れ生活へ向かう進化の方向性。
 さらに、オスだけが群間を移籍する母系社会、メスだけが移籍する父系社会がある。
 単独生活からペア社会までは、原初的に平等。雌雄の体格差がない。
 規模の大きな群れ生活をするようになると、オスがメスよりも大きくなり、オス間に厳格な優劣の順位ができるようになる ⇒ 「先験的不平等の社会」。母系社会でこれが発達する。ニホンザルのような階層性をもつ社会。
 ヒトを含む類人猿は、父系社会。食物の分配とか遊びとかに不平等を抑制して平等な関係を保とうとする行動がみられる ⇒ 「条件的平等の社会」。
 つまり、ルソーの言う平等から不平等ではなく、不平等から平等へ向かう人類の進化の道筋があった。最もよく体現しているのは、平等な狩猟採集民の社会。
 
●音楽の起源(p179、山極)
 音楽の起源は、インファント・ダイレクテッド・スピーチ(対乳児発話)。離れている子供に、母親がかける声。赤ちゃんは、そこで言葉や意味を理解するわけではなく、母親から発せられた音声を聞いて安心する。
 その音調は、どの民族でもよく似ている。子守歌の一つのパターンで、音楽の起源の一つではないかと言われている。
 子供の成長期間が長いことで生まれたものの一つが音楽?
 
●移動性の動物(p188、山極)
 ヒトが絶滅させた動物は、すべて移動性の動物。
 定住性の動物であれば、ヒトは自分たちの有限の資源と考えてコントロールしようとする。
 移動性の動物だとコントロールできない。一度逃がすと大変だから、来た時に全部捕ってしまう。
 
●ウェスタ―マーク(p201、山極)
 フィンランドの人類学者のエドワード・ウェスターマーク。19世紀の終わりに、「幼児期の親密な関係は性衝動を忌避させる」と唱えた。
 しかし、同時代にフロイトがいたためにこの説は広まらなかった。フロイトは、幼児はまず異性の親に性的衝動を覚えるが、同性の親にそれを禁じられることによって性衝動を抑圧し、やがて近親でない異性に対して性衝動を覚えるようになる、と唱えた。エディプス・コンプレックス。
 台湾のシンプア(新婦仔)……台湾は厳格な父系社会。将来結婚させる男女を幼児の時から一緒に育て、女の子に男の子の家系の風習を覚えさせる。しかし、なかなか子ができず、離婚するケースが圧倒的に多い。
 イスラエルのキブツ……子どもたちを集団で育て、将来は同じキブツで育った子どもたちが結婚してそのキブツを継いでいくことを期待した。しかし、子どもたちはキブツを離れ、別のキブツで育った異性と一緒になる傾向を示した。
 
●乳房(p207、尾本)
 女性の乳房は、授乳の目的にしては大きすぎるし、必要になる以前から大きくなる。男性に見せるための魅力的器官として発達した。
 スリランカの古代都市シーギリアの遺跡の壁画に描かれた女性。乳房を出しているのは王女で、隠しているのは下女。
 
●アメリカの原罪(p213、尾本)
〔 アメリカという国の歴史と文化を見た時、この国が現代文明の中心にあるのは、人類にとって不幸なことかもしれない。アメリカの原罪は、先住アメリカ人を虐殺して広大な土地を奪ったことと、アフリカ人の奴隷の労働力で建国したことでしょう。このような人権無視の歴史がアメリカを造った。〕
 
●情緒(p214、山極)
〔 ぼくは、これから世界を制するキーワードは情緒だと思うんです。情緒というのは英語に訳しにくいんですが、これは自然に寄せる心、人間と人間が交わす感性に響いてくる。日本の芸術・文学の大きな特長は、情緒が豊かであることです。たとえば「もののあはれ」とか。〕
 
●総合的人類学(p232、尾本)
 〔今、行き詰まりを見せている文明に、どうしたらヒトにしかできない「反省」や「自己規制」を組み込むか。そのそのために「DNAから人権まで」を視野に入れた新たな総合的人類が求められています。〕
 DNAは生物の基本要因。人権は人間の目指すべき究極の倫理。つまり、始めと終わり。
 
(2018/1/30)KG
 
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脳の意識機械の意識 脳神経科学の挑戦
 [自然科学]

脳の意識 機械の意識 - 脳神経科学の挑戦 (中公新書)  
渡辺正峰/著
出版社名:中央公論新社(中公新書 2460)
出版年月:2017年11月
ISBNコード:978-4-12-102460-2
税込価格:994円
頁数・縦:317p・18cm
 
 
 「意識とは何か」という点に関して、科学的(脳神経科学的)に解明しようと試みる研究者の現状報告。意識の「自然則」を打ち立てるべく、実験と理論構築に取り組む。
 
【目次】
第1章 意識の不思議
第2章 脳に意識の幻を追って
第3章 実験的意識研究の切り札 操作実験
第4章 意識の自然則とどう向き合うか
第5章 意識は情報か、アルゴリズムか
終章 脳の意識と機械の意識
 
【著者】
渡辺 正峰 (ワタナベ マサタカ)
 1970年千葉県生まれ。1993年東京大学工学部卒業、98年東京大学大学院工学系研究科博士課程修了。98年から2000年にかけて東京大学大学院工学系研究科助手、2000年から同助教授。カリフォルニア工科大学留学などを経て、東京大学大学院工学系研究科准教授およびドイツのマックス・プランク研究所客員研究員。専門は脳科学。
 
【抜書】
●クオリア(p7)
 クオリア=感覚意識体験。視覚で言えば、単に「見える」ということに他ならない。
 
●赤と紫(p12)
 目に見える光波長の下限と上限にある赤と紫が、私たちに似た色として感じられるのは、両色の果てに、三つの錐体細胞とも反応しない状態を共有しているからなのかもしれない。
 
●両眼視野闘争(p63)
 左右の眼に異なる絵を見せると、そのうち片方の絵しか見えなくなり、数秒で交互に入れ替わるようになる現象。片方は、意識から完全に消失する。
 
●図形アルファベット(p86)
 脳の視覚処理は、第一次視覚野以降、「腹側経路」と「背側経路」に大きく分かれる。
 腹側経路は主に視覚対象の形を処理し、背側経路は視覚対象の動きや位置を処理する。
 腹側経路をたどっていくと、最終的にIT(下側頭葉皮質)と呼ばれる視覚部位に至る。
 第一次視覚野(V1)ではニューロンが直線を基調とした応答を示し、第二次(V2)ではV1とほとんど同じだが「カニッツァの四角形」(四つの「パックマン」の内側に四角形が見える錯視)などに反応するようになり、V3、V4では、角や曲線、線分の交わりなどに応答するようになる。
 ITでは、顔や手など、特定の視覚対象にのみ反応するニューロンが出て来る。しかし、大半は中程度に複雑な形状(=図形アルファベット)に反応する。
 図形アルファベット……理化学研究所の田中啓治および程康(かんちゅん)、大阪大学の藤田一郎が命名。
 
