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世界神話入門
 [歴史・地理・民俗]

世界神話入門
 
篠田知和基/著
出版社名:勉誠出版
出版年月:2017年5月
ISBNコード:978-4-585-22165-4
税込価格:2,592円
頁数・縦:273p・19cm
 
 
【目次】
1 世界神話
 世界神話へむけて
 地域的諸問題
 共通神話の形成
2 世界の構造
 卵と鳥
 樹木
 大地
3 女神と至高神
 女神
 愛の神話
 復活神とトリックスター
 裁きの神と太陽の旅
4 悪の原理
 罪と罰
 動物変身と獣祖
 鍛冶神と狼男
 
【著者】
篠田 知和基 (シノダ チワキ)
 名古屋大学教授をへてHSU特任教授。甲南大学人間科学研究所客員研究員。比較神話学研究組織主宰。専門は仏文学、神話学、文化造形論。
 
【抜書】
イギリス、トルコ、サウジアラビア(p49)
 神話のない国……イギリス、トルコ、サウジアラビア
 トルコとサウジアラビアは、イスラム化の過程で、全イスラム時代の伝承は否定され、抹殺された。
 イギリスは、ウェールズやアイルランドにはケルト神話が存在した。しかし、「イギリス文化圏」の政治的中心であるイングランドは、ローマの支配を直接受けており、ローマ文化、ローマ神話を継承した。
 
●五大古典神話(p56)
 エジプト、ギリシャ、メソポタミア、インド、中国
 
(2017/8/6)KG
 
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クレモナのヴァイオリン工房 北イタリアの産業クラスターにおける技術継承とイノベーション
 [経済・ビジネス]

クレモナのヴァイオリン工房―北イタリアの産業クラスターにおける技術継承とイノベーション
 
大木裕子/著
出版社名:文真堂
出版年月:2009年2月
ISBNコード:978-4-8309-4631-8
税込価格:5,832円
頁数・縦:256p・22cm
 
 
 クレモナのヴァイオリン産業をテーマとした、産業クラスタ研究の論文。日本学術振興会平成18年度科学研究費補助金の成果である。
 
【目次】
序章 本書の課題と分析視角
第1章 イタリア・ヴァイオリン製作の歴史
第2章 クレモナのヴァイオリン製作の現状と課題
第3章 クレモナのヴァイオリン製作の特徴―製作者の視点から
第4章 クレモナのヴァイオリン製作者へのアンケート調査の結果と分析
第5章 クレモナの産業クラスターの特徴
 
【著者】
大木 裕子 (オオキ ユウコ)
 博士(学術)。京都産業大学経営学部・同大学院マネジメント研究科准教授。東京藝術大学器楽科卒業後、東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団ヴィオラ奏者、昭和音楽大学専任講師、京都産業大学経営学部専任講師を経て現職。専門はアートマネジメント。
 
【抜書】
●クレモナ派、ブレッシア派(p7)
 弓で音を出す弦楽器は、8世紀頃、ムーア人によってスペインに伝えられた。ヴァイオリンは16世紀初頭に突如として出現し、1550年頃に音楽家たちに普及した。ヴィオラ・ダ・ブラッチョ(viola da braccio)あるいはリラ・ダ・ブラッチョ(lira da braccio)から派生した。初期段階では、北イタリアにおいてクレモナ派とブレッシア派の2種類のヴァイオリンが存在、演奏者は、曲に合わせてこの2種類を使い分けた。
 クレモナ派……アンドレア・アマティ(Amati, Andrea、ca.1505-ca.1577)による、繊細に美しく仕上げられたヴァイオリン。
 ブレッシア派……ガスパロ・ダ・サロ(通称Gasparo da Salò)とその弟子マジーニ(Maggini, Giovanni Paolo, 1580-1630)による頑丈なヴァイオリン。
 1632年、マジーニが他界、ブレッシアは急激に衰退、クレモナの独擅場に。ニコロ・アマティ(Amati, Nicolo、1597-1684)とドイツのヤコブ・シュタイナー(Steiner, Jacob、1617-1683)の二人が主導するようになる。
 
