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アイヌ100人のいま
 [芸術]

宇井眞紀子/著
出版社名:冬青社
出版年月:2017年5月
ISBNコード:978-4-88773-180-6
税込価格:4,000円
頁数・縦:119p・21×24cm
 
 今を生きるアイヌ100人(組)のポートレートを撮影した写真集。被写体は、撮られた人が次の人を紹介するというリレー方式で選ばれ、その人の好きな衣装で、好きな場所で撮影することをコンセプトとする。
 各人の「今一番言いたい事」が巻末に添えられている。それらを読むと、差別に耐えながら明るく楽しく生きようとするアイヌの人たちの強さと、民族の誇りが伝わってくる。素敵な人たち!
 なぜか英訳付き。
 
【著者】
宇井 眞紀子 (ウイ マキコ)
 1960年千葉県生まれ。1983年武蔵野美術大学卒業。1984年~写真家・樋口健二氏に師事。1985年日本写真芸術専門学校卒業。卒業と同時に雑誌を中心にフリーランスで活動を開始。1992年子連れでアイヌ民族の取材をはじめる。1999年東京の廃線跡の取材をはじめる。2004年第4回さがみはら写真新人奨励賞受賞。2012年第28回東川賞特別作家賞受賞。公益社団法日本写真家協会会員。日本ビジュアル・ジャーナリスト協会会員。日本写真芸術専門学校講師。
 
(2017/6/20)KG
 
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ヴァイオリンに生きる
 [芸術]

ヴァイオリンに生きる

石井高/著
出版社名 : 冨山房インターナショナル
出版年月 : 2015年9月
ISBNコード : 978-4-905194-96-5
税込価格 : 1,944円
頁数・縦 : 285p・19cm


 癌に侵されたヴァイオリン職人が、死を覚悟して数年間、書き溜めたエッセー本。自由奔放な筆致で、あっけらかんとした生き方がにじみ出ている。
 2015年9月17日、自宅にて永眠。享年72。合掌。

【目次】
1 すべてヴァイオリンの話
 天才ストラディヴァリという難問
 伝統を受け継ぐ難しさ
 国立ヴァイオリン製作学校
  ほか
2 クレモナ暮らし
 教会近くの居酒屋
 クレモナという町
 天正少年使節への思い
3 千住からクレモナまで
 修業時代
 父のこと母のこと
 親友という宝もの
  ほか

【著者】
石井 高 (イシイ タカシ)
 昭和18(1943)年兵庫県生まれ、東京下町育ち。本籍東京都港区芝。1970年からイタリアに永住。東京理科大応用化学科中退。東大工学部に国家公務員技官として奉職。ヴァイオリン製作家の内弟子を経て渡伊。イタリア国立ヴァイオリン製作学校卒業。1975年マエストロの称号を受ける。1980年クレモナ市民賞(ストラディヴァリ賞)受賞。ヴァイオリンはじめ弦楽器製作、講演会、個展など幅広く活動。ストラディヴァリやグァルネリなど名器の鑑定や修理。イタリア・ヴァイオリン芸術協会会員。

【抜書】
●作文職人(p236)
 『面白半分』の作家たちを評して。
 〔彼らの活動のお陰でぼくたちは、作家たちが普通の人でただ文章技術に長けているだけで、なかには一般社会に適合できない性格を持っている作家もいると知ったことでわれわれは安心した。作家は文章の構成、また作文の上手い職人である。それを先生と呼んでいるにすぎない。〕
 『面白半分』は、吉行淳之介らが「面白くてタメにならない雑誌」として刊行。編集長は、吉行の後、野坂昭如、開高健、五木寛之、藤本義一、金子光晴、井上ひさし、遠藤周作、田辺聖子、筒井康隆、半村良、田村隆一が交代で務めた。

(2016/12/12)

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現代美術キュレーターという仕事
 [芸術]

現代美術キュレーターという仕事

難波祐子/著
出版社名 :青弓社
出版年月 :2012年1月
ISBNコード :978-4-7872-7316-1
税込価格 :2,160円
頁数・縦 :190p・19cm