●NCC(p117)
 NCC=Neural Correlates of Consciousness。クリックとコッホは、The minimal set of neuronal events and mechanisms jointly sufficient for specific conscious perceptと定義。固有の感覚意識体験を生じさせるのに十分な最小の神経活動と神経メカニズム。
 意識の研究における中心的な対象。
 
●自然則(p187)
 他の法則から導くことのできない、科学の根幹をなす法則のこと。
 〔二つの物体が、それらの質量と距離に応じて引き合うとする万有引力の法則(正確には近似)や、光の速さが一定であるとする光速度不変の原理などがそれに当たる。なぜそうなのかと訪ねられても「この宇宙はそうなっている」としか答えようがない。〕
 
●松果体(p211)
 脳は、左右対称の構造になっている。
 松果体は、左右二つの脳半球の間に鎮座する数少ない例外的存在。
 デカルトの主張する心身二元論では、非物質である意識との交信役として松果体を想定してした。
 
●生成モデル(p245)
 従来、脳の視覚処理は、低次視覚部位から高次視覚部位に至る複数の直列的な処理を経て完結するものと考えられてきた。
 これに対し、1990年代初頭に、川人光男(かわひとみつお、1953~)とデイヴィッド・マンフォード(1937~)が「生成モデル」を提案。
 生成モデルでは、入力と出力の関係をひっくり返し、高次から低次への処理の流れを重視。高次の活動をもとに、低次の活動の「推測値」を出力する。推測値と感覚入力由来の活動とを比較し、その誤差を算出する。
 
●逆誤差伝播法(p255)
 神経回路の三層構造では、入力と出力の間にある「隠れ層」を想定。
 隠れ層のニューロンは、出力を送る複数のニューロンの「意向」(出力を上げる方向か、下げる方向か)を忖度して自らの「意向」を決め、それが実現するようにシナプス結合を修正する。
 「逆誤差電波法」では、誤差が、通常とは逆に伝播する。情報が軸索を逆方向に流れることを想定している。しかし、実際には脳の中では生じえない。
 
(2018/1/25)KG
 
〈この本の詳細〉
honto: https://honto.jp/netstore/pd-book_28729513.html
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核DNA解析でたどる日本人の源流
 [自然科学]

核DNA解析でたどる 日本人の源流  
斎藤成也/著
出版社名:河出書房新社
出版年月:2017年11月
ISBNコード:978-4-309-25372-5
税込価格:1,512円
頁数・縦:215p・19cm
 
 
 最近の様々な研究成果を取り入れ、ヤポネシア人の3段階渡来説を提唱する。
 なお、ヤポネシアとは、長く奄美大島に住んだ島尾敏雄が1960年代に提唱した言葉だという(p.7)。ラテン語の「ヤポニア」(日本)と「ネシア」(島々)の合成語である。
 
【目次】
1章 ヒトの起源―猿人、原人、旧人、新人…人類はいかに進化してきたのか
2章 出アフリカ―日本人の祖先は、アフリカ大陸からどう移動していったのか
3章 最初のヤポネシア人―日本列島に住むわれわれの源流を探るアプローチ法とは
4章 ヤポネシア人の二重構造―縄文人と弥生人は、いつ、どのように分布したのか
5章 ヤマト人のうちなる二重構造―従来の縄文人・弥生人とは異なる「第三の集団」の謎
6章 多様な手法による源流さがし―Y染色体、ミトコンドリア、血液型、言語、地名から探る
 
【著者】
斎藤 成也 (サイトウ ナルヤ)
 1957年、福井県生まれ。国立遺伝学研究所教授。総合研究大学院大学遺伝学専攻教授、東京大学生物科学専攻教授を兼任。さまざまな生物のゲノムを比較し、人類の進化の謎を探る一方、縄文人など古代DNA解析を進めている。
 
【抜書】
●400万(p27)
 ヒトゲノムは、全体としては32億個の塩基対からなる。
 このうち個体差がある部分は、400万個くらい。
 ミトコンドリアDNAは、16,500塩基ほどしかないが、100か所くらいが個人間で異なる。
 
●デニソワ人(p47)
 南シベリアのデニソワ洞窟で発見された手指の骨。ゲノム配列は、ヨーロッパのネアンデルタール人と近縁であった。デニソワ人とネアンデルタール人の共通の祖先が現代人の祖先と分かれた後、両者が分岐。
 ミトコンドリアDNAの分析によると、ネアンデルタール人と現代人の祖先が分岐する前に、デニソワ人が分岐している。原人の一種からゲノムを受け継いでいる可能性がある。約30万年前のホモ・ハイデルベルゲンシスと系統的に近い。
 デニソワ人とネアンデルタール人との遺伝的違いは、現代人におけるアフリカ人とユーラシア人の違い程度。
 パプアニューギニアやオーストラリアの先住民、フィリピンのネグリト人にも、わずかだがゲノムが伝わっている。
 
●ネグリト(p52)
 ネグリト=スペイン語で「黒い小人」という意味。皮膚色が濃く、身長が一般的に低く、髪の毛は縮れている。最近まで採集狩猟の生活をしていた。東南アジアに点在。スンダランドに住み着いた最初の人々?
 アグタ人……ルソン島北部。
 アエタ人……ルソン島中央部。
 バタク人……パラワン島北部。
 ママヌワ人……ミンダナオ島北部。
 そのほか、マレー半島の中央部や、アンダマン諸島にも住んでいる。
 
●うちなる二重構造(p160)
 大陸からの渡来人は、平安時代以降も連綿と続いていた。
 渡来人は、都会に住み着く。博多、奈良・京都・大阪、名古屋、鎌倉、東京を結ぶ「中央軸」。渡来人があまり来ない周辺部との二重構造になる。
 ヤポネシア全体では、3種類の祖先集団が存在したことになる。
 第一波……縄文人。旧石器時代から縄文時代にかけてヤポネシアに移住してきた。アイヌ人が100%受け継いでいる。
 第二波……「海の民」? オキナワ人が80%以上、ヤマト人でも60%を受け継いでいる。もっとも割合の高い祖先集団。韓国人に30%、北方中国人(北京の漢族)に10%ほどこの集団のゲノムが伝わっている。
 第三波……南方中国人につながる。弥生時代以降にヤポネシアに水田稲作をもたらした集団?
 
