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アイヌ語地名と日本列島人が来た道
 [歴史・地理・民俗]

アイヌ語地名と日本列島人が来た道  
筒井功/著
出版社名:河出書房新社
出版年月:2017年10月
ISBNコード:978-4-309-22712-2
税込価格:2,160円
頁数・縦:275p・20cm
 
 
 アイヌ語地名の南限を、奥羽山脈の西側は秋田と山形の県境の山地(神室〈かむろ〉山地と丁岳〈ひのとだけ〉山地)に、東側は宮城県の北部地域に定め、それらの地名の由来を探る。
 著者によると、この地域より南にあるアイヌ語らしき地名のほとんどは、アイヌ語由来ではないという。その理由の一つとして、日本語地名の中にアイヌ語地名がぽつんと一つだけ存在するということはまずあり得ないからであるという。
 また、東北地方にアイヌ語地名が数多く残る理由は、古墳寒冷期の3~4世紀ごろ、人口が希薄化した東北北部へ、北海道からアイヌ民族が南下してきたためではなかろうかと推測している。
 
【目次】
第1章 アイヌ語地名の特徴と癖
第2章 ホロナイ紀行
第3章 オサナイとサンナイ
第4章 トチナイ・アイナイ・ウラシナイ・ヨナイ
第5章 そのほかの「ナイ」地名
第6章 東北地方の「ペッ」地名
第7章 アイヌ語地名の南限はどこか
第8章 東側では複雑に入り組んでいる
第9章 異種言語による地名解釈
第10章 マタギはアイヌ語地名帯の狩人であった
第11章 マタギとの歴史と生態
第12章 「蝦夷」とアイヌは同じではない
第13章 アイヌと沖縄人は全く別の集団である
第14章 列島北部の先史時代
第15章 アイヌ語地名の南限線は何を意味するか
 
【著者】
筒井 功 (ツツイ イサオ)
 1944年、高知市生まれ。民俗研究者。元・共同通信社記者。正史に登場しない非定住民の生態や民俗の調査・取材を続けている。第20回旅の文化賞受賞。
 
【抜書】
●ナイ、ペッ(p24)
 ナイ(nay)とペッ(pet)は、どちらも川・沢を示す。アイヌ語には、濁音と半濁音の区別がない。
 
●ポン、ポロ(p35)
 アイヌ語では、poro(ポロ)が「大きい」、pon(ポン)が「小さい」を表す。
 
●オサナイ(p50)
 オ・サ・ナイ=川尻が・乾く・川。途中で水が地下へもぐり、下流部で水無川のようになってしまう川。
 
●サンナイ(p60)
 サン・ナイ=出る・川。サンケ・ナイ=出す・川。
 つまり、大雨が降ると、急に水がどっと「出る川」のこと。
 
●大字(p94)
 「大字」は、原則として江戸末期(明治初期)の村の名前を踏襲したもの。
 明治19年(1886年)に内務省地理局が印刷した「地名索引」には、幕末に存在した19万余の町村が列記され、それがのちの大字にあたるとみてよい。柳田圀男『地名の研究』による。19万には、町を名乗っていた地域や、本村に付属する枝村(村郷)も含まれていたと考えられる。
 「字」……内務省は、明治8~9年ごろ、全国の自治体(多くは江戸期の村の広さ)に、600分の1(一分一間)の大地図を作らせた。ちょっと大きな町村では、お寺の本堂にも広げられないくらいの大きさになったので、小さく切った「切絵図」も作られた。今使われている「字」は、この絵図につけられた表題。元来の字は、もっと狭い範囲を指していた。柳田圀男による。
 字は、行政上の正式地名ではなく、公文書にも書き込む必要がない。本来、大字何番で十分。
 
●保(p208)
 「保」は、律令時代の国・郡・保という地方行政単位のひとつ。もともと5戸で構成されたいた。
 
(2018/2/1)KG
 
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日本の人類学
 [自然科学]

日本の人類学 (ちくま新書)  
山極寿一/著 尾本恵市/著
出版社名:筑摩書房(ちくま新書 1291)
出版年月:2017年11月
ISBNコード:978-4-480-07100-2
税込価格:950円
頁数・縦:286p・18cm
 
 
 東大と京大を代表する(?)二人の人類学者の対談。過去、現在、未来の日本の人類学について語り合う。
 
【目次】
第1章 人類学の現在
第2章 東大人類学と京大霊長類学
第3章 最新研究で見る人類の歩み
第4章 ゴリラからヒトを、狩猟採集民から現代文明を見る
第5章 ヒトはなぜユニークなのか
終章 これからの人類学
 