 美術館のキュレーターは、学芸員とどう違うのか? この初歩的な疑問から説き起こし、キュレーターの仕事とその実践例としての現代美術展覧会を歴史的にたどる。
 現代美術を扱う美術館の先駆け的存在は、神奈川県立近代美術館、通称鎌倉近代美術館(鎌近)である。1951年11月、開館に際して 「セザンヌ・ルノワール」展を開催した。学芸員主導、企画展主導の美術館として、画期的な存在となった。さらに、MoMAをモデルにした国立近代美術館(1952年開館)が続く。
 キュレーターが現代に通じる注目すべき活動をおこなってきたのは、草月アートセンター(1958-71年、ディレクター:勅使河原宏。p74)、「ミュージアム・シティ・天神」(1990年~、福岡市。のちにミュージアム・シティ・プロジェクトに改称。p107)、「取手アートプロジェクト(TAP)」(1999年~。取手市と東京芸大先端芸術表現科のコラボ)、などである。既存の美術館の枠から飛び出し、現代美術を世に知らしめる契機となった。
 2000年代に入ると、現代美術を扱う美術館は増え、「開かれた美術館」が一つのトレンドなる。「アート・アンド・ライフ」を掲げる私立の森美術館、ソフト、ハード面とも優れた金沢21世紀美術館などである。
 このように、美術館が独自の企画を展開していく上で、キュレーターの仕事が注目され、今後、その役割は増していくであろう。

【目次】
第1章 日本における「学芸員」の守備範囲
第2章 日本キュレーター前史―「学芸員」のはじまり/黎明期:一九五〇年代
第3章 「学芸員」から「キュレーター」へ―転換期:一九六〇‐八〇年代
第4章 「キュレーターの時代」―発展期:一九九〇年代
第5章 これからのキュレーター像
東京ビエンナーレとその時代―中原佑介インタビュー

【著者】
難波 祐子 (ナンバ サチコ)
 キュレーター。多摩美術大学非常勤講師。ロンドン大学東洋アフリカ学院(SOAS)学士号(社会人類学)、ロイヤル・カレッジ・オブ・アート(ロンドン)修士号(現代美術キュレーション)。2006-11年、東京都現代美術館学芸員を経て、展覧会やワークショップの企画運営をおこなう株式会社I plus Nを設立。専門は現代美術・文化研究、アートによる子育て支援事業、地域活性化事業。

【抜書】
●学芸員(p11)
 博物館とは、「歴史、芸術、民俗、産業、自然科学等に関する資料を収集し、保管(育成を含む。以下同じ。)し、展示して教育的配慮の下に一般公衆の利用に供し、その教養、調査研究、レクリエーション等に資するために必要な事業をおこない、あわせてこれらの資料に関する調査研究をすることを目的とする機関」(博物館法第二条第一項)。
 学芸員は、博物館法第四条第四項「博物館資料の収集、保管、展示及び調査研究その他これと関連する事業についての専門的事項をつかさどる」(p17)。
 ・展覧会の企画や資料調査研究
 ・所蔵作品の管理や保存
 ・カタログの作成
 ・助成金の申請
 ・ワークショップやレクチャーなどの普及事業の企画運営
 自嘲気味に「学芸員」のことを「雑芸員」と呼んでいる。

●キュレーター(p14)
〔「キュレーター」の定義は一つに定めるものではないが、本書では便宜上、「キュレーター」とは展示企画をおこなう人、そして展覧会を通してなんらかの新しい提案、ものの見方、価値観を創り出していく人として定義したい。〕
 欧米の美術館では、チーフ・キュレーターの下に、シニア・キュレーター、キュレーター、アシスタント・キュレーターなどが置かれている。
 キュレートリアル……「キュレーター的な」「企画上の」といった意味。

●美術館の分業(p18)
 レジストラー……作品の貸し出しや出し入れなどの管理を担当。
 コンサバター……作品保存修復を担当。専門のコースで学ぶ。
 エデュケーター……教育普及を担当。美術館教育、教育学を専攻。
 出版……広報・カタログを担当する部門。
 ディベロップメント……資金調達を専門とする部門。

(2015/12/10)KG

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名人
 [芸術]


名人
梅佳代/写真・文
出版社名 : 静山社
出版年月 : 2014年7月
ISBNコード : 978-4-86389-278-1
税込価格 : 2,916円
頁数・縦 : 219p・24cm


 JALグループ機内誌『スカイワード』に2011年から2013年にかけて連載された「梅佳代名人入門」の書籍化。JALの機内誌らしく、全国各地に取材に訪れ、名人に弟子入りする……、という企画なのだが、名人たちの仕事振りや入門修行の様子はそっちのけで、ゆる~い探訪記、写真エッセイとなっている。ただし、一つひとつの写真にキャプションがないので、被写体が誰なのか、どんな場面を写したのか、不明なものが多い。

