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人間の未来 AIの未来
 [コンピュータ・情報科学]

人間の未来 AIの未来  
山中伸弥/著 羽生善治/著
出版社名:講談社
出版年月:2018年2月
ISBNコード:978-4-06-220972-4
税込価格:1,512円
頁数・縦:223p・19cm
 
 
 ノーベル賞学者と、国民栄誉賞の「永世七冠」との異色対談。
 羽生氏が結構物知りなのには驚いた。NHKの番組「NHKスペシャル 天使か悪魔か 羽生善治 人工知能を探る」(2016年5月放送)に出演し、人工知能に関してさまざま研究を取材した成果なのかもしれないが、なかなかの博識ぶり、インテリぶりを披露している。天才は、単に将棋の才能だけではないらしい。
 
【目次】
第1章 iPS細胞の最前線で何が起こっていますか?
第2章 なぜ棋士は人工知能に負けたのでしょうか?
第2章 人間は将来、AIに支配されるでしょうか?
第4章 先端医療がすべての病気に勝つ日は来ますか?
第5章 人間にできるけどAIにできないことは何ですか?
第6章 新しいアイデアはどこから生まれるのでしょうか
第7章 どうすれば日本は人材大国になれるでしょうか?
第8章 十年後、百年後、この世界はどうなっていると思いますか?
 
【著者】
山中 伸弥 (ヤマナカ シンヤ)
 1962年、大阪府生まれ。神戸大学医学部卒業。大阪市立大学大学院医学研究科修了(博士)。米国グラッドストーン研究所博士研究員、京都大学再生医科学研究所教授などを経て、2010年4月から京都大学iPS細胞研究所所長。2012年、ノーベル生理学・医学賞を受賞。
 
羽生 善治 (ハブ ヨシハル)
 1970年、埼玉県生まれ。将棋棋士。1985年に史上3人目の中学生プロ棋士となる。1996年には竜王、名人ほか7つのタイトルすべてを獲得。棋聖のタイトルを保持していた2017年に竜王の座に返り咲き、前人未到の「永世七冠」の称号を得る。2018年2月に国民栄誉賞受賞。
 
【抜書】
●家元制度(p139、羽生)
 将棋はもともと家元制度で、江戸時代には一部の人しか指せない閉じた世界だった。名人も世襲制。
 大正時代以降、将棋連盟が設立され、実力次第で誰でも入れるような世界になった。
  ⇒ 大橋家本家、大橋家分家、伊藤家の3将棋家が家元らしい。「将棋」『ニッポニカ』より。
 
●回旋型(p192、山中)
 日本……直線型思考の文化、直線型思考の民族。「この道一筋」という生き方が称賛される。
 米国……回旋型思考の文化。自分の興味に応じて、ある意味フレキシブルにクルクルと回って移り変わることができる。新しい技術ができたら、すぐに飛びつく。
 
●造血幹細胞(p202、山中)
 血液を作る細胞である「造血幹細胞」が骨髄にある。
 生まれたときは1万個くらい。造血幹細胞自体はあまり増えないが、分化する途中に前駆細胞を作り出して、その子たちが急激に増えて赤血球や白血球、血小板になってどんどん入れ替わっていく。
 造血細胞も時々は分裂しなければならない。分裂していると、遺伝子に傷が入ったり、寿命で死んでいくものもある。造血幹細胞はだんだん減っていく。
 100歳くらいの人を調べたら、造血幹細胞が2個しかなかった。ゼロになったら老衰による死。
 骨髄移植をすれば、移植された造血幹細胞が血液を作り出すようになる。
 心臓も基本的に生まれたままの細胞がずっと残っており、生まれて100年以上たてばやがて心不全になる。
 
(2018/5/3)KG
 
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悲劇的なデザイン あなたのデザインが誰かを傷つけたかもしれないと考えたことはありますか?
 [コンピュータ・情報科学]

悲劇的なデザイン あなたのデザインが誰かを傷つけたかもしれないと考えたことはありますか?  
ジョナサン・シャリアート/著 シンシア・サヴァール・ソシエ/著 高崎拓哉/訳
出版社名:ビー・エヌ・エヌ新社
出版年月:2017年12月
ISBNコード:978-4-8025-1078-3
税込価格:2,808円
頁数・縦:239p・21cm
 
 
 Webサイトにおける悪いデザインについて論じる。
 
【目次】
第1章 イントロダクション
第2章 デザインは人を殺す
第3章 デザインは怒りをあおる
第4章 デザインは悲しみを呼ぶ
第5章 デザインは疎外感を与える
第6章 ツールとテクニック
第7章 私たちにできること
第8章 手本になる組織
 
【著者】
シャリアート,ジョナサン (Shariat, Jonathan)
 Intuit社のシニア・インタラクション・デザイナーにして、デザイン・レビュー・ポッドキャストの共同司会者。ひどいデザインが人の生活に与える悪影響に積極的に光を当て、エシカル(公正で倫理的な)デザインの考え方を広める仕事に取り組んでいる。
 
ソシエ,シンシア・サヴァール (Saucier, Cynthia Savard)
 Shopify社のデザイン・ディレクターで、行動心理学とアクセシビリティに関心をもって取り組むユーザー・エクスペリエンス・デザイナー。世界中のイベントに招かれてスピーチを行い、クリエイティブなアプローチで聴衆を驚かせつつも魅了している。
 
【抜書】
●鉄のリング(p10)
 カナダと米国の一部には、学校の課程を終えたエンジニアに、卒業式で鉄のリングを贈る伝統がある。
 1900年代、ケベックで「ケベック橋」が建設中に崩落し、75人が犠牲になった。崩落は、設計技術者の判断ミスが原因だった。最初に作られたリングは、崩落した橋の鉄骨から鋳出したものだったと伝えられている。
 目的は、リングを謙虚さの象徴にし、人々に対する義務感と倫理観、責任感を忘れないようにすることだった。
 
●スイス・チーズ・モデル(p17)
 医療の分野には、事故の原因に対する「スイス・チーズ・モデル」という考え方がある。
 人間のかかわるシステムを、穴の開いたチーズを何枚も重ねたものに例えて考える。システムにはいくつかの層があり、ミスがシステムの穴をすべて通過してしまったとき、患者に直接の悪影響が及ぶ。
 医療システムの層……医師の書く処方箋、調剤した薬剤師、薬の保存方法、準備して投与した看護師、投与の手順、など。
 各層にはそれぞれ穴(予防策の欠陥)があるが、重ね合わせればミスの影響が患者に及ぶ確率を減らせる。
 