●三段階渡来モデル(p165)
 第1段階……4万年前~4,400年前。ユーラシアのいろいろな地域から様々な年代に、日本列島の各地にやってきた。主要な渡来人は、現在の東ユーラシアに住んでいる人々とDNAが大きく異なる人々だった。起源は不明。採集狩猟段階にもかかわらず、1万6,000年ほど前に縄文式土器の作成が始まる。
 第2段階……4,400年前~3,000年前。縄文時代の後期と晩期。日本列島の中央部に、朝鮮半島、遼東半島、山東半島に囲まれた沿岸地域から渡来した。「海の民」だった可能性がある。漁労を中心とした採取狩猟民か、園耕民。第1段階の「縄文人」より、第3段階の農耕民と近縁。日本列島中央部の南部において、第一波渡来民の子孫と混血しながら、すこしずつ人口が増えていった。日本列島中央部の北側と日本列島の北部および南部では、ほとんど影響がなかった。
 第3段階前半……3,000年前~1,700年前。弥生時代。朝鮮半島を中心としたユーラシア大陸から、第3波の渡来民が到来、水田稲作などの技術を導入。日本列島中央部の中心軸に沿って東に居住域を拡大、急速に人口が増える。中心軸の周辺では、混血の程度が少なく、南部(南西諸島)と北部(北海道以北)および中央部の北部では、ほとんど影響がなかった。
 第3段階後半……1,700年前~現在。古墳時代以降。引き続き、朝鮮半島を中心にユーラシア大陸から移住。上海周辺からも少数ながら渡来民が来るようになった。東北地方に居住していた第一波渡来民の子孫は、古墳時代に大部分が北海道に移っていた。第二波渡来民の子孫が北上して東北地方に居住。グスク時代の前後に、主に九州南部から第二波渡来人のゲノムを受け継いだ大和人の集団が多数移住、江戸時代以降は第3波の渡来民系も加わり、現在のオキナワ人が形成された。
 国津神は第2段階、天津神は第3段階の渡来人の象徴的呼び方?
 
(2018/1/17)KG
 
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DNAの98%は謎 生命の鍵を握る「非コードDNA」とは何か
 [自然科学]

DNAの98%は謎 生命の鍵を握る「非コードDNA」とは何か (ブルーバックス)
 
小林武彦/著
出版社名:講談社(ブルーバックス B-2034)
出版年月:2017年10月
ISBNコード:978-4-06-502034-0
税込価格:994円
頁数・縦:206p・18cm
 
 
 ヒトゲノム計画では、2003年、約30億の塩基対と、2万2,000個の遺伝子を明らかにした。しかし、ヒトの持つDNAの約98%は、たんぱく質の合成に参加しない、非コードDNAだという。
 その謎と、非コードDNAの役割、遺伝子の仕組みについて、分かりやすく解説する。
 
【目次】
第1章 非コードDNAの発見、そしてゴミ箱へ
 地球上で最も重要な情報「遺伝子」の発見
 遺伝子の乗り物「染色体」とは何か
  ほか
第2章 ゴミからの復権
 ゲノムを支える非コードDNA領域
 DNAの状態を決めるクロマチン構造
  ほか
第3章 非コードDNAと進化
 サルとヒトの違いを作る非コードDNA
 進化を加速する働きと抑える働き
  ほか
第4章 非コードDNAの未来
 小さな遺伝子の謎
 偽遺伝子が支える遺伝子発現制御
  ほか
 
【著者】
小林 武彦 (コバヤシ タケヒコ)
 1963年生まれ。九州大学大学院修了(理学博士)。基礎生物学研究所、米国ロシュ分子生物学研究所、米国国立衛生研究所、国立遺伝学研究所を経て、東京大学分子細胞生物学研究所教授。日本遺伝学会会長。科研費新学術領域研究「ゲノムを支える非コードDNA領域の機能」代表。
 
【抜書】
●ヌクレオチド(p24)
 DNA上で、一つの塩基、糖、リン酸からなる単位を「ヌクレオチド」という。
 塩基には、G、A、T、Cの4種類がある。
 
●セントラルドグマ(p28)
 DNA→mRNA→タンパク質の一連の遺伝子発現経路を「セントラルドグマ(中心教義)と呼ぶ。
 
●ヘテロクロマチン(p62)
 遺伝子がない非コードDNA領域では、その多くはDNAとヌクレオソームの結合がタイトで、さらにヌクレオソーム同士がくっついている。この状態をヘテロクロマチンという。
 ヒトの染色体では、メチル化されたヒストンに特異的に結合するHP1と呼ばれるたんぱく質やRNA分子などが上から重なり、さらにガチガチに固められた状態となる。
 他のたんぱく質がDNAにアクセスすることはできない。そこに遺伝子があったとしても、転写が起こりにくく、DNAが「眠ったまま」の状態となる。
 
●X染色体(p70)
 Y染色体には、「男性化」に必要な少数の遺伝子しかない。
 X染色体には、常染色体と同様に、体を作り、生命を維持するための多くの遺伝子が載っている。
 女性では2本あるが、X染色体の発現による産物量が男性の2倍になってしまうので、片方のX染色体が丸ごとヘテロクロマチン化され、すべての遺伝子の発現が抑えられている。
 三毛猫がメスにしか現れないのは、X染色体にオレンジのO遺伝子が載っているため。対立遺伝子(アレル)のo遺伝子(小文字のオー)は、黒になる。発生の初期、細胞の少ない時期にメスの片方のX染色体がヘテロクロマチン化され、その後はそのまま分裂。O-oのメスは、O遺伝子の周辺の皮膚はオレンジになり、o遺伝子の周辺では黒になる。ちなみに、白の遺伝子は常染色体に載っている。
 オスの場合、3万匹に1匹の割合で三毛猫が出ると言われているが、XXYという3本の性染色体を持つ特殊な個体のみ。ただし、精子形成が正常に行われず、不妊となるため、その子どもから三毛猫が出ることはない。
 
●色覚(p140)
 ヒトの色覚は一般的に3色認識。網膜にある錐体細胞には、3種類の細胞が存在し、それぞれ青、赤、緑の光を吸収するオプシンという色素たんぱく質を持っている。
 オプシンを作る遺伝子は、遺伝子増幅により増えて、染色体上の位置も移動する。
 青に対する遺伝子(S遺伝子)は7番染色体上に、赤(L遺伝子)と緑(M遺伝子)に対する遺伝子はX染色体上に並んで存在する。L遺伝子とM遺伝子は90%以上同一。
 魚類、両生類、爬虫類、鳥類の多くは4つの色覚遺伝子を持つ。
 哺乳類の祖先は、夜行性でS遺伝子とL遺伝子のみに退化した。
 霊長類は、樹上生活することで昼行性に戻り、L遺伝子が遺伝子増幅を起こして2つになり、そのうちの一つが変異を起こしてM遺伝子に進化した。
 しかし、LとMは配列が似ているため、両者の間で相同組換えを起こしやすい。増幅タイプ(例えばL×1、M×2)、キメラタイプ(L、L+M)、赤緑タイプ(Lのみ)、など。色の見え方は、実は個人によってかなり多様性がある。
 L遺伝子のみになると、赤と緑の区別がつきにくい状態になる。色覚異常(色覚多様性)。
 