【目次】
飴細工師・水木貴広―『飴細工の名人に体験入門』の巻
若狭塗伝統工芸士・加福清太郎―『若狭塗箸の研ぎ出しを体験』の巻
九谷焼窯元・上出惠悟―『九谷焼を新たな視点で提案している名人に入門』の巻
フラメンコ舞踊家・小島章司―『気軽にフラメンコ入門してしまった!』の巻
湯もみ名人・湯本いつ子―『草津で湯もみを勉強した』の巻
姫だるま名人・後藤明子―『姫だるま作りを少し体験した』の巻
注染技法名人・小松隆雄―『手ぬぐいを染める』の巻
パインアップル作り名人・岡崎竜雄―『知らなかったよ、ピーチパイン』の巻
コウノトリ飼育の名人・佐藤稔―『やっぱりコウノトリがいっぱいいるよ』の巻
フープダンスの名人・上田浩之―『go! go!フープ』の巻
海女漁の名人・松尾美智代/北川千里―『海女さんになる~』の巻
アイスクリン名人・近沢秀歳―『あこがれのアイス屋さん』の巻
ガーデニング名人・紫竹昭葉―『北海道のガーデニングにうっとり』の巻
男子新体操名人・青森大学男子新体操部―『胸が苦しい~、男子新体操』の巻
ケーキ作り名人・山田勇―『イギリスのクリスマスケーキ、プラムプディングをつくる』の巻
カクテル作り名人・川崎英生―『神戸でカクテルをつくる』の巻
人力車&妖怪ガイド名人・景山靖雄―『人力車を引いて妖怪ガイドをする』の巻
ワカサギ釣り名人・吉本憲幸―『寒かったよ。ワカサギ釣り』の巻

【著者】
梅 佳代 (ウメ カヨ)
 1981年石川県生まれ。2007年、写真集『うめめ』で第32回木村伊兵衛写真賞受賞。

 
(2014/9/29)KG

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なぜ猫は鏡を見ないか? 音楽と心の進化誌
 [芸術]

なぜ猫は鏡を見ないか?―音楽と心の進化誌 (NHKブックス No.1201)

伊東乾/著
出版社名 : NHK出版(NHKブックス 1201)
出版年月 : 2013年1月
ISBNコード : 978-4-14-091201-0
税込価格 : 1,260円
頁数・縦 : 314p・19cm


【目次】
なぜ猫は鏡を見ないか?―音の鏡と再帰的自己意識
なぜ聴覚が生まれたのか?―自己定位器と聴覚の起源
なぜ魚群は一斉に翻るのか?―体の外部に開かれた感覚
なぜ音は調和して聴こえるか?―物理的音波と認知的音像
なぜ楽器で言葉を話せるのか?―二足歩行と柔軟な調声器
なぜ猫の仔とトラの区別がつくのか?―両耳で聴く差異と反復
なぜ歌は言葉よりも記憶に残るのか?―シェーンベルク=ブーレーズ・パズルの解決
なぜ異なる歌を同時に歌い始めたのか?―長短と強弱の音声リズム
なぜ理屈をこねても人の心は動かないか?―悟性が情動に遅れる理由
なぜ落語家は左右に話す向きを変えるのか?―潜水艦から空港騒音対策へ
なぜ猫はすばやくネズミを捕らえられるのか?―可聴域と超越的統覚
猫と犬の行方

【著者】
伊東 乾 (イトウ ケン)
 1965年東京都生まれ。松村禎三、橘常定、松平頼則、高橋悠治各氏らに学ぶ。東京大学理学部物理学科卒、同大学院修了。作曲家=指揮者。東京大学作曲指揮研究室准教授等も務める。

【抜書】
●ブラームス(p26)
 ヨハネス・ブラームス、19世紀のピアニスト・作曲家。音楽学建設の父。ブレスラウ大学から名誉博士号を授与される。返礼として、「大学祝典序曲」を書く。
 ブラームスによるJ・Sバッハを中心とする膨大なドイツ・プロテスタント音楽の再発見と校訂校閲、演奏譜出版が、音楽学の一大契機となった。
 ドイツ三大B。バッハ、ベートーベン、ブラームス。

●自己意識(p39)
 覚醒=アウェイキング……ミドリムシやアメーバの意識。
 自己意識=セフルコンシャスネス……人間の赤ん坊を含む動物が持つ「自己意識」。
 再帰的な自己意識=リカーシヴ・セフルコンシャスネス……鏡を見て自分を把握できる能力。ヒトと一部の高等動物(オランウータン、ボノボなど)にのみ備わる。ヒトは、「鏡像段階」を経て再帰的な自己意識を獲得する。