●オールド・イタリアン(p9)
 年代により、3つに区分される。
 オールド・イタリアン・ヴァイオリン……1550年頃~1820年頃。ヴァイオリンの誕生からプレッセンダの出現まで。アマティ、ストラディヴァリ、グァルネリ、ガリアーノ、ロジェリ、ルジェリ、ベルゴンツィ、グァダニーニなどの各ファミリーが大きなギルド、工房を構成していた。1660年頃から1770年ごろがルネッサンス期で、「シルバートーン」を持つ個性に富んだ多くの名器が製作された。「クレモナの栄光」と呼ばれた黄金期には、ベルゴンツィ、グァダニーニ、グァルネリ、ストラディヴァリ(Stradivari, Antonio、1644-1737) などが活躍、1万本程度の楽器が製作された。
 ベルゴンツィの死後、クレモナは空白期を迎える。空白期、パリのヴァイオリン製作が盛んになる。イタリアは、オールド・ヴァイオリンの修理や調整が主となる。
 
●モダン・イタリアン(p10)
 モダン・イタリアン・ヴァイオリン……ストリオーニの弟子プレッセンダ(Pressenda, Giovanni Francesco、1777-1854) がトリノで独立した後、1831年以降、北イタリアで彼の作品が認められるようになってから、第二次世界大戦期まで。音量のあるブレッシア・モデルが製法に導入される。1890~1940年が隆盛期。約250人の名匠が製作した楽器は、コンサート・ヴァイオリンとして高く評価されている。皆で切磋琢磨し、個性豊かなヴァイオリンが製作された。ドイツのミッテンヴァルト、フランスのミルクールなどで大量生産方式が盛んになる中、イタリアでは伝統的な手工業を継承した。
 
●コンテンポラリー(p11)
 コンテンポラリー・ヴァイオリン……職人の個性を重視するというより、ストラディヴァリ、デル・ジェス(Guarneri, Giuseppe Ⅱ《Del Gesu》、1698-1744)をコピーするといった、作風の標準化が進められている。ヴァイオリン製作が途絶えていたクレモナでは、サッコーニ(Sacconi, Simone Fernado、1895-1973、イタリア系アメリカ人)が、内枠式あるいはクレモナ式と言われる製作方法を取り戻すことに尽力した。サッコーニの提唱により、1937年にストラディヴァリ生誕(没後?)200年祭が行われ、1938年に国際ヴァイオリン製作学校が設立された。世界各国からのヴァイオリン製作者を養成、130以上のヴァイオリン工房が集積し、ヴァイオリン製作のメッカとなる。
 
●4つのパターン(p13)
 ヴァイオリンの4つのパターン。
 (1)ストラディバリ・パターン
 (2)デル・ジェス・パターン
 (3)アマティ・パターン
 (4)シュタイナー・パターン
 
●ニコロ・アマティ(p15)
 アンドレア・アマティの孫。それまで「親族のものでない見習いを工房に置かない」というアマティ一族の慣習を破り、アンドレア・グァルネリ(Guarneri, Andrea、1626-1698)、ストラディヴァリ、ロジェリ、ルジェリ、グランチーノなど、最高の技術を持つ弟子を育て上げた。彼らは、アマティやシュタイナーの胴体の盛り上がったモデルではなく、ブレッシア派のフラットなヴァイオリンの設計を基として進化させていった。
 
●クレモナ(p21)
 ポー(Po)、アッダ(Adda)、オーリオ(Oglio)の3つの川に挟まれた肥沃な土地。
 BC218年、ローマの植民地が造られた。第2次ポエニ戦争後は、文化・芸術面で高いレベルを誇っていた。
 1098年、コネーム(自治都市)となる。川を利用した交易で街は栄える。1107年には大聖堂が建設される。
 12世紀から14世紀初頭までは神聖ローマ帝国に属する。
 1334年、ミラノのヴィスコンティ家に征服され、ミラノ公国の一部になる。
 1499年、ヴェネツィアの支配下となり、多くのユダヤ人が移住してきた。
 1535~1701年、スペインの支配下となる。修道会の保護を受け、ヴァイオリン製作の最盛期を迎える。
 
●モンテヴェルディ(p23)
 クラウディオ・モンテヴェルディ(Mnteverdi, Claudio、1567-1643)、クレモナ出身。オペラの作者。「オルフェオ」(1607)は、どの場面でどの楽器を用いるかを作曲者が楽譜によって示した初めてのケースとなった。38の楽器からなるオーケストラと、数多くの合唱曲とレチタティーボによって生き生きとしたドラマとなっている。
 オペラは、1600ごろ、イタリアに興った多声音楽。
 