●リボソーム(p147)
 生物と非生物の違いは、リボソームを持っているかどうか。
 リボソーム……mRNAからたんぱく質を作る「翻訳」装置。
 リボソームは、約80種類(出芽酵母の場合)のリボソームタンパク質と、その骨組みとなる4本のリボソームRNAからなる。tRNAが運んでくるアミノ酸を重合していく触媒反応は、リボソームタンパク質が行う。
 「RNAワールド仮説」では、生物の起源として、たんぱく質ではなくRNAが最初に触媒作用を持ち、自己複製の生物の原型を作ったとする。リボソームタンパク質は、その名残かもしれない。
 ウイルスは、遺伝子(DNA、RNA)を持っているが、リボソームを持っていない。
 
(2018/1/7)KG
 
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海に沈んだ大陸の謎 最新科学が解き明かす激動の地球史
 [自然科学]

海に沈んだ大陸の謎 最新科学が解き明かす激動の地球史 (ブルーバックス)
 
佐野貴司/著
出版社名:講談社(ブルーバックス B-2021)
出版年月:2017年7月
ISBNコード:978-4-06-502021-0
税込価格:1,058円
頁数・縦:238p・18cmそのひとつ
 
 
 本書のタイトルは、海に沈んだ「謎の大陸」ではなく、「大陸の謎」。つまり、ムーやアトランティスなどの伝説の大陸がテーマなのではなく、大陸が沈む「謎」、すなわちそのメカニズムについて論じている。もっと正確に言うと、海底に沈み込んだり、新たにできたりする、その陸地と海底地形を生成するメカニズムについて、科学的に解説してくれる。
 大まかにいうと、地球表面は大陸地殻と海洋地殻に分かれており、それぞれ別の性質を持つので、大陸地殻が短期間に海洋に没することはない。一方、海洋地殻には海台という高地状の地形があるが、これもめったに海面に姿を現わすことはない。その可能性があるのは、ニュージーランド周辺のジーランディア(大陸)くらいだとか。
 
【目次】
第1章 ムー大陸は本当にあったのか?
第2章 南太平洋の失われた大陸
第3章 そもそも大陸とはなにか?―その材料と成り立ち
第4章 大陸形成の歴史
第5章 第七の大陸は実在する!
第6章 大陸沈没を超える天変地異
 
【著者】
佐野 貴司 (サノ タカシ)
 1968年、静岡県生まれ。1997年、東京大学大学院理学系研究科地質学専攻博士課程修了。博士(理学)。日本学術振興会特別研究員などを経て、国立科学博物館地学研究部鉱物科学研究グループ長。専門は火山学および岩石学で、おもな研究対象は超巨大火山。
 
【抜書】
●三層構造(p50)
 地球内部は、おおまかに三層構造となっている。
 地殻、マントル、核。
 地殻……大陸地殻の上部は花崗岩、下部ははんれい岩で、厚さ35~40km。海洋地殻の上部は玄武岩、下部ははんれい岩で、厚さ7km程度。地殻の最下部をモホ面と呼ぶ。
 マントル……かんらん岩。固さによって、上部がリソスフェア、下部をアセノスフェアと呼ぶ。
 プレートは、地殻とその下のマントルの固い部分(リソスフェア)を合わせた層。
 
●イザナギ・プレート(p75)
 1億年以上の時間をかけて、ユーラシア大陸の下に沈み込んでいった。
 その間に、多くの堆積物や上部地殻がユーラシア大陸の東端に付加体を形成した。それが日本列島の原型。
 約5,000万年前、イザナギ・プレートと太平洋プレートの間にあった中央海嶺もユーラシア・プレートの下に沈み込み、イザナギ・プレートは地表から姿を消した。代わりに、太平洋プレートがユーラシア大陸の下に沈み込み始めた。
 
●苦鉄質、珪長質(p92)
 苦鉄質……マグネシウムと鉄に富む。苦=マグネシウム。玄武岩やはんれい岩など。
 珪長質……SiO2(二酸化ケイ素)成分が多く、長石(鉱物)がたくさん含まれる。
 
●火成岩(p97)
 火山岩:  玄武岩|52%|安山岩|63%|デイサイト|70%|流紋岩
 深成岩: かんらん岩|はんれい岩|52%|閃緑岩|63%|花崗岩
 数字は、SiO2の含有量(重量%)。
 
●地質時代(p126)
 冥王代……46億~40億年前。岩石が発見されておらず、大陸地殻が作られていなかったと考えられている。
 太古代……40億~25億年前。岩石が少しは存在する。
 原生代……25億~5億4,100万年前。原生代以前を、先カンブリア時代と呼ぶ。
 顕生代……5億4,100万年前以降。カンブリア紀以降。化石が豊富に見つかる地層。
 
●安定地塊(p136)
 太古代や原生代に形成された、古い大陸地殻。陸の50%程度を占める。
 顕生代に形成された大陸は、造山帯または変動帯と呼ばれている。大陸同士の衝突や、沈み込み帯での火山噴火によって新しく作られた大地。
 
●シベリア・トラップ(p204)
 ペルム紀と三畳紀の境目、P-T境界で、地球史上最大の生物大量絶滅が起こった。約2億5,000万年前。
 2億5,100万~2億4,800万年前、300万年間に渡ってマグマが噴出し続けた。シベリア・トラップが形成された。マグマの総量は、300万~400万㎦。サントリーニ島で起きたミノア噴火の3万倍を超える量。東西方向、南北方向それぞれ1,000kmを超える範囲が、洪水玄武岩によって覆われた。
 
●デカン・トラップ(p214)
 恐竜の絶滅(白亜紀-古第三紀、K-Pg境界、6,600万年前)は、「チチュルブ・クレーターを作った巨大隕石の衝突(6,550万年前)が原因だった」という隕石衝突説が有力だった(2010年の論文)。
 その後、火山噴火説の反論が出た。
 デカン・トラップ(インド)の噴火の時期を正確に定めた。K-Pg境界の25万年前に始まり、75万年間続いた。デカン・トラップの全溶岩(マグマの総量150万㎦)の80%を噴出した第2噴火は、ちょうどK-Pg境界の時期に起こった。
 隕石落下がデカン・トラップ火山活動を活発化させ、続く50万年間にわたって地球大気が粉塵だらけの有害な状態になった。
 さらに、第2噴火によって水銀が大量に放出されたというデータが、2016年の論文で報告された。
 