【著者】
山極 寿一 (ヤマギワ ジュイチ)
 1952年、東京生まれ。京都大学大学院理学研究科博士課程単位取得退学、理学博士。日本モンキーセンター、京都大学霊長類研究所、京都大学大学院理学研究科等を経て、2014年より京都大学総長。人類学と霊長類学を専門とし、ゴリラから人類や文明の起源を探る。
 
尾本 恵市 (オモト ケイイチ)  
 1933年、東京生まれ。東京大学文学部・理学部を卒業し、東京大学大学院理学研究科博士課程中退。Ph.D(ミュンヘン大学)、理学博士(東京大学)。東京大学理学部教授、国際日本文化研究センター教授などを歴任し、アイヌやフィリピンのネグリトの起源の研究で世界的成果を挙げた。
 
【抜書】
●自己家畜化(p87、山極)
 自己家畜化現象(セルフドメスティケーション)……エゴン・フォン・アイックシュテットが提唱。人類が野生生物とは異なり、自ら作る文化的な環境によって身体的にも特異な進化を遂げたこと。自己をあたかも家畜のごとく管理する動物であるとの認識から生まれた人類学上の概念。
 クモが巣を作るように、人間も身の回りの物を整えだし、そこから逆に強い影響を受け始めた。さらに、人間の社会環境も人為的に作り出せるようになった。自分一人で物事をやるのではなく、他人にやってもらうようになった。これは、人間の身体的特徴を急速に変えたのではないだろうか。
 (尾本)咀嚼器官が縮小し、体毛が少なく、表現型の多様性が多いなど、ヒトは、多くの家畜に見られる特徴を持っている。家畜は人間が意図的に何らかの目的のために育て管理するものだが、現代人も文明という環境に合わせて自分を育て管理している。
 
●フランジオス(p104、山極)
 オランウータンのオスは二型ある。フランジオス(顔の両脇に出っ張りがある)とアンフランジオス。アンフランジオスは幼形。なわばりを作るオスはフランジオス。縄張りオスが死んでアンフランジオスがその後を継ぐと、数か月以内にフランジが出て来る。
 社会的なプレッシャーが幼形を維持している。
 
●試行錯誤(p119、山極)
 チンパンジーは試行錯誤的で、失敗してもすぐに何かを始める。
 ゴリラとオランウータンは、なかなか行動に移さないが、実際に始めた時にはもう正解に到達している。始める前に頭のなかでシミュレーションをしていて、自信がついたら行動に移す。
 
●人間平等起源論(p129、山極)
 伊谷純一郎は、ルソー「人間不平等起源論」に対して、「人間平等起源論」を提唱した。
 300種に及ぶ霊長類の社会では、単独生活、雌雄一対のペア社会、単雄複雌群、単雌複雄群、複雄複雌群などのように、同性間、異性間で共存を許すかどうかの違いがある。これらは、単独生活から群れ生活へ向かう進化の方向性。
 さらに、オスだけが群間を移籍する母系社会、メスだけが移籍する父系社会がある。
 単独生活からペア社会までは、原初的に平等。雌雄の体格差がない。
 規模の大きな群れ生活をするようになると、オスがメスよりも大きくなり、オス間に厳格な優劣の順位ができるようになる ⇒ 「先験的不平等の社会」。母系社会でこれが発達する。ニホンザルのような階層性をもつ社会。
 ヒトを含む類人猿は、父系社会。食物の分配とか遊びとかに不平等を抑制して平等な関係を保とうとする行動がみられる ⇒ 「条件的平等の社会」。
 つまり、ルソーの言う平等から不平等ではなく、不平等から平等へ向かう人類の進化の道筋があった。最もよく体現しているのは、平等な狩猟採集民の社会。
 
●音楽の起源(p179、山極)
 音楽の起源は、インファント・ダイレクテッド・スピーチ(対乳児発話)。離れている子供に、母親がかける声。赤ちゃんは、そこで言葉や意味を理解するわけではなく、母親から発せられた音声を聞いて安心する。
 その音調は、どの民族でもよく似ている。子守歌の一つのパターンで、音楽の起源の一つではないかと言われている。
 子供の成長期間が長いことで生まれたものの一つが音楽?
 