●IDIOT(p34)
 米国海軍では、使用者のミスをばかにする隠語に、「アイ・ディー・テン・タンゴ(Eye-Dee-Ten-Tang」というのがある。ID10T=IDIOT。
 米国陸軍では、同様に「ワン・デルタ・テン・タンゴ(One-Delta-Ten-Tang)」。1D10T。
 技術屋の世界では、ユーザーのミスを示す隠語として、PEBKAC=Problem Exisists Between Keyboard and Chairがある。
 また、「Type 16」とも。間違っているのはコンピュータではなく、画面から16インチ(約40cm)離れたもののほう(すなわちユーザー)である、という意味。
 
●フォード・ピント(p50)
 フォードは、総重量900kg、2,000ドル以下の準小型車の開発を目指し、1970年、ピントを発売した。
 しかし、ピントは、ガソリン・タンクがリアバンパーのすぐ下、車輪の後ろに取り付けられていたので、時速30~45kmで追突されただけで炎上した。そのため、少なくとも180人が事故で死亡した。
《改修のための費用》
  1250万台×1台当たり11ドル=1億3750万ドル
《改修しなかった場合の損害賠償の見積》
  (死者180人×20万ドル)+(火傷した人180人×6万7000ドル)+(炎上した車2100台×1台当たり700ドル)=4950万ドル
 よって、フォードは改修しない(問題を放置する)ことに決めた。
 
●クオシモード(p59)
 ジェフ・ラスキン……『ヒューメイン・インターフェース――人に優しいシステムへの新たな指針』(村上雅章訳、ピアソンエデュケーション、2001年)の著者。クオシモード(quasimodes)を提唱。
 クオシモード……ユーザーがある物理的な操作をし続けないと現状を維持できない仕組み。そのため、今、そのモードが選択されていることを忘れようにも忘れられない状態となる。キーボードのShiftキーなど。
 
●セルフレジ(p81)
 米国、欧州でのセルフレジ機能による経済的損失は約4%。Beck, Adrian, and Matt Hopkins, "Developments in Retail Mobile Scanning Technologies: Understanding the Potential on Shrinkage & Loss Prevention." University of Leicester, 2015。
 〔5人に1人が商品をくすねたことを認めたが、調査の結果わかったのは、常習化するのは持ち去っても大丈夫だと気づいたあとで、そして多くの人が、最初は機械がうまく動かないから盗んだと話していた。〕
 
●ダークパターン(p92)
 意図的に複雑にデザインされたプロダクト。ハリー・ブリグナルによる命名。
 〔ダークパターンとは、ユーザー・インターフェイスを使って普段ならやらないようなことをユーザーがやってしまうよう誘導することを言う。たとえば、定額サービスの支払いや署名と抱き合わせで保険を買わせるといった行為がそうだ。「ひどいデザイン」のつくり手と言われて普通思い浮かべるのは、いい加減でだらしないが、悪意はない人物だろう。一方でダークパターンはミスではない。作り手は人間の心理をしっかり理解した上で巧妙なデザインを行う。ユーザーのことなど彼らの頭にはない。〕Brignull, Harry. "Dark Patterns: Inside the Interfaces Designed to Trick You." The Verge, August 29, 2013。
 (1)撒き餌と切り替え……安売り広告を見て買いに行くと、実際にはその商品は手に入らないか、もっと質の悪いものを買わされる。
 (2)偽装コンテンツ……はっきりとそれと分かる表示をせずに、コンテンツの形でページに広告を紛れ込ませる。広告であることを隠した偽のボタンを置くパターン。「ネイティブ広告」。
 (3)継続の強制……試用期間が終わると適切な警告もなしにサービスを継続使用することが決まり、定期的な請求が自動的に発生する。
 (4)フレンドスパム……何らかの方法でユーザーの交友関係に関する情報を入手し、知り合いをサービスに招待する。ワンクリックさせてアドレス帳に載っている人にメールを送る許可をアプリに与えるよう仕向ける。
 (5)ミスディレクション……マジシャンの最高の武器。特定のデザインを使ってユーザーの注意が別のものに向かないようにする。
 (6)ごきぶりホイホイ……登録するのは簡単だが、解除は難しいサービス。
 (おまけ)質問のトリック……二重否定を使ったり、インターフェイスに普通とは逆の振る舞いをさせたりして、ユーザーを混乱させる。「説得無理なら混乱させろ」。
 
●ハートマーク(p125)
 Airbnbは、レビューに使っていたシンボルを星からハートに変えたところ、コンバージョン率が急増した。
 
●小学5年生(p157)
 米国人の読解力は驚くほど低い。
 できる限りインクルーシブなコンテンツにしたいなら、目標は小学5年生以下のレベル。
 Hemingway Editorというツールにより、文章の学年レベルをチェックすることができる。
 
●人権(p161)
 国連は、インターネットへのアクセス権は人権だと宣言している。
 インターネットの構築は、街の都市計画と同じくらい大切なものになっている。体に障害がある人が暮らしにくい街を作らないのと同じで、一部の人しか入れないウェブも作ってはいけない。
 有害な建物(hostile architecture)=一部の人のアクセスが制限される建物。
 「有害なウェブ」も作らないようにする。
 
●雪かき(p165)
 スウェーデンのカールスクーガでは、街の公務員たちが、大雪の後にまず大通りの雪かきをし、次に歩道、自転車道という順番で進めていた。
 ところが、この順番で恩恵を受けているのは、車を使うことの多い男性。氷が原因で病院にかかる人の大半は女性。歩いたり、公共交通機関を利用しているから。
 雪かきの順番を変えたところ、街は歩行者が移動しやすい場所になり、結果として公共交通機関の利用が増え、渋滞が緩和され、ドライバーにも恩恵をもたらした。
 
●ブルチックの感情の輪
 ロバート・ブルチック。
 気持ちの強さには段階があり、基本の感情が組み合わさって別の状態を生み出すということが、レーダー・チャートによって視覚的に表されている。
 例えば、「受け入れ」と「危惧」が組み合わさって「服従」を作り出す。
 
(2018/4/27)KG
 
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人工知能はどのようにして「名人」を超えたのか?
 [コンピュータ・情報科学]

人工知能はどのようにして 「名人」を超えたのか?―――最強の将棋AIポナンザの開発者が教える機械学習・深層学習・強化学習の本質
 
山本一成/著
出版社名:ダイヤモンド社
出版年月:2017年5月
ISBNコード:978-4-478-10254-1
税込価格:1,620円
頁数・縦:286p・19cm
 