(2017/12/31)KG
 
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ボクが逆さに生きる理由(わけ) 誤解だらけのこうもり
 [自然科学]

ボクが逆さに生きる理由 誤解だらけのこうもり (Natsume-sha Science)
 
中島宏章/著 福井大/監修 高田礼人/監修
出版社名:ナツメ社
出版年月:2017年11月
ISBNコード:978-4-8163-6345-0
税込価格:1,620円
頁数・縦:247p・19cm
 
 
 コウモリ写真家による、コウモリに関する蘊蓄ばなし。コウモリの飛び方の項では、ベルヌーイの定理まで飛び出す。
 
【目次】
第1章 コウモリのこと、どれくらい知っていますか?
 コウモリってどんな生きもの?
 コウモリは何のなかまか?
  ほか
第2章 進化の謎を探る 
 コウモリはどのように進化したか?
 コウモリの分類の変遷
  ほか
第3章 飛行メカニズムの謎に迫る
 飛行機がどうして飛べるのか、わかっていない?
 要は揚力
  ほか
第4章 超能力ではない、超音波だよ
 エコーロケーションを使って「音で見る」
 コウモリのエコーロケーション研究の歴史
  ほか
第5章 知りたい!長寿の秘密
 体のコンディションを自在に調節できる!
 長生きの秘訣は?
  ほか
 
【著者】
中島 宏章 (ナカジマ ヒロアキ)
 1976年札幌市生まれ。札幌の株式会社野生生物総合研究所に入社。野生動物の調査業を9年経験し、北海道の自然の現状を広く知る。2007年、31歳でフリーとなり、調査業のかたわら、憧れだった動物写真家の道を目指す。2010年、コウモリを主人公にした20枚の組写真作品「BAT TRIP」で第3回田淵行男賞を受賞。
 
福井 大 (フクイ ダイ)
 東京大学大学院農学生命科学研究科付属演習林・助教。
 
高田 礼人 (タカダ アヤト)
 北海道大学人獣共通感染症リサーチセンター国際疫学部門・教授。
 
【抜書】
●1,300種(p24)
 コウモリの種類は、世界で約1,300種。哺乳類約5,500種のうち、約四分の一。
 今から20年前は約1,000種だった。DNA分析で、違う種に分けられたものが増えた。
 
●チスイコウモリ(p44)
 ピット器官を鼻の周辺に備えている。それによって、獲物の体温の高い部分、すなわち血管を正確に見つけ出すことができる。
 ピット器官……温度の高低を感知する、IR(赤外線)センサーに似た感覚器官。チスイコウモリ以外の脊椎動物では、蛇が備えている。
 
●シナントロープ(p55)
 synanthrope……人間が暮らしている生活圏で暮らし、人間社会に依存し、人間活動に恩恵を受けて生きている生物。人間を利用して反映している生物?
 スズメ、ツバメ、など。
 アブラコウモリ(別名イエコウモリ)もシナントロープ。人工建造物を専門に住処にしている。
 
●皮膜(p70)
 哺乳類は、胎児の初期段階において手指に水かきのような膜がある。発生が進むにつれてアポトーシスが起こり、生まれてくるまでになくなる。
 しかし、コウモリは、FGF(増殖因子)の働きにより、アポトーシスが妨げられ、手膜が形成される。
 
●下半身(p82)
 コウモリは、鳥のように枝の上側に足でとまることができない。
 コウモリは、空を飛ぶため、下半身を徹底的にそぎ落とし、極限まで体を軽くした。その結果、自分の足で体重を支えることができなくなってしまった。
 コウモリの太ももは、ほとんど骨しかない。しかも、非常に細くて頼りないつくりになっている。ぶら下がるしかない。
 
●ぶら下がり先行説(p88)
 コウモリは、飛べるようになる前に、逆さまにぶら下がりながらの樹上生活をしていた。
 そのおかげで自由に使えるようになった前足をフルに使って虫を捕食し、樹上で生活していた動物がコウモリの祖先? 四足移動から解放した前足に、翼の機能を獲得した。
 ※しかし、ぶら下がっているだけでは、いくら前足が器用でも獲物を捕えるのは困難だろう。やはり、飛翔が先ではないだろうか。
 
●トーパー(p194)
 torpor……体温を下げて非活動状態になること。休眠。
 コウモリは、いつでもトーパーに入ることができる。眠りから覚めるときも自分でコントロールできる。
 毎日、寝ているときはトーパー状態。活動中の夜間も、休憩しているときはトーパー状態となっている。たいてい、周りの気温より1~2度高い体温を保っている。
 トビイロホオヒゲコウモリ……気温2度の中でトーパー状態になると、酸素消費量は活動しているときの百分の一。この状態なら、1日に2.9mgの脂肪しか消費しないので、体内に2gの脂肪を蓄えていれば、理論上は690日(約2年)も飲まず食わずでいられる。
 ただし、実際には冬眠中にも何度か目覚め、活動するので、2gは、冬眠明けくらいまでの半年前後の蓄え分となる。
 食虫性のコウモリは、虫の少なくなる秋になると、より寒い場所で眠るようになる。気温の低い場所でトーパーを行い、エネルギー消費をさらに抑え、脂肪を蓄積する。
 アブラコウモリは、瓦の下や家屋の中で冬眠。コテングコウモリは、雪の中で冬眠する。
 
●出産(p212)
 コウモリは、1年に1頭の子どもしか生まない。長寿で生存率が高いため。
 
(2017/12/30)KG
 
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人類の祖先はヨーロッパで進化した
 [自然科学]

人類の祖先はヨーロッパで進化した
 
デイヴィッド・R・ビガン/著 馬場悠男/監訳・日本語版解説 野中香方子/訳
出版社名:河出書房新社
出版年月:2017年8月
ISBNコード:978-4-309-25370-1
税込価格:2,700円
頁数・縦:321p・20cm
 
 
 タイトルで「人類の祖先」と謳っているが、ヒトと大型類人猿が分岐する前の類人猿が主人公である。中新世前期(2,400~1,600万年前)、アフリカで誕生した類人猿は、ヨーロッパに渡って進化し、再び中新世後期(1,100~500万年前)にアフリカへ戻り、アフリカ類人猿、ヒトへと進化を続けた。
 ヒトがチンパンジーやゴリラと分かれる前の類人猿の進化について詳説する。
 
【目次】
序章
第1章 初期の類人猿
第2章 出アフリカ―アフロピテクスとその仲間
第3章 世界に出る―ヨーロッパに広がった類人猿
第4章 故郷へ再び―新しいアフリカ=ヨーロッパ系類人猿
第5章 東と西の大分裂
第6章 イースト・サイド・ストーリー―ヒトの従姉妹であるシヴァピテクスとオランウータン
第7章 ウエスト・サイド・ストーリー―ヨーロッパのアフリカ類人猿
第8章 ドリオピテクスの末裔
第9章 再びアフリカへ
 