●自己定位器(p44)
 耳の原点……自分自身の存在の観測、つまり「自己定位器」だった。
 耳石器……クラゲの仲間(腔腸動物)がもつ原初的な「耳」。「漬物石」が右、左に傾くことで角度を感知するセンサー。クラゲは中枢(集中神経系)をもたない。「散在神経系」。
 側線……魚に備わる感覚器。周囲の水流の変化、水の振動を感知。自分を取り囲む周囲の環境を的確に認識する必要に迫られ、ジャイロスコープを体の側面に配置した。
 人間の耳(内耳)……聴覚、平衡感覚、前庭感覚を司る、複合的な知覚末梢器。聴覚=蝸牛、平衡感覚=三半規管(3次元空間での傾きを感知)、前庭=体の回転。

●聴覚的グルーピング(p95)
 同一の音源から出てくる響きを、脳は自動的に「群化」してしまう。〔もっとも親和性の高い響き、人の脳が知覚的に一まとまりにし易いのが、同じ物体から発せられる「低次倍音のグループ」だ。これらを知覚的に束ね「ひとつのもの」「同じもの」と認識しておく方が、生活環境に存在する多様な音源を弁別し、適切な行動をとる上で進化的に有利であったと考えられる。〕
 互いに周波数が2倍の関係にある「オクターブ(完全8度)」は同じ「音名」を持つ協和音程と認識される。3倍の関係は、オクターブにつぐ親和性をもつ協和音程(完全5度)となる。

●フォルマント(p112)
 フォルマント……「時間的に推移する、音声スペクトルの複数のピーク」
 音声から音色を取り去った識別素。「アイ」と発音した場合、「私」が発音しても「友人」が発音しても意味が通じるのは、音声の「フォルマント」が共通だから。

●スズメ(p143)
 群れで生活しているスズメの1羽が、天敵を発見したとき、「純音」を発して仲間に危険を知らせる。
 フルートのホイッスルのような、正弦音に近い「ピー」という警戒音。

●三味線(p146)
 高橋悠治「三味線はもっとも非合理に作られた楽器の一つ」。「演奏しにくい楽器」として独自の音楽を発展させた。
 西欧楽器と異なり、合理的に演奏機能を高めてこなかった。江戸幕府の歌舞音曲への圧力が原因?

●両耳マスキング(p225)
 両耳マスキング……人間は、音声言語を「両耳で聞いてしまうと」理解力が下がってしまう。
 ヒトは、言葉を聞くとき、無意識のうちに「片耳巨人」にスイッチして、主として「利き耳」だけに注意を集中して音声言語を聞いている。

(2013/6/8)KG

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超〈集客力〉革命 人気美術館が知っているお客の呼び方
 [芸術]

超<集客力>革命  人気美術館が知っているお客の呼び方 (oneテーマ21)

蓑豊/〔著〕
出版社名 : 角川書店(角川oneテーマ21 C-220)
出版年月 : 2012年4月
ISBNコード : 978-4-04-110221-3
税込価格 : 820円
頁数・縦 : 220p・18cm

 
■行って観たくなる美術館
 アメリカと日本の美術館を渡り歩き、集客力に優れた美術館をいくつも作り上げた著者による、美術館読本。
 公共施設も、多くの市民が集まらなければ価値がない。まさに悪しき箱物行政、税金の無駄使いでしかない。では、どうやれば人が集まるのか。本書では、ユニークな集客策を展開する、神戸県立美術館などでの実践が語られる。また、海外の魅力的な美術館(博物館)を、大小取り混ぜて紹介する。
 もちろん、税金で運営されている公共施設の場合、単に人がたくさん集まればいいというものではない。美術館には美術館の、図書館には図書館の役割というものがある。その施設にふさわしい催しや活動を行いつつ、集客の努力をする。それが肝なのだと思うし、著者もその点を強調している。「人が集まる展覧会」を企画するのではなく、「優れた展覧会を企画して人を集める」、のである。そこにはキュレーターとしての自負がある。
 そして、人が集まりやすい仕掛けを作ることも重要だ。兵庫県立美術館の場合には、最寄駅の阪神電鉄岩屋駅の駅名プレートに「兵庫県立美術館前」と入れてもらったり、神戸市と協力して駅からの道を「ミュージアムロード」と命名して美術品のショップやギャラリーを集めたり、いろいろな工夫をしている。積極的に有力者に会いに行き、プランの実現のための努力を惜しまない。そんな姿勢も大事である。