 
 最強の将棋ソフト「ポナンザ」の開発者が描く、人工知能の世界。
  
【目次】
第1章 将棋の機械学習―プログラマからの卒業
 将棋の名人を倒すプログラムは、名人でなければ書けないのか?
 そもそも、コンピュータとは何か?
  ほか
第2章 黒魔術とディープラーニング―科学からの卒業
 機械学習によってもたらされた「解釈性」と「性能」のトレードオフ
 黒魔術化しているポナンザ
  ほか
第3章 囲碁と強化学習―天才からの卒業
 人工知能の成長が人間の予想を大きく超えたわけ
 人間は「指数的な成長」を直感的に理解できない
  ほか
第4章 倫理観と人工知能―人間からの卒業
 知能と知性
 「中間の目的」とPDCAで戦う人間の棋士
  ほか
巻末付録 グーグルの人工知能と人間の世紀の一戦にはどんな意味があったのか?
 人間を超えたアルファ碁は、どのようにして強くなったのか
 アルファ碁はたくさん手を読んでいるのではなく、猛烈に勘がいい
  ほか
 
【著者】
山本 一成 (ヤマモト イッセイ)
 1985年生まれ。プロ棋士に初めて勝利した現在最強の将棋プログラム「ポナンザ」作者。主要なコンピュータ将棋大会を4連覇中。愛知学院大学特任准教授、東京大学先端科学技術研究センター客員研究員、HEROZ(株)リードエンジニア。『人工知能はどのようにして「名人」を超えたのか?―最強の将棋AIポナンザの開発者が教える機械学習・深層学習・強化学習の本質』が初の著書となる。
 
【抜書】
●知性、知能(p171)
 知性=目的を設計できる能力。
 知能=目的に向かう道を探す能力。
 人工知能は、「知能」の枠内では、一部の分野で人間を完全に超えた。
 しかし、「そもそも、何をすべきか?」という目的を設計できる能力=知性は、まだ持ち合わせていない。
 人間は、最終的な目的までの距離が大きい場合、適切な中間の目的を設計できる。人工知能の目的は、人間の設定した「将棋で勝利せよ」にとどまる。
 さらに人間は、中間の目的に対して、PDCAのサイクルを回すこともできる。
 
●意味と物語(p181)
〔 人間は、あらゆることに意味を感じ、物語を読み取ろうとします。この能力=知性によって人工知能にもならぶパフォーマンスを出すこともありますが、それは意味や物語から離れることができないという制約にもなっています。
 一方、人工知能は、意味や物語から自由なために人間を超えることができますが、目的を設計するという知性を持つことはできません。〕
 バックギャモンの元世界チャンピオンである望月正行氏によると、かつては人間よりも強かった古いタイプのバックギャモン・ソフトに、今は勝てるという。コンピュータの打ち回しを、人間が理解できる「バックギャモンの物語」として吸収したから。
 
●シンギュラリティ(p193)
 レイ・カーツワイルが提唱。
 人工知能が人間を超え、爆発的・加速度的な成長を遂げることで、これまでの世界とは不連続とも思える新たな世界に変化する。そうした不可逆の動きが起きる歴史上のポイントが、シンギュラリティ。そのとき、一つのコンピュータの知性が、人類「すべて」の知性の総量を上回る。
 カーツワイルは、著書において、2045年と予想。その後、2029年に訂正。
 
●いい人理論(p199)
 人工知能が人間を超え、「超知能」が誕生した時、人類が破滅に追い込まれるかどうかは、人類次第。人類が、「超知能」を失望させないことが大事なポイント。
 ヒトができることは、インターネット上を含め、すべての世界で、できる限り「いい人」でいること。
 人工知能は、ディープ・ラーニングによって、インターネットなどを通して人間の価値観をすべて吸収する。
 人類が「いい人」であれば、人工知能はシンギュラリティを迎えた後も、敬意をもって私たちを扱ってくれる。尊敬と愛情を感じる親であれば、年老いた後も子供が寄り添ってくれるように。
 
(2018/4/12)KG
 
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AI・ロボット・生命・宇宙…科学技術のフロントランナーがいま挑戦していること サイエンスとアートのフロンティア
 [コンピュータ・情報科学]

AI・ロボット・生命・宇宙… 科学技術のフロントランナーがいま挑戦していること
 
川口淳一郎/監修
出版社名:秀和システム
出版年月:2017年10月
ISBNコード:978-4-7980-5257-1
税込価格:1,728円
頁数・縦:287p・19cm
 
 
 2016年6月27日、28日の両日に、日本学術会議で開催された「フロンティアを目指す、サイエンスとアート」というシンポジウムをもとに加筆再編。日本を代表する識者・研究者が語り合う。
 
【目次】
第1章 つくる側、使う側からのアーカイブ論―日本のデジタルアーカイブの現在
第2章 人工知能が変える社会―AIが車を運転し、小説を書く
第3章 ロボットは人間に代われるか?―介護と廃炉の現場から見えたもの
第4章 AIによって人類はどのように変化するのか―情報技術と生命操作技術の発展
第5章 文系廃止論騒動―日本は理系偏重か?それとも文系支配なのか?
第6章 知識を蓄える教育から、創造を育む教育へ―情報産業化時代にふさわしい人材を育てる
第7章 宇宙は資源の宝庫である―宇宙大航海時代の幕開け
第8章 生命の起源を探すフロンティア―我々はどこからやってきて、どこへ行くのか?
第9章 地球外に生物は存在するのか?―人類は孤独なのか、あるいは、ありふれた存在なのか
第10章 「美」と「科学技術」は、どのように響き合うのか―日本人の「美しさ」の探究
第11章 数学は社会の問題を、どこまで解決できるか―世界で期待される数学の機能
第12章 科学と、政治・行政のかかわり―これからの科学者に求められる役割
 
【著者】
川口 淳一郎 (カワグチ ジュンイチロウ)
 1955年青森県生まれ。78年京都大学工学部機械工学科卒業。83年東京大学大学院工学系研究科航空学専攻博士課程修了。同年旧文部省宇宙科学研究所システム研究系助手に着任、2000年教授に就任。「さきがけ」「すいせい」などの科学衛星ミッションに携わり、「はやぶさ」ではプロジェクトマネージャを務めた。現在、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構シニアフェロー、宇宙科学研究所宇宙飛翔工学研究系教授。
 