【著者】
ビガン,デイヴィッド・R. (Begun, David R.)
 トロント大学の人類学の教授。トロント在住。
 
馬場 悠男 (ババ ヒサオ)
 国立科学博物館名誉研究員。ヒトと動物における機能形態の比較に基づき、人類の進化や日本人の集団形成史を研究する。
 
野中 香方子 (ノナカ キョウコ)
 翻訳家。お茶の水女子大学卒業。
 
【抜書】
●人類進化史(p30、日本語版解説)
 (1)初期猿人……アルディピテクス・ラミダス(ラミダス猿人)。約440万年前。森林・疎林で生活。脳容量300~350ml、チンパンジー程度。
 (2)猿人……アウストラロピテクスなど。400万年前以降。疎林と草原を行き来して生活。足のアーチ構造をほぼ完成、直立二足歩行を飛躍的に高めた。
 (3)原人……ホモ・ハビリスを経て、ホモ・エレクトス(原人)へと進化。約220万年前。草原環境に適応。脳容量が増加(500~900ml)。
 (4)旧人……ホモ・ハイデルベルゲンシスなど。約60万年前。ユーラシアに拡散。脳容量がさらに増加(1,100~1,500ml)。洗練された石器を使用。
 (5)新人……ホモ・サピエンスがアフリカで誕生。約20万年前。
 
●エケンボ(p87)
 中新世前期、1,950~1,700万年前。ケニアのヴィクトリア湖の湖岸のルシンガ、ムファンガノ島などの遺跡で発見されている。プロコンスルの近縁。
《類人猿的特徴》
 ・尾骨があり、尾椎がない。
 ・脳が大きい。体重比でテナガザルと同程度。
《サル的特徴》
 ・肘頭突起が長い。肘頭突起が肘の後ろに突き出ていて穴にはまらないので、肘を完全に伸ばすことはできない。
 ・脊柱腰部が長く(七つの腰椎がある)、地面と平行になる(つまり四足歩行)。ヒトの腰椎は五つ。
  
●尾の喪失(p97)
 エケンボには尾がなかった。
 霊長類は、尾が短いほど、握力が強くなる。
 樹上を敏捷に移動する動物にとって、尾は、重心の移動や、体勢の調整を司る上で大きな働きをする。尾がないと、手と足だけで樹上での動きを管理しなければならない。そのために、四肢、特に手の精密な動きをコントロールする脳の部位の発達が促されたのかもしれない。 
 手の精密な動きの協調をコントロールする脳の運動領域は、脳の主要な言語領域のすぐ隣にある。
 尾の喪失が、手をコントロールする能力の発達をもたらし(もしくは逆)、ひいてはそのための脳の領域を発達させた。
 手の運動を司る皮質領域の拡大や再組織化は、隣接する、顔、喉、舌の筋肉などをコントロールする部位を活性化させた。
 〔1,800万年前にエケンボが尾を喪失したことは、間接的に、数百万年後に顔の表情によるコミュニケーション能力を高め、やがては言葉を話すような進化をもたらしたのかもしれない。〕
 
●アフロピテクス(p112)
 1,750~1,700万年前、ケニア北部に出現。
 アフリカの外で最初に進化した類人猿の祖先と推定される。
 
●ヘリオピテクス(p122)
 1978年、サウジアラビアのアド・ダブティアで発見された。アフリカの外で発見された最古の類人猿。1,700万年前。
 
●グリフォピテクス(p129)
 最初期の類人猿は、生息域をアフリカ東部とサウジアラビアから北西に広げ、ヨーロッパに到達した。
 グリフォピテクスは、中新世前期の末から中新世中期(1,700~1,150万年前)にかけてヨーロッパに出現。ヒトと大型類人猿を含むヒト科の最初期のメンバー。
 
●ラマピテクス(p158)
 シヴァピテクス(1,250~700万年前、南アジア)とラマピテクスは、別々の種と考えれていた。ラマピテクスのほうが犬歯が小さかったから。しかし、ラマピテクスはシヴァピテクスのメスであったことが判明。類人猿のメスの犬歯はオスのものより小さい。
 
●ドリオピテクス(p214)
 ヨーロッパ最古の大型類人猿。1,250~1,200万年前、フランスの亜熱帯林に棲んでいた。
 1856年、フランスの著名な古生物学者であるエドゥアール・ラルテが記載。『種の起源』出版の3年前。
 木登りの名手で、現代の類人猿のように枝にぶら下がって移動することができた。オランウータンの系統とアフリカ類人猿の系統が分岐した直後に存在した類人猿。
〔 現在、ドリオピテクスのような動物はいない。思うにそれは、ゴリラのような顔をした動物で、オランウータンのように樹上でうまく暮らし、チンバンジーと同じようなものを食べていたのだろう。〕
 
●脳と骨盤(p246)
 人類の系統において、脳が急速に大きくなった時期と、二足歩行に向く骨盤が進化した時期は一致する。およそ200万年前。ホモ・エレクトス。
 母子関係が根本的に変わった。人類は、発育が未熟な赤ん坊を生むようになった。チンパンジーの誕生時の脳は、大人の半分。人間は四分の一。
 無力な赤ん坊を生めば、その子を育て、食べさせるために人々は協力するようになり、それが社会の絆と互への依存をもたらした。
 一方、未熟な赤ん坊は、遅れを取り戻すために、誕生後も母体内と同じペースで脳を成長させ続ける。しかも、両親やコミュニティの他のメンバーを知ったり、外の世界から刺激を受けながら成長。社会的な相互作用と外界からの刺激が、脳の発育に直接影響し、脳内ネットワークを形作り、複雑な認知機能を可能にする。
 〔すなわち、児頭骨盤不均衡という聞こえの悪い現象は、実のところ、現生人類の体と行動の進化にとって不可欠の要素がもたらした副次的結果だったのだ。〕
 
(2017/12/27)KG
 
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12歳の少年が書いた量子力学の教科書
 [自然科学]

12歳の少年が書いた 量子力学の教科書  
近藤龍一/著
出版社名:ベレ出版
出版年月:2017年7月
ISBNコード:978-4-86064-513-7
税込価格:1,728円
頁数・縦:319p・21cm
 