●移動性の動物(p188、山極)
 ヒトが絶滅させた動物は、すべて移動性の動物。
 定住性の動物であれば、ヒトは自分たちの有限の資源と考えてコントロールしようとする。
 移動性の動物だとコントロールできない。一度逃がすと大変だから、来た時に全部捕ってしまう。
 
●ウェスタ―マーク(p201、山極)
 フィンランドの人類学者のエドワード・ウェスターマーク。19世紀の終わりに、「幼児期の親密な関係は性衝動を忌避させる」と唱えた。
 しかし、同時代にフロイトがいたためにこの説は広まらなかった。フロイトは、幼児はまず異性の親に性的衝動を覚えるが、同性の親にそれを禁じられることによって性衝動を抑圧し、やがて近親でない異性に対して性衝動を覚えるようになる、と唱えた。エディプス・コンプレックス。
 台湾のシンプア(新婦仔)……台湾は厳格な父系社会。将来結婚させる男女を幼児の時から一緒に育て、女の子に男の子の家系の風習を覚えさせる。しかし、なかなか子ができず、離婚するケースが圧倒的に多い。
 イスラエルのキブツ……子どもたちを集団で育て、将来は同じキブツで育った子どもたちが結婚してそのキブツを継いでいくことを期待した。しかし、子どもたちはキブツを離れ、別のキブツで育った異性と一緒になる傾向を示した。
 
●乳房(p207、尾本)
 女性の乳房は、授乳の目的にしては大きすぎるし、必要になる以前から大きくなる。男性に見せるための魅力的器官として発達した。
 スリランカの古代都市シーギリアの遺跡の壁画に描かれた女性。乳房を出しているのは王女で、隠しているのは下女。
 
●アメリカの原罪(p213、尾本)
〔 アメリカという国の歴史と文化を見た時、この国が現代文明の中心にあるのは、人類にとって不幸なことかもしれない。アメリカの原罪は、先住アメリカ人を虐殺して広大な土地を奪ったことと、アフリカ人の奴隷の労働力で建国したことでしょう。このような人権無視の歴史がアメリカを造った。〕
 
●情緒(p214、山極)
〔 ぼくは、これから世界を制するキーワードは情緒だと思うんです。情緒というのは英語に訳しにくいんですが、これは自然に寄せる心、人間と人間が交わす感性に響いてくる。日本の芸術・文学の大きな特長は、情緒が豊かであることです。たとえば「もののあはれ」とか。〕
 
●総合的人類学(p232、尾本)
 〔今、行き詰まりを見せている文明に、どうしたらヒトにしかできない「反省」や「自己規制」を組み込むか。そのそのために「DNAから人権まで」を視野に入れた新たな総合的人類が求められています。〕
 DNAは生物の基本要因。人権は人間の目指すべき究極の倫理。つまり、始めと終わり。
 
(2018/1/30)KG
 
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資本主義の終焉 資本の17の矛盾とグローバル経済の未来
 [社会・政治・時事]

資本主義の終焉――資本の17 の矛盾とグローバル経済の未来  
デヴィッド・ハーヴェイ/著 大屋定晴/訳 中村好孝/訳 新井田智幸/訳 色摩泰匡/訳
出版社名:作品社
出版年月:2017年11月
ISBNコード:978-4-86182-667-2
税込価格:3,024円
頁数・縦:426p・20cm
 
 
 資本が内包する17の矛盾を詳述し、資本主義を超克するための方法を模索する。
 ハーヴェイは、「革命的人間主義者」としてのマルクスを支持し、「目的論的決定論者」ではないと捉えているようだ(p.290)。
 
【目次】
序章 “資本”がもたらす矛盾について
 
第1部 資本の基本的な矛盾
 第1章 使用価値と交換価値
 第2章 労働の価値と貨幣
 第3章 私的所有と国家
 第4章 私的領有と共同の富(コモン・ウェルス)
 第5章 資本と労働
 第6章 資本は過程なのか、物なのか
 第7章 生産と資本増大の実現
 
第2部 運動する資本の矛盾
 第8章 技術、労働、人間の使い捨て
 第9章 分業における矛盾
 第10章 独占と競争
 第11章 地理的不均等発展と資本の時空間
 第12章 所得と富の格差
 第13章 労働力と社会の再生産
 第14章 自由と支配
 
第3部 資本にとって危険な矛盾
 第15章 無限の複利的成長
 第16章 資本と自然
 第17章 人間性の疎外と反抗
 
終章 資本主義以後の社会―勝ち取られるべき未来の展望
 
【著者】
ハーヴェイ,デヴィッド (Harvey, David)
 1935年、イギリス生まれ。ケンブリッジ大学より博士号取得。ジョンズ・ホプキンス大学教授、オックスフォード大学教授を経て、現在、ニューヨーク市立大学教授(Distinguished Professor)。専攻:経済地理学。現在、ギリシア、スペインから、中南米諸国、中東、中国や韓国まで、文字通り世界を飛び回り、研究・講演活動などを行なっている。
 