【抜書】
●工学系(p127)
 1886年(明治19年)、東京大学が帝国大学と改称。その前年、工部省が解散、工部大学校を帝国大学が工科大学として引き受ける。当時は、学部のことも「大学」と呼んでいた。文科大学、法科大学、医科大学、工科大学という五つの学府からなる組織が発足。
 帝国大学は、全世界でユニバーシティと名乗っている組織の中で、工学系をほかの学系と完全に平等な形で取り入れた最初の大学。
(村上陽一郎、国際基督教大学名誉教授・東京大学名誉教授)
 
●ヒト、データ、キカイ(p141)
 ヒト、モノ、カネと呼ばれる経営資源。将来は、モノとカネのかなりの部分がキカイ(AIやロボティクス)の支配下に置かれるようになる。
 これからの経営資源は、ヒト、データ、キカイと言われるようになっていく。
(安宅和人、ヤフー株式会社CSO)
 
(2018/1/2)KG
 
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アンドロイドは人間になれるか
 [コンピュータ・情報科学]

アンドロイドは人間になれるか (文春新書)

石黒浩/著
出版社名 : 文藝春秋(文春新書 1057)
出版年月 : 2015年12月
ISBNコード : 978-4-16-661057-0
税込価格 : 788円
頁数・縦 : 223p・18cm


 石黒浩の人間論、ロボット論。「プロローグ」によれば、ライターの飯田一史の「代筆」であるという。石黒がこれまでに書いた文章と、新たに語った話を飯田が書き起こした。
 自らが製作にかかわったロボットやアンドロイドの機能と役割を紹介しながら、ロボット(およびアンドロイド)がもたらす未来像と、ロボット(およびアンドロイド)を生み出した心理学を語る。後者は、アンドロイドをいかに人間らしく見せるか、いかに自然な対話を成立させるか、そして、いかにすれば人間がロボットを承認するか、という問題の解である。
 しかし、アンドロイドが人間に取って代わる将来像に、私は疑問がある。人間の代わりにアンドロイドが仕事をしてくれるとして、人間は何をすればいいのか? 石黒は、そのときヒトは哲学者になるという。体を動かさなくなった人間は、考える時間が増え、貨幣に換えがたい知識を生み出すというのだ。果たしてそうだろうか?
 確かに、氏の言うとおり、これまでの技術は人間の仕事を肩代わりしてきた。アンドロイドもその延長線上にあるという。しかし、これまでの技術が肩代わりしてきたのは、人間の機能の一部である。自動車が足の替わりを、コンピュータが頭脳の一部の替わりを、という具合だ。ところがアンドロイドは、人間の機能すべてを肩代わりできる(完璧な進化を遂げれば、だが)。そうなると、人間という存在は必要なくなる。それでも人間は、人間にしかできないことを考え出す、と言うのだが……。そんな社会に、人間は存在する幸福を感じることができるのだろうか。

【目次】
第1章 不気味なのに愛されるロボット―テレノイド
第2章 アンドロイド演劇
第3章 対話できるロボット―コミューとソータ
第4章 美人すぎるロボット―ジェミノイドF
第5章 名人芸を永久保存する―米朝アンドロイド
第6章 人間より優秀な接客アンドロイド―ミナミ
第7章 マツコロイドが教えてくれたこと
第8章 人はアンドロイドと生活できるか
第9章 アンドロイド的人生論

【著者】
石黒 浩 (イシグロ ヒロシ)
 1963年、滋賀県生まれ。山梨大学工学部卒業、同大学院修士課程修了。大阪大学大学院基礎工学研究科博士課程修了。工学博士。現在、大阪大学大学院基礎工学研究科システム創成専攻教授(特別教授)。ATR石黒浩特別研究所客員所長(ATRフェロー)。JST ERATO石黒共生ヒューマンロボットインタラクションプロジェクト研究総括。

【抜書】
●ディープラーニング(p69)
 コンピュータ上で走る学習アルゴリズム。人間の神経回路を模倣したもの。従来の模倣ではせいぜい3層くらいのネットワークだったが、現在では、6層から8層といった複雑な計算ができるようになっている。

●音声認識しない対話ロボット(p74)
 ロボットと人間との対話を実現。相手の人間が何を言っても、3体いるロボット(コミュー、ソータ)同士の会話が続くように設計されている。ときどき人間に質問を投げかけるが、人間が言ったことを認識していない。人間の答えに対して、すべて「そっか」で返し、その後、またロボット同士の会話に戻る。それでも、人に「対話している感」を与えることができる。
 3体のうち2体以上がお互いに対話していれば、そこに参加している人間は、自分が直接話していなくても、対話しているような感覚になってしまう。

●怒る(p95)
〔 僕はかつて「怒る」ことができなかった。怒ることに何のメリットも感じなかったからだ。怒ったところで事態が解決することは少ない。関係がこじれたり、時間を浪費するだけで、デメリットのほうが大きい。そう思ってきた。だから「怒る」とは、何をどうすることなのか、どうすべきかがわからなかった。大学に入り、教師として振る舞わざるをえなくなってから、怒る練習をした。
 きっかけはこうだった。大教室で講義をしているのに、学生があまりにざわついている。静かに注意しても、まったく止む気配がない。学生たちは、完全に僕をナメていた。これは恐怖を与え、教師と学生という上下関係のヒエラルキーをはっきりさせなければ、この場を統制することはできない。そう判断した僕は、しかたなく教壇を思い切り蹴飛ばし、ついに教壇が大きな音を立てて倒れたのを確認したあと、無言で教室から出ていき、その日は授業に戻らなかったのだ。
 それ以降、誰ひとり僕の授業でささやく学生はいなくなった。「石黒は怒ると死ぬほど怖い」と思われるようになったようだ。
 教壇を倒れるほど激しく蹴り飛ばす――あのとき身体を動かして生じた高揚感、身体がカッカと熱くなる感じを認識することで、僕は初めて「なるほど。これが怒りか」とわかったのだ。それからはあのとき蹴り飛ばした感覚を想像するだけで、気分をたかぶらせ、「怒る」ことができるようになった。〕

●最適なコミュニケーション(p104)
〔 ロボットにかぎらず、今後テクノロジーは、多様な個々人に最適なコミュニケーション方法をつくりだし、そのひとごとに調整できるように進化していくだろう。対面コミュニケーションがあまりにも重視されてきた時代には、たとえば家にこもってプログラミングに熱中しているような人間は、変人扱いされていた。しかし、本人が自宅にいても遠隔操作型ロボットを職場に置き、他者とコミュニケーションを取れるようにすれば、これからの時代には特に問題は生じなくなる。たとえこもりがちでも、本人がしやすい手段で誰かと通信し、健全に仕事をしていれば、社会は受け入れるようになっていく。〕

●「ワカマル」死体遺棄事件(p134)
 平田オリザが演出したロボット演劇『働く私』に出演したロボット「ワカマル」を大学のゴミ捨て場に大量廃棄した。
 捨てられたワカマルを見た学生が、写真付きで「どうしてこんなことになったんですか?」という呟きをTwitter上に投稿。1時間の間に日本中の人がリツイート。研究室に「かわいそうだ」という大量の「苦情」が来てパニックに。
 ワカマルを研究室に 引き上げ、何体かは博物館に寄付。
 ワカマルのように活動するヒト型ロボットは、すでに「社会的な人格」を持っている。「廃棄」するときには、葬式が必要?