 
 恐るべき少年がいたものだ。幼年時代から大量に本を読み漁り、9歳で量子力学を志す。そして、中学受験の2日後(つまり12歳の時)に本書の執筆を開始した……。
 まったく、子どもの脳は恐ろしい。平凡な大人には想像もつかない能力を発揮する。たとえば、石井勲という人は、小学校の教員だったのだが、授業で1年生に700語の漢字を覚えさせることに成功したとか。教育漢字1,006字の7割に当たる。ことほど左様に子どもの能力(脳力?)は底知れないものがあり、本書の著者もその秀逸な見本である。本人が意欲をもち、楽しみながら取り組むことで、子どもは大人顔負けの力を発揮するのである。平凡な大人である私には、量子力学の「中間書」である本書の内容は全く理解できなかった……。
 中間書。そう、著者は本書のことをそう表現する。「入門書で大筋をつかんだ上で、専門書に移行するための足掛かり」となるのが“中間書”とのことである(p.3)。
 理論物理学の本は、入門書と専門書との差が激しい、それを埋めるための「中間書」が必要であるとの認識が執筆の動機である。この発想こそが、12歳の少年として恐ろしいと思うのだ。「専門書より中間書の方が『創意を要する』にも関わらず『ほとんど評価されない』」ので、専門家は書かない。だから自分が書く、という決意は並大抵のことではない。しかも、楽しみながら書かれた様子がうかがわれ、そこに「創意」の発露が見える。
 
【目次】
第0章 量子力学とは何か―最も基本的な事柄
第1章 万物の根源―量子力学の誕生
第2章 前期量子論―古典力学の破綻
第3章 数学的定式化―量子論から量子力学へ
第4章 内在的矛盾と解釈問題―量子力学は正しいか?
第5章 量子力学の先へ―範囲拡大
第6章 近未来的応用への道―量子力学の利用
 
【著者】
近藤 龍一 (コンドウ リュウイチ)
 2001年生まれ。12歳のとき、『12歳の少年が書いた量子力学の教科書』の執筆を開始し、完成させる。その後は場の量子論の研究を始める。現在、都内の中高一貫校に通う高校1年生。
 
(2017/11/22)KG
 
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生物はウイルスが進化させた 巨大ウイルスが語る新たな生命像
 [自然科学]

生物はウイルスが進化させた 巨大ウイルスが語る新たな生命像 (ブルーバックス) [ 武村 政春 ]
 
武村政春/著
出版社名:講談社(ブルーバックス B-2010)
出版年月:2017年4月
ISBNコード:978-4-06-502010-4
税込価格:1,058円
頁数・縦:254p・18cm
 
  
 光学顕微鏡によって「見る」ことのできる、ミミウイルスなどの巨大ウイルスが発見されて20年。
 その巨大ウイルスの特徴や、真核生物との関りなどを分かりやすく解説する。
 
【目次】
第1章 巨大ウイルスのファミリーヒストリー―彼らはどこから来たのか
 見えていなかったもの
 ミミウイルス
 壷型巨大ウイルスの衝撃
 「出身地」明記された巨大ウイルス
 巨大さと、その謎
第2章 巨大ウイルスが作る「根城」―彼らは細胞の中で何をしているのか
 ウイルスは何をしている?
 ウイルス工場の多彩な姿
 ミミウイルスが作り出す「宝石」
第3章 不完全なウイルスたち―生物から遠ざかるのか、近づくのか
 「区画」とリボソーム
 リボソームRNAと翻訳システム
 「不完全」なウイルスたち
 「共通祖先」を追え!
 リボソームは水平移動の夢を見るか
第4章 ゆらぐ生命観―ウイルスが私たちを生み出し、進化させてきた!?
 細胞核はウイルスが作った!?
 「区画化」する意味
 ウイルスとは何か
 ウイルスの本体とは!?そして生命とは?
 
【著者】
武村 政春 (タケムラ マサハル)
 1969年、三重県津市生まれ。1998年、名古屋大学大学院医学研究科修了。医学博士。名古屋大学助手等を経て、東京理科大学理学部第一部教授。専門は、巨大ウイルス学、生物教育学、分子生物学、細胞進化学。
 
【抜書】
●CEOs(p218)
 CEOs……カプシドをエンコードする生物。カプシドを使って、宿主に感染し、たんぱく質を作らせる。パトリック・フォルテールによる、ウイルスの新たな定義。
 REOs……リボソームをエンコードする生物。従来の生物。リボソームを使ってたんぱく質を作る。
 
●ヴァイロセル(p221)
 ヴァイロセル(virocell)……ウイルス粒子に感染した細胞。パトリック・フォルテールが提唱した概念。
 ライボセル(ribocell)……ウイルス粒子に感染していない「普通の」細胞。リボソームをフル活用して自分自身のたんぱく質を作り出している。
 
(2017/9/16)KG
 
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心を操る寄生生物 感情から文化・社会まで
 [自然科学]

心を操る寄生生物 :  感情から文化・社会まで
キャスリン・マコーリフ/著 西田美緒子/訳
出版社名:インターシフト
出版年月:2017年4月
ISBNコード:978-4-7726-9555-8
税込価格:2,484円
頁数・縦:323p・20cm


 近年、研究が進む寄生生物。単に宿主から栄養を窃取するだけではなく、宿主の脳神経に影響を及ぼして行動を操る姿を紹介する。
 人間の文化の発展も、寄生生物と無縁ではなかった?

【目次】
第1章 寄生生物が注目されるまで
第2章 宿主の習慣や外見を変える
第3章 ゾンビ化して協力させる
第4章 ネコとの危険な情事
第5章 人の心や認知能力を操る
第6章 腸内細菌と脳のつながり
第7章 空腹感と体重をコントロールする
第8章 治癒をもたらす本能
第9章 嫌悪と進化
第10章 偏見と行動免疫システム
第11章 道徳や宗教・政治への影響
第12章 文化・社会の違いを生み出す

【著者】
マコーリフ,キャスリン (McAuliffe, Kathleen)
 サイエンスライター。『ディスカバー』誌の寄稿編集者。多くのメディアに科学記事を執筆し、数々の賞を受賞。年間の最も優れた科学記事を掲載するアンソロジー『ベスト・アメリカン・サイエンス・ライティング』にも選ばれている。

西田 美緒子 (ニシダ ミオコ)
 翻訳家。

【抜書】
●神経寄生生物学(p11)
 神経寄生生物学(neuroparasitology)。寄生生物が宿主に与える影響を研究する。神経科学者、寄生生物学者が中心だが、心理学、免疫学、人類学、宗教研究、政治学といった多彩な分野からの研修参入が増えている。

●ハリガネムシ(p40)
 ハリガネムシは、主にコオロギに(そして、バッタやカミキリムシにも) 寄生。コオロギの体内で成虫になる。内臓を食い尽くしたところで、 コオロギの視覚を操作し、光を好むように仕向け、夜中、水に飛び込ませる。
 ハリガネムシはコオロギの体から抜け出し、水中で交尾。メスが卵を産み、孵化して幼虫になる。幼虫は、蚊の幼虫に遭遇し、微小なシスト(嚢子)となってその体内に隠れる。
 蚊が成虫になって陸上に上がり、コオロギに食べられる。すると、休眠中だったシストがコオロギの体内で活動を開始し、最終的には伸ばせばコオロギの3~4倍(7~8cm)の長さを持った成虫に成長する。