【抜書】
●錆びる貨幣(p60)
 交換を促すか、社会の富と権力との私的蓄積を抑制するような、擬似的な貨幣形態。
  ↓
 使わなければ錆びてしまう貨幣形態の創造。腐食する商品(使用価値)と、腐食しない貨幣形態(交換価値)との、根本的な不平等の是正。
 予言者シルビオ・ゲゼルの提案。「新聞はすぐに古くなってしまう。ジャガイモはすぐに腐ってしまう。鉄はすぐに錆びてしまう。エーテルはすぐに気化してしまう。ジャガイモ、新聞、鉄、そしてエーテルのような性質をもつ貨幣、それだけが新聞、ジャガイモ、鉄、エーテルなどの商品一般の交換手段に適した貨幣となるのである。」
 
●FIRE産業、第四次産業(p156)
 FIRE産業……第三次産業のうち、金融、保険、不動産業のこと。三者の頭文字から。
 第四次産業……文化産業や知識基盤型産業。
 
●ジョナサン・レベジ事件(p255)
 ジョナサン・レベジは、15歳になるころには、安値株式の取引から数百万ドルを儲けていた。
 彼は、自分が買ったばかりの株を売り込むチャットルームを立ち上げ、そこで自分に都合の良い株の格付けを行って高値で売却した。
 アメリカ証券取引委員会に告訴されると、こうしたことはウォールストリートでもどうせ行われていると、彼は即座に主張した。
 証券取引委員会は、少額の罰金を科しただけで訴追全体を慌てて断念した。
 
●スペクタクル消費(p310)
 資本は、系統的に消費財の回転期間を短縮してきた。しかし、それも物理的制限により、限界がある。
 そこで、資本はスペクタクルの生産と消費向かうことになる。
 スペクタクル……刹那的で即座に消費される商品形態のこと。テレビ番組、その他のメディア商品、映画、コンサート、展示会、スポーツイベント、巨大文化イベント、観光業、など。
 
プロザック(p328)
 抗うつ剤。
 〔プロザックのような医薬品は当初、それが処方可能な病気がなかったため、新しい病気が発明されざるをえなくなり、それがいわゆる「プロザック世代」を登場させた。〕
 プロザック世代……プロザックは1988年に発売され、新世代の抗うつ剤として評判になる。アメリカでは一般市民の間で、同薬に代表される精神疾患治療薬が常用されるようになり、この事態を称して「プロザック世代」と呼ばれるようになる(注より)。
 
(2018/1/27)KG
 
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脳の意識機械の意識 脳神経科学の挑戦
 [自然科学]

脳の意識 機械の意識 - 脳神経科学の挑戦 (中公新書)  
渡辺正峰/著
出版社名:中央公論新社(中公新書 2460)
出版年月:2017年11月
ISBNコード:978-4-12-102460-2
税込価格:994円
頁数・縦:317p・18cm
 
 
 「意識とは何か」という点に関して、科学的(脳神経科学的)に解明しようと試みる研究者の現状報告。意識の「自然則」を打ち立てるべく、実験と理論構築に取り組む。
 
【目次】
第1章 意識の不思議
第2章 脳に意識の幻を追って
第3章 実験的意識研究の切り札 操作実験
第4章 意識の自然則とどう向き合うか
第5章 意識は情報か、アルゴリズムか
終章 脳の意識と機械の意識
 
【著者】
渡辺 正峰 (ワタナベ マサタカ)
 1970年千葉県生まれ。1993年東京大学工学部卒業、98年東京大学大学院工学系研究科博士課程修了。98年から2000年にかけて東京大学大学院工学系研究科助手、2000年から同助教授。カリフォルニア工科大学留学などを経て、東京大学大学院工学系研究科准教授およびドイツのマックス・プランク研究所客員研究員。専門は脳科学。
 
【抜書】
●クオリア(p7)
 クオリア=感覚意識体験。視覚で言えば、単に「見える」ということに他ならない。
 
●赤と紫(p12)
 目に見える光波長の下限と上限にある赤と紫が、私たちに似た色として感じられるのは、両色の果てに、三つの錐体細胞とも反応しない状態を共有しているからなのかもしれない。
 
●両眼視野闘争(p63)
 左右の眼に異なる絵を見せると、そのうち片方の絵しか見えなくなり、数秒で交互に入れ替わるようになる現象。片方は、意識から完全に消失する。
 