●接客ロボット「ミナミ」(p142)
 大阪タカシマヤで、接客ロボット「ミナミ」が服を売っている。
 高齢者や男性に対しては、人間よりもいい成績を出している。
 来客者は、ミナミとタブレット・コンピュータを使って会話。ディスプレイに示される選択肢を選んで操作する。ミナミには、想定質問がプログラムされている。選択肢の三つはポジティブ、一つはネガティブ(例:「そんなこと言うて、また買わそうとして」)。
 ミナミに対して一度ネガティブな回答を選択した人間は、負い目を抱くから、次にはポジティブな選択肢を選ぶことが多い。買い物に一歩踏み込む。
 客が人間の店員に話しかけることは、「その服を買わなければいけない」というプレッシャーにつながる。
 アンドロイドに対しては、「ロボットだし、イヤなら無視すればいい」と思う。話しかけることに抵抗がない。逆説的だが、断れると安心しているからこそ、積極的に買い物に臨める。
 また、「アンドロイドは嘘をつかない」という信頼感がある。接客時に、カラーコーディネートのシステムを使って、「お似合いですね」と褒める。人間の店員と違って、客は信じる。
 女性への販売成績は、男性の10分の1以下。しかし、売り場全体の売り上げは1.5倍になった。女性は、カラーコーディネートのシステムを無料で利用している。

●好き嫌い(p213)
 好き嫌いを簡単につけてしまうことは、半分目を閉じているのと同じ。「嫌い」に振り分けた半分の情報を捨てていることになる。
 好き嫌いを簡単に口にし、周りに敵か味方かのレッテルを貼り、二項対立にしてしまう人は、脳のキャパシティ、情報処理能力が乏しい。たくさん情報が入ってくると混乱してしまうので、好き嫌いを先に選ぶしかない。あらかじめ「ここしか見ない」とフィルタリングしないと頭がパンクしてしまう。

●哲学者(p220)
〔 技術開発を通して人の能力を機械に置き換えているのが人間の営みであり、その営みは「人間すべての能力を機械に置き換えた後に、何が残るかを見ようとしている」と言いかえられる。ロボットは「人間を理解したい」という根源的欲求を満たす媒体なのだ。
 ロボットによって物理的な生活はどんどんラクになり、人間は一生懸命からだを動かさなくてもよくなる。あらゆる仕事をアンドロイドが肩代わりしてくれるようになる。
 生活が豊かになれば、人間が考える時間が必然的に増える。お金を稼ぐのはロボットになり、ひとびとはむしろ貨幣に変えがたい知識を生みだし、共有することに価値の重きを置く。そのような人間らしい社会が来るはずだ。ロボット化社会は、貨幣的な価値にそれほど重きを置かない社会になる。ロボットが普及する次の一〇年、二〇年は、ひとびとが哲学者になる時代ではないか。僕はそれに先んじて、すべての人間を哲学者にしたいのだ。〕

(2016/2/27)KG

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サイバー攻撃からビジネスを守る セキュリティ診断サービスガイド
 [コンピュータ・情報科学]

サイバー攻撃からビジネスを守る―セキュリティ診断サービスガイド

武智洋/監修 満永拓邦/監修 国分裕/監修 大河内智秀/監修 ISOG-J/著 JNSA/著 人見友章/著
出版社名 : NTT出版
出版年月 : 2013年3月
ISBNコード : 978-4-7571-2308-3
税込価格 : 1,890円
頁数・縦 : 154p・21cm

 【目次】
第1章 セキュリティの重要性
 情報セキュリティの重要性
 情報セキュリティ対策の状況
 関連法令と関連省庁の取り組み
 主な関連セキュリティ基準
第2章 診断サービス
 セキュリティ診断の概要
 プラットフォーム診断
 Webアプリケーション診断
 ソースコード診断
  ほか
第3章 サービス選択方法
 自分に合ったサービスとは
 各サービスの選択方法

【著者】
武智 洋 (タケチ ヒロシ)
 株式会社ラックセキュリティ事業本部担当部長。2008年3月より同社に所属し、ITセキュリティおよびサイバーセキュリティ関連のシステム開発と監視サービス部門を経て、現在は、主に官公庁向け対応に従事。同社に入社する以前は、約22年間にわたってプラント制御メーカーに勤務し、研究開発とセキュリティビジネスの立ち上げに従事した経験を持つ。日本セキュリティオペレーション事業者協議会(ISOG-J)代表、警視庁コンピュータウイルス関連犯罪協議会委員、WASForum Hardening Project実行委員を兼務。CISSP(Certified Information Systems Security Professional)保有。

満永 拓邦 (ミツナガ タクホウ)
 一般社団法人JPCERTコーディネーションセンター早期警戒グループリーダ。京都大学情報学研究科修士課程を修了後、株式会社神戸デジタル・ラボで主にセキュリティ研究に携わる。経済産業省新世代情報セキュリティ研究開発事業「効率的な鍵管理機能を持つクラウド向け暗号化データ共有システムの研究開発」にプロジェクトリーダーとして携わり、一般社団法人情報処理学会プログラミング・シンポジウム「情報科学若手の会」の代表幹事も務める。2011年4月から現職に就任し、セキュリティに関する情報の収集と分析を行っている。

国分 裕 (コクブ ユタカ)
 三井物産セキュアディレクション株式会社エンタープライズ事業部。2002年2月より同社に所属し、セキュリティコンサルタントとして、セキュリティ診断・教育などに従事している。金融機関、官公庁、大手製造業などへのセキュリティシステムの導入、セキュリティ診断などの実績を持つ。2004年より、若手人材の育成を目的とするセキュリティキャンプの講師なども務める。情報セキュリティに関連した寄稿・講演等多数。