●クレモナの工房(p34)
 クレモナのヴァイオリン製作……ヴァイオリン工房130。学生100~200人、未登録の製作者100~200人。これらを合わせると500~600人の製作者がいる。
 
●鈴木バイオリン(p39)
 フランスのミルクールのヴァイオリン産業を震撼させた新規参入のヴァイオリン・メーカー。
 三味線作りを家業としてた鈴木政吉がヴァイオリンに魅せられ、1898年に大量生産を目指してヴァイオリン製作工場を設立した。ピーク時には年間15~16万本を生産した(1921年)。
 鈴木バイオリン・メソッド……創業者三男の鈴木慎一が、演奏者教育法の確立と普及を行った。
 ヤマハが、ヴァイオリン製作に参入しなかったことも鈴木バイオリンの隆盛に大きく影響。鈴木がオルガン製作を行わないことを条件に、ヤマハ(日本楽器)は準備を進めていたバイオリン製作から手を引いた。
 
●Cremona Liuteria(p41)
 コンソルツィオ……Consorzio liutai e archettai "A Stradivari" Cremona。1996年、クレモナ製品の独自性を宣揚するために設立された商業団体。2003年に商工会議所の一機関と位置づけられる製作者協会となる。60人の製作者が所属。
 ヴァイオリン製作の品質保証のために、「Cremona Liuteria」という商標を考案。「クレモナにおけるプロフェッショナルなヴァイオリン製作者によるもの」を公認する制度。会員には年間15本まで、証明書を発行。完全な手作りであることが条件。手作りの証明として、削った木材の残りを数年間保存する必要アリ。
 
●ヴァイオリンの市場(p43)
 ヴァイオリンの市場規模は、世界で年間50万本。アメリカ20万本、日本6万本。
 
●国際ヴァイオリン製作学校(p45)
 Scuola Internazionale di Liuteria。
 1938年、ストラディヴァリ没後200周年の記念事業の一環として設立された。
 1960年、イタリア唯一の国立製作学校I.P.I.A.L.L.(Istituto Professionale Internazionale Artigianato Liutario e del Lagno)の一部となった。I.P.I.A.L.L.は、デザイナー、装飾家、家具職人などに「ディプロマ」を与える機関。
 第一課程の3年。卒業すると「ヴァイオリン職人(TECNICO DI LIUTERIA)の資格が与えられる。
 さらに2年間の課程を修了すると、「ヴァイオリン製作者(PROFESSIONALIZZANTE)の資格が与えられる。
 学生は、年間1台の製作を目標としている。通常、5年間、同じマエストロにつく。
 4・5年次には、モダン楽器の加え、ピチカート弦楽器、バロック楽器、修理、弓のコースも併設。
 
(2017/8/5)
 
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習近平の中国 百年の夢と現実
 [社会・政治・時事]

習近平の中国――百年の夢と現実 (岩波新書)  
林望/著
出版社名:岩波書店(岩波新書 新赤版 1663)
出版年月:2017年5月
ISBNコード:978-4-00-431663-3
税込価格:886円
頁数・縦:220,3p・18cm
 
 
 2016年10月27日、北京の中国共産党中央委員会第6回全体会議(六中全会)で、党の「核心」と位置づけられた習近平。実は、「核心」と呼ばれた総書記は、これまでに毛沢東、鄧小平、江沢民の3人しかいない。習指導部が盤石のものとなり、独裁体制が鮮明になった証とみてよい。
 そんな「習近平の中国」の来し方・行く末を描く。
 
【目次】
序章 習近平の描く夢
第1章 勃興する大国、波立つ世界
 米中の攻防
 海への野心
 日中の地殻変動
第2章 中国式発展モデルの光と影
 改革開放のひずみ
 農民を食べさせる
 国家の繁栄、市民の憂鬱
第3章 十三億人を率いる党
 強まる自負と深まる危惧
 「核心」時代の党大会
終章 形さだまらぬ夢
 