●図形アルファベット(p86)
 脳の視覚処理は、第一次視覚野以降、「腹側経路」と「背側経路」に大きく分かれる。
 腹側経路は主に視覚対象の形を処理し、背側経路は視覚対象の動きや位置を処理する。
 腹側経路をたどっていくと、最終的にIT(下側頭葉皮質)と呼ばれる視覚部位に至る。
 第一次視覚野(V1)ではニューロンが直線を基調とした応答を示し、第二次(V2)ではV1とほとんど同じだが「カニッツァの四角形」(四つの「パックマン」の内側に四角形が見える錯視)などに反応するようになり、V3、V4では、角や曲線、線分の交わりなどに応答するようになる。
 ITでは、顔や手など、特定の視覚対象にのみ反応するニューロンが出て来る。しかし、大半は中程度に複雑な形状(=図形アルファベット)に反応する。
 図形アルファベット……理化学研究所の田中啓治および程康(かんちゅん)、大阪大学の藤田一郎が命名。
 
●NCC(p117)
 NCC=Neural Correlates of Consciousness。クリックとコッホは、The minimal set of neuronal events and mechanisms jointly sufficient for specific conscious perceptと定義。固有の感覚意識体験を生じさせるのに十分な最小の神経活動と神経メカニズム。
 意識の研究における中心的な対象。
 
●自然則(p187)
 他の法則から導くことのできない、科学の根幹をなす法則のこと。
 〔二つの物体が、それらの質量と距離に応じて引き合うとする万有引力の法則(正確には近似)や、光の速さが一定であるとする光速度不変の原理などがそれに当たる。なぜそうなのかと訪ねられても「この宇宙はそうなっている」としか答えようがない。〕
 
●松果体(p211)
 脳は、左右対称の構造になっている。
 松果体は、左右二つの脳半球の間に鎮座する数少ない例外的存在。
 デカルトの主張する心身二元論では、非物質である意識との交信役として松果体を想定してした。
 
●生成モデル(p245)
 従来、脳の視覚処理は、低次視覚部位から高次視覚部位に至る複数の直列的な処理を経て完結するものと考えられてきた。
 これに対し、1990年代初頭に、川人光男(かわひとみつお、1953~)とデイヴィッド・マンフォード(1937~)が「生成モデル」を提案。
 生成モデルでは、入力と出力の関係をひっくり返し、高次から低次への処理の流れを重視。高次の活動をもとに、低次の活動の「推測値」を出力する。推測値と感覚入力由来の活動とを比較し、その誤差を算出する。
 
●逆誤差伝播法(p255)
 神経回路の三層構造では、入力と出力の間にある「隠れ層」を想定。
 隠れ層のニューロンは、出力を送る複数のニューロンの「意向」(出力を上げる方向か、下げる方向か)を忖度して自らの「意向」を決め、それが実現するようにシナプス結合を修正する。
 「逆誤差電波法」では、誤差が、通常とは逆に伝播する。情報が軸索を逆方向に流れることを想定している。しかし、実際には脳の中では生じえない。
 
(2018/1/25)KG
 
〈この本の詳細〉
honto: https://honto.jp/netstore/pd-book_28729513.html
e-hon: https://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refShinCode=0100000000000033688051

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日本文化をよむ 5つのキーワード
 [哲学・心理・宗教]

日本文化をよむ 5つのキーワード (岩波新書)
藤田正勝/著
出版社名:岩波書店(岩波新書 新赤版 1675)
出版年月:2017年8月
ISBNコード:978-4-00-431675-6
税込価格:842円
頁数・縦:202p・18cm


 目次のとおり、「心」「悪」「無常」「花」「風雅」をキーワードに日本文化を読む――ということだが、「日本文化」というくくり方は大げさで、それぞれの古人の思想、作品を、上記の5つのキーワードによって読み解いていく、というのが近いような気がする。あるいは、ここに登場する6人(西田幾多郎を除く)が「日本文化」を代表する人物である、という意図なのだろうか?

【目次】
第1章 西行の「心」―無常の世と詠歌懸命の道
第2章 親鸞の「悪」―末法の世における救い
第3章 長明と兼好の「無常」―二人の遁世者
第4章 世阿弥の「花」―能と禅の交わり
第5章 芭蕉の「風雅」―わび・さびと「自然」
終章 西田幾多郎の日本文化論―世界主義という視点

【著者】
藤田 正勝 (フジタ マサカツ)
 1949年三重県に生まれる。1978年京都大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。1982年ドイツ・ボーフム大学大学院ドクター・コース修了。専攻―哲学、日本哲学史。現在―京都大学大学院総合生存学館教授。

(2018/1/18)KG

〈この本の詳細〉
honto: https://honto.jp/netstore/pd-book_28585865.html
e-hon: https://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refShinCode=0100000000000033636638

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