【目次】
はじめに 美術館へいらっしゃい
第1章 兵庫県立美術館の「集客作戦」
第2章 人を集める展覧会の作り方
第3章 美術館館長の経営学
第4章 オークション・ビジネスの最前線
第5章 驚異的な集客力を持つ世界のトップ美術館
第6章 お手本にしたい「小さいが魅力的な美術館」
第7章 美術館が街を変える、教育を変える
対談 蓑豊×福原義春

【著者】
蓑 豊 (ミノ ユタカ)
 1941年、金沢市生まれ。65年、慶應義塾大学文学部卒業。69~71年、カナダ・ロイヤルオンタリオ博物館(トロント市)東洋部学芸員。76年、ハーバード大学大学院美術史学部博士課程修了、翌年同大学文学博士号取得。76~77年、カナダ・モントリオール美術館東洋部長。77~84年、アメリカ・インディアナポリス美術館東洋部長。85年よりシカゴ美術館に勤務し、中国・日本美術部長、東洋部長(94年まで)。95年に帰国後は大阪市立美術館館長、全国美術館会議会長などを歴任。

【抜書】
●当てる(p59)
 一人でも多くの人に、作品との出会いの喜びを知ってもらう。
 〔「当たる」展覧会をやるのではなく、優れた展覧会を「当てる」のが私たちの仕事なのである。〕

●美術館の3つの評価(p120)
 コレクションの量と質。
 個性的で心地よい空間をもった建築。
 美術館と街との関係。

●ルーヴル美術館(p124)
 もともと、要塞だったルーヴル宮殿。
 1789年、フランス革命勃発。王家がため込んでいたお宝の山を人民のものとして公開。
 1793年、中央芸術博物館として一般公開される。

●コロンバス(p189)
 米国インディアナ州コロンバス。人口4万4000人の街。
 建築デザインの優れた建物がたくさんある。
 カミンズという、世界的なディーゼルエンジン・メーカーの本社がある。
 経営者のアーウィン・ミラーが、街の建築物を変えることで、優秀な大学の卒業生を集めようと考えた。
 教会、学校などに設計料を提供して、著名な建築家のデザインによる建物に建て替えさせた。

(2012/8/3)KG

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演劇は仕事になるのか? 演劇の経済的側面とその未来
 [芸術]

演劇は仕事になるのか?: 演劇の経済的側面とその未来
 
米屋尚子/著
出版社名 : 彩流社
出版年月 : 2011年11月
ISBNコード : 978-4-7791-1642-1
税込価格 : 2,625円
頁数・縦 : 205p・21cm

 
■演劇にもアーツ・マネジメントが必要だ
 ずいぶんとベタなタイトルである。が、内容は下世話なものではなく、小劇場(団)から大手の商業劇場(団)まで、日本の演劇界の仕組みと問題点を、明晰な文章で書き綴る。演劇界の現状がよくわかる1冊である。
 「演劇を仕事にする」というと役者がすぐに頭に浮かぶが、職業として演劇に携わっているのは役者だけではない。劇団の主宰者、脚本家、舞台装置を作る裏方さん、などなど。さらには劇場の経営者、従業員もいる。ひとつの作品を上演するまでには、さまざまな人たちが関わっているのである。
 だが、本書がテーマとするのは、そうした個々の人々ではなく、主に「興行としての演劇」である。役者が割に合う商売なのかどうかとか、脚本家として食っていく方法とか、そんなことではなく、「演劇」という活動が(主に)日本でどのように行われているのかという、演劇界の俯瞰的な構図を見せてくれる。
 その際にキーとなる言葉が「アーツ・マネジメント」である。直訳すれば「芸術運営」ということになる。平たく言えば、芸術活動、本書では当然ながら「演劇」活動ということになるが、それをいかにして実現していくか、ということになろう。そこには、上述した個々の役割を担う人たちの存在と、劇団の立ち上げと存続、劇場の確保、公演の実施、政府の助成など、さまざまな問題が絡んでくる。演劇活動は、営利的に成り立ち難いために、マネジメントという観点から捉えなおし、組み立てていく必要がある。
 しかし、日本ではアーツ・マネジメントが適切に行われていない、というのが著者の視点だ。その現状をつぶさに描いてくれている。