【著者】
林 望 (ハヤシ ノゾム)
 1972年長野県生まれ。1995年東京外国語大学外国語学部中国語学科卒業。信濃毎日新聞、人民中国雑誌社勤務の後、2001年に朝日新聞社入社。香港支局長、広州支局長などを経て、2012年から中国総局員として中国の政治・社会分野の取材を担当。2016年から米戦略国際問題研究所(CSIS)客員研究員。
 
【抜書】
●百年マラソン(p56)
 過去100年に及ぶ屈辱に復讐すべく、中国共産党革命百周年にあたる2049年までに、世界の経済・軍事・政治のリーダーの地位をアメリカから奪取するという計画。
 
●三大国有大手企業(p102)
 中国の国有企業の三大大手。石油の生産を効率化するために全国に散らばっていた企業や施設を統廃合した。
 ・中国石油天然ガス集団(CNPC)
 ・中国石油化工集団(シノペック)
 ・中国海洋石油
 企業と言いながら実態は政権と一体の存在。そこでキャリアを積んだ幹部が、歴代の共産党指導部の一角を占めてきた。党最高指導部との太いつながりを背景に、国有石油大手は中央政府を同格かむしろ格下とみなしている。
 
●公民意識(p137)
 中国人の間で広がりつつあるのが「公民意識」。
 人民……共産党政権を支えてその支配に従うという政治的な意味合いが強い。
 公民……暮らしや生命にかかわる権利意識に目覚めた人々を指す。
 新公民運動……真正面から共産党に抵抗するのではなく、社会の安定を願い、中国社会をより公正で風通しの良いものにしたいという意識の表れ。新公民運動が目指したのは、「公民」がつながる「公民社会」を育て、広げること。守るべき生活と財産、幅広い知識や情報をもつ中間層が育ってきたことも一因。
 
●『炎黄春秋』(p142)
 『炎黄春秋(えんこうしゅんじゅう)』……中国の改革派の言論を代表してきた月刊誌。
 2016年7月、『炎黄春秋』の社長を解任された杜道正が以下のような声明を発表した。
 「今後、『炎黄春秋』を名乗って刊行されるいかなる出版物も、弊社とは一切関係ありません」。
 習近平指導部になってから、記事の事前検閲が強まったり、監督機関を党の影響力の強い団体に変更させられたりし、多くのスタッフが去っていった。そして、ついに杜社長も解任された。
 もともと『炎黄春秋』は、胡耀邦元総書記の息子の胡徳華らの支えを受け、共産党体制の下で政治改革や経済改革を促そうとする穏健な改革派言論人のよりどころとなってきた。胡耀邦や趙紫陽元総書記ら、1980年代の改革派指導者たちの志を引き継ごうとする共産党内の声を代表していた。
 
(2017/7/29)KG
 
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遺伝子の社会
 [自然科学]

遺伝子の社会  
イタイ・ヤナイ/著 マルティン・レルヒャー/著 野中香方子/訳
出版社名:NTT出版
出版年月:2016年10月
ISBNコード:978-4-7571-6069-9
税込価格:3,024円
頁数・縦:285p・20cm
 
 
 生き残りをかけて闘いを繰り広げる「遺伝子の社会」を描く。生物の進化を、遺伝子をキーとしてわかりやすく解説してくれる。
 
【目次】
第1章 八つの簡単なステップを経て進化するがん
第2章 敵はあなたをどう見ているか
第3章 セックスの目的は何か?
第4章 クリントン・パラドックス
第5章 複雑な社会に暮らす放埒な遺伝子たち
第6章 チューマン・ショー
第7章 要は、どう使うかだ。
第8章 窃盗、模倣、イノベーションの根
第9章 物陰の知られざる生命
第10章 フリーローダーとの勝ち目のない戦い
 
【著者】
ヤナイ,イタイ (Yanai, Itai)
 ニューヨーク大学医学部教授(生化学・分子薬理学)・計算医学研究所所長。ハーバード大学、ワイツマン科学研究所(イスラエル)、イスラエル工科大学(テクニオン)准教授(生物学)・テクニオンゲノムセンター所長を経て現職。
 
レルヒャー,マルティン (Lercher, Martin)
 デュッセルドルフのハインリッヒ・ハイネ大学教授(生物情報学)。ケンブリッジ大学でPhD(理論物理学)取得後、バース大学(イギリス)とハイデルベルクのヨーロッパ生物学研究センターでゲノムを研究。
 