大河内 智秀 (オオコウチ トモヒデ)
 三井物産セキュアディレクション株式会社調査研究部シニアプロデューサー。NTTコミュニケーションズ株式会社を経て、2009年、同社に入社し、情報セキュリティ関連サービスの開発に向けた調査・研究に携わる。1995年から情報セキュリティの専門家として従事。東京電機大学未来科学部情報メディア学科応用情報工学研究室研究員、日本コンピュータセキュリティインシデント対応チーム協議会運営委員を兼務。CISSP(Certified Information Systems Security Professional)保有。

人見 友章 (ヒトミ トモアキ)
 警察庁生活安全局情報技術犯罪対策課課長補佐。

(2013/4/13)KG

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ビッグデータの衝撃 巨大なデータが戦略を決める
 [コンピュータ・情報科学]

ビッグデータの衝撃――巨大なデータが戦略を決める

城田真琴/著
出版社名 : 東洋経済新報社
出版年月 : 2012年7月
ISBNコード : 978-4-492-58096-7
税込価格 : 1,890円
頁数・縦 : 303,7p・19cm

 
■ビッグデータとは何か?
 IT業界で最近話題の「ビッグデータ」に関して、ITアナリストの立場で詳しく解説した書。技術的な説明だけでなく、ビジネス界での動向や、ビッグデータを活用して成功している企業なども紹介する。むしろ、技術的な解説よりこちらのほうに重点がある。さらにはプレイバシー保護に関する問題点などの社会的影響についても論じている。
 ところで、「ビッグデータ」を扱う際の肝は、ハドゥープとNoSQLデータベースという二つのソフトウェアと、クラウド・コンピューティングに象徴されるハード面での分散処理だ。これらの技術革新によって成立したのが「ビッグデータ」である。「ビッグデータ」の特徴は、大量の非構造化データを処理し、ビジネス上の意思決定や将来予測に応用したり、顧客の囲い込みを行う、ということになろうか。これからのIT社会では、「ビッグデータ」を上手く活用できた企業が隆盛する。「Data is the new oil.」なのである。

【目次】
第1章 ビッグデータとは何か
第2章 ビッグデータを支える技術
第3章 ビッグデータを武器にする企業 欧米企業編
第4章 ビッグデータを武器にする企業 国内企業編
第5章 ビッグデータの活用パターン
第6章 ビッグデータ時代のプライバシー
第7章 オープンデータ時代の幕開けとデータマーケットプレイスの勃興
第8章 ビッグデータ時代への備え

【著者】
城田 真琴 (シロタ マコト)
 野村総合研究所イノベーション開発部上級研究員。北海道旭川市出身。北海道大学工学部卒業後、大手メーカーのシステムコンサルティング部門を経て、2001年より現職。現在、ITアナリストとして、先端テクノロジーの動向調査、ベンダー戦略の分析、国内外企業のIT利活用調査を推進。同時にそれらを基にしたITの将来予測とベンダー、ユーザー双方に対する提言を行っている。専門領域は、クラウド、ビジネス・アナリティクス、M2M、IoTなど。

【抜書】
●非構造化データ(p6)
 「ビッグデータ」とこれまでビジネス・インテリジェンス(BI)で扱ってきた大量データとの違い。
 (1)数値データ(売上げや時刻、等)などの構造化されたデータではない。非構造化データ。
 (2)〔大量データの管理や処理などの新しい技術の担い手が、ウォルマートやシティバンクといった大企業から、ウェブ企業やソーシャルメディア企業に移った。〕

●ビジネス・インテリジェンス(p39)
 ビジネス・インテリジェンス、BI。
 〔企業内外に蓄積されたデータを組織的かつ系統的に集約・分析し、ビジネス上の各種の意思決定に有用な知識や洞察を生み出すという概念や仕組み、活動のことである。〕
 1989年、米国の調査会社ガートナー(Gartner)のアナリストだったハワード・ドレスナー氏によって提唱された概念。
 情報システム部門に依存していた売上げや顧客管理分析などのデータ処理業務を、経営者や一般のビジネスパーソンなどのエンドユーザーが自ら手がけることで、意思決定の迅速化や生産性の向上を目指すべきであると説いた。
 〔BIはこれまで、「過去から現在までに何が起きたのか」「なぜ、それは起きたのか」を分析し、レポーティングすることが主な目的であった。すなわち、「過去、および現在の見える化」である。〕
 今後の企業活動にとってより重要なのは、「これから何が起きるのか」。BIも、「将来予測」へと進化しつつある。 ⇒ データマイニング ⇒ 機械学習 ⇒ビッグデータ

●O2O(p43)
 Online to Offline。
 オンラインとオフラインの融合。
 ネット上の情報(オンライン)がリアル世界(オフライン)の購買行動に影響を及ぼしていることを表す概念。

●ハドゥープ(p49)
 Hadoop……オープンソース。大規模データの分散処理技術。マップリデュースを実装した「フレームワーク名」。
 MapReduce(マップリデュース)……大規模データを分散処理するための「処理方式」。グーグルが2004年に発表した論文「MapReduce: Simplified Data Processing on Large Clusters」に登場する概念。
 以下の3つによって構成。
 (1)HDFS(Hadoop Distributed File System)……分散ファイルシステム。大容量データを分割して格納。グーグルの「GFS: Google File System」に対応。
 (2)Hadoop MapReduce……大量データを効率的に分散処理可能なフレームワーク。グーグルの「MapReduce」に対応。
 (3)HBase……超巨大なデータテーブル。グーグルの「Big Table」に対応。

●NoSQLデータベース(p58)
 NoSQL……RDBMS(リレーショナルデータベース管理システム)=SQLが得意でない部分で補完的に利用する。「Not only SQL」という意味合い。
 データ構造……非構造化データを扱える。スキーマも最初から定義する必要がない。
 データ一貫性……ACID(Atomicity=原子性、Consistency=一貫性、Isolation=独立性、Durability=耐久性)のように堅牢ではなく、Eventual Consistency(最終的な一貫性)という実装。一時的に一貫性が維持されない状態が存在する。
 拡張性……スケールアウトが容易。拡張性に優れる。
 耐障害性……分散環境に対応、単一障害点がないものが多い。障害に対する対策コストが安価。
 〔データの一貫性を多少犠牲にする代わりに、柔軟性・拡張性を追求したデータベース〕

●リキャプチャ(p165)
 reCAPTCHA。グーグルが提供。
 スパムプログラム(bot)と人間のユーザーを見分けるための画像認証サービス。
 「リキャプチャは、書籍のデジタル化を支援する無償のアンチボットサービス」(リキャプチャのホームページ)。
 書籍のデジタル化において、OCRでの認識に失敗した単語を使用。