●トキソカラ(p123)
 イヌ回虫、ネコ回虫の二つの種がある。体長15cmほどになる。ネコ回虫は、まだあまり解明されていない。
 イヌ回虫の幼虫は、動きが速く、体内のさまざまな器官に侵入する。メスが妊娠すると、胎盤を横切ったり母乳に潜り込んだりして子どもに感染する。腸に進んだ回虫はそこで成虫に育ち、卵を産み、糞となって体外に放出される。
 ヒトに感染したトキソカラは、幼虫のままで、成虫になることはない。しかし、腸から肝臓、肺、目、脳などに侵入する。感染しても、失明や発作などの神経症状が起きることは稀である。
 しかし、最近の研究で、トキソカラは、認知障害を引き起こす可能性が指摘されている。学業成績、多動性、散漫性、など。

●プロバイオティクス(p139)
 ヨーグルトなどに含まれている有用菌。

●動物たちの害虫駆除(p168)
 ネズミの仲間……目が覚めている時間の三分の一を毛づくろいに費やす。毛づくろいを禁じられたマウスには、60倍ものシラミがたかる。
 アオサギ……足元を飛び回る蚊を、1時間に3,000回もつついている。80%、蚊の被害を減らすことができる。
 アジアゾウ……木の枝を折り、余分な葉を取り除いて鞭の形にし、ハエたたきとして使う。
 ガゼル、インパラ……自分の歯を櫛のように使って毛からダニをこすり落とす。1日に2,000回。ダニの数は二十分の一に減る。
 「プログラムされた毛づくろい」。ガゼルとインパラは、1時間に何回か、体にダニがいなくても毛づくろいをする。ダニは、動物が触ろうと思っても触れない頭や尻に移動するために、同じ場所を通るので、規則正しくダニの通り道をこすってきれいにする。
 害虫を駆除しないと……。アブは、馬の血を1日に約500ccも吸い取ることができる。ガゼルやインパラは、血をいっぱい吸って膨らんだダニがたった5、6匹とりついただけで逃げ足が鈍り、捕食者の餌食になる。ウシバエは、ウシの1年あたりの体重増加を20~70kgも減らす可能性がある。

●予防接種、2%のリスク(p175)
 1匹のアリが命にかかわる菌類に感染すると、コロニーの仲間が駆けつけてその体を舐め、ごく少量の病原体を取り込む。自然の予防接種。菌のため、それらのアリの2%は死んでしまうが、他は、免疫力を高めることができる。
 アフリカ北部の人々は、天然痘にかかった人のかさぶたをとって、健康な人の皮膚につけた小さな傷に刷り込む。それが原因で2%は命を失ったが、天然痘による死亡率を25%引き下げた。

●睡眠(p186)
 新しい理論によると、睡眠は、普段目を覚まして活動を維持するために使っている資源を、免疫系に切り替えるために進化したとされる。
 免疫細胞は猛烈な速度で栄養分を費やす。顆粒球は細胞を2、3日ごとに入れ替える。
 哺乳動物26の種で睡眠習慣を調査。1日の睡眠時間は、ヒツジ3.8時間~ハリネズミ17.6時間。睡眠時間が長い種ほど免疫機能も高く、血液中を循環している免疫細胞の数が多い。寄生生物の感染も少なかった。

●行動免疫システム(p224)
 自分が感染の危険にさらされていることに気づくと、自然に心に沸き上がり、なるべく病原体に触れないような方法で行動に駆り立てる思考と感情。感染から身を守るための嫌悪に基づいた幅広い反応も含まれる。また、人間だけでなく、動物の行動も含まれる。

●権威主義(p246)
 嫌悪は、見知らぬものと接触して寄生生物に感染することに対する恐怖の反応。
 すぐに嫌悪を感じてしまう性質を持つ人は、保守的な政治的見解を抱きやすく、犯罪に対して厳格で、権威主義的傾向を持っている。

●前島(p251)
 本能的な嫌悪(あふれたトイレを見た時、ゴキブリを食べることを想像した時、など)で現れる嘔吐反応は、脳の古い部分である前島が関連している。
 前島は、道徳的な嫌悪感(他者の残酷な扱いや不当な扱いを見て激怒する、など)によっても発火する。
 ただし、脳内で完全に重なり合っているわけではないが、かなりの程度まで同じ回路を使う。特に、最も重なり合っているのは偏桃体。
 そのため、本能的な嫌悪が道徳的な判断をゆがめてしまうことがある。
 一方で、寄生生物にさらされる危険を回避するために進化した神経回路が、健康を危険にさらす行動をとる人物を避けるようになった。

●道徳(p254)
 本能的な嫌悪と共通の神経回路を使うことによって、ヒトは、道徳的に反した行動をとる者を嫌悪するようになった。
 この発達のおかげで、ヒトは驚くほど社会的で協力的な種になり、一致団結して問題を解決し、新たな発明をし、前代未聞の効率で天然資源を利用し、やがて文明の基礎を築くことができた。

●農耕と宗教(p258)
 農耕が成功を収めるにつれて健康問題は悪化した。
 穀物貯蔵庫は病気を広める昆虫と害獣を引き寄せた。集落には人間の排泄物が大量にたまり、飲料水が糞便によって汚染された。家畜化した動物が新しい病原体をもたらした。
 初期の農民たちは、次々と病気の犠牲になっていったと考えられる。
 ヒトが危機的な岐路に立った時、宗教を信じる存在へと変化した。原初の宗教(例えばユダヤ教)には、生活の規範となる律法に健康を保つための生活習慣が多く含まれる。

●ヒトゲノム(p262)
 ヒトゲノムの適応変異は、農耕開始以降、それまでの100倍近い速さで累積してきている。特に免疫系と脳の機能を調整している部分。
 農耕開始期、人口の大部分が疫病と害虫によって死滅したことが原因と考えられる。
 〔自然選択は神を信じた者、あるいは少なくとも健康を守るために役立つ宗教の教義に従う誠実な者に強く味方してきたはずだ。最も重要な点は、自然選択が罰を重んじる人の生き残りを助けてきたことで、社会の規則を破る者を誰であれ頑固に罰する傾向をもつ人たちが生き延びる傾向があった。そして農業が工業に道を譲って農場から工場への人々の大移動が起き、無秩序に広がる雑多なスラムにこれまでになく大勢の人々が集まって、その圧力は強まる一方だった。〕

(2017/8/22)KG

〈この本の詳細〉
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