野中 香方子 (ノナカ キョウコ)
 翻訳家。お茶の水女子大学卒業。
 
【抜書】
●テロメラーゼ(p25)
 テロメアの再生を専門とする酵素。複数のたんぱく質(サブユニット)で構成され、異なる染色体上の遺伝子座にコードされている。TERT遺伝子が、テロメラーゼの作成にかかわる。
 テロメラーゼが存在する理由……卵子や精子を作る過程で、次世代が完全なテロメアを備えるために必要になる。このような、「不死」細胞という選ばれたグループのみで使われ、一般の細胞では働かないようになっている。
 テロメア……染色体の両端についている。細胞分裂の回数をおおまかに記録する「カウンター」。決まった文字列(哺乳類ではTTAGGG)が数千回も繰り返される。染色体が複製されると、テロメアの端が切り離され、短くなる。
 
●癌のホールマーク(p29)
 癌の発生には、以下の八つのホールマーク(証明)すべてを経なければならい。
 (1)増殖シグナルを自給する。
 (2)増殖抑制シグナルを無視する。
 (3)不死になる。
 (4)細胞の自殺を避ける。
 (5)免疫システムによる破壊を避ける。
 (6)貪欲にエネルギーを消費する。
 (7)新しい血管を引き寄せる。
 (8)遠くの部位をに侵入する。
 
●自然選択が働く条件(p36)
 (1)個体差があり、(2)遺伝性で、(3)適応度に影響するときに、自然選択が働く。ダーウィンによる。
 
●ハダカデバネズミ(p41)
 東アフリカに棲む。寿命が30年。一般にネズミの寿命は2~3年。
 ハダカデバネズミは癌にかからない? 八つの防御プログラムの一つを強化したか、九つ目の防御メカニズムを備えている。この仕組みが分かれば、癌の新薬開発に貢献する可能性あり。
 
●アレル(p44)
 アレル=対立遺伝子。たとえば、ヒトの半分は、ある遺伝子の4番目にCがあり、残り半分はGがあるといった具合。
 
●トゲネズミ(p82)
 日本のオキナワトゲネズミには、Y染色体がない。X染色体が一つしかないのが、オスのしるし。
 
●精子の生成(p91)
 精子の生成は思春期に始まり、男性が死ぬまで続く。しかし、細胞分裂のたびにより多くの変異が蓄積されていく。そのため、多くの遺伝的疾患は、父親の年齢とともに増えていく。
 マルファン症候群は、父親の精巣で発生した変異が原因となる場合が多い。50歳以上の父親は、20歳代前半の父親より、10倍可能性が高い。
 マルファン症候群……異常に背が高く、指が細長く、しばしば、肺、目、主幹動脈の病気を抱えている。結合組織を組み立てるのに必要なたんぱく質の形成を担っているフィブリリン1遺伝子の欠損が原因。
 
●アフリカ(p123)
 アフリカの外より中のほうが遺伝的多様性が豊か。
 非アフリカ人よりアフリカ人のほうが変異の種類が多いので、どんなことでも、最高に優れた遺伝的要因を持つ人は、アフリカ大陸のどこかに住んでいる可能性が高い。
 〔いつの日か、アフリカのどこかで子どもたちがチェスをするようになり、数世代経てば、チェスの国際大会でアフリカ人が優勝する、というのも、まったくの絵空事ではない。〕
 
●エピスタシス(p136)
 アレル間の相互作用。
 たとえばパーキンソン病は、原因はエピスタシス、すなわち三つのアレルの相互作用がうまくいかないことに起因する。
 
●セントロメア(p150)
 ヒトの染色体は23対、チンパンジーの染色体は24対。ヒトの第二染色体は、チンパンジーの二つの短い染色体がくっついたもの。
 セントロメア……すべての染色体にある、特別な領域。細胞が分裂するとき、分子の「ロープ」がこの領域に付着し、対になっている染色体を引き離す。
 ヒトの第二染色体には、現在のセントロメアの他に古いセントロメアの名残がある。祖先の二つの染色体が融合した時の名残。
 