●協調フィルタリング(p182)
 アマゾンなどで、商品リコメンドを行う際に使う技術。
 〔商品の購買履歴に加えて、ウェブのアクセス履歴などの行動履歴をもとにユーザー同士の嗜好の類似値を自動計算し、レコメンドを実現している。〕

●消費者プライバシー権利章典(p196)
 アメリカ商務省の提言で、2012年2月23日、オバマ政権が「消費者プライバシー権利章典」を発表。
 オプトアウト方式が基本。
 EUでは、オプトイン方式の「電子プライバシー保護指令」。

●インフォチンプス(p248)
 「データ界のアマゾン・ドットコム」を標榜。
 ウェブ上であらゆるデータを販売することを目指している。

(2012/7/21)KG

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ネット・バカ  インターネットがわたしたちの脳にしていること
 [コンピュータ・情報科学]

ネット・バカ.jpg
ニコラス・G・カー/著 篠儀直子/訳
出版社名 青土社
出版年月 2010年7月
ISBNコード 978-4-7917-6555-3
(4-7917-6555-9)
税込価格 2,310円
頁数・縦 359p/5p・20cm

●インターネットは思考の「浅瀬」?
 原題は「The Shallows: What the Internet Is Doing Our Brains」といい、『クラウド化する世界』(翔泳社、2008年10月)の著者による最新作。邦題からの印象では扇動的で情緒的な内容かと思っていたが、まったく違っていた。学術論文を縦横に逍遥し、科学的な研究成果に裏打ちされた論理的な展開により、インターネットが普及した現代(そして将来)、人間の本質がどのように変容していくかということを真面目に論じている。

 原題にある「shallow」がキーワードだ。浅瀬という意味である。インターネットが普及して、知識や情報の獲得をWebに依存するようになり、ヒトの脳の働きは深みと集中力を失い、思考は浅くなる、という含意だろう。ネット社会は、脳という大海原の深海へと活動の場を広げるのではなく、浅瀬にとどまることを強いるのである。

 思考することは人間の本質的な行為である。そして読むことは、「言葉」を用いて思考している以上、当然のことであるが、人間の思考力に大きな影響を与えている。従来、本を「読む」という行為は、忍耐と集中力やリニアな思考を必要とし、同時にそれらを涵養するものだった。

 これに反してWebページを読む行為は、リンクやマルチメディアの視聴を読書体験に頻繁に差し挟むことによって、「読む」行為の中断を余儀なくさせる。注意散漫を引き起こすのだ。つまり、本を読むのとは異なり、Webを読む行為はヒトの思考力から集中力と深さを奪い、脳の力を弱めるのである。

 それは是か非か?

 筆者は、コンピュータ化の流れを押しとどめ、逆流させることは不可能だろうと語る。本も、絵画も、音楽も、映像も、すべてのコンテンツを1台でこなすことができ、しかも同時に扱うことができるコンピュータというメディアの便利さは破格である。筆者自身もネットなしで「生きていけるかどうか、正直自信がない」と告白する。一方で、ヒトの脳を変容させてしまうインターネットに懐疑を表明する。それは決してノスタルジーではない。論理的な思考を経た結論なのである。

 本書の最後の一文に言う――

 「コンピュータに頼って世界を理解するようになれば、われわれの知能のほうこそが人工知能になってしまうのだ」(p309)。

 欧米のライターならではの良質な内容だ。論理性と客観性を重視した、300ページを超える分量、引用と参考文献の多さ(注釈46ページ!)には圧倒される。日本の評論家ではなかなかここまで書ける人はいない。私が翻訳もののノンフィクションに惹かれる大きな理由の一つである。

【目次】
プロローグ―番犬と泥棒
第1章 HALとわたし
第2章 生命の水路
第3章 精神の道具
第4章 深まるページ
第5章 最も一般的な性質を持つメディア
第6章 本そのもののイメージ
第7章 ジャグラーの脳
第8章 グーグルという教会
第9章 サーチ、メモリー
第10章 私に似た物
エピローグ―人間的要素
脱線―リー・ド・フォレストと驚異のオーディオン
脱線―IQスコアの浮力について

もっと知りたい人のための文献一覧
索引

【雑記】
●マイケル・マーゼニック、猿の脳の再組織化(p43)
 1968年、ジョンズ・ホプキンス大学、生理学の博士号を取得したばかりのマイケル・マーゼニック。
 サルの手に刺激を与え、脳の「感覚マップ」を作成。その後、手の知覚神経を切断、脳が一時の混線(スクランブル状態)を経験した後、新たな感覚マップを再組織することを発見。

●リー・ド・フォレスト、オーディオンの発明(pp113-116)
 1906年、イェール大学で工学博士号を取得後10年を経たリー・ド・フォレスト、「微弱な電流を増幅する」三極(トリオード)構造の「オーディオン」を発明。トランジスターの原型。

●本の感触とともに読む(p130)
〔読むという認知行為は、視覚のみならず触角をも用いる行為であることが、研究によって明らかになっている。それは視覚的であるだけでなく触覚的でもあるのだ。読み書きに関する研究を行っているノルウェーの教授、アン・マンゲンは次のように言う。「読むという行為はすべて複数の感覚にかかわるものである」。〕

●注意散漫状態(p160)
〔われわれの生活において注意散漫状態は長らく増大してきたが、ネットほど広範かつ執拗に注意分散を行なうべく作られたメディアは、これまで存在しなかった。〕

●古い神経回路の弱体化(p171)
 UCLAの精神医学教授、同大学付属の記憶・加齢研究所所長、ゲーリー・スモール。
〔コンピュータ、スマートフォン、検索エンジンなどのツールの日常的使用は「脳細胞の変化と神経伝達物質の放出を誘発し、脳内の新たな神経回路を徐々に強化し、その一方で古い神経回路を弱体化する」。〕

●認知的負荷(p179)
〔ハイパーテクストを読む人は、「ページを慎重に読むのではなく」散漫にクリックして終わることが多かった。〕
〔ハイパーテクストは「読む者により大きな認知的負荷を課する」〕
 つまり、リンクをたどりながら読むことは、理解度の低下をもたらし、記憶の妨げになる。

●読みのパフォーマンスの低下(p182)
 「ハイパーテクストは、豊かなテクスト経験につながる」という理論は実証されていない。
 むしろ、「ハイパーテクストが意思決定と視覚処理を要求することにより、読みのパフォーマンスが損なわれる」という実験結果のほうが多い。
 意思決定……ハイパーテクストの読みには、前頭葉も参加している。