【目次】
第1章 演劇のいま―日本の「劇団」は何を成してきたのでしょう?
第2章 劇場って何でしょう?
第3章 芸術と公共政策との関係
第4章 隣の芝生、自分の庭
第5章 地域と公共劇場のこれから
第6章 演劇の未来と文化政策
結びに代えて―アーツ・マネジメントのココロ

【著者】
米屋 尚子 (ヨネヤ ナオコ)
 1960年富山県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。銀行員から演劇専門誌編集に転職し、フリーの演劇ジャーナリストに。91~93年、英国シティ大学大学院芸術政策運営学科に留学。帰国後、慶應義塾大学アートセンター立ち上げに参加した後、94年、ニューヨークのコロンビア大学大学院に客員研究員として留学。96年より社団法人日本芸能実演家団体協議会(芸団協)に勤務し、舞台芸術に関する調査研究や研修事業、政策提言にかかわる。文化審議会・文化政策部会委員を2003年から2009年まで7期務めたほか、複数の自治体の文化芸術振興関連の審議会委員などを務める。文化経済学会“日本”、国際演劇評論家協会・日本センター会員。

【抜書】
●芝居小屋から映画館へ(p64)
 〔しかし、芝居小屋は映画の台頭によって、まずは映画館に娯楽の主役を奪われました。庶民の娯楽の中心が映画に移ったのは、大衆の興味が変わっただけでなく、生身の人間が旅をする一座を受け入れるコストと、映画のフィルムが貸しだされる対価を払うのとでは、映画館の方が断然、経営上のリスクが減ったということもあったでしょう。芝居小屋は映画館に転用されるか閉鎖されていきました。幼い頃の母が連れられていった芝居小屋も映画館に変わったそうです。そうして数が減っていたところに、戦争で被害を受けて、芝居小屋はほとんど無くなりました。物理的なダメージもさることながら、芸能にうつつを抜かしている場合ではないという時代の空気が、庶民の生活の中から娯楽・教養としての芸能を追いやっていったのです。戦争は、日本の芸能の継承に大きな断層をつくりました。〕

(2012/4/7)KG

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フェルメール光の王国
 [芸術]

フェルメール 光の王国 (翼の王国books)

福岡伸一/著
出版社名 : 木楽舎
出版年月 : 2011年8月
ISBNコード : 978-4-86324-040-7
税込価格 : 2,310円
頁数・縦 : 255p・22cm

 
■フェルメールと科学者をめぐる紀行文
 生物学者にして豊かな文才を誇る福岡伸一による、フェルメールをめぐる紀行文。ANAグループの機内誌『翼の王国』に掲載されたエッセーを集めて加筆・修正を加えたものだ。世界各地の美術館にフェルメールの絵を訪ね、そこのキュレーター(学芸員)と語りあい、その絵に隠された秘密や、フェルメールの生涯について思いを巡らせる。
 科学者らしく、フェルメールと科学者との交流や、美術館の地にゆかりのある科学者を話題にしながら、フェルメールの絵について、平易に解説してくれる。フェルメールは窓から差し込む光が作り出す世界を正確に描き、1枚の絵の中に時間の経過を描いたり、科学器具を丁寧に描き込んだりしている、という。下手な美術評論家の解説より分かりやすく、示唆に富んだ内容である。まさに当代随一のエッセイストと言っていい筆映えだ。
 特に著者が注目するのは、フェルメールと同じ1632年、同じオランダの小都市デルフトに生まれ、同時期に同じ教会で洗礼を受けたアントニ・ファン・レーウェンフックだ。アマチュアの科学者であり、顕微鏡の発明者である。『地理学者』『天文学者』のモデルは彼ではないかというのだ。また、レーウェンフックが英国王立協会に送った微小世界のスケッチのうちのいくつかは、フェルメールによるものではないかと推理する。王立協会に残されたレーウェンフックの手紙に添えられた絵を詳細に検討しての結果だ。

【目次】
第1章 オランダの光を紡ぐ旅
第2章 アメリカの夢
第3章 神々の愛でし人
第4章 輝きのはじまり
第5章 溶かされた界面、動き出した時間
第6章 旅の終焉
第7章 ある仮説

【著者】
福岡 伸一 (フクオカ シンイチ)
 生物学者。1959年東京都生まれ。京都大学卒。米国ロックフェラー大学研究員、京都大学助教授などを経て、青山学院大学教授。2007年に発表した『生物と無生物のあいだ』(講談社現代新書)は、サントリー学芸賞および中央公論新書大賞を受賞し、ベストセラーとなる。

(2012/3/28)

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