●チンパンジー(p159)
 チンパンジーとヒトのX染色体の違いは、他の染色体の違いより約20%も少ない。ヒトとゴリラのゲノムでは、変異はすべての染色体に均等に散らばっている。
 初期のチンパンジーと初期のヒトが分岐し、それぞれのゲノムがかなり変異を蓄積した後、再び交配した。その際、チンパンジーの雌とヒトの雄との交配に偏っていた。
 混血の子ども(娘XXと息子XY)のX染色体の三分の二は、チンパンジー由来となる。
 
●ネアンデルタール人(p162)
 アフリカ人のゲノムは、非アフリカ系に比べて、ネアンデルタール人との違いが少し多い。30万年以上前に分岐した現生人類(初期のヨーロッパ人)とネアンデルタール人が、のちにアフリカの外で再び性的な交渉を持った証拠。
 
●デニソワ人(p164)
 アジア北部に暮らしていた人類。ネアンデルタール人の遠い親戚。
 東南アジアに到達した現生人類と性交した。現代の東南アジア人のゲノムにその痕跡が残されている。
 
●HLA遺伝子(p168)
 現生人類より20万年も前からヨーロッパで暮らしていたネアンデルタール人は、この地域の気候と病原体に適応していた。交配によって、その遺伝子が現生人類に受け継がれ、自然選択で普及した。
 ヒト白血球型抗原HLA-AとHLA-Cは、細胞内部から細胞の表面へたんぱく質断片を運ぶ役割を担うたんぱく質をコードする遺伝子。免疫系の機能にとって重要な遺伝子。どの病原体が認識できるかに影響する。
 現代アジア人のHLA遺伝子は、デニソワ人のゲノムに見られるものによく似ている。全体的にみて、現代アジア人の70~80%は、ネアンデルタール人とデニソワ人のいずれかに由来するHLA-Aアレルをそのゲノムに含んでいる。
 現代ヨーロッパ人では、ネアンデルタール人のアレルを持つ可能性はおよそ50%。
 アフリカ人は、これら古代型のHLA-Aタイプの一つを持つ可能性は6%。おそらく、その人の祖先がユーラシアからアフリカに戻った結果。
 
●選択浄化(p174)
 重要な変異の周辺では多様性が失われること。
 通常、二つのヒトゲノムを比べると、1,000文字に一つ違いがある(欠損や挿入を除く)。
 FOXP2遺伝子は、発話にとって重要な遺伝子。FOXP2周辺の領域は、みんな似ている。その違いは、通常の0.5%以下。言語が、ある家族が繁栄するうえでいかに重要だったかということの表れ。
 
●GADD45G(p177)
 GADD45Gは、マネージャー・タイプの遺伝子で、どの細胞の成長を止めるかというタスクを管理する。腫瘍抑制遺伝子とも呼ばれる。
 チンパンジーとヒトのゲノムの違いの一つは、GADD45G遺伝子のスイッチを含む領域にある。ヒトでは、3,200文字からなるかなり長い配列が欠けている。この欠損により、胚成長のある段階で、脳領域の成長を止める能力を失った。つまり、ヒトが大きな脳を持つことになった。
 
●HOX遺伝子(p190)
 胎生のある時期、動物は非常によく似ている。
 ほとんどの動物が、非常によく似た文字配列のホメオティック遺伝子群=HOX遺伝子群(形質転換遺伝子)を持っている。ハエ、センチュウ、マウス、……etc。例外は、クシクラゲ類など。
 HOX遺伝子は、交換可能。ハエのHOX遺伝子をセンチュウやマウスに導入しても胎の正常な成長を導くことができる。
 
●クリスタリン(p199)
 水晶体は、クリスタリンと呼ばれる透明なたんぱく質によって形成されれる。
 クリスタリン遺伝子は、代謝にかかわる遺伝子が重複し、進化したもの。クリスタリンの元々の仕事は、アルコールの分解だった。
 
●真正細菌、古細菌(p228)
 およそ20億年前、古細菌が小さな真正細菌(ミトコンドリアの祖先)を飲み込み、それをエネルギー源にした。そして、真核生物が誕生した。
 細胞内にミトコンドリアを取り込んだ結果、核ができた。核の壁は、家主のゲノムを取り囲み、死んだ間借り人(ミトコンドリア)のDNAの絶え間ない流入から自らのゲノムを守っている。
 