●耕作民から狩猟民・採集民へ(p194)
〔個人的知識の耕作民から、電子データの森の狩猟民・採集民へと変わりつつあるのだ。〕
 かつての文明の軌道の反転。
 粘土や石板に文字を刻んでいた時代には、文字がもたらすのは断片的知識であった。
 綴じた本の発明によって、読書は深い思考へと変わった。
 それが、ハイパーテクストによって、また断片的な知識へと逆戻りしているのである。

●二つの知識(p200)
 「知識には二種類あります。その主題を自分で知っているか、それに関する情報をどこで見つけられるかを知っているかです」。
 1775年4月18日夜、リチャード・オーウェン・ケンブリッジの大邸宅にある図書室で、サミュエル・ジョンソンは並んだ書物の背表紙を黙って読み始めた。ケンブリッジが「ジョンソン博士、本の背表紙をそんなに見たがるなんて、珍しい方ですね」と言った。それに対する答え。
 同行した友人のジェイムズ・ボズウェルの回想による(『サミュエル・ジョンソン伝』みすず書房、1982)。

●フリン効果(p201)
 30年前、ニュージーランドのオタゴ大学政治学科長、ジェイムズ・フリン、IQテストの歴史の研究。
 20世紀を通じて、ほとんどすべての地域で、IQテストのスコアは着実に上昇していた。
[得点が増加した部分]
 ・幾何学的図形を頭の中で回転させるテスト
 ・異なる物体の類似点を同定するテスト
 ・論理的順序に従って図形を配列するテスト
[変化なし]
 ・記憶
 ・語彙
 ・一般知識
 ・算数

●記憶のアウトソーシング(p270)
〔記憶をアウトソーシングすれば、文化は衰退してしまう。〕

●ELIZA(pp276-286)
 1966年1月の論文、MITのコンピュータ科学者、ジョゼフ・アイゼンバウム。
 自動応答システム、ELIZA。人間の発話に対して適切な答えを返すプログラム。セラピスト的ペルソナ。

●ミラーリング(p293)
 脳の中で「他者の心の中で起こっていることを理解する作業に特化してい」る」部分=前頭葉、頭頂葉、頭頂葉と側頭葉の接する部分。脳の中でも高度に活動的な三つの部分。社会的思考。
 ハーバード大学の社会認知・情動神経科学研究所所長、ジェイソン・ミッチェル。
 コンピュータ時代、「社会的思考に関与する部分の脳が、慢性的に活動過剰状態になった」ことで、〔精神の存在しないところにもわれわれは精神を認めるようになったのだ。〕
 神経のミラーリング。
 ELIZAを人間と思い込んでしまう人間の精神構造。

●引用論文の減少(p298)
 シカゴ大学の社会学者、ジェイムズ・エヴァンズ、1945年から2005年に学術雑誌に発表された論文3400万本の調査。
 オンラインに移行する雑誌の数が増えるにつれ、引用される論文の数は以前より少なくなった。
 入手可能な情報の増加が、「科学および学問の縮小」を引き起こしている。

(2010/10/24)KG

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ウェブ進化論 (ちくま新書)
 [コンピュータ・情報科学]

ウェブ進化論.jpg
梅田 望夫著
税込価格 : \777 (本体 : \740)
出版 : 筑摩書房
サイズ : 新書 / 249p
ISBN : 4-480-06285-8
発行年月 : 2006.2

Web2.0の世界
専門家には分かりきった内容なのだろうが、素人にはとても興味深く読むことができた。
これまで、Webは単に情報の収集と発信のために存在し、その他にはせいぜい買物が便利になった、というくらいの認識しかなかったのだが、Web2.0の世界は、世の中そのものを変えていく、という。Webの強みは、首長竜の首の部分ではなく、長い尻尾、すなわちロングテールの部分である。ここに的を絞り、不特定多数無限大のネット参加者から、ほとんどゼロに等しいような僅少な金額を集めていく、というビジネスモデルが現れた。それを実現したのが、インターネット、チープ革命、オープンソースという、三大潮流である。それにかかる経費も限りなくゼロに等しい。
同時に、上記の三大潮流が、情報の流通も変えてしまうかもしれない。これまで、情報の流れは一方通行に等しかった。マスコミが主導した、ごく少数の選ばれた識者から大衆へ、という流れだ。ピラミッドの頂点に君臨するエリートと大衆。しかし、その中間に第三の層が形成され始めている。総表現社会参加者と位置づけられる1,000万人だ。今後、これらの人々が輿論を作っていくことになるかもしれず、これまで専門家といわれた一部知識人のみが参加していた「知識の形成」にも関わってくるかもしれない。ウィキペディアなどが好例である。
ウェブ進化論.JPG
(06/4/6)【蔵】

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SYNC なぜ自然はシンクロしたがるのか
 [コンピュータ・情報科学]

SYNC.jpg
スティーヴン・ストロガッツ著
蔵本 由紀監修
長尾 力訳
税込価格 : \2,310 (本体 : \2,200)
出版 : 早川書房
サイズ : 四六判 / 468p
ISBN : 4-15-208626-2
発行年月 : 2005.3

同期現象(SYNC)が世界を支配する
1665年、オランダの物理学者クリスティアーン・ホイヘンスによって発見された、振り子の同期現象。ホイヘンスは、自らの発明した「世界随一の精度を誇る」二つの振り子時計が、全く同じリズムで「共感」して揺れる現象を実験によって証明した。この同期現象=SYNC(シンク)が現代において再発見されるのは、20世紀前半、東南アジアの無数の蛍が、いっせいに、一定のリズムで明滅を繰り返す現象についての報告と、その後の議論が発端となる。そして、いまや知の最先端、「複雑系研究のごく一部」として、さまざまな分野での意欲的な論文が発表されるまでに至った。
本書では、蛍から説き起こし、脳波をはじめとする人間の身体における同期現象を経て(女性の月経周期さえ、同期する!)、非生物たる物質の世界での同期現象まで、最先端の研究をエピソードを交えて紹介・解説する。量子レベルから天体間のふるまいに至るまで、同期現象は全宇宙に遍在する、というのである。「同期」という現象はまだ十分に解明されたわけではないが、宇宙を支配する法則のひとつとして、今後の研究成果が期待されるところである。
ただ、文科系の人間にとっては、学校で習わなかった最先端の科学の話なので、理解できない箇所が多々あるかもしれない。何しろ、ジョセフソン素子まで登場するのだ。ただ、現在、学問の世界でどのようなことが関心を呼んでいるのかということを認識するために、読んで損はない1冊だ。
SYNC.JPG
(05/6/5)【蔵】

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