●LINE1(p237)
 60億文字からなるヒトのゲノムでは、管理に必要なスイッチも含め、実際に機能しているDNAは全体の三分の一に満たない。2万個のたんぱく質コード遺伝子や、健康に貢献すると思われる他のゲノム領域など。残りの40憶文字は、人の生存に何の貢献もしていない。
 LINE1(Long Interspersed Elements type 1) ……ゲノムのフリーローダー。ゲノムのうち15%以上は、ある特定の配列となっており、それがLINE1。50万コピー以上存在する。ニューヨーク公立図書館の蔵書1,200万冊のうち、180万冊がまったく同じ本(!?)。
 50万コピーは、完全に一致するわけではなく、多少の変異もある。数百年前に1匹の霊長類の遺伝子に入り込んだ配列にさかのぼる。
 完全なLINE1は、6,000文字の長さがある。マネージャー、コンバーター(RNAからDNAへの変換)、プレーカー(DNAの切断)の機能を持つ領域で成り立っている。ゲノムの他の部分に、自らのコピーをペーストしている。 ⇒ セルフ・コピー&ペースター
 
●Alu(p243)
 Aluファミリーは、ヒトのゲノムのなかに100万コピー存在し、10%を占めている。100~400文字の短いフリーローダー。LINE1と異なり、コンバーターとブレーカーを持たない。LINE1が切断したDNAの切り口に入り込む。
 
(2017/7/28)KG
 
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なぜペニスはそんな形なのか ヒトについての不謹慎で真面目な科学
 [自然科学]

なぜペニスはそんな形なのか ヒトについての不謹慎で真面目な科学
 
ジェシー・ベリング/著 鈴木光太郎/訳
出版社名:化学同人
出版年月:2017年3月
ISBNコード:978-4-7598-1926-7
税込価格:2,700円
頁数・縦:317, 13p・20cm
 
 
 ゲイの進化心理学者による、性、宗教、自殺など、タブーと見られがちな分野に関する「進化論的」エッセー。学術論文を多く引用し、テーマはきわどいが、内容は極めて科学的である。
 
【目次】
1 どうしてぶら下がっているの?その理由
2 自己フェラチオの道(近づきはしたけど、まだまだ)
3 なぜペニスはそんな形なのか?突起の謎
4 早漏のなにが「早過ぎ」?
5 ヒトの精液の進化の秘密
6 あそこの毛―ヒトの陰毛とゴリラの体毛
7 カニバリズムの自然史
8 なぜにきびができるのか?―裸のサルとにきび
9 脳損傷があなたを極端なほど好色にする
10 脳のなかの性器
11 好色なゾンビ―夜間の性器と夢遊
12 マスターベーションと想像力
13 小児性愛と思春期性愛
14 動物性愛
15 無性愛者の謎
16 足フェチ―ポドフィリア入門
17 ゴム偏愛者の物語
18 女性の射出
19 「ファグ・ハグ」―男が好きな男を好きな女
20 女性のオルガスムの謎
21 意地悪の進化―なぜ女の子どうしは残酷なのか?
22 ゲイに道は聞くな
23 抑圧された欲望としてのホモ恐怖
24 失恋、性的嫉妬とゲイ
25 トップかボトムか、それとも
26 プレ同性愛者―性的指向を予言する
27 (日曜だけは)敬虔な信者
28 埋めよ、増えよ―信者の産む子どもの数
29 亡き母の木
30 自殺は適応的か?
31 自殺者の心のなか
32 ヒトラー問題で考える自由意志
33 笑うネズミ
 
【著者】
ベリング,ジェシー (Bering, Jesse)
 PH.D.。1975年アメリカ生まれ。実験心理学者・コラムニストで、『サイエンティフィック・アメリカン』や『スレート』の常連寄稿者。フロリダ・アトランティック大学大学院修了後、アーカンソー大学准教授、ベルファストのクイーンズ大学認知文化研究所のディレクターを経て、現在、ニュージーランドのオタゴ大学サイエンス・コミュニケーション・センターで准教授を務める。
 
鈴木 光太郎 (スズキ コウタロウ)
 新潟大学人文学部教授。専門は実験心理学。東京大学大学院人文科学研究科博士課程中退。
 
【抜書】
●遅漏ー高攻撃性仮説(p37)
 社会学者ローレンス・ホン「早漏者生存――早漏の起源について」(1984年)という論文で展開。
 霊長類では、セックスが短時間で終わる種ほど、配偶に関係した行動では攻撃性が低い。
 より早く射精する男性のほうが、危害が加えられるのを避け、より長生きし、その結果高い地位を占め、最も望ましい雌たちを獲得する機会が多くなる。男性の膣内射精の潜時は遺伝する。
 
●精漿の成分(p45)
 ヒトの精液中、精子の割合は1~5%。残りの液を精漿という。
 精漿の成分は、ホルモン、神経伝達物質、エンドルフィン、免疫抑制物質などを含む。
 コルチゾール……愛情を高める作用がある。
 エストロン……気分を高める。
 オキシトシン……気分を高める。
 プロラクチン……自然の抗鬱薬。
 甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン……抗鬱薬。
 セロトニン……抗鬱作用のある神経伝達物質。
 メラトニン……催眠物質。
 卵巣刺激ホルモン(FSH)……女性ホルモンの一種。卵巣内の卵胞の成熟を引き起こす。
 黄体形成ホルモン(LH)……女性ホルモンの一種。排卵を誘導し、その卵を排出する。
 
●ケジラミ(p58)
 ヒトの陰毛のケジラミは、ゴリラのケジラミと近縁関係にある。330万年前に分岐。ゴリラの粗い体毛に適応していたので、ヒトの陰毛にちょうど良い居場所を見つけた。
 太古のヒトが、ゴリラを殺して食べていた。ゴリラの死体との接触が、ケジラミの感染をもたらした。
 
●腋臭(p191)
 ゲイは異性愛者とは異なる腋臭を発し、ほかの人間はその匂いを感じ取れる。
 
●日曜効果(p228)
 ハーバード・ビジネス・スクールのディーパク・マルホトラの研究。
 宗教的な人々はチャリティの求めに非宗教的な人々よりもより強く反応するが、それは教会に行ってきた日に限られる。
 
●シェイカー教(p234)
 ドイツの社会学者ミヒャエル・ブルーメの研究。
 シェイカー教徒は、集団内での結婚を妨げたり禁じたりし、代わりに布教活動、外部者の転向や改宗に重点を置いた。「若者のいなくなり始めた共同体は、ほかの若者たちには共同体のミッションが魅力に欠けたものに見えるようになる。こうしてシェイカー教徒の集団は高齢化し、崩壊した」。
 
●オナイダ共同体(p234)
 ニューヨーク州北部のキリスト教コミューン。
 数世代にわたり、オナイダ共同体の医者は、遺伝的健康の観点から注意深く選ばれた男女を結婚させた。生まれた子供は共同体で育てられ、母子のきずなは弱められた。
 人為淘汰によらない子供が生まれるのを避けるため、10代の少年を閉経後の女性とセックスさせた。両者の個人的関係を築く中で、敬虔な年長の女性が若者に重要な宗教的教育を施した。
 大人の男性は、性交中に射精しないようにするテクニックを訓練した。
 30年後にメンバーは数百人に達したが、1881年にこの宗教共同体は崩壊した。
 〔このメンバーはおそらく遺伝的資質に恵まれていたが、その社会的地位は高くなかった。その後、彼らは銀製食器の交易に携わるようになり、いまは企業オナイダとして大成功している。〕
 
●緑の埋葬(p242)
 遺体は防腐剤で処理されることなく、自然保護区に埋められる。
 通常の埋葬方法は、自然破壊を引き起こしている。墓地を作るための広大な土地、防腐保存液、棺用の木材、金属などなど。火葬も同様。一人分の火葬に必要なエネルギーで、7,700kmをドライブできる。
 
●自殺の数式(p251)
 デニス・デカタンザロが1986年に提案した「自己保存と自己破壊の数学モデル」。
 翻訳すると……〔ヒトは自分の直接の繁殖的見込みが低くなった時に、そして同時に、自分が存在し続けることが自分の遺伝的血縁者の繁殖の妨げになって包括適応度を下げると(正しいかどうかはともかく)感じた時に、自殺する可能性がもっとも高い。重要なのは、デカタンザロが、そして彼とは別個に調査を行っている研究者も、この適応モデルを支持するデータを得てきているという点である。〕
 
(2017/7/24)KG
 
〈この本の詳細